インタビュー
新生「ナイトオンライン」の今後の展開と,それにかける意気込みとは。エムゲームジャパンにインタビュー
既存ユーザーの多くは,これからのナイトオンラインがどう変わっていくのか期待半分,不安半分といったところであろうが,今回エムゲームジャパン第一事業部 田中択真氏,マーケティング室 遠藤哲也氏のお二人に話を聞いてきた。今後,同作がどのように変化していくのか,また運営体制は万全なのかといったところを,既存プレイヤーだけでなく,新生ナイトオンラインに関心を抱いているプレイヤー候補に確認してもらいたい。
エムゲームジャパンマーケティング室 遠藤哲也氏(左)と,同第一事業部 田中択真氏(右) |
5月15日に正式サービス開始
5月下旬には大型アップデートが
4Gamer:
4月26日に無事プレオープンテストが終了した「ナイトオンライン」ですが,本日は運営移管にまつわるお話や今後のスケジュールなどについて,色々と聞かせてもらえればと思います。まず,ゴンゾロッソからエムゲームジャパンへの運営移管について,その経緯や話が具体化したタイミングなどについて,あらためて聞かせてください。
今回の運営移管に至った理由は,契約期間の満了です。そして,プレイヤーにとって何がベストかを弊社側で考慮した結果,開発/運営/マーケティングが一元化することが最良であろうという結論に至り,移管となりました。
4Gamer:
移管に関して具体的な動きがあったのは,いつ頃のことなのでしょうか。
遠藤氏:
先方のこともあるので,さすがに詳しい時期はお話できませんが,マーケティングプランや次期アップデートの内容については相当タイトなスケジュールだったということでご勘弁ください。
4Gamer:
先日の発表会では,今後,よりスムースな部署間の連携が行えるとお話されていましたね。逆にこれまでで,開発と運営,運営とマーケティングの間で,コミュニケーションが難しいと感じたことはあったんでしょうか。
遠藤氏:
そうですね。調整が必要な部分はどうしてもありましたが,今後はよりスピーディな意思疎通と対応が可能になり,プレイヤーにとって確実にメリットがあると考えています。
4Gamer:
ゴンゾロッソからエムゲームジャパンへの運営移管が正式発表されたあとに,何かプレイヤーからの反応はありましたか? 日本版では2007年から大型アップデートが行われていないので,移管後の運営に期待する声が大きいのではないかと予想していますが。
遠藤氏:
韓国版ではすでに実装されているものの,日本版では実装されていない要素を早く導入してほしい,という要望はすでに多くのプレイヤーから届いています。我々もその期待に応えるべく,プレイヤー視点に立って,システム部分からアイテム類に至るまで,可能な限り早いタイミングで新要素を実装していく予定です。
4Gamer:
3日間のプレオープンテストで新要素として登場した,「新戦争システム」とコスチュームアイテムの評判はいかがでしたか?
新しい戦闘スタイルを提供するために導入した新戦争システムですが,古くからナイトオンラインを楽しんでくれている古参プレイヤーの一部からは,やはり反発もありました。アイテムの機能なども変更していたため,慣れ親しんだナイトオンラインからの変化に戸惑ったようで,厳しいご意見をいただきましたね。
ただ,プレオープンテストの内容はあくまで調整段階ですから,いただいた意見を反映して5月下旬の大型アップデートまでに,ゲームバランスをブラッシュアップしていくつもりです。またサーバー間のアイテムバランスなども,併せて調整していきます。
4Gamer:
慣れ親しんだゲームバランスの変化は,どうしても小さくはない違和感を生みますからね……。今後のバランス調整に期待します。ところで,新システムのブラッシュアップや新旧サーバー間のアイテム格差の解消などは,いつ頃形になりそうですか?
田中氏:
5月下旬のアップデートで,戦争で獲得できるポイントと,それと交換するアイテムまで実装予定ですが,この時点でも一応事前テストという扱いになります。ただ,バランス調整はほぼ終らせて,あとは微調整程度にまではもっていくつもりです。
4Gamer:
ちなみに現時点で,そのアップデート内容の完成度は何%くらいですか?
田中氏:
システムに関しては出来上がっていますから,60%といったところですね。あと1か月ありますから,修正も含めてスケジュール通りにいけそうです。
4Gamer:
なるほど,それでは,正式サービス前後のスケジュールをあらためて教えて下さい。
まず,5月8日にオープンβサービスとして,旧ナイトオンラインIDからエムゲームジャパンの新規IDへ,移行できるようになります。次に5月15日から正式サービスおよび課金アイテムの販売がスタートし,5月下旬には大型アップデートを予定しています。また,発表会でお見せした新ゲームタイトル「ナイトオンラインクロス」ですが,こちらはそのアップデートに合わせての名称変更となります。
田中氏:
ただ,このアップデートは完全に日本オリジナルのコンテンツでして,韓国版とのバージョン差を徐々に埋めていくのは,もう少し先の7月以降になりそうです。
4Gamer:
韓国版との差が埋まるのは,正式サービス開始から2か月ですか。熱心なプレイヤーは韓国版の情報を翻訳してでも情報を先取りしていますから,7月以降のアップデートが待ち遠しいでしょうね。
田中氏:
以前,ナイトオンラインとは異なるタイトルで,短期間に複数のアップデートを実施したことがありますが,逆にプレイヤーからは,「そんなに連続してアップデートをされても,内容についていけない。理解しきれない」という意見をいただきました。ですので,まずはオリジナルコンテンツに慣れていただくためにも,少し時間はあけるつもりです。実はアップデートを急いでほしいという意見よりも,今は運営体制に期待する声のほうが多いですね。
4Gamer:
その期待に応えるだけの準備は万全ですか? プレイヤーの期待値は最初からずいぶんと高そうですけれど。
遠藤氏:
確かに,今までと同じことをやっていては評価されない。今まで以上の運営をして,初めて認めてもらえるというタイトルですから,プレッシャーはあります。ただ,派手なプロモーションは必要ない,それよりも地に足の着いた信頼できる運営を求められている,というのは我々も理解しているので,そのために,例えばプレイヤーからの問い合わせには,一定の時間以内に必ず何らかの返信を行うといったガイドラインを作成しています。何よりもプレイヤーからの信頼を得られるよう,社内の体制も整備中ですので安心してください。
アップデートやイベントだけでなく
プロモーション展開にも遊び心を
ナイトオンラインの話からは少し逸れてしまうのですが,今後の開発や運営に生かすために,普段から心がけていることはありますか?
遠藤氏:
マーケティングのスタッフに限った話ですが,あえてMMORPGとは違うジャンルのオンラインゲームも遊ぶように心がけています。
4Gamer:
何で遊んでるのか気になりますね。
遠藤氏:
タイトルは伏せますが,社内では某社のオンラインFPSが人気なんです。業務終了後には動画サイトを見ているスタッフもいるようですが……。
田中氏:
私は各種ニュースサイトをこまめにチェックしています。
4Gamer:
わりと社内はおおらかというか,のんびりした空気のようですね。
遠藤氏:
弊社はエンターテイメント企業ですから,あまりルールばかり厳しくて,社内がギスギスしても,柔軟な発想が得られないですしね。どんなに忙しくても,どこかに「余裕」を持っていられたらいいな,とは常々考えています。
柔軟な発想といえば,夏に向けてのプロモーションプランに関して,明治大学と早稲田大学の広告研究会のコンペを行うという新しい試みがありましたね。MMORPGプレイヤーには大学生も多いですから,社会人にはない着眼点が期待できそうですか?
遠藤氏:
この試みは,一つには通常の広告代理店にお願いするのではなく,共同プロジェクトといった形で仕事ができるパートナーを探していたということ。そしてゲーム業界側から見た視点では抜け落ちやすい部分を,より一般ユーザーに近い目線で捕らえてくれるのでは,とは考えてのことです。
4Gamer:
これは私個人の偏見かもしれませんが……広告研究会に所属する学生さんというのは,大手の広告代理店を目指すタイプが中心で,MMORPGを好んで遊ぶタイプには見えません。そのあたりはどうお考えですか? とはいえ,マーケティングに必要なのは分析力であって,実際のゲームそのものへの理解力が必ずしも要求されるわけではないとも思っていますが。
遠藤氏:
そうですね,やはりオンラインゲームのプレイ経験は少ないようですが,学内でゲームに詳しい友人に話を聞いたりしているみたいですよ。ただ,実際にお会いして,情報の吸収力は驚くほど高い人が多いと感じましたから,きっと良いプロモーションプランが出るでしょう。既存プレイヤーに違和感を抱かせず,新規プレイヤーの獲得にもつながる結果が得られればと思っています。
4Gamer:
新規プレイヤーの獲得は,サービス期間の長いナイトオンラインにとっては,今後の大きな課題になると思いますが,何か具体的なプランがあったら教えてください。
直近のものですと,5月8日からWindows Live メッセンジャー上にナイトオンラインのアイコンを出して,そこから新規ユーザー登録を行うと,取得経験値が増えるゲーム内アイテムがもらえるというキャンペーンを行います。また,特定のISP経由で新規IDを作るとアイテムが配布される,といった展開も予定しています。
4Gamer:
では最後にお二人から,今後のナイトオンラインに期待するプレイヤーに対して,コメントをお願いします。
田中氏:
既存のナイトオンラインの長所はそのままに,新しい要素を取り入れるためのアップデートをどんどん行っていきますので,古参プレイヤーの方も安心してください。また,基本的なことですが,不具合/不正行為への対応もきっちり取り組んでいきますので,エムゲームジャパン運営によるナイトオンラインに,ぜひとも期待してください。
遠藤氏:
2008年夏はさまざまなキャンペーン/イベントを実施する予定なので,既存プレイヤーもこれからナイトオンラインを始めようという方も,きっと楽しめるはずです。具体的な日取りは未定ですが,日韓米のプレイヤーによる世界戦の開催も決定しています。誇りをもってプレイできるオンラインゲームになれるよう,ナイトオンラインはこれからもどんどん変化していきます。今後ともよろしくお願いいたします。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
正式サービスの終了やオンラインゲーム事業からの撤退など,オンラインゲーム業界では何かと残念なニュースが続いている昨今だが,ナイトオンラインに関しては,現状を見る限りは幸せな形での運営移管が行われたといってよいかもしれない。
エムゲームジャパンによる「ナイトオンライン」は5月15日より正式サービス開始,そして5月下旬より新生「ナイトオンラインクロス」となる。これを機会に一時お休み中のプレイヤーはもちろん,今までナイトオンラインを知らなかったユーザーも,同作の快適なレベリングおよび大規模な対人戦闘を,ぜひ体験してみてほしい。
- 関連タイトル:
ナイトオンラインクロス
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