インタビュー
「グラナド・エスパダ」が大規模なバランス調整を開始。中尾圭吾プロデューサーにその背景と「ブリスティア」アップデートの今後などを聞いた
今回のアップデートでは,2012年10月より行われてきた「ブリスティア」アップデートを1か月程度遅らせ,同アップデートで追加されたコンテンツをはじめ,さまざまな部分のバランス調整を行ったという。なぜ,当初の「ブリスティア」アップデートのスケジュールを変更してまで,バランスの調整をしなければならなかったのか,その理由と今後の展開を,HUE事業部,部長兼GE運営プロデューサーを務める中尾圭吾氏に聞いてみた。
バランス調整で2012年夏のリニューアルで掲げた方針とかみ合わない部分を改善
「去年の7月のリニューアル,ブリスティアアップデートを通して、非常に良い結果が出ました。これはリニューアルを通して遊びやすくなったことや,ブリスティアアップデートでマップやシナリオなど、さまざまなコンテンツを追加したことが大きいと捉えています。開発も運営もこの結果には素直に喜んでいます。
しかし,新しいコンテンツの追加にこだわるあまり,細部の調整が不足気味でした。結果,1.5倍に膨らんだプレイヤー数が,1.3倍程度までに目減りする結果となってしまいましたので,とにかく今は調整の強化が重要となっています」(中尾氏)
調整ミスには,既存プレイヤーにとっては報酬面が不足したこと,新規/復帰プレイヤーにとっては,「一人でも進められるストーリー」と掲げられていたにも関わらず,実際にはほかのプレイヤーの協力が必要な部分が残っていたことなどがあるという。
「去年進めていた方向性に沿って,多数のプレイヤーの方に遊んでいただきました。今重要なのは,プレイヤーが不足と感じている部分をいかに満たすか,その調整に力を入れていくことです。お問い合わせ窓口のほうにも,コア層,ライト層,そして去年から新しく始めてくださった方からの意見がかなり多く寄せられていますので,これから2月〜4月に掛けてガンガン調整を行っていきます」(中尾氏)
事態を重く受け止めた運営チームと開発チームは,報酬/キャラクター/対人コンテンツといったゲームのすべてにおいて「バランスが最重要」であると再認識し,急遽,今回と3月の2回に分けて,プレイヤーにストレスを与えている部分を調整するアップデートを実施することとなった。
「アクティブプレイヤー数が増加し,定着率が高まったことから,リニューアルで掲げた方針自体は間違っていないと捉えています。そこで今回は,新しいGEの方向性を変えることなく,新コンテンツのバランス調整を行い,ブリスティアアップデートを仕切り直そうというわけです」(中尾氏)
バランス調整の最優先課題は,ストーリーに関わる部分におけるシングルプレイの徹底化であると判断されたようだ。ストーリーを進めたり,キャストを編入したりする場合には,プレイヤー1人でも行えるように調整を施していくとのこと。
このほか,2013年2月20日には,以下の6つの項目のバランス調整が行われた。
- クエストクリアに複数人数が必要となる部分をFESO商店で緩和
- キャラクターバランスの調整
- 派閥戦争で問題となっていた人数バランスの調整
- 全体的な報酬の上方修正
- ゲームのプレイ状況に応じて賞品が変わるWebルーレット(無料ガチャ)実装
- 有料アイテムが無料で手に入るFESOショップの拡充
「いろいろなキャラクターを利用できるようにすることは,放送アンケートでも最も多く寄せられる要望でしたので,開発元に強く要請して協力を取りつけた状況です。なので,2月で終わりではなく,今後も継続して改善していく予定です。これまでも徐々に改善してはいますが,まだまだ足りません」(中尾氏)
派閥戦争は,最大勢力となる中立派閥に所属するプレイヤーが,対立する二つの派閥のそれぞれに均等に振り分けられるような仕組みを導入している。この施策により,これまで発生していた,中立派閥が多数参加する側が短時間で勝つという状況が打破される見込みだ。
「人数調整だけではなく,防衛側に意義が発生するような調整も加わっていますので,以前と比べると遥かによくなると思います。派閥戦は,1キャラクターでも参加しやすいためか,参加される方の数が非常に多いですので,週末のエンドコンテンツの目玉になってくると思います」(中尾氏)
また,全体的な報酬向上についても調整が行われている。
「上位のインスタンスミッションは,いつでもプレイできるので社会人からも好評です。しかし,報酬が不足している状態でしたので,もっとプレイ価値を高めていきます。現状,ボス討伐の最高位はフィールドのレイドボスですので,それを上回る形になることはありませんが,今は報酬が低すぎる状況ですので,今後継続的に調整を実施していきます」(中尾氏)
「このWebルーレットのロジックは,汎用性を重視して作っていますので,最初は試運転で始めて,ゲーム内の状況を見ながら,徐々に運用法を改良していく感じにします。ですから,最初は条件設定が甘かったり,報酬が足りないという意見が多くなりそうですね。しかし,これはゲームプレイの重要な部分に関わるものですので,2週/1回ぐらいのペースで段階的に調整して,1〜2か月ぐらいでイベントの定番になるように仕上げます」(中尾氏)
また,2013年3月には,以下の4項目のバランス調整が実施される。これらは,必ずしも同時に行われるわけではなく,日程がバラバラになる可能性があるという。
- コンビネーションバフのリニューアル
- コロニー戦のリニューアル
- レイドボスのリポップ調整
- 新ミッションコンテンツ「バウンティーハンターギルド」の実装
コンビネーションバフは,3キャストが揃っている状態のときに,等級アップバフとキャストのイメージに沿ったバフが有効になるよう変更される予定だ。現在,弱いとされるキャストには効果の高いバフが,逆に強キャストにはほどほどのバフがかかるよう,調整がなされているという。
「コンビネーションバフをリニューアルすることで,さらにプレイの幅を広げる形に調整できるはずです。これはかねてよりバリエーションの追加など,プレイヤーのニーズも大きかった部分ですね。ちなみにコンビバフは,以前『撤廃する』と言いましたが,気に入って使っていただいているプレイヤーの方もいますので,この形がベストと判断しました」(中尾氏)
また,コロニー戦のマンネリ化を防ぐためにリニューアルされ,レイドボスのリポップは,社会人プレイヤーのプレイ時簡に合わせるように変更される。いずれも,実施前に詳細があらためて公開される予定だ。
「対人コンテンツの利用者は,単純に全体の割合で見るとあまり多くはないのですが,熱心に遊んでくださっている方々が多いので,より面白いものを提供したいという趣旨で,コンテンツを一新することにしました」(中尾氏)
以上の調整が実施されたのち,ブリスティアアップデートが再開されることになる。
ブリスティアアップデートでは,起承転結を明確にすることを意識しており,これまでの実装分が起と承で,今後登場するのが転と結に当たる部分とのこと。
「これまでのブリスティアアップデートはストーリーと演出を重視した展開でしたが,今後はベスパニョーラとブリスティアの緊張が高まることに伴い,ミッションでボスと対決する機会が増えます。ブリスティアアップデートは,当初,4か月連続を謳っていましたが,開発チームに新たにチャレンジしたいことができたり,急遽調整を加えなければならなかったりで,結局長期にわたる内容となってしまいましたね。今のところ,2013年夏の完結を目指しています。もちろん開発チームでは,そのあとのさらなる展開の企画開発に着手していますよ」(中尾氏)
プレイヤー出身スタッフの起用で多用なプレイスタイルをサポート
現在,GEでは,運営体制のリニューアルに伴い,プレイヤー出身のスタッフを運営チームに起用している。その理由を,「プレイヤーのニーズが多様化しており,従来の運営チームの人材では対応しきれない」からと,中尾氏は説明する。
そうしたプレイヤー出身の運営スタッフのうち,数名は,すでにイベントなどの企画を立てているという。とはいえ,まだまだビジネスやゲームの設計など運営技術に関する基礎知識が不足しているため,採用の効果がゲームに表れるのは2013年夏以降になる見込みだ。ゆくゆくは,各自の特化傾向に合わせて,シナリオ担当や対人コンテンツ担当といったように,担当分けすることも検討しているそうである。
また,2012年10月に開催されたオフラインイベント「グラナド・エスパダ in ニコファーレ」を,今後,定期的に実施することを検討していると中尾氏は語る。実は,早ければこの3月に開催できる見込みだったのだが,今回は運営チームと開発チームが一丸となってバランス調整に専念するべきという判断をしたとのことである。その代わりと言ってはなんだが,中尾氏曰く,GEのテレビCMを打つ計画があるとのことなので,続報を待ちたいところだ。ちなみに,次のオフラインイベントは,「春の終わりか夏頃」になるとのこと。
2013年4月13日から16日にかけて,GEの対戦イベント「第1回グローバルチャンピオンシップ」が,韓国にて開催される予定とのこと,参加するのは,日本/韓国/中国/台湾/シンガポールの5か国で,各国3名の代表選手が腕を競うもの。日本でも,日本語による実況中継が配信される予定だ。
そのほか,本稿で言及された内容以外にも,サービスイン7周年を迎える2013年7月に向け,さまざまな施策を用意しているとのことなので,プレイヤーは今後の発表にも期待してほしい。
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