インタビュー
シミュレーションゲーム「大航海時代」への原点回帰?「大航海時代 Online 〜Tierra Americana〜」発表会後に出てきたいろいろな疑問を聞いてみた
新時代に突入する大航海時代
いまも現役のあの帆船も登場
Chapter1では,このほかにも,領地の再設定や先ほど少しお聞きした新型船,船の再強化,委任航行などが追加されます。これらの詳細を教えてください。
渥美氏:
まずは,領地の再設定ですが,これは時代が新しくなることによって,いままでのイスパニア,ポルトガルの2強時代から,いろいろな国が割拠している状態に移るというものです。その結果,一部の領地になっていた港が,中立港になります。
4Gamer:
実際に,どの港が中立になるのでしょうか。
渥美氏:
まずは,“ゴア”です。インド航路はポルトガルが占拠していましたが,その後,オランダの東インド会社やイギリスのインド交易を強化したりといった背景を踏まえて,中立港になります。
同様に,“サントドミンゴ”が中立港になります。ここは新大陸方面のイスパニアのカリブ権益の中心になっていた港です。歴史上では,カリブ権益は徐々にイギリスが奪っていきますけど。
竹田氏:
カリブには,オランダやフランスも来ていましたが,中でも大きかったのはイギリスですね。
渥美氏:
続いて,イスパニアが持っていた“アントワープ”です。これは大航海時代が好きな方であれば,お分かりになると思いますが,当時イスパニア領だったところが独立して,ネーデルランドになりました。その影響で,お隣にあるフランドル地方(今のベルギー)から,イスパニアの影響度が失われていくという様を表現しています。
そして,もう1か所が“セウタ”になります。セウタは,地中海の出口にある戦略上重要な街なので,支配圏がよく変わったという歴史があります。
4Gamer:
この4港が中立港になるわけですね。
渥美氏:
そうなります。やはりワールド全体を見ると,ポルトガルとイスパニアについて,とくにポルトガルは,どのワールドでも強い勢力になっています。
大航海時代が新しい時代になるということで,それに則した領地設定にするというのは確かですが,そうしたバランスの部分で,プレイヤーの声を踏まえた形にもなっていると思います。
4Gamer:
しばらくは,やはりポルトガル/イスパニア勢の2大勢力が続くのではと思いますが,今後,この勢力バランスがどう変わっていくのかは楽しみですね。では,今回のChapterで追加される新型船について教えてください。
渥美氏:
はい。発表時にはスクリーンショットをお見せしましたが,具体的な船名はまだお伝えしていませんでした。
新規に追加されるのはアメリカの船を含めて6種類ほどになります。まずは,アメリカのコンスティテューション号をモデルにしているフリゲート船,“アイアンサイズ”です。これは非常にレベル帯が高く,上級者向けの現時点で最高峰の船になります。
竹田氏:
すべてのレベルを要求するという意味で,シビアな設定の船です。もっとも現代でも現役な船ですからね。
渥美氏:
ほかには,調査用大型クリッパーや,輸送用大型クリッパーを用意しています。上級者向けの船舶は,必要なレベル帯が離れています。そこを穴埋めするタイプの船を出して,中級者から上級者にかけての目標にしました。
というわけで,今回の船を追加するコンセプトは,アメリカに則した船を出すというのもそうですが,上級者向けの最高峰の船を出すことと,レベル帯の穴になっているところを埋めることになっています。
調査用大型クリッパー |
アイアンサイズ |
4Gamer:
たしかに,レベルが高くなると,当然レベルが上がるのに時間が掛かるうえ,次の船までのレベルもやや遠いので,なかなか乗り換えられませんよね。一方で,中級レベル以下の船はどうでしょうか。
竹田氏:
いわゆる中級の船は,そもそも種類が多いですし,そこについては今回加わる船を再強化できるというシステムが利用できると思います。
船を再強化できるシステムはレベル帯が低い船ほど,たくさん強化できます。ですので,前に乗っていたけど新しい船にするか,気に入った船をより強化するかといった選択肢が生まれてくると想定しています。
4Gamer:
実際には,どの程度強化できるのでしょうか。
竹田氏:
例えば,バルシャがとんでもない船になるかというとそうではなく,大海戦のクラスでいう,大型船,中型船,小型船のそれぞれMAXあたりまで強化できるというものです。
4Gamer:
なるほど。それであれば,大海戦においてもバランスが取れそうですね。 バルシャがどこまで強くなれるのかは疑問ですが(笑)。
竹田氏:
スーパーバルシャみたいなものを作れば,クラスの中で最高に近づけるかもしれませんが(笑)。
4Gamer:
大砲が並んだバルシャ……なんだか,重みで沈みそうですね。
渥美氏:
このコンセプトは,お気に入りの船を,いかにして,より長く使っていただくかというもので,最高級の船をより強化して,という方向性ではありません。
竹田氏:
やはり選択肢が増えるというのは大事だと思います。プレイヤーによって乗りたい船が違うというのは大事にしたいですし,その選択肢が生まれるようにしたいと思います。
4Gamer:
いわゆる船のデザインで選べるのは嬉しいですし,海洋も賑やかになるでしょうね。ちなみに,再強化すると乗船の必要レベルが上昇するということでしたよね。
竹田氏:
具体的には,乗船に必要なレベルを5つ上げると,強化回数が1回上がるというイメージです。上げるのは,乗船に必要なレベルのなかでもっとも高いレベルです。
4Gamer:
なるほど,強化するとレベルが上がるのではなくて,必要レベルを上げると強化できる回数が増えるという感じなんですね。再強化した船はその状態のままで,ほかのプレイヤーに譲渡できますか?
竹田氏:
ええ,できます。
4Gamer:
ということは,再強化した船を売り出すというプレイヤーが出てきそうですし,売買の選択肢の幅が出てきそうですね。
竹田氏:
そうですね。でも,基本的にはMAXまでレベルを上げて売るのではないでしょうか。
4Gamer:
たしかに,そうかもしれません。ちなみに,強化回数を増やしたり,再強化したりするには,海上での日数は必要になりますか?
竹田氏:
強化回数を増やすのはすぐできます。そこから実際に強化するには,従来どおり日数が必要になります。
渥美氏:
船舶に関係するところでは,発表会でお客様から質問があった,船枠の追加があります。
竹田氏:
船枠については,発表会でのプレイヤーさんからの質問に対して,「がんばります」と回答していたものです。それから検討して,なんとか1枠をひねり出しました,というご報告になります。このときのご要望について,良いお知らせと悪いお知らせがありまして。
4Gamer:
良いお知らせが船枠ですよね。では,悪いお知らせとは?
竹田氏:
新エモーションの問題点が解決できずに,Chapter1ではお流れになってしまいました。ですが,決してボツにはせず,今後も検討していきます。
4Gamer:
なるほど。そこは,Chpater2以降に期待しておきましょう。
渥美氏:
あとChapter1では,NPC海賊が強化されます。
竹田氏:
これは,単純にプレイヤーの船が強化されたので,それに合わせて歯ごたえのある敵を用意するというものです。
4Gamer:
それは,NPC海賊が全体的に強化されるということでしょうか。
竹田氏:
いえ,全体的ではなく,そういった強いNPC海賊が出てくるというものです。
4Gamer:
見覚えのないNPC海賊には注意が必要そうですね。
そんなときは,委任航行を利用してもらえば良いかもしれません。委任航行は,港で回航許可証を使って操作を代行してくれるものですが,NPC海賊に襲われないという特典があります。ここからNPCが強くなるなという場所で,回航許可証を使って委任航行を使えば安全というわけです。もちろん,PC海賊には襲われるので注意は必要ですが。
4Gamer:
ちなみに委任航行中に,その委任は解除できますか?
竹田氏:
できます。できないと,PC海賊を見かけたときに困りますね。
4Gamer:
でも,海賊だと分かったときには手遅れな気もしますが(笑)。
竹田氏:
そうですね(笑)。ただ,検索してPC海賊がいたら委任を取りやめて,近くの港に寄ったり,航路を変えたりといった選択ができます。
4Gamer:
委任時の航路は決まっているんですか?
竹田氏:
決まっています。基本的にこの航路を通る,というのは従来の“大航海時代”と同じです。ですので,委任航海を使うと狙われやすいというデメリットはあります。そこは,NPC海賊に襲われないというメリットと,どう相談するかになります。やはり交易品を載せたまま移動できるというのは大きいですからね。安全海域であれば,安心して使ってもらえます。
4Gamer:
地中海周辺の移動時には,とくに便利そうですね。
竹田氏:
あと郵便システムについてですが,1日1回,郵便箱が買えるので,それを買って送れば,どこにでもアイテムが送れます。ただ,郵便箱の価格は高いので,無制限に使うというわけにはいかないと思います。
4Gamer:
なるほど。上級者が初心者にアイテムを送るという話だったので,そういった価格設定なんでしょうね。ちなみに郵便箱は,貯めておけるんですか?
竹田氏:
貯めておけます。
4Gamer:
日頃貯めておけば,友達や商会員とのアイテムのやり取りなどでも使えそうです。ところで,前回のインタビューでも思ったのですが,全体的にプレイヤーが世界を作っていくという形を提示しているように感じています。
渥美氏:
そうですね。先ほども話していたように,プレイヤーが世界を作っていくというのは,我々が考えている方向性として,二つのうちの一つになります。一つは,発表会でもお伝えしたとおり,大航海時代の原点に帰るというところです。
竹田氏:
ゲームを進めるうえで,もともと大航海にあったものにひと手間を加えて,一層遊びやすいものにするとか,大海戦もそうですが,違った戦略が立てられるといったものに焦点を当てています。
渥美氏:
もう一つが,おっしゃるとおり,プレイヤーの手によって世界が変わっていくという感覚です。
竹田氏:
プレイヤーの手によって世界が変わるというのも,大きく見れば,大航海時代の原点になります。シミュレーション的という話もしていましたが,個人がいろいろと行動して影響を与えて,世界が変わっていくのをまさにシミュレートしています。
4Gamer:
なんというか,まさにオフライン版も含めた原点回帰といった感じがします。では最後に,今後のキャンペーンやイベントなどについて教えてください。
渥美氏:
まずは,現在,新規に始めていただく人向けに,先行スターターチケットを発売させていただいています(編注:2011年1月31日13:30まで販売,関連記事)。“Tierra Americana”のアップグレードや,2011年4月13日までのプレイ期間が付いて,今からお得にプレイ開始できますので,ぜひご利用ください。
運営のイベントとしては,Tierra Americanaのプレイベントを2010年に行いましたが,この第2弾が,ちょうどこのインタビューが掲載される頃に始まるはずです。発売前までに,これを含めて2タームほどプレイベント“ヌーベルフランス開拓団”を予定しており,2月に入ってすぐくらいには,ほぼ連続してイベントが行われる予定です。
4Gamer:
分かりました。では,最後に読者に向けてコメントをお願いします。
渥美氏:
拡張パックの開発は,ほぼ最終の調整段階で,基本的なところはクリアできていますので,2月22日にお届けできます。いきなり拡張パック導入のタイミングで始めるのも良い機会ですが,拡張パックに向けて「Tierra Americana 先行スターターチケット」でゲームを開始してもらえると,良い感じで“Tierra Americana”への流れに参加できますので,この機会に新しく始めていただけたらと思います。
また大航海時代を一時的にお休みされているプレイヤーのみなさんにも,ちょうど拡張パックのタイミングは良い機会だと思いますので,また楽しみ始めていただけると良いかなと思います。
竹田氏:
今回は,ヨーロッパに近い部分が充実するので,新規の方も過去に体験版などでプレイされた方なども,良い機会として仕切り直しといいますか,新たなリスタートになると思いますので,覗いていただけたらと思います。
4Gamer:
本日は,ありがとうございました。
「大航海時代 Online 〜El Oriente〜」公式サイト
――2011年1月11日収録
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