インタビュー
日本ファルコムとの協力体制も強化! 新対人コンテンツ「守護バトル」を実装する「イースオンライン」運営スタッフインタビュー&先行体験会レポート
概要やルールなどはすでにお伝えしているとおりだが,先週末(7月10日)には実装に先駆け,プレイヤーから有志を募って守護バトル先行体験会が実施された。
そこで今回,先行体験会の模様をレポートしつつ,守護バトル実装の真意や今後の展開について,プロダクトマネージャーを務めるCJインターネットジャパン ゲーム事業1部 秋山隆利氏に,話を聞いた。
開発の中心が日本に! 日本ファルコムとの連携により,さらに「イース」らしい内容へ
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まず7月30日のアップデートで,守護バトルが実装されますが,これについて教えてください。
守護バトルは,今回のアップデートで実装される,最も大きなコンテンツです。要するに攻城戦なんですが,まず「ガーディアン」と呼ばれるレイドボスモンスターのいる「聖地」を占領する必要があります。
4Gamer:
占領後は……?
秋山氏:
ガーディアンと共に聖地を守ることになります。展開によっては目まぐるしく攻守が入れ替わりますので,なかなか面白くなりますよ。
我々としても,この守護バトルは今後の展開を左右する重要なものであると認識しています。
4Gamer:
イースオンラインにおけるターニングポイントというわけですか。そこまで重要視するのは,何故なんでしょう?
秋山氏:
今後,よりイースらしさを出していこうというイースオンライン全体の方針が固まったからです。当初の方針が変わった理由は,今回,日本に開発の主導権が移ったこと,そして日本のプレイヤーは従来のイースに対してかなりしっかりしたイメージや世界観を持っているので,それに対応すべきであることが挙げられます。
4Gamer:
日本オリジナルのストーリーやコンテンツを企画/開発するということですか?
必ずしもそういうわけではないんです。
最初から説明すると,まず開発自体はこれまでと同じく韓国CJ Internetのスタッフが担当します。ただし,日本側の声をより反映させやすい環境ができました。
これに加えて,今回から,日本ファルコムさんとの協力体制を強化することになりました。そこで三社間で,日本におけるイースとはこういうものだという部分を,イースオンラインできちんと打ち出していこう,という意見が合致したんです。
守護バトルの導入を皮切りに,皆さんがいろいろ意見をくださるでしょうから,今後はそれに沿った開発を行っていきます。
4Gamer:
なるほど。方針変更の具体的な成果は,いつ頃お目見えしそうですか?
秋山氏:
2009年内,おおよそ12月頃を予定しています。
4Gamer:
往年のイースシリーズのファンは年齢が比較的高めで,その分思い入れも強いのではないかと予想しているのですが。
秋山氏:
そうですね。私もいくつかMMORPGに携わってきましたが,その中でもイースオンラインは30代以上のプレイヤーが多いというデータが出ています。
4Gamer:
そうなると,思い入れなどから,イースとしての世界観もより強く求められているのではないかと。
実は,皆さんに一番評価していただいているのは,“遊びやすさ”なんです。おっしゃるような世界観については,比較的満足していただけているんですが,それに伴うコンテンツが不足しているとの指摘を受けていますし,我々もそれは認識しています。
現状は,アドルをはじめとするイースの登場人物はいませんし,関連するクエストもありません。ですから,その部分を強化しなければならないでしょう。
4Gamer:
具体的に,決まっていることはありますか? 例えばアドルが何かしらの形で登場するとか。
秋山氏:
この場でお話できることは,まず一つのストーリーがあって,それに沿った一連のクエストを実装することですね。中には,インスタンスダンジョン攻略なども含まれるでしょう。
もちろん,ストーリーは往年のイースファンも納得する内容にしなければなりません。“人と人との繋がり”を前面に押し出して,パーティプレイにも繋げられるようなものを考えています。
4Gamer:
ストーリーは,過去のイースシリーズを踏まえたものになりそうですか?
世界観の共有という点である程度は考えていますが,そこまで色濃くはなりません。そもそも従来シリーズの100年後という舞台設定ですからね。
このあたりの詳細は,おいおいお話できるようになればと思っています。
4Gamer:
少々ネガティブな話になってしまうのですが,海外製のオンラインゲームで日本に開発の主導権が移るというケースは,他社の例も含めて過去にいくつかありますよね。
しかし,それらがすべて思惑どおりうまくいったかというと,そうでもない現実を多くのプレイヤーは目にしているんですよ。
秋山氏:
そうしたケースとの大きな違いは,今回,開発者を日本に常駐させるという点です。つまり,イースオンラインの開発の中心が名実ともに日本になるんです。開発者達も,もともとイースシリーズのファンですし,今後の展開はかなり期待していただけるんじゃないでしょうか。
4Gamer:
なるほど。
秋山氏:
そもそもイースオンライン自体,当初は従来シリーズにのっとったスタイルにしようと,いろいろ考えていたらしいんです。しかし,さまざまな要因から現行の形に落ち着いたという事情があります。
今回の方針転換は,変更を重ねてきた部分を原点に戻してしまうという意味合いもありますから,協議自体は難航しました。しかし現在は,CJグループ全社を挙げて取り組んでいますよ。
4Gamer:
開発との見解の相違は,すでに乗り越えているというわけですね。
そのほか,12月までの間の展開でお話していただけることはありますか?
秋山氏:
「マイレージ」システムの実装ですね。かいつまんで説明すると,ゲームのプレイ時間や有料アイテムの購入に応じてポイントが溜まり,これをマイレージ専用アイテムと交換できるというものです。ポイントは,例えばプレイヤーの誕生月にプレゼントするなど,ほかの形で提供することも予定しています。
4Gamer:
そもそも,このシステムを導入するのはどういう理由なんでしょう?
秋山氏:
基本プレイ無料・アイテム課金制のオンラインゲームでは,性質上,どうしてもお金を多く使うプレイヤー寄りの内容になっていきます。そこでお金を使う人と,あまり使わない人の差をなくしたいと考えました。
誰もが等しく,頑張った分だけいい機能を享受できるというものですね。アバターなども入手できますから,けっこうご期待いただける内容だと思います。
4Gamer:
ほかに何か,大きな動きはありそうですか?
まだ詳しくお話できないのですが,12月のアップデートに合わせて少し大きめのことも考えています。確定ではないんですが,日本ファルコムさんにも協力していただけそうなので,きちんと形になればイースファンの皆さんにも喜んでいただけると思いますよ。
4Gamer:
それは楽しみですね。
それでは,イースオンラインのプレイヤーと4Gamerの読者にメッセージをお願いします。
秋山氏:
これまでの「イースらしくない」という評価は,やはり我々にとっても嬉しいものではありませんでした。そこから,ようやく一歩踏み出せたという段階です。
多くの方の協力を得られることになりましたので,これからは駆け足で登っていきたいという気持ちです。期待してください
4Gamer:
ありがとうございました。
先行体験だけでは未知の部分が多い「守護バトル」。「意見交換会」では運営体制見直しにも言及
実際に先行体験が行われたのは,専用に用意されたテストサーバー上。ここに各プレイヤーが普段使っているキャラクターデータが,レベル64まで引き上げられた形でコピーされ,そのキャラクターでプレイを行うようになっていた。
なお,装備は運営サイドで用意したものとなったが,これは公平を期するという意味よりも,データ管理上こうせざるを得なかった部分が大きいとのこと。
テストプレイでは参加者が2勢力に分かれ,一方があらかじめ聖地を占領している状態で,もう一方はそれを攻め落とすという形でスタート。
見ている限りでは,ガーディアンを味方につけた防御側が非常に有利という印象を受けた。もっとも,防衛側を引率したGMが範囲攻撃主体で戦っていたのに対し,攻撃側のGMはそもそも範囲攻撃をあまり使えない職業であったという事情もあるようだが……。
またガーディアン自体は,従来のレイドボスと比較すると,攻撃力こそ高いものの防御力はそうでもなく,ダメージを与えるのは比較的容易とのこと。
結局のところ,攻撃側が攻めあぐねているところを,防衛側が上手に迎撃するといった展開で時間切れ。運営/プレイヤーともに初めての経験ということで,秋山氏がインタビューで触れていたような,めまぐるしい攻守交替は残念ながら見られなかった。
しかし今後,プレイヤーが実戦を重ねていく中で,さまざまな戦術が練られていけば,面白い展開も見られるのではないだろうか。
プレイ終了後には,会場で「意見交換会」が実施された。これは,主に秋山氏が会場にいるプレイヤー6名からの質問に答えるというもの。鋭い指摘や厳しい意見などが飛び交い,発言する側にも答える側にも熱心な姿勢がうかがえた。
とくに,多くのプレイヤーが望むであろうチャットシステムなどユーザーインタフェースや,各種不具合の改善に関しては,以前から問い合わせが多いため,運営サイドでも早期に対処すべき問題と認識しているとのこと。開発体制が変わったこともあるので,これまでよりも早い解決に期待したい。
これに対して秋山氏は,開発体勢の変更に伴い運営側も見直しを図っているので,いずれも1〜2か月中に体制を整えられるとの見込みを述べた。
さて新コンテンツ導入に,日本への開発主導権の移行,運営体制の見直しと,さまざまな変化が訪れるイースオンライン。先行体験会の挨拶では,CJインターネットジャパン 代表取締役 北川 徹氏が「イース“再”再生」と状況を表現したが,まさに再スタートを切る勢いといっていいだろう。
12月に控えているという,さらなる大きな変化にも期待しながら,まずは7月30日の守護バトルシステム実装を待ちたい。
「イースオンライン」公式サイト
- 関連タイトル:
YS Online 〜古代シーマの鼓動〜 (イースオンライン)
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