“激突革命”で原点回帰と，より親しみやすいゲームへの進化を目指す。「真・三國無双 Online」開発スタッフインタビュー

　オンラインアクション「真・三國無双 Online」の大型アップデート「Revolution 4」が，7月21日に実装された。先日お伝えしたように，Revolution 4の中心となるのは，メインとなるゲームモードである「激突」の拡張および新要素の追加である。
　“激突革命”というキャッチコピーが付けられた今回のアップデートに関し，開発プロデューサーを務める藤重和博氏，および開発ディレクターである越後谷和広氏に話を聞いてみた。

「真・三國無双 Online」公式サイト

オートマッチングでより遊びやすくなる「激突」

「真・三國無双 Online」開発プロデューサー 藤重和博氏

4Gamer：
　本日はよろしくお願いします。今回の大型アップデートでは，激突に，“革命”を謳う大きな拡張が施されると聞きました。

藤重和博氏（以下，藤重氏）：
　激突は，真・三國無双 Onlineのプロジェクトが始まって以来，ずっとお楽しみいただいているゲームモードです。これまで「争奪」「乱戦」といった新たなゲームモードを追加してきましたが，今回は初心にかえり，激突に新たな楽しみを盛り込もうと考えました。
　もう少し具体的にいうと，より遊びやすくする，新しい勝利条件を楽しめるようにするといった内容になります。

4Gamer：
　それは，プレイヤー層の変化と何らかの関連があるんでしょうか。

藤重氏：
　これまで，大型アップデートなどを行うごとに，継続してサービス規模が拡大してきました。そのような状況の下，初めて遊ぶ人がより参加しやすく，また親しみやすいものにしたいと考えました。
　また，新たな勝利条件を追加するのは，今まで遊んできた人のニーズにも応えたいとの意図からです。

4Gamer：
　「すぐに激突」の追加は，初心者が激突に参加しやすくするための取り組みであるということですね。これは，いわゆる“オートマッチング”と捉えてもよいでしょうか。

藤重氏：
　そうですね。オートマッチングに，真・三國無双 Onlineらしい色を付けているんです。

越後谷和広氏（以下，越後谷氏）：
　今回のアップデートで，一番利用していただきたい要素ですね。

NPC「激突娘娘」

藤重氏：
　NPCの「激突娘娘」（げきとつにゃんにゃん）も登場しますし（笑）。

越後谷氏：
　今回，“革命”ということで，ゲーム性の部分に少し変化を加えましたが，その裏には，もっと激突を楽しんでほしいという意図があるんです。激突の間口を広げるために一つの策として，激突娘娘を用意しました。すごく気の利いた娘ですので，ぜひ利用してください。

新勝利条件「宝物搬入」＆新マップ「要塞改」で
新たな楽しみ方を提供

4Gamer：
　新勝利条件の「宝物搬入」は，いわゆる“キャプチャー・ザ・フラッグ”（編注：敵陣に立っている旗を奪い，自陣に持ち替えるというゲームモード）の真・三國無双 Onlineバージョンという感じですよね。

藤重氏：
　ええ。すでにオンラインゲームで定番として成立している遊び方を，真・三國無双 Onlineに入れてみたらどうなるだろうと考え，開発しました。

4Gamer：
　確かに，今までの真・三國無双 Onlineとは少し異なる遊び方という印象を受けました。実際のところ，プレイヤーはどういった受け止め方をすると思いますか？

越後谷氏：
　中には，プレイヤー同士の直接対決を苦手とする人もいます。宝物搬入は，「勝負には勝ちたいけれど，一対一で戦うのはちょっと……」という人にマッチした遊び方です。宝物搬入であれば，ほかのプレイヤーと協力して勝ちを収める楽しさを，より強く味わえると思います。

4Gamer：
　スポーツ的な楽しさが強調されるということですね。では，新マップの内容について説明をお願いします。

越後谷氏：
　新たに登場するのは，今最も人気の高い戦場「要塞」をアレンジした，「要塞改」というマップで，「結界」と呼ばれる壁が存在していることが最大の特徴となっています。
　これまでの壁は，一度壊すとそれっきりだったんですが，結界は，壊したり，復活させたりといったことが可能です。

4Gamer：
　結界をオン/オフするスイッチのようなものがあるんですか？

越後谷氏：
　「結界石」という岩がありまして，それに一定のダメージを与えることで味方のみ通れるようになり，敵は通れなくなるんです。そのため，結界のある要塞改では戦術が大きく変化します。この壁をうまく利用し，邪魔し合ったりする面白さを感じてもらえたら，と思います。



4Gamer：
　戦術が変化すると聞くと，結界は上級者向けのギミックなのかなと感じますが……。

越後谷氏：
　それが，そうでもないんです。確かに，事前には開発側も，上級者向けになるのではないかと考えていましたが。

藤重氏：
　むしろ，プレイヤーの腕前などに関わらず，ワイワイ楽しめる要素といえるかもしれません。実際にこのマップで戦ってみると，お祭りっぽい雰囲気になりますよ。

越後谷氏：
　要塞改では，結界に閉じ込められた状態で，両軍入り乱れて戦うことになったりするんです。そのため，追い詰められることによる緊迫感が生まれて，これまでになかった楽しみがあるものになっていると思います。

4Gamer：
　なるほど。初心者を含め，さまざまな層のプレイヤーが楽しめるコンテンツになったわけですね。
　ところで，新拠点として「戦車拠点」が登場します。中でも「虎戦車」は，以前，ゲーム内に登場したことがあるそうですね。

越後谷氏：
　以前，「特務」で出したものです。結構，反響が大きかったんですよ。

4Gamer：
　このタイミングでレギュラー化することにしたのはなぜですか？

藤重氏：
　これも，激突に変化を与えるための一つの施策です。結界というギミックを用意した要塞改もそうですが，戦車拠点も，今までとは違った遊び方，楽しみ方を提供したいという考え方で開発しました。

4Gamer：
　要素が増えるのは非常にいいことですが，初心者からすると何から手を付ければいいのか，迷ってしまうかもしれません。

藤重氏：
　最初から，あれもこれもと手を出す必要はなく，一つ一つ気になったところから楽しんでいただければいいと思っています。
　また，新要素が追加されるだけでなく，ゲームバランスが多少変化しますので，既存のプレイヤーもさまざまな違いを感じていただけるのではないかと期待しています。

新武器はバランス，新動物副将はギミックを重視して開発

7月16日に開かれたメディア向け説明会（レポート記事）で用いられたスライドより

4Gamer：
　そのほかの新要素について聞かせてください。いつもプレイヤーの注目が集まる新武器ですが，今回追加される3種類の中でも，とくに「戦戈」（せんか）が気になるところです。

藤重氏：
　武器自体もそうですが，それを使う「月英」の人気が高いんですよ。「早く実装してほしい」というリクエストも，これまで数多く寄せられてきました。

4Gamer：
　究極進化の「天運」は，全指揮官の究極進化がランダムになるというすごい効果を持っていますが，その半面，ゲームバランスが崩れてしまわないかと不安になります。

越後谷氏：
　戦戈の実装は10月20日に予定していますが，すでにバランス調整を進めています。この武器が絶対的な存在になるのではなく，選択肢の一つという形に落ち着くように調整しているところです。

4Gamer：
　例えば，ほかの武器よりも制限が多いとか，そういう感じですか？

越後谷氏：
　天運は，プレイヤーの皆さんがこれまで使ってきた武器に，新しい変化を与えてくれます。強力ですが，これによって勝負が決まるようなことはありません。アクションの爽快感はそのままに楽しんでいただけますよ。

藤重氏：
　真・三國無双 Onlineでは，スタンドアロン版の爽快感はそのままに，オンラインでの対戦が楽しめるという点を支持していただいていますので，気持ちよく遊べることを重視してバランス調整しています。

4Gamer：
　では続いて，服飾の「属性付加」について聞きますが，具体的な内容や効果は読んで字のごとく，という感じでしょうか。

藤重氏：
　ええ。属性付加は，やり込み要素の一つとして実装しました。すでに武器には属性効果をつけるアイテムがあり，皆さんに楽しんでいただいていますので，今後は服飾にも属性効果を，というわけです。

4Gamer：
　武器と服飾で属性要素の導入時期を分けたのには，何か意図があるんですか？

藤重氏：
　戦闘に関わる要素ですから，一度にまとめて導入すると混乱する恐れがあります。そこで，段階的な導入を試みました。

4Gamer：
　なるほど，分かりました。
　ところでRevolution 4では，新副将の「狐」が登場しますよね。以前話を聞いたとき，さまざまな種類の動物副将を用意しているとのことでしたが，今回，狐を採用したのはどんな理由からでしょうか。

越後谷氏：
　動物を連れて歩けるだけでも楽しいんですが，今回は，さらに付加価値を提供したかったんです。そこで，ギリギリまで考えて決定しました。

4Gamer：
　その付加価値というのが，所属武将に変身できるというギミックですね。



越後谷氏：
　実をいうと，思いつきレベルのアイデアなんですが（笑）。

藤重氏：
　狐なら変身してもおかしくないし，街でも遊べるじゃない，ということですね。

4Gamer：
　このようなギミックが用意されることで，サーバーに対する負荷は生じませんか？

越後谷氏：
　その点は問題ありません。安心して楽しんでください。

藤重氏：
　大きなアップデートのたびに，プログラマーが少しずつ負荷軽減を行っているんですよ。

4Gamer：
　目に見えない部分の改良も怠らないというわけですね。
　ちなみに今後も，動物副将に何らかのギミックを盛り込んでいくんですか？

藤重氏：
　何かしらの遊び要素を取り入れたいとは考えています。どうせやるなら，戦闘時に役立つ，役立たないは別として，それぞれ方向性の異なる付加価値にしたいところです。
　動物の種類に関しては，「三国志といえばコレ」という，ファンにとってお馴染みのものも用意していますので，今後登場する動物副将にも期待してください。

タイプの異なる「激突」「乱戦」の存在が相乗効果を

4Gamer：
　先ほどの話では，新規プレイヤーが増えているということでしたね。

藤重氏：
　はい。ありがたいことに，右肩上がりで増加しています。とくに乱戦の導入後は，増加率がかなり上がりました。

4Gamer：
　乱戦が高い人気を集めているということですね。乱戦は，激突をしのぐコンテンツになりそうですか？

藤重氏：
　どちらか一方というより，例えば，平日に激突をコンスタントにプレイし，週末に予約が取れたら乱戦に参加するといったスタイルが多いようです。激突と乱戦の二つを揃えたことで，ゲームを活性化できたんじゃないでしょうか。

4Gamer：
　好評を博している乱戦を，平日に開放するといったことは考えていますか？

藤重氏：
　状況を見ながら，フレキシブルに変更していこうと考えています。今からすぐにというのではなく，夏の長いお休みの時期を控えていますので，イベントのような形で提供するのがいいかもしれませんね。

4Gamer：
　それでは最後に，真・三國無双 Onlineのプレイヤーと4Gamerの読者に，メッセージをお願いします。

越後谷氏：
　“革命”といえるだけの変化と同時に，面白さも盛り込みました。ぜひ楽しんでください。

藤重氏：
　サービス開始以来，プレイヤーが順調な伸びを示しており，ありがたく感じています。Revolution 4も，プレイヤーの皆さんの期待に応えられる内容に仕上げたつもりなので，ぜひたくさんの人に遊んでいただきたいと思います。

4Gamer：
　ありがとうございました。


　インタビューと前後して，筆者は実際に，Revolution 4の実装内容を先行体験させてもらった。
　新勝利条件の宝物搬入では，宝物を出現させるために敵を倒したり，木箱を壊したりすることに意識が集中するからか，ソロプレイをしているかのような錯覚に陥ることが何度かあった。
　とはいえ，チーム同士の対戦に違いなく，戦況を大局的につかんでいないと勝つのは難しい。宝物の搬入に成功したときには，大きな達成感を味わえただけでなく，チームへの貢献も実感できた。

　また要塞改では，結界を用いることで，想像していたよりも簡単に敵の進路をふさいだり，退路を断ったりできた。インタビューで説明されていたように，ビギナーでも十分楽しめそうである。
　今後，本作のプレイヤー達の手により，効果的な戦術が編み出されていくことだろう。

　Revolution 4の実装で，メインコンテンツの一つである激突が，より遊びやすいものとなった本作。これからの展開も，大いに楽しみにしたいところだ。