インタビュー
多人数戦闘,MMO的要素,王道の三国志シナリオ! 新要素てんこ盛りの拡張パック「真・三國無双 Online 〜神将乱舞〜」開発者インタビュー
「神将乱舞」は,12人対12人の総勢24人で楽しめる対戦システム「乱戦」,服飾や消費アイテムが生産できるシステム「錬成」,そして新たに人間以外,つまり動物が副将になるという新副将システム「動物副将」など,さまざまな要素が3月17日に導入されるアップデートだ。大まかな概要は,「こちら」のレポート記事でお伝えしたとおりだ。
今回,このお披露目会の閉幕後に,短時間ではあるが開発プロデューサーの藤重和博氏と,開発ディレクターの今村一太氏に,拡張パック「神将乱舞」について詳しい話を聞くことができた。
12人対12人での「乱戦」。
“12”という数にはどんな意味が?
本日はよろしくお願いします。さっそくですが,神将乱舞は「拡張パック」と銘打っています。これは,通常の大型アップデートとは違う位置付けなのでしょうか?
藤重和博氏(以下,藤重氏):
通常の大型アップデートよりも大きな規模のものを提供したいという方針で,1年前から企画していました。
拡張パックというと,当社のほかのタイトルではアップグレード料金をいただく形を取っています。ですが,基本プレイ無料の真・三國無双 Onlineでは,同等の内容をやはり無料でご提供しようと考えました。
4Gamer:
なるほど,ちなみに神将乱舞は,2008年に実施された一連の「Revolution」アップデートとは異なるラインで進行していたのですか。
藤重氏:
そうです。別ラインとして,最初のRevolution直後から密かに進めていました。
4Gamer:
Revolutionと並行して拡張パックの2009年3月の実装を目標としていたわけですね。どちらも大きな変更ですし大変そうです。
それでは,お披露目会で発表された項目について聞かせてください。まずは12人対12人の「乱戦」について,あらためてですが魅力などを教えてください。
今村一太氏(以下,今村氏):
今,メインコンテンツとなっている4人対4人の「激突」は,皆さんから高い支持をいただいています。しかし,個人のアクションの技量がそのまま勝敗を決めてしまうことがあるため,ゲームをはじめて間もないプレイヤーだと参加することにためらってしまうようなことがありました。
そこで大勢の中の一人として戦うなら,それほど技量の差が大きな影響とはならず,チームの勝利に貢献できる――そこに従来とは異なる楽しさが提供できるだろうと考えました。
4Gamer:
たしかに,少数による対人戦では,個人技能の差が大きく影響してしまいますね。では,12人という数字に理由はあるのでしょうか?
当初は8人対8人にするという考えもあったのですが,それでは現在のゲームシステムとあまり変わらなくなってしまいます。そこで,もう一つ乗り越えた12人対12人にしようと考えました。また,12という数字には,2/3/4/6と多くの公約数があります。すなわち同じ12人の中でも,ペアや3人といった小人数で行動したり,あるいは6人でまとまったりと,非常に作戦選択の幅が広がります。
当初,12人対12人というのは,技術的ハードルがかなり高いものだったのですが,面白さを出すために敢えて挑戦しました。
4Gamer:
そういった人数的な選択に加えて「方針」コマンドを活用することで,戦闘時の作戦の幅も広がるというわけですね。
今村氏:
そうです。またお披露目会では触れなかったのですが,マップ上には方針を切り替えることのできる「石柱」という場所があります。つまり状況に合わせて,戦闘中に方針を切り替えながら戦うこともできるのです。例えばマップ上で「ここに集まって守ろう」ということになれば,そこに向かう途中で方針を「守備」に切り替える,あるいは「大逆転を狙おう」ということになれば方針を「破壊」に切り替えて兵糧庫を狙うといったこともできます。
また,方針は個人単位での切り替えとなりますが,乱戦開始前には5分間の戦闘準備の時間が与えられます。慣れてくれば,その開始5分でこういった状況になったら皆で方針を切り替えよう,別の状況になったらまた方針を変えようといったように,打ち合わせも緻密になっていくのではないでしょうか。
4Gamer:
なるほど。ただ攻めるだけではない「乱戦」では,攻守の打ち合わせは重要になりそうです。それでは二つめの新要素「錬成」についてお聞きします。お披露目会では,“MMO的な要素”という説明でした。
無双といえば爽快な戦闘!
でも意外にも要望が多いのは……
はい。錬成を繰り返すとスキルが上がり,より複雑なもの,新しいもの,そしてレアなものを作れるようになります。例えばギルドの中に錬成スキルの高い人がいるとすると,その人が生産したアイテムを皆で身につけたりといった部分でコミュニティの結束を高めることができるでしょう。
4Gamer:
コミュニケーションの強化という意味合いが強いのですね。
今村氏:
ええ。また錬成は,街の活性化にもつながるのではないかと期待しています。お披露目会では,家での錬成を紹介しましたが,実は街の共用施設でもできるんです。そこで仲買商や配送を通して,物々交換や売買などが生まれてくれれば,と期待しています。
4Gamer:
トレードはプレイヤーのコミュニケーションを促すでしょうね。ちなみに,錬成によって,ゲームバランスを崩しかねない強力な消費アイテムができてしまったり,ということはないですか?
今村氏:
もちろん,そこは十分に考慮しています。とくに戦闘に直接影響するようなものには配慮しています。例えば,強さに直接関係する一部の消費アイテム同士は,そもそも合成できないようにするといった感じですね。
4Gamer:
なるほど。
今のシステムですと,消費アイテムは,直接は1度に1個しか装着できません。ですが,単純にスロット数を増やしてしまっては,複数のアイテムを装着するだけでいろんな効果が得られるようになってしまい,むしろアイテム選びが固定化して面白みに欠けてしまいます。
しかし錬成で合成すれば,1個で複数の効果を持つ消費アイテムを生産できるようになるので,これを工夫して活用していただきたいという狙いがあります。
4Gamer:
スロットをただ増やすのは,バランスに与える影響が大きそうですからね。ちなみに,今後,錬成にさらにコミュニティを強化する要素を追加していく予定はありますか。
今村氏:
ええ。今後,どんどん拡充していく予定です。そうですね,今思いついたものでいうと,ギルドの旗などが作れると面白いですよね。
4Gamer:
それはギルド内の結束をより強固にできそうに感じます。それでは三つ目の要素,副将システムについてお聞きします。今回,初の動物副将として狼が登場します。お披露目会でも種類は増やすと話していましたが,どのような動物を考えていますか。
今村氏:
そのほかの動物については,いろいろ予定はしているのですが,今はまだお話できません。まあ,皆さんが出るといいなあとお考えになるであろうものも含まれています,とだけ(笑)。また,狼に関しても,いくつか種類があるんです。色やパラメータが違ったりするので,収集する楽しみもあります。
4Gamer:
狼にも個性があるのですね。ペット自慢とか楽しそうです(笑)。そう,ペットといえば,お披露目会で「動物副将」は,プレイヤーからのペットが欲しいという要望に応えたとのことでしたが,ちょっと意外な気がしました。
真・三國無双 Onlineといえば,爽快な戦闘といったイメージですし,もっと戦闘寄りの要望が多いのかなと。
藤重氏:
いえ,実をいうとペットの要望はかなり多いのです。戦闘を目当てに集まってくださるプレイヤーさんが多いのは事実ですが,ペットや生産といったコンテンツに対する要望もかなりあります。
今村氏:
人間タイプの副将にも着せ替えや,今回実現した街に連れ出せたりという部分などに要望が集まっていました。
4Gamer:
なるほど。ところで,動物タイプの副将に特殊能力などはあるのでしょうか。
今村氏:
特殊能力といいますか,攻撃に属性が付いたりする場合があります。また人間タイプも同様なのですが,お披露目会で説明した「献上品」システムが実装されます。これは従来の親密度が高い状態で,かつ新パラメータ「意欲」を上げると戦闘中にアイテムを拾ってくるというものです。
4Gamer:
戦いに集中できるのは嬉しいですね。意欲はどうやって上げるのでしょう?
今村氏:
街で副将に食べものを与えると意欲が上がります。狼ならエサ,人間なら点心といった具合ですね。
4Gamer:
それはまた分かりやすい。狼なんてまさに餌付けですね(笑)。
藤重氏:
そんな感じです(笑)。つまり,戦闘に連れていって親密度を,食事をあげて意欲をそれぞれ上げるというイメージになります。
4Gamer:
分かりました。今回は以上の三つの新要素が柱となっていますが,そのほか,ここは凄いという部分を教えてください。
まさに三国志といった戦いが繰り広げられる新シナリオなど盛りだくさんの新要素
今村氏:
やはり新シナリオの「赤壁大戦」ですね。これまでは勢力が四つ五つと分散していたのですが,ようやく三つになり「The 三国志」といった感じになります。また,新武器も登場します。
4Gamer:
これこそまさに三国志といったところですね(笑)。新武器は3種類とのことですが,月に一つずつ実装されるのでしょうか?
今村氏:
実装は完了していて,神将乱舞スタート時からNPCや副将は使用してきます。プレイヤーの皆さんが入手できるのは4月以降からになります。まず4月に曹操の「将剣」,5月に祝融の「投弧刃」,6月に関平の「斬馬刀」となります。いずれもプレイヤーさんからの人気が高い武器になりますので喜んでいただけるのではないでしょうか。
藤重氏:
とくに斬馬刀は人気が高いですね。
4Gamer:
新武器は,赤壁シナリオと併せて三国志ファンが非常に喜ぶのではないかと思います。ちなみに,人気の新武器は,能力も高かったりするのですか?
藤重氏:
それは使い方によっては,というところですね。
今村氏:
本作では,飛びぬけて強い,万能な武器は出さないよう心がけていますから。
藤重氏:
あくまでも,皆さんのプレイスタイルに合わせてのご提供ということです。そこはご理解いただけていると思います。
4Gamer:
みんなが強い武器だけを持つようになるより,好きな武器で遊ぶほうが楽しいでしょうね。さて今後,真・三國無双 Onlineはどういった方向に進んでいくのでしょうか。
基本的には,これまでと大きく方針が変わることはありません。7月に予定している「Revolution 4」のあとは引き続き5,6と。もし,今回の神将乱舞を皆さんに受け入れていただけるのであれば,また同じような拡張パックを企画して,然るべき時期にご提供していきたいと考えています。
今村氏:
もちろん,毎月のアップデートも欠かさずやっていきますよ。
4Gamer:
わかりました。それでは最後に,4Gamer読者と真・三國無双 Onlineのプレイヤーにメッセージをお願いします。
今村氏:
今回,神将乱舞を拡張パックという形でご提供することになりました。ここまでたどり着くには,本当にいろいろな山がありました。まず「拡張パックを無料で提供する」という部分で,社内を説き伏せるのにも大きな山を越えています。
その甲斐もあって,ようやく3月17日に皆さんにお見せすることができます。期待に沿える内容になっていると,スタッフ一同自負しておりますので,ぜひ楽しんでいただきたいです。
藤重氏:
私も今村もずっと開発に携わってきまして,拡張パック公開の日を迎えるのが楽しみで仕方ありません。「こういう規模でやるならば,今までできなかったことをどうしてもやりたい」と思い描き,1年以上かけて作ってきましたので,皆さんに楽しんでいただきたいと思います。よろしくお願いします。
4Gamer:
本日は,ありがとうございました。
インタビューでは,藤重氏と今村氏が繰り返し口にしたように「困難に敢えて挑戦した」「1年をかけて開発した自信作」という言葉から,拡張パックとしてリリースされる神将乱舞に対する自信が伝わってきた。
実際の反応は3月17日の実装を待たなければならないが,現在はプレイヤーの期待も非常に高まっており,両氏をはじめとする開発スタッフも手応えを感じていることだろう。
また,今回は特に触れなかったが,2008年はコーエーの創業30周年という区切りの年であった。その営業年度の締め括りとして,神将乱舞が多くのプレイヤーに喜びを持って受け入れられることを期待したい。
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真・三國無双 Online Z
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