インタビュー
同接1.5倍,新規定着率5倍。「グラナド・エスパダ ルネッサンス」のリニューアル成功要因を運営プロデューサーに聞いてみた
HUEでGE R運営プロデューサーを務める中尾圭吾氏に,GE Rリニューアル後の経過と,今後の運営方針などを聞いた。
コンテンツを制限した新ワールドで,新規/既存プレイヤーの住み分けに成功
「リニューアルの反響の大きさには,ビックリしています。リニューアル直後の週末は人が集中することを見越してサーバーを設定したのですが,それでもトラブルが発生してしまい,急遽,サーバーを増強しなければならない事態となって,皆さんにもご迷惑をおかけしました。見込みが甘かったと反省しています」(中尾氏)
中尾氏はリニューアルの成功の理由を,既存プレイヤーと,新しくゲームを始めた人のそれぞれにメリットを提供できたことにあると分析している。すなわち,既存プレイヤーには,新大型エリアと新キャストという従来のアップデートを上回る規模の新規コンテンツ追加し,やり甲斐と新鮮さを提供した。一方,新規プレイヤーに向けては,とくにゲーム序盤のバランスを調整したことに加え,新規ワールド(サーバー)「セレスタイト」を用意し,ゲーム開始時のハードルを大きく下げたのである。
その中でも注目すべきは,セレスタイトのコンセプトだろう。このワールドは,主に新規プレイヤーを対象にしており,当初はキャラクターレベルの上限を100に設定し,コンテンツを制限している。そのあと,実際のプレイヤーの動向に伴って上位コンテンツを開放していく方針だ。
つまりプレイヤーは全員横並びでゲームを始めることとなり,長期にわたってサービスを継続しているオンラインゲームで発生してしまいがちなプレイヤー間の格差が生じにくくなっているというわけである。これはHUE初の試みだったのだが,これまで新規ワールドを追加してきたときとは明らかにプレイヤーの動向が異なると,中尾氏は述べる。
ところが今回は,セレスタイトの数字が大幅に伸びているだけでなく,既存ワールドの数字も増加しています。これはセレスタイトのコンテンツに制限をかけたことで,新規プレイヤーと既存プレイヤーの住み分けに成功したからだと捉えています」(中尾氏)
同時接続数の推移からして,従来のワールドからセレスタイトへの流入は少なく,ほとんどが新規(ないし休眠)プレイヤーと思われる。中尾氏によれば,セレスタイトには,新規プレイヤーおよび2〜3年以上前にGE Rを休止したプレイヤーが集まっているという。その一方で,既存ワールドの伸びを,休眠期間がここ1年以内のプレイヤーが復帰したからと説明した。セレスタイトは,「新作ワールド」という狙いどおりに新作ゲーム並の勢いで伸びを見せつつ,ルネッサンスで追加されたコンテンツに惹かれて従来のワールドの同接も伸ばしているという,なかなか凄い状態だ。
さらに,セレスタイトにおける新規プレイヤーの定着率は,従来と比較して実に5倍にも上っているとのこと。中尾氏は,この理由を,バランス調整と必須だった有料アイテムを無料化したことに加え,上位コンテンツを制限したことにより,プレイヤーに「先を急がず,じっくりプレイしよう」という心理が生じたのではないかと分析する。これまでは,せっかく新規で始めても,しばらくプレイしているうちに先行しているプレイヤーとの絶対的な差を実感し,離脱してしまう人が多かったそうだが,無論,セレスタイトではそうした状況は発生しにくい。新規プレイヤーが流入し,その離脱率も低いため,結果としてセレスタイトの人口は日々増加しているわけだ。
プレイヤーの動向に沿って新ワールドのコンテンツ開放を延期。既存ワールドのバランス調整は予定通り進行
そうしたプレイヤーの動向を踏まえて,中尾氏は,コンテンツの開放を,当初の見込みよりも遅らせることを検討しているという。当初はセレスタイト開設から1か月程度で大規模対人戦「コロニー戦」を導入,さらに2か月後くらいにはベテランクラスのコンテンツを開放しようかと思っていたと語る。
昨今のオンラインゲームにおけるコンテンツ消費の速さを知る中尾氏にとっては,このプレイヤーの反応は意外だったそうだが,逆にこれまでGE Rが蓄積してきたコンテンツ量の多さをあらためて実感することにもなったという。そして,新規ワールドでの各種コンテンツの開放については,オンライン座談会などの実施を通して,よりいっそうプレイヤーの意見を取り入れていくと語った。
「セレスタイトにおけるベテランクラスの開放は,ワールドにとって大きな転換点となりますので,慎重に検討したいと思います。また,段階的にPVPコンテンツなどをプレイヤーの皆様にお楽しみいただけるように,サポートをしていきます。とくに,コロニー戦をいきなり実施するのはハードルが高い,ということも分かりましたので,3段階に分けての導入を検討しています。まずはGM主導で小規模なPVPコンテンツを紹介し,コロニー戦の流れを説明するイベント,続いてアイテムドロップなどを増やしてプレイヤーごとの装備の格差を縮めるようなイベントを実施するのもよいかな,と思っています。何度かのリハーサルを実施し,全体的に慣れてきたら,ようやく本格的にコロニー戦が実装できるのではないでしょうか。また9月26日から『ワールドトーナメント 第1回 データ統一戦』を開催します。GE Rの対人戦がどんなものなのか,初心者の方が観戦して確認してみるのも面白いかもしれません」(中尾氏)
セレスタイトでは,コロニー戦以外にもコンテンツを紹介するイベントを随時行っている。さまざまなコンテンツを擁するGE Rだが,現在,その中でも協力プレイを促すミッションが好評とのこと。
なお,セレスタイトにおけるベテランクラス開放の延期は,ほかのワールドのアップデートには影響ないとのこと。リニューアル直後よりアナウンスされていたベテラン/エキスパートクラス向けコンテンツのバランス調整,アップデートは, 9月14日に実施されることも併せて聞くことができた。
現在,HUEにおけるGE Rの運営体制は,新規プレイヤー中心のセレスタイト向けと,既存ワールド向けのものに二分割されており,過去最高といっていいほど多忙を極めているという。しかし,その状況になってなお「GE Rは,まだ上を目指せる。もっと多くの人を楽しませることができる」と中尾氏は意気込みを見せる。それでは最後に,中尾氏からのメッセージを掲載しておこう。
「これまで4年間,サービスを続けてきて,GE Rとして大きな転換を遂げることができたのも,既存プレイヤーの方々のおかげです。皆さんにはバランス調整,新規コンテンツとも,いい贈り物ができたのかなと捉えています。
また新規にセレスタイトでプレイし始めた方からは,想像以上の反響をいただきました。今後も,皆様の意見や要望を踏まえ,ご期待に沿えるような展開を続けていきます。よろしくお願いします」(中尾氏)
- 関連タイトル:
グラナド・エスパダ
- この記事のURL:
キーワード
(C)2003-2013 IMC Games Co.,Ltd./Published by Hanbit Ubiquitous Entertainment Inc.