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MMOアクション「JUNKMETAL」課金直前インタビュー
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印刷2004/04/07 22:34

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 MMOアクション「JUNKMETAL」課金直前インタビュー - 2004/04/07 22:34


右が第10開発事業部チーフプロデューサー五井氏,左が本作の運営プロデューサー谷内氏。いろいろな話題をちりばめ,笑いに包まれたインタビューとなった
 スクウェア・エニックス「JUNKMETAL」は,アルター8と呼ばれる惑星でジャンクと呼ばれる兵器を操るロボットアクションMMO。2004年4月5日にオープンβテストが無事に終了し,4月12日からは正式サービスの開始が予定されている。
 大人の事情(?)で世界各地を飛び回っているという本作の制作プロデューサー五井智久氏と,自分自身どっぷりとJUNKの世界にハマっている運営プロデューサー谷内義人氏に話を聞くことができた。正式サービスを直前に控え,気になる機能の実装,ゲームのバランス面を中心に質問を投げかけてみた。(Seal)

4Gamer(以下,4G):
 もういきなり本題からいっちゃいますね。本作のアクション以外の部分での目玉となりそうなファクトリーについてですが,これはいつごろの実装となるのでしょうか。

谷内氏:
 直球勝負からスタートですか(笑)。まず説明しておきたいのですが,ファクトリーの機能としては,ファクトリーチャット(ギルド),パーツ合成,パーツコピーの3種があります。プログラム的には,これらのほとんどが出来上がっているのですが,まだ細部の調整などですべてをすぐに実装できる状態とはなっていません。4月12日の正式サービス開始時には,ファクトリーの一部の機能,具体的にはギルドの機能だけを実装する予定です。

4G:
 ギルドの導入で,プレイスタイルにどのような変化があるとお考えですか?

谷内氏:
 ファクトリーチャットは,結成したギルドのメンバーでチャットをする機能です。現在は,プレイヤーはばらばらに行動していることが多く,ゲリラ戦のようなPvPとなっています。一歩間違えると,烏合の衆がてんでばらばらに戦ってるだけというか。ギルドが結成でき,そこで意思の疎通ができることによって,組織的な活動ができるようになるでしょう。現在でも,広域チャットを使って通路の封鎖やその撃破などの連絡を取り合っていたり,小隊を結成して活動していたりということがありますが,さらに細かい役割分担をした中規模以上の組織的な行動がしやすくなると思います。

4G:
 メックウォーリアーなど対戦ロボットアクションゲームでは,そのような役割分担をした部隊を自分たちで作って楽しんでいるプレイヤーも多いですしね。

谷内氏:
 そうです。ギルドの実装で,コミュニティが形成されて組織的に動くと新しい面白さが発見できると思います。その"コミュニティ"が形成されてから,合成とかも実装したいんですよ。
 あとギルドによって,無所属のプレイヤーへのメリットが少し増えると思います。現在のゲームバランスでは,無所属のプレイヤーはメリットよりもデメリットのほうが大きくなるようにしています。例えば,無所属のプレイヤーにしか利用できないベンダーはありますが,そのメリットよりも両勢力から攻撃を受ける危険性といったデメリットのほうが大きいですよね。それでもあえて無所属で傭兵稼業をするプレイヤーがいるのは,非常に興味深いですね。彼らが,ギルドに所属したときのメリットは少なからずあるでしょう。

4G:
 傭兵とはどのような……?

谷内氏:
 POFか無限大公社のどちらかに事前に行き,そこで契約料をもらって戦闘に参加するという感じみたいです。こういうプレイスタイルは無所属のプレイヤーしかできない楽しみで,さらにある程度のプレイヤースキルも伴っていないと生きていけないシビアな世界です。傭兵をしているプレイヤーはそのあたりを楽しんでいるんだと思いますよ。

五井氏:
 ちょっと話ズレちゃうんですけどね。この前,脚をキャタピラに,腕をハンマーにしたジャンクでプレイしている人がいました。ガガガガガって動いて,ハンマーがガッコンガッコン動いてるの。移動が遅いキャタピラに,ハンマーという近接戦闘武器を装備しているので,それを見た瞬間に"近づく前に倒されるだろ!"とか突っ込みいれたくなりました(笑)。ほかにも。逆脚で腕パーツと頭パーツをつけないジャンクで,敵陣の真っ只中を走って突破するとか,いろいろな面白いプレイヤーがいますね。
 JMはPvP可能というより,PvPがメインのゲームなので,口より手が先にというゲームスタイルはアリだと思うんですよ。初心者の無限大公社のプレイヤーが数人のPOFプレイヤーに囲まれて一瞬で倒される。で,その後にPOFプレイヤーが,初心者のプレイヤーに「POFこない?」と勧誘しているのを見たことがあります。ハチャメチャですけど,これも一種の面白さだと思うんですよね。
 システムで制限してPvPの遊び方を押し付けるのではなく,開発側は玩具の提供のみに留まり,その遊び方はプレイヤーが自由に考えるというのが理想です。レベルに制限を加えたPvPシステムでは,最初は面白いと感じるプレイヤーが多いかもしれないけど,すぐに飽きてしまうと思います。なんでもかんでもシステムで制限するというのは,これはコンシューマゲーム的な発想です。"決められたものをプレイヤーに押し付けない"というのがMMORPGの未来には必要なのではないでしょうか。

PvPで負けたときはマウスを放り投げるくらい,JMにどっぷりとはまっているという谷内氏。実は短気だとか……


4G:
 未来を考えると大いに同意できるんですけど,初期のUltima Onlineが持っていた雰囲気ですよね,それって。そういう"お遊び"ができるのは結構気に入っています。ところで今後の予定で新しいパーツの導入はありますか?

五井氏:
 パーツだけでなく,エリアやグールなどを含めて,たくさん追加する予定です。というか,もうほとんど作ってあります(笑)。でも,三つの要因ですぐに実装はできない状態なんです。

4G:
 その三つの要因とは?

五井氏:
 まず一つめに,データ数値での調整です。この武器の強さは本当にこれでいいのかとか,この武器を実装したらゲームバランスが大きく変化してしまう可能性とかですね。JMはアクションが主体のゲームなので,数値バランスには最も気をつけなければいけない部分です。
 二つめに,デバッグ作業です。武器一つ追加するだけでも,思わぬバグが出現します。エリアの追加だったら,地形にひっかかりがないかとか予想しない位置に移動できたりしないかなど,ほかのMMORPGとは異なる部分までもしっかりとチェックをしていく必要があります。
 最後は,実装のタイミングです。オープンβテストでは,無限大公社の勢力が大きくなったのですが,あるゾーンを追加した場合,それがより顕著になってしまうとか,両勢力が公平に入手できるようにしないといけないとか,そのような問題点がクリアにならないと実装できません。一部のプレイヤーにのみメリットがあるアップデートはあまりしたくないので,実装のタイミングを見計らっているという感じですね。この点では,開発側の提供するものをユーザーが遊ぶというのではなく,開発側がユーザーの遊び方に合わせている珍しいMMOだといえるでしょう。

4G:
 アクション主体のゲームだといろいろな調整が必要そうですよねぇ……。オープンβテストでは,エリアやグール配置のバランスはうまくいっていたのでしょうか?

谷内氏:
 当初は,ミッションでパーツ集めやお金稼ぎをする人が多いのですが,その人たちが目的のエリアまで安全に移動できるように途中のエリアも積極的に支配していくという,いわば"移動ルート"が構築されるだろうと思っていました。
 まぁ半分くらいは予想どおりで,オープンβテストでは無限大公社のほうは思い通りのルートが構築されたのですが,POF側は"おいしくない"エリアが途中にあったようで,途中で千切れてしまった感じになってしまったんですよ。僕は個人のキャラでPOF側をよくプレイしているので,ちょっと調査してみたのですが,その切れたエリア(編注:想定移動ルート上にあるにもかかわらずPoF支配率が低いエリア)は,本当においしくありませんでしたね。なんだこりゃ,って感じ。そのエリアではミッションも受けられるようにしてあったのですが,ミッション自体の魅力もあまりプレイヤーにはおいしくなかったようで。
 逆に,別のアカウントで無限大公社のほうのエリアをチェックしてみたときは,"これはおいしすぎるんじゃないか?"というエリアがありました(笑)。



プレイヤーが自分たちで遊び方を見つけてほしいと語る五井氏


4G:
 オープンβテストでのPOF側が劣勢になっていたのは,それが原因の一つになっていたんですね。

谷内氏:
 これはいずれ修正していくつもりです。でもそのバランス調整は結果をみながら細かく変更を加える必要もあると思うので,結果が見えるまでに1か月から1.5か月はかかるかもしれませんね。
 先ほどの話に戻ってしまいますが,ファクトリーのパーツ合成は,このバランス調整が満足いくものとなってから実装の準備を進めるかもしれません。

4G:
 具体的に"いつごろ"とか教えてください(笑)。

(谷内氏と五井氏,コソコソ相談)

谷内氏:
 うーん,遅くとも台風が来る頃までには実装したいです(笑)。

4G:
 台風が来る頃……って,結構時期に幅があるような(笑)。昔五井さんに聞いたことがある"パーツコピー機能"はいつごろ実装の予定ですか? って突っ込みばかりですが。

五井氏:
 うわ,よくそんな話覚えてますね。東京ゲームショウの喧騒の中で立ち話で話しただけの気が。

4G:
 執念深く覚えてますよ。もっといろいろ話しましょうか?(笑)

五井氏:
 うー。じゃあぶっちゃけ話しちゃいましょう。パーツコピー機能は,ゲームバランスに大きく関わってくる部分なので,今のところは実装時期予定というものは決まっていません。入手に困難が伴うレアアイテムには,やはりそれなりの希少価値と所持する優越感というのを大事にしたいですし。
 コピー機能が実装されるとしても,オリジナルと完全に同じものができてしまわないように,例えばオリジナルの70%や80%の能力しかないようにします。レアパーツを持つプレイヤーと持たないプレイヤーの格差が大きく開いてしまったときにそれを埋める材料の一つとして実装したいですね。
 あ,あと。パッケージ版の発売と同時に,新しいワールド"COLONY BRAVO"を追加する予定です。

4G:
 新ワールドは,オープンβテスト開始時と同じ設定で開始ですか?

五井氏:
 いえ,新しいワールドは,支配率に初期設定を与えずにスタートしようと思っています。オープンβテストは,テストに参加してくれたプレイヤーが積み上げてきた歴史があります。それでキャラクターのデータの削除を行わなかったのですが,新しく参加したプレイヤーにはそのワールドが,"すでに出来上がっている状態"に見えることもあるかな,と。
 オープンβテストのときは,両企業の本社がある街に隣接するエリアは,あらかじめ支配率を上げてスタートしてみましたが,新ワールドは何もない状態からスタートするので,新しい歴史を築いていってほしいですね。
 まぁ,自分的には,試験的に全エリアを無限大公社支配とかで始めてみたいんですけど(笑)。

4G:
 それはそれで,あえてPOF側について劣勢を挽回していくというシナリオができて面白そうですね……。それって一つのアカウントを使って両方のワールドで遊べます?

五井氏:
 もちろんです。違う人生を歩んでほしいですね。

4G:
 違うタイプのJUNK作ってみたりして楽しそうですね。あ,そうだ。妙に細かい話ですけど,コアホバーや三つめのOS"NEURON"の実装時期はいつごろなんですか? プレス向けの完全Closedテストのときにあった「Lvの高い光学迷彩」とかも気になるんですけど。

谷内氏:
 もしかしていじめて楽しんでますか?(笑)。うーん……あまり決まってないんですよね,実は。さっき言ったように,対人メインのせいもあって"バランス"が異様に大事なゲームになってますから。ホバーは,ゴールデンウィークあたりには実装したいかな。あくまで"予定"ですが。このときに街と新エリアの追加も行うので,大規模なアップデートになるかもしれません。NEURONは……そうですね,僕の誕生日あたりということで。

4G:
 読者のためにも谷内さんの誕生日を聞いたほうがよさそうですね。

谷内氏:
 まぁ,具体的な時期は内緒ということで(笑)。

4G:
 最後に読者に向けて一言お願いします。

五井氏:
 僕ね,ここだけの話,絶対日本のプレイヤーに受け入れられないと思ってたんですよ,こういうタイプのゲーム。作った本人が言うこっちゃないですが。でもすごくみんな楽しそうに遊んでくれててすごく嬉しいです。右見ても左見てもファンタジーMMORPGばかりで,一つくらい違うものがあってもいいじゃないか,って作り始めたんですけど,受け入れられて本当に嬉しいです。今後もがんばりますので応援してください。

谷内氏:
 開発とプレイヤーの距離が遠いゲームが多いけれど,私たちはプレイヤーと一体となってゲームを楽しいものにしていきたいと思っています。ロボットと殺伐とした世界が好きならぜひプレイしてみてください。


4月22日に発売される予定のJUNKMETALのパッケージ。特殊コントローラーも魅力だが,バーニアや10万solなどが最初から用意されているアカウントも付属している


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