インタビュー
TGSで発表されたアレについても聞いてきた。「大航海時代 Online 〜El Oriente〜」Chapter4“The Land of the Dragons”インタビュー
10月5日に実施される,「大航海時代 Online 〜El Oriente〜」(PC/ PS3)の大規模アップデートChapter4“The Land of the Dragons”。
前回のChapter3インタビューなどで,Chapter4での中国文化圏の登場が明言されていたが,東京ゲームショウ2010の開催を前に,第1報で中国文化圏の特徴が公開され,続いて先日の第2報で船に関連する情報などが公開された。
しかし,その公開内容は概要的なものばかりで,さらなる情報を欲しているプレイヤーも多いだろう。Chapter4はEl Orienteを締めくくるクライマックスだけに,中国文化圏以外に,どんな内容が追加されるのかが気になっている人も多いはず。
そんなわけで,今回も,開発プロデューサー 竹田智一氏,運営プロデューサー 渥美貴史氏に,Chpater4の詳細を聞いてきたので,その中身を確認してほしい。さらに,東京ゲームショウ2010で発表された,“次の展開”についても少し聞いてきたので注目だ。
Chapter 4「The Land of the Dragons」特設サイト
「大航海時代 Online」公式サイト
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。さっそくChapter4について聞いていきたいと思います。まずは,今回のアップデートの全般的なテーマ/ポイントはなんでしょう。
渥美貴史氏(以下,渥美氏):
Chapter4のテーマは,“東アジアの完成”です。ついに日本が登場したEl OrienteのChapter1「Zipang」以降, Chapter2とChapter3を経て,いよいよ最後となる中国地域が登場します。
2点目は戦闘に関して新たな潮流と言えば良いのか,いろいろと手をいれていきます。
4Gamer:
ここでの戦闘は陸戦ですか。それとも洋上戦?
渥美氏:
洋上戦闘を指します。続けて,ポイントの3点目として世界バランス,4点目に商館,および商会周りのシステムについてになります。商館は前回のChapter3で手を入れましたが,さらに発展する形で拡張します。そして,最後の5点目になるのが,いよいよ東アジア地域が完成ということで,今までの集大成的に東アジア全域のさまざまな強化を行います。
中国文化圏といえば長い歴史
発見物の多さに期待大!
では,1点目の中国の文化圏について,詳細を教えてください。
渥美氏:
はい。まず,すでに発表していますが,有力キャラクターとして女傑武将「秦良玉(しん りょうぎょく)」が登場します。彼女の場合,どんな逸話があるのか,日本ではあまり知られていないと思います。
4Gamer:
中国の歴史というと,どうしても三国志の時代のものが思い浮かびます。
渥美氏:
彼女が活躍した当時は,ちょうど明から清の移ろうとしている動乱の時代でした。そういった中で,明の側に立って活躍していたという女性武将です。中国の歴史書の中で,唯一,列伝に名前が残っている女性です。
続いて街に関しても,“澳門(マカオ)”“杭州(ハンチョウ)”“重慶(チョンチン)”“泉州(チュワンチョウ)”“雲台山(ユンタイシャン)”といった情報がすでに出ていますが,ほかの街と違った特徴といえば,重慶になると思います。重慶は川を遡って行ける初めての街になります。アレクサンドリアやカイロも川といえばそうですが,ほとんど河口なのでちょっと違います。
4Gamer:
たしかに。黒海も内海ですから,川の上流という場所じゃないですし。
竹田智一氏(以下,竹田氏):
純粋に川を遡って行く街という意味では,重慶が初になりますね。スタンドアロンの大航海時代では,そういった街もほかにありましたが,オンライン版では初めてです。
そもそも,あまり最初の海域に河川上流の街を入れると,狭い川の中でプレイヤーやNPCで混み合うことになります。それも,長江くらいの広さがあれば船が通れてもいいだろうということで決まりました。
渥美氏:
もう一つは,雲台山(ユンタイシャン)です。山がつく名前に加え,峡谷が有名なことから,上陸地点を連想したお客様もいらっしゃるかもしれませんが,街での実装となります。
4Gamer:
たしかに,名前を見ると勘違いしそうです。
竹田氏:
当時は,華南地域には港がありますが,北のほうに行くとほとんど港はありません。ですので,黄河と長江の間に,街が一つあったほうが,全体的なバランスとして良いと考えました。
この街は,港として栄えていたわけではないですが,中国を語る上ではやはり,ここもほしいなということで選定したわけです。このように今回,東アジア地域としてはいつもより多くの街が追加されることになります。
澳門(マカオ) |
杭州(ハンチョウ) |
重慶(チョンチン) |
雲台山(ユンタイシャン) |
渥美氏:
また,上陸地点は四か所あります。
竹田氏:
中国の歴史ということで,やはり発見物も多いですから,それだけ上陸地点も多くなります。発見物の中には,まさに直球ストレートですが“三国志”があります。
4Gamer:
これも第1報で発表されたものですね。やはり中国と言えばこれです。
渥美氏:
もちろんコーエーテクモゲームスが作るので,三国志を発見するまでの流れは,結構凝ったものになっています。つまり,いわゆる連作クエストになっています。どこからスタートするのかというと,三国志なのにここから? というところなんですよ。
4Gamer:
クエストのスタートは,三国志に関係のありそうな,東アジアのどこかではなくて?
渥美氏:
どこかについてはプレイしてのお楽しみということに(笑)。さらに三国志ということで,発見物に結びついてるアイテムも結構良いものですよ。
4Gamer:
あの武将が持ってるあれかな? と想像できそうですが楽しみです。
渥美氏:
ほかにも,西遊記などが登場しますので,こちらにもご期待ください。次に,遺跡ダンジョンとして,楽山大仏(らくさんだいぶつ)が登場します。私も本物を見たことがないのでどのくらいの大きさかは想像できないんですが,高さが70メートルという,古い石仏としては世界では一番大きなものだ言われています。
4Gamer:
かなり大きいですね。ちなみに,ダンジョンの難度としてはどれくらいになりますか?
渥美氏:
このダンジョンの難度は悩んだのですが,Chapter4は東アジアの集大成ということで,頑張りがいのある難度の高さになっています。
竹田氏:
もちろん,その分ご褒美も良いですよ。
4Gamer:
つまり上級者向けダンジョンといった感じですね。
渥美氏:
そうなります。ほかには,交易品やレシピとして,当然中国らしいものが登場しますし,装備品関係としても,いかにも中国というものが登場します。この二つのスクリーンショットをご覧ください。
竹田氏:
これは,男性用のものが官僚の服で「官服」(グァンフー),女性用のものが「小袖背子」(シャオシュウベイズー)という服と「梅花簪」(バイカシン)という頭装備です。
4Gamer:
女性の服も高貴な感じの雰囲気ですね。こっちの男性のはいかにも上官っぽい感じです。
渥美氏:
中国風の衣装は,結構みなさんイメージしやすいと思いますが,ちょっと古めの時代,それこそ漢の時代のような衣装もあれば,もう少し後の時代の衣装もあります。
竹田氏:
男性女性それぞれに,かなりの数が出てくると思います。
4Gamer:
どれくらい登場しますか?
竹田氏:
東アジアトータルの衣装数は,色違いを含めると200近くになると思います。衣装一式をセットで考えると,20セット以上はあると思います。
4Gamer:
それはかなりの数になりますね。ところで“東アジアの”ということは,中国文化圏以外にも追加されるんですか?
竹田氏:
ええ,そうですね。中国を含めて東アジアでということです。詳しくは後ほどお話します。
4Gamer:
分かりました。
渥美氏:
続いて,東京ゲームショウでの発表会でもお見せしましたが,中国ということで,いよいよこんな可愛らしいペットが登場します。
4Gamer:
ついにジャイアントパンダが来ましたか。
竹田氏:
ジャイアントパンダは発見物として見つかるのですが,当時で考えれば珍獣ですね。というのも正確には,ジャイアントパンダはこの当時,公には見つかっていませんでした。見つかったのは本当に最近で,たしか19世紀半ばだと思います。
4Gamer:
そんなに最近ですか。もっと以前からというイメージがありました。
それだけ希少な発見物だったということです。ちなみに,エサを確保するのは,ちょっと大変かもしれません。ほかの動物とは違って,アレしか食べませんから。
4Gamer:
あの植物のことだとは思いますが,エサを作るという感じでは,おそくらないですよね。
竹田氏:
いえ,作れます。
4Gamer:
あれ? 採集してきて,そのまま食べさせるわけではないのか。
竹田氏:
ええ。とあるルートで手に入れたものを加工します。
渥美氏:
ちなみに,ジャイアントパンダは中国の象徴的なものなので,探し出すのは大変かもという印象があるかもしれませんが,中国に辿りつける人であれば,それなりのスキルランクで見つけられる難度です。それと,ちょっといつもと違う感じで見つかると思います。
4Gamer:
こう,竹藪の中に座っていたり。
渥美氏:
そこはお楽しみにということにしてください(笑)。次に,新しい船を紹介しましょう。最初に,一隻可愛らしいやつを。
竹田氏:
これは,中国製のいわゆるジャンク船ですね。いくつかのバリエーションも出てきます。
渥美氏:
ポイントとしては中型船であるにも関わらず補助帆が5本付くことです。
4Gamer:
あ,これ中型船なんですか。それでマストが5本というのは多いですね。
渥美氏:
これに加えて,沙船(させん)のバリエーションである武装沙船とか輸送用沙船などが追加されます。
竹田氏:
さらに,大型船も追加します。
渥美氏:
寧波船(ねいはせん)という船です。シャム船をベースに,さらなる改良を加えた中国船で,西洋のガレオン船に影響を受けた船です。
竹田氏:
シャム船はガレオン船の影響を受けた船で,そこからさらに中国のアレンジが加わった感じですね。船体に竜骨があったりと影響が分かります。
4Gamer:
なるほど,たしかにこの時代の東アジアの船って,竜骨というイメージはあまりないですね。
竹田氏:
以上のように中国文化圏は,万里の長城みたいな巨大なものもあれば,小さいものまで,プレイヤーのみなさんが中国と聞いて想像できるものを,いろいろと網羅しています。台湾,朝鮮ではわりと知られていないものが多かったと思います。中国はなじみのあるものが多いのでは。
ステータス/プレイヤースキルのどちらかに寄らない
新しくも,以前の良さを持った洋上戦闘が目標
ポイントの2点目は,洋上戦闘に新たな潮流をというものですが,こちらに関して一番大きいのが,いよいよ主力大砲の16門砲のレシピが登場するというところです。これまでは,“大砲職人の鍛錬具”を使って強化するという形での提供でした。
4Gamer:
ついに16門砲が自由に作れるようになるんですね。
渥美氏:
はい。これまで,大砲を強化する鍛錬具はレアドロップだったので,16門砲があまり出回っていませんでしたが,このバランスを調整して,16門砲はレシピという形でより潤沢に出回るようにしようと考えています。
大砲についてはプレイヤーからもいろいろと意見があり,開発側も慎重にバランス調整をして,まずは8月のアップデートで大砲の強化の上限の値を定めました。そして今回,16門砲のレシピがいよいよ登場となるわけです。
4Gamer:
上限というのは全体の数値ではなくて,大砲ごとに設定されているわけですね? つまり,16門砲でも強化していくことにちゃんと意味があると。
渥美氏:
はい,上限は大砲の種類ごとで,もちろん16門砲も強化可能です。14門砲との比較では,16門砲のほうが元々の性能が高いため,上限値は同じ場合でも強化が少ない回数で済みます。
ですので,そもそもの大砲の強化に至る発端だった,フリースタイル造船の導入で,全般的に攻撃よりも耐久度や装甲等の防御のほうが強くなっていた問題に対して,16門砲のレシピ投入は十分に効果があると思います。
竹田氏:
これによってバランスが変わることで,洋上戦の感覚が変わってくると思います。
渥美氏:
我々が理想とするのは,勝敗の要因がステータスとプレイヤースキルのどちらか片方だけに振れすぎないように,ステータスで決まる部分もありつつ,最後はプレイヤースキルでちゃんと逆転が狙えると戦いです。
ですが,8月のアップデートで大砲の強化に上限を付ける前や,今の16門砲のレシピが入る前の状態では,若干ステータスに寄りすぎていました。ですので,プレイヤースキルで勝敗が決まるという,以前の大航海時代 Onlineの良いところを戻したいと思っています。
4Gamer:
なるほど。装備を用意するのもまた,プレイヤーの腕だと言えそうですが,それに加えてちゃんとプレイヤースキルが目立ってくれたほうが,プレイヤーとしては嬉しいと思えるでしょうね。ちなみに,16門砲のレシピについてですが,作成の難度はどれくらいになりますか。
竹田氏:
若干難しいですね。レシピの入手方法も特殊ですし,今までとは違った味付けになると思います。
渥美氏:
やはりプレイヤーが気になるのは,レシピを入手する難度と,そのあとで実際に作るときの生産素材などの難度になるでしょう。これについては,すでに鍛錬具での強化があるので,あまりレシピが簡単だと,今度は鍛錬具という要素が死んでしまいます。
4Gamer:
鍛錬具は,たしか洋上戦闘でのレアドロップでしたよね。
渥美氏:
現状はそうです。今回の16門砲のレシピ追加によって,作成の難度がやや高いとはいえ,貫通力の高い大砲を作りやすくなるのは確かですが,鍛錬具自体がなかなか出回らないという問題は依然残りますので,こちらも別途配慮いたします。
竹田氏:
こういったレアアイテムについては,3点目のポイントで改めて説明します。
4Gamer:
分かりました。
渥美氏:
あと戦闘に新たな潮流として,もう一つ,いよいよ東アジアの次世代船と呼べる船が投入されます。まずは大安宅船(おおあたけふね)です。
4Gamer:
中国の船以外にも追加があるんですね。
竹田氏:
はい。これは信長が作った船と同じ形ですね。大航海時代シリーズでも,最強の船の一つだった時がありました(笑)。
渥美氏:
大型化によって攻撃力が強化されていています。マストは一本ですけど,元々漕ぎ船ですので,性能的には十分補えます。
渥美氏:
もう一つが,大型福船ですね。こちらは鄭和(明の時代の武将)が乗っていた船がモデルになっています。
竹田氏:
街が船になって動いたと言われている巨大な船で,スクリーンショットからは大きさが分かりづらいのですが……。横に大型クリッパーを置けば,この大きさが際立つと思います。港に出ているともの凄く大きく感じますよ。
4Gamer:
たしかに,引き波からして相当なものですね。
竹田氏:
大型クリッパーより長いうえに,幅も広いので積載量がこれまでの船と比較して突出しています。一方の大安宅船は,攻撃力が突出している感じですね。このように,使いこなすにはプレイヤーの腕が必要かもしれないですが,特徴的な変わった船が登場します。
渥美氏:
もう一点,戦闘に関わるインタフェース的な話で,カスタムスロットやスキルパネルが開きっぱなしにできるようにします。
4Gamer:
お,それは嬉しいですね。
竹田氏:
これによって戦闘への操作感が変わると思います。
4Gamer:
そうですね。今は,基本的に開いて押してのツーステップが必要でした。
渥美氏:
これについては,以前から要望があったのですが,対応までに時間が掛かってしまいました。
ただ,課題として残っている部分があって,ゾーンをまたいだ時に,どうしてもクライアント側の処理をいったん全部リセットする仕様になっているので,その場面だけはパネルが閉じてしまいます。
4Gamer:
ということは,移動中にずっと開いたままというのは,まだ無理なわけですね。
渥美氏:
ええ,そこはやや不便が残ってしまいますが,一番要望として多かったのが,戦闘における部分です。まずは,そこをちゃんと解決することが大事なので,Chapter4で入れることになりました。これは日本だけではなく,海外のいろいろな地域から要望をもらっていたんですよ。
竹田氏:
あとカスタムスロットに,2ページ目を用意して登録できるようにしました。これによって例えば,戦闘用のカスタムスロットや,街用のカスタムスロットを別に用意するといった使い方ができると思います。
4Gamer:
それも嬉しい。どうしてもF1〜F8までのカスタムスロットで,キーが足りないというものがありましたし,冒険を含めた移動用と戦闘用は分けたいです。
竹田氏:
そうですよね(笑)。インタフェースはこれからも,様子を見ながらどんどん拡張/改善していきたいと思っています。
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