レビュー
“モンハン工学”に基づいたというPSP用グリップを試してみた
MSY モンスターハンターポータブル 3rd ハンティング グリップ S
モンハン工学とは,「MHP3rdを長時間プレイしても疲れにくいグリップ形状を目指すため,人間工学的な考え方をグリップに取り入れた」ことを示す,MSYの造語。「中指と人差し指でPSPを挟んだ持ち方」に特化しているという。
そんな売り文句から,本製品が気になっていたハンターも多いと思われるが,気になりつつも「モンハン工学なんて大げさなこと言ってるけど,実際に効果あるの?」「PSP用グリップならMSYが『Falcon Black』出してるけど,あれでいいんじゃないの?」とった疑問は生まれるだろう。そこで今回は,本製品が本当にMHP3rdのプレイに有効なのかを検証し,さらにFalcon Blackとどのような違いがあるのかを確認してみることにした。
グリップをPSPに取り付けると手のひらを使ったホールドが可能に。背面の膨らんだ「PSP-3000 MHB」にも対応
カラーはMHP3rdにちなんだ「ハンターブラック」「ユクモレッド」の2種類で,漆塗りのような光沢加工が印象的だ。ハンターブラックとユクモレッドに共通して,背面に黒いラバーコーティングが施されているため,ユクモレッドの場合は赤と黒のツートンカラーということになるだろうか。
デザインはなかなか派手めで,2匹のアイルーが描かれているあたり,まさにモンハン仕様といった雰囲気である。
- 背面部の手回しネジを緩めて,前面中央下部のストッパーに遊びを作る
- ストッパー部分とグリップ上部にある2本のツメの間にPSPをはめ込む
- 背面の手回しネジを締めなおす
といった具合で,非常に簡単。コツも力も不要なわりに,ストッパーとツメがPSP本体をしっかりと固定してくれるので,プレイ中にガタガタ動いてしまう心配は無用だ。
ちなみに,MHP3rdデザインの限定PSP「PSP-3000 MHB」や,大容量バッテリー「バッテリーパック(2200mAh)」を取り付けたPSPなどの,筐体裏面が膨らんでいる製品でMHP3rdをプレイする人もいると思うが,これらにもグリップの装着が可能となっている。グリップ表面にある,PSPを置く平たい台座部分――アイルーの絵がプリントされている部分だ――は左右いずれもプレート状になっており,これを外せば,本体背面が膨らんだ状態のPSPもぴったり収まるというわけだ。
PSP-3000 MHBは,MHP3rdに合わせて購入する人も多いと思われるだけに,なかなか嬉しい対応といえるだろう。ただ,プレートを固定する部分の強度はそれほど高くないため,プレートの着脱を繰り返すような使い方には向きそうにないということは指摘しておきたい。
“モンハン持ち”をしたときの指の負担を軽減
さて,本製品が特化したという「中指と人差し指でPSPを挟んだ持ち方」は,通称“モンハン持ち”と呼ばれている。まずはこの持ち方について確認しておこう。
左手の親指を十字キーかアナログスティックに置き,人差し指は[L]ボタンを押せる位置に添えておく,これが通常の持ち方。これに対してモンハン持ちの場合,親指はアナログスティックの上,人差し指は少々無理のある感じに折り曲げた状態で十字キーの上に,それぞれ置くこととなる。
なぜこのような持ち方をするのかというと,モンスターハンターポータブルシリーズでは,アナログスティックがキャラクターの移動,十字キーがカメラの回転に割り当てられていて,移動と索敵という重要な操作を,左手のみで行わなければならないからだ。
[L]ボタンを押すと,カメラはプレイヤーキャラクターの正面を向くように移動するので,通常の持ち方でもプレイはできるが,周りを見渡しながら戦いたければ十字キーの操作が必須となる。よって,PSPの形状からして無理があるような気がしつつも,モンハン持ちを採用するベテランハンターは少なくない。
以上がモンハン持ちの概要だが,ハンティンググリップSを使う上で気になるのは,この持ち方をしたときに「本当に長時間プレイしても疲れにくく,快適にMHP3rdをプレイできるか」というところだろう。そこで,本製品を取り付けたPSPでMHP3rdの体験版をプレイしてみた。先に結論を言ってしまうと,本当に指にかかる負荷が軽減されることが実感できた。
そのため,不自然な状態になる人差し指に余計な力がかからず,十字キーをラクに操作できるようになるのだ。
また,グリップをPSPに取り付けるとなると,重量や厚みによって逆にモンハン持ちがしにくくなるように思えるかもしれないが,これが意外と気にならない。
本製品の重量は実測119.5g。これをPSPに取り付けた場合,PSP-3000の重量は実測198.5gなので,合計で318gとなる。数値だけ見ると約60%増しということになり,かなり重そうな印象を受けるだろう。ところが,重量は増加しているものの,グリップがある分しっかり握れるので,あまり重くなったようには感じない。
そこで,厚みを解決するために筆者がおすすめしたいのが,中指をPSPの側面あたりに添えて保持する持ち方だ。ハンティンググリップSをPSPに装着している場合,中指をPSPの下に置いておかなくても,グリップを握っているので問題なくゲームがプレイできるのである。
この持ち方の場合は「中指と人差し指でPSPを挟んだ持ち方」に特化というウリからは外れてしまうかもしれないが,モンハン持ちが快適にできると考えれば文句はない。MHP3rdをプレイしても疲れにくく,しかも持ちやすくという,本製品における重要なポイントは,きちんと押さえられていると見ていいだろう。
Falcon Blackと比較すると,MHP3rdのプレイ時以外にもさまざまな改善点が
次に,MSY製PSP用グリップの従来製品であるFalcon Blackとの違いを見ていきたい。
また,アイルーが描かれている部分にあるプレートの着脱機構も,ハンティンググリップSのみにしかないので,Falcon BlackはPSP-3000 MHBに対応していないという点も大きな違いといえよう。
グリップ部分は,裏側のラバーコーティングも異なり,ハンティンググリップSのほうがよりラバーの感触が分かりやすい作りとなっている。Falcon Blackはほとんどプラスチックのような手触りだ。
形状の違いに触れたついでに,Falcon Blackでは上,ハンティンググリップSでは下に付いているレールにも注目したい。このレールは,グリップの強度を増すためのスタビライザーなのだが,Falcon Blackの場合,PSPの周辺機器用接続コネクタが上に付いているため,レールと周辺機器が干渉してしまうことがあった。それに対してハンティンググリップSは,レールが下にあるので,周辺機器と干渉する心配はない。
[L][R]ボタン周りの形状にも,地味ながら着実な改善が見られる。ハンティンググリップSには,[L][R]ボタンの裏面側に人差し指を置いておけるよう,広めの窪みが設けてある。Falcon Blackでも同様の場所に指を置くことはできるが,ハンティンググリップSのほうがより指先の形にフィットするデザインとなっているのだ。
その欠点とは,,PSPとグリップを取り付けた状態の大きさだ。何より困るのは,PSPの「VALUE PACK」に付属するポーチなどに,グリップを取り付けたPSPが入らないこと。PSPをポーチで保護しようとすれば,持ち運び時には分離させておき,プレイする度に装着しなければならず,少々面倒なことになるのは確かである。
専用のバッグなどを用意するという手もあるが,できることなら,ポーチに入れた状態で,“いつもの”鞄に突っ込んで持ち運びたいという人も多いだろう。そういったニーズに向けて,専用ポーチの用意などもしてほしかったところか。
快適にMHP3rdをプレイしたいのならアリ
実は“普通の”PSP用グリップとしてもかなり使いやすい
また,モンハンに限らず,“普通に”PSP用グリップとして用いても,相当に使いやすい。MSYによれば,ハンティンググリップSをベースとした通常版というか“Falcon Black後継製品”的な製品の投入予定は,今のところないそうなので,PSP用グリップが欲しければ,MHP3rdをプレイしない場合でも検討に値するだろう。
「モンスターハンターポータブル 3rd ハンティング グリップ S」MSY直販サイト
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