連載
海外ゲーム四天王 / 第1回:「Velvet Assassin」(前編)
ついにこの日がやってきた。本日から始まる月曜連載,「海外ゲーム四天王 〜戦うおじさん〜」とは,われわれ「4Gamerの海外ゲーム四天王」がプレイしたゲームのことを書いていくという連載だ。
タイトルにもあるように,メインとなるのは海外製のゲーム,いわゆる“洋ゲー”である。理由は,われわれ四天王が好きだからだ。梨も洋梨が好きだし,服も洋服だ。海外にはまだまだ知られざる面白いゲームが一杯あるということを読者の皆さんもぜひ感じ取っていただきたいが,すでに知られている面白いゲームも結構あるので安心してほしい。
ちなみに,4Gamer海外ゲーム四天王とは,今のところ4Gamer編集部の松本,ライターの朝倉哲也氏,そしてライターのUHAUHA氏の三人だ。細かいツッコミはなしでお願いしたい。われわれもなんだか一人足りないような気がしているのだが,あまり気にしないでほしい。
というわけで,第一回は美貌の女暗殺者にあんなことやこんなことをやらせられるらしいゲームとして欧米ゲーマーの話題をさらっている一本を松本が取り上げてみた。
かつて私はサム・フィッシャーと呼ばれていた。呼ばれてないかもしれないが,ともかく国際諜報戦の最前線に颯爽と立ち,なるべく暗いところを選んで移動し,敵の背後に忍び寄って羽交い締めにして,手も足も出ない相手の耳元に「悪いお知らせです」なんてささやいたモノだが,2006年以来ちっとも新作が出ないので困っていた。
そんなときに見つけたのがドイツ生まれのスニークアクション,「Velvet Assassin」だ。自分でいうのもなんだが,話の流れが巧みだと思う。
Velvet Assassinは,イギリスの女スパイ,Violette Summerが第二次世界大戦のドイツ占領下のフランスに忍び込んで,破壊工作や情報収集,そして暗殺などを行っていくという内容だ。
私と彼女は実は浅からぬ因縁があり,最初にメディア向けに発表された2006年のE3(Electronic Entertainment Expo)を皮切りに,同年のGC(Games Convention),さらには翌々年(2008年)のE3およびGCにおいて,展示をすべて見逃したのである。2008年のGCでは,うっかりアポイントの時間を忘れ,行ってみたら終わっていたという,会社の偉い人には知られたくない理由で取材しそこねたのだが,内緒だよ。
というわけで,個人的に期待の一本だったVelvet Assassin。当初は「Sabotage」というタイトルだったが,途中でElectronic Artsが発表した「The Saboteur」(こちらも第二次世界大戦下のパリを舞台にしたレジスタンスもの)との混乱を避けるため,現在のタイトルに変更されたのもいい思い出である。開発はドイツのReplay Studiosがあたっている。
発売日は何度か延期されたものの,2009年4月28日にパッケージ版が,続く5月2日にダウンロード版がついにリリースされたのである。対応機種はPCのほかに,Xbox 360。
いろんな意味で「女スパイ」という言葉は我々の想像力をかきたててやまないが,彼女は完全に「破壊工作員」という雰囲気で,ナイフと銃で武装してドイツ軍の基地内部に侵入するのがメインだ。残念ながら色仕掛けで将軍から情報を聞き出すといったウフフな要素はないようであり,えーと,ちょっと残念。No One Lives Foreverシリーズのケイト・アーチャーを思い出す人もいるだろうが,そういう感じである。
暗殺者としてのVioletteはサム同様,暗闇を移動してドイツ兵の背後に回り,白刃を振るう。もちろん,サムのようなハイテクガジェットは持っていないけど,闇に溶け込んでいるときと敵に発見されたときは左下のアイコンで分かるようになっている。また,ドイツ軍の制服を盗んで変装することも可能だ。視点は三人称に固定で,射撃のときに肩越しの視点になる以外,カメラの切り替えはできない。
プレイの難度は比較的高い印象だ。というのも,ドイツ兵に発見されたとき,彼女が取れる対抗手段があんまりないからだ。銃で反撃できるが,携行できる弾数はやたら少なく,あまり頼るとあとで苦労する。また,「モルヒネを打つ」という異色の選択があり,それによってハイになった場合は問答無用で敵を刺し殺せるのだが,この注射器も一本しか持てないようだ。
ちなみに,そのときはなぜか彼女がスリップ一枚になり,なんだか花びらっぽいものが周囲に飛びまくるというプレイヤーの想像を越えたエフェクトが見られるが,これはどうやらストーリー全般の伏線になっているようで,最初のうちはさっぱり意味が分からない。
というのも,ゲームの開始直後の彼女は傷を負って病院のベッドに横たわっており,ミッションはすべて「彼女の記憶の中」という設定になっているのだが,ベッドのわきにはドイツ兵がたむろしており,彼女が実際どうなっているのかはっきりしない。
主人公であるViolette Summerのモデルとなった実在のスパイ,Violette Szabo(ヴァイオレット・サボー)が最終的にドイツ軍に捕らえられ処刑されたことを考えると,単純なハッピーエンドが待っているのではなさそうなのは容易に想像できる。彼女の幻想の世界を描く,オレンジ色を主体としたコントラストのきついグラフィックスも,なんとなく超現実的なイメージを醸し出しており,果たして,どこまでが現実でどこまでが幻想なのだろうか? いいところで来週に続く。
|
- 関連タイトル:
Velvet Assassin
- この記事のURL:
キーワード
(C)2008 Replay Studios GmbH. Replay Studios, the Replay Studios logo, and Velvet Assassin are trademarks and/or registered trademarks of Replay Studios GmbH. All Rights Reserved. (C)2008 Southpeak Interactive. All Rights Reserved