インタビュー
ゲームポット,スクウェア・エニックス,フェニックスソフトにインタビュー。三社が語る「ファンタジーアース ゼロ」の将来像とは
そこで今回は,FEZに関わるゲームポット,スクウェア・エニックス,フェニックスソフトの三社に,その後の対応,そしてこれからのFEZをどのような方向に進ませたいと考えているのかを,あらためて聞いてみた。3社はどのような形でFEZを発展させていこうとしているのだろうか。
4Gamer:
本日はお時間を頂きありがとうございます。早速質問させていただきますが,前回のインタビューで話題にあがったラグ問題は,解決したと考えてよろしいでしょうか。
ゲームポット 運営プロデューサー 劔 俊彦氏 |
ラグ問題は,ゲームポット側のネットワークで障害が起こっていたことが分かりました。原因を突き止められたので,最も酷かった2月と比べると改善しています。
4Gamer:
ラグ問題を改善したことによって,プレイに必要なPCのスペックが上がったということはないでしょうか。
フェニックスソフト 開発部 プランナー 小林 茂氏(以下,小林氏):
それはありませんが,これからもアップデートで要素が増えてきますので,パフォーマンスの向上は常に念頭において,取り組んでいきます。
4Gamer:
アップデートによるコンテンツの増加は,オンラインゲームにとって必要不可欠ではありますが,それによる高スペック化が問題になることもあります。そのあたりでジレンマを感じるといったところでしょうか。
そうですね。どうしても要素は追加していくことになるので,だんだん重くなってしまいます。とはいえ,できるだけロースペックなPCでも対応できるようにしていけば,対象ユーザーが広がります。矛盾した話ではあるのですが,要素を増やしつつ軽量化を目指していく,そのような計画で進めております。
劔氏:
またスペックの問題とは別に,お客様同士のトラブルに対応するGMコールシステムというのを準備しております。今まではそういった問題に対して事後の報告を受けてから動いていましたが,GMコールを受け当事者のお話をうかがい,適切な処置を行うようにいたします。
4Gamer:
確かにFEZは熱心なプレイヤーが多いので,味方にも厳しい注文を出す人などがいて,それがもとで言い合いになるといったこともあるようです。文字だけのコミュニケーションだと誤解も生じやすいので,第三者が仲裁に入るシステムの実装を喜ぶ人は多いでしょう。具体的に実装時期を教えてください。
劔氏:
夏前の実装を目指して開発を進めています。
4Gamer:
現在,運営によるユーザーサポートは対応時間が決まっていますが,GMコールは24時間対応でしょうか。
劔氏:
はい,24時間です。今までのGMはイベントを主催するなど,キャストとしての役割だったのですが,GMコールで対応を行うサポート員はGMコールの専任となります。
4Gamer:
なるほど,いつでも対応してくれると聞いて安心しました。現状ではユーザー間で問題が起きた後も公式SNSなどで口論が続くといったことも見受けられます。GMコールを導入したからといって,そういった事態が皆無になるわけではないでしょうが,24時間運営者に頼れるというシステムができるのは心強いですね。対戦をメインにしているゲームなだけに,トラブルが発生しやすいので,できるだけ早く実装してください。
スクウェア・エニックス アシスタントプロデューサー 李 潤玉氏 |
スクウェア・エニックス プロデューサー 小山博典氏 |
FEZ最大の課題,バランス調整はどうなる。国際大会の開催も視野に
4Gamer:
最も難しいと思われるバランス調整についてうかがいます。まず,今まで何度も修正されているスキルのバランスについて,どのように考えているのか教えてください。
小林氏:
これまでもスキル調整を何度も行っておりますが,その方法について検討しなおすべきだと考えています。プレイヤーの意見をしっかりと汲み取れるような仕組みを用意したいです。そのうえで,より良い方向に調整が行える方法を見つけ出し,定期的にバランスの改善を実行したいところです。
4Gamer:
スキル調整には何度も手が加えられていますが,ウォリアーや短剣スカウトが強すぎるとか,さまざまな意見がありますから,なかなか難しいですよね。
フェニックスソフト 開発部 プランナー 鈴木秀和氏(以下,鈴木氏):
人気がある職業に偏った意見がどうしても多くなります。どの職業でも楽しめるような調整を行っていきたいです。
フェニックスソフト 開発部 プランナー 鈴木秀和氏 |
フェニックスソフト 開発部 プランナー 小林 茂氏 |
小山氏:
バランス調整に関しては,単純なアンケート方式だけによる意見の吸い上げにしてしまうと,お客様のご意見を満遍なく汲み取ることが難しいです。そうなると,バランスとしてそれがベストの調整だとはいえなくなってしまいます。そこが過去の反省点としてあり,ではこれからどうやっていくのか,というのを模索しているのが現状です。
4Gamer:
以前の3職に戻してほしい,という意見もあります。ただ,あの時代はあの時代で,いろいろと不満が出ていましたよね。
スクウェア・エニックス アシスタントプロデューサー 李 潤玉氏(以下,李氏):
すべての不満をなくすことは,かなり難しいと思います。ですから,その不満をできるだけ少なくしたいです。バランス調整に関しては,ゲームのサービスが続いていくかぎり,ずっと取り組んでいきます。
4Gamer:
プレイヤーの意見を取り上げる方法として,アンケート以外に何か具体策はお考えでしょうか。
劔氏:
今までもアンケート以外に,公式掲示板やSNSでのご意見もスキル調整に反映させていました。ただ,これからはもう少し深く意見を聞き取りたいと思っています。
そういった意味では,ユーザーカンファレンスの開催といったことが挙げられます。運営元であるゲームポットと,フェニックスソフトさんとで協力し,お客様と運営や開発がディスカッションをする場を設けてもいいのかなと考えています。そこで新しい発見が必ずあるでしょう。具体的な時期はまだ言えませんが,開催する方向で検討しています。
4Gamer:
ユーザーカンファレンスはぜひ実施してほしいですが,オフラインでの大会にも興味があります。2009年のゲームポットフェスタでは,バンクェット大会などが行われましたが,今年もそういった大会の開催予定はあるのでしょうか。
劔氏:
2009年は国家対抗戦も同日に行いましたが,それは入場者数を制限していたからできたことです。今年はどのような形で行うか決めておりませんので,そういった面を含めて,大会の実施は未定となっています。ただ,やはりFEZは対人戦がメインのゲームですので,バンクェットは続けていきたいです。
4Gamer:
バンクェットに関して,何か新しい試みはお考えでしょうか。
劔氏:
FEZは日本以外でも中国や台湾,アメリカなどでサービスしていますので,ゆくゆくは国際大会の開催を視野に入れています。年末に日本最強チームを決定し,世界大会は東京やアメリカで,というのもいいですね。またそれとは別に,日本の地区や県ごとの大会なども開催できるよう,企画を進めている段階です。
4Gamer:
バンクェットもいいですが,例えば海外の方と50対50で戦ってみたいです。
劔氏:
それはぜひやってみたいですね。ただバンクェットに関してもそうですが,国際ルールなどを決める必要があります。そう考えると今年中の実現は難しいでしょうが,開催に向けて準備は続けていきたいです。
新召喚がついに登場か。今後のアップデート&イベント情報
4Gamer:
では次に,今後のスケジュールについて聞かせてください。
月次イベントとして,戦争に勝利することでより価値が高いものを入手できる,FEZ本来のモチベーションを訴求するイベントを予定しておりま す。
4Gamer:
なるほど,それは楽しみです。ところで,4月26日に新しいマップが一つ実装されました。近いうちにほかの新マップを追加するプランはありますか。
小林氏:
はい。5月末までに1マップ,そしてそれ以降も,順次追加していく予定です。
4Gamer:
先だって追加されたのは雪原のマップでしたが,今後追加されるマップも,そういった地形の変化を持たせたものになるのでしょうか。
そうですね。既存のマップとはまた違った遊びができるような特徴を持たせたいです。また,現在実装済みのマップに関しても,クリスタルやキープの配置なども,見直さないといけないと思っています。
4Gamer:
マップの追加や修正も嬉しいですが,今後実装予定の新要素も気になります。どのような計画がありますか。
小林氏:
今年度の新要素として考えているのが,“新召喚”です。今冬ぐらいの実装を予定しているのですが,召喚は戦争で戦術的にもかなり大きなウェイトを占めると思いますので,あわてず慎重に検討していきます。この召喚が実装されればFEZがとても面白くなるものとして提供していきたいと考えています。
4Gamer:
まだ先のことなので具体的には決まっていないかもしれませんが,どのような召喚を考えているのか,アイデアだけでも教えてください。
李氏:
まだ本当に検討中なんです。アタッカータイプであったり,裏方的なものであったり,またサイズが大きいものや小さいもの,そして人型なのかそうでないのか,さまざまなタイプのものから検討を行っています。ただ,現状はスキルなどのバランス調整が優先されますので,実装はその目処がついてからとなります。
小山氏:
戦争のバランスに深く関わることですので,みなさんの意見を取り入れつつ,じっくりと時間をかけて作っていきます。
4Gamer:
ではちょっと質問を変えます。新召喚ではなく,既存の召喚に何か新スキルが追加されるとか,そういった可能性はあるのでしょうか。
新召喚のお話をしましたが,検討次第ではそちらの方向に流れる可能性もあるとは思います。「この召喚にはこういう役割があるので,このスキルがあったほうがいいのでは」といった話になれば,召喚に新スキルが追加されることがあるかもしれません。
4Gamer:
ほかに新要素はあるのでしょうか。
鈴木氏:
新要素ではないですが,これからは年間を通してバランスを見直し,調整しようと思っています。今まではスポット的にスキル調整を行ってきましたが,そうではなくてもっと長いスパンで見ていきましょうと。あとは,新規プレイヤーが,もっと定着しやすい土台を用意したいと考えています。
4Gamer:
そういえば以前のアップデートで,ワールドマップに解説が出るようになりましたね。
鈴木氏:
ガイド機能ですね。それも,今申し上げたものの一環です。
李氏:
NPCの名前も見やすくしました。あとどうしても直したいのは,チュートリアルにすぐ復帰できるようにすることです。
4Gamer:
確かにいったんチュートリアルから出てしまうと,NPCを探すのに苦労しますからね。
鈴木氏:
ゲームの内容を知らないから続けられないというのは,もったいないです。
FEZの「戦争」という楽しい部分を,つまづくことなく新規プレイヤーに体験し
てほしいですね。
小林氏:
こちらもまだ検討中なので,おそらく実装が今冬になると思うのですが,アイテムでいくつか新要素を考えています。例えば装備品であったりとか,エンチャントであったりとか。
4Gamer:
エンチャントは,以前あったレデュース系のものとは,また違ったものになるのでしょうか。
小林氏:
少し毛色の違うものになるかもしれませんね。レデュース系を以前出したときの結果も踏まえて,検討していきたいと思っています。
4Gamer:
ではアバターに関してですが,これから実装される予定のものはあるのでしょうか。
小林氏:
もちろんあります。例えば,5月実装のカジノ装備は赤頭巾や狼をモチーフとしたものを予定しています。そのほか,色違いも含めて,今年もいろいろアバター要素を実装予定です。
4Gamer:
個人的には,新しい尻尾が出るのかが気になります。
小林氏:
尻尾もいいのですが,アクセサリーに関してはほかにもいろいろ出していきたいですね。
4Gamer:
装備といえば,2009年に防具のデザインコンテストがありましたが,今年も行う予定はあるのでしょうか。
劔氏:
はい。実装時期,内容ともに未定ですが,ソーサラーの新しい武器である魔道具まで出揃ったので,武器のデザインコンテストなどもやりたいなと思っています。
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