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[CES 2014]ゲームへの応用が進められるアイトラッキング技術「Tobii EyeX」。開発キットはCES期間中限定価格95ドルで予約受付中
製品版は2014年6月中の発売を目指しているとのことで,CES会場では開発キットの予約受付も行われていた。
EyeXは,もともと医療などの分野で活用できる技術として開発が進められてきており,例えば腕をうまく使えない人がキーボードやタッチスクリーンを,目の動きで操作できるようにするといった用途を想定していたという。ただ,研究者達の集まりだったTobii Technologyには,それを製品化して販売する力がなく,それが理由で,ゲーマー向け周辺機器では実績のあるSteelSeriesとの提携が行われたというわけだ。
SteelSeriesによってデザインされた製品版EyeXは,以前から発表されていた形状よりも短く分厚くなっているが,それをモニターの下にクリップしたり,タブレットを立て掛けて使う専用デバイスに装着したりすることができる。その仕組み自体は従来のものと同じで,本体には左右に眼球の動きをトラッキングするためのカメラと,中央の赤外線センサーが埋め込まれている。
正直なところ,話を聞いてもその仕組みがよく分からなかったのだが,プレイヤーの黒目(当然ながら,青目だったり茶目だったりしても反応する)の部分の大きさを認識させるようキャリブレーションを行ったうえで,左右のカメラでその動きをトラッキングし,赤外線センサーでは距離や目の焦点位置を計っているらしい。その誤差は,直径1センチ以内にまで抑えられるとのことだ。
会場では,「World of Warcraft」や「Starcraft II」を使ったデモが行われていたが,このEyeXが目標としているのは,100%眼球の動きだけでゲームをプレイするのではなく,プレイヤーの補助としてのEyeXの活用である。例えば,World of Warcraftでは首を左右に振ることによってプレイヤーキャラクターが移動し,敵をじっと見つめると(攻撃できる場所では)敵対反応するが,当然ながらキャラクターの移動には[W/A/S/D]キーを使う必要があり,攻撃にはマウスボタンをクリックする必要もあるだろう。同様に,Starcraft IIでは複数のユニットをグルーピングしたあとで,ミニマップの特定地点を見つめると,その方向に移動し始めるといった感覚だった。
トラッキングの認識誤差が1cm以内なら,アイコンのクリック操作もできるのではと思った人もいると思うが,実際,World of Warcraft用には画面にオーバーレイ表示できる専用ガジェットが開発されており,それを呼び出したあとで,そこに用意されたアイコンを見つめると操作できるようになっているとのことだ。Tobii Technologyのデモ担当者は,「サッカーゲームでは,本当にサッカーをしているときと同じような感覚で,最初にパスをしたい相手を目視したあとで,正確にパスできるような仕組みを作りたい」と話していたので,やはり,補助コントローラとしての役目が重視されているようだ。
当然ながら,このEyeXテクノロジーを実際にどのように活用するのかは,ゲーム開発者のアイデア次第になるだろうが,Tobii Technologyは,より多くのゲーム開発者に利用してもらいたい様子で,2014 International CES期間中の期間限定で,通常価格195ドルのところ,95ドルで開発キットの予約を受け付けている。いま注文すると3月には入手できるようだ。現在のところ最終製品版の価格は明らかになっていないが,100ドル程度なら面白いことになるような気もする。
Tobii Technology公式サイト
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