インタビュー
サービス10周年を迎えた「ミュー」を新旧運営スタッフが振り返る。新キャラの実装も明らかになったインタビューを掲載
時代に合わせて自動狩りも実装。成長を眺めて楽しむ「盆栽ゲー」も面白い?
ポンガイエロー氏:
転機と言えば2012年3月のヘルパー実装も大きいと思います。
4Gamer:
どのような要素でしょうか。
いわゆる自動狩りという機能ですね。
4Gamer:
ああ,なるほど。
ポンガイエロー氏:
最初に公式配信を行って,運営チームが姿を見せたのもそのアップデートのときでした。
井上氏:
2012年当時って,中国や台湾のゲームで自動狩りのシステムが多く見られるようになってきた時期だね。韓国系のゲームはプレイヤー側がオートマウスなどを使って自動狩りをしていく人が多くて,それならシステムとして自動狩りを入れてしまおうと。
4Gamer:
ミューもそれに倣った感じなのでしょうか。
GMモスグリーン氏:
どちらかと言えば,時代に合わせたということだと思います。ミューは,リリース当初から簡単に遊べるというのが売りの一つでした。当時から遊んでくれている人がそのままシフトして,年齢層も徐々に上がってきましたから,生活の中でプレイ時間が少なくなっているプレイヤーも多いんです。
4Gamer:
長く続く作品ほど,その傾向がありますね。
GMモスグリーン氏:
ですから,自動狩りが導入されたことで,気軽に遊べますし,さらに狩場における自動狩り用のセッティングをいろいろ考えるという遊び方も見出だせるようになってきています。トレーディングカードゲームで言えば“事前にデッキを組む”みたいな感覚じゃないでしょうか(笑)。
4Gamer:
なるほど,そういう見方もできそうですね。
GMモスグリーン氏:
最近は「盆栽ゲー」って言われることもあって,「なるほどなぁ」と変なところで感心しました。
そういう言葉があるんだ。伸ばしたい方面にキャラを育てられるように細かくセッティングして,そのさまを眺めて楽しむというのも面白いね。
4Gamer:
それって,もう育成シミュレーションゲームですよね(笑)。
井上氏:
ああ,そうかもしれません(笑)。
GMモスグリーン氏:
ただ,狩りが自動化されることで人間が遊んでいるという意識が希薄になってしまう面もあります。その面をカバーするために,僕らでライブ配信を企画して,プレイヤーさんとの対話を行っていきたいんです。
4Gamer:
自動で狩りをしながら,ライブ配信を見てもらうとか?
ポンガイエロー氏:
そうですね。実際にヘルパーで狩っている人のところに出向いて,アイテムをプレゼントするなんて企画もあったんですよ(笑)。
井上氏:
僕らが運営をしていた頃は,もちろん自動狩りは禁止で,取り締まりの優先度が高かったんですよ。当時,ヘルパーが導入されていれば,仕事も楽になっていたんだろうなぁ……。
一同:(笑)
井上氏:
いや,本当に当時はまさかこんな時代がくるとは思いませんでしたから(苦笑)。
他作品ではあまり前例のない公式「キャラクター取引」システムの実装の意図とは?
4Gamer:
さて,10年分もあると,思い出話が止まらないと思いますが,最近のアップデートや,これからの話もお聞きしたいと思います。
4月のアップデートでレベルキャップが,730から750に引き上げられていますが,それによってプレイヤーさんのレベル帯に変化はありましたか。
実は,そのあたりのレベル帯はかなり道のりが険しく,最大レベルの750まで到達できている人はまだ少ないです。ミューは,レベル400が一つのハードルになっていて,750を目指すための高い壁と感じているプレイヤーも多いんですよ。
4Gamer:
なぜ,そのレベル帯がハードルに?
ポンガイエロー氏:
300から400のレベル帯は,プレイ状況的に変化が乏しく単調になりがちで,レベルも上がりづらいタイミングなんですよ。ですから,レベル400のハードルを越えてもらおうということで,有料アイテムの効果を含めると,獲得経験値が最大で7500%(75倍)となるイベントを展開しています(関連記事)。
※イグニスワールドは7月16日メンテナンスまで。ノアワールドは本日(7月9日)メンテナンス後から8月6日メンテナンスまで実施予定
GMモスグリーン氏:
細かく計算すると,実際には7533%になるんですよ。
4Gamer:
細かな数字はともかく,7500%ってすごい数字ですね(笑)。育成がかなり捗りそうです。ところで,キャラ育成にも絡む話なのですが,5月28日のアップデートでは「キャラクター取引」が導入されました(関連記事)。キャラクターを売り買いするというのはちょっと驚きだったのですが。
ポンガイエロー氏:
そうですね。他社さんでもあまり行われていない企画だと思います。
4Gamer:
なぜ,これを導入したのでしょうか。
ポンガイエロー氏:
運営としては,プレイヤーのみなさんにいろいろな職業のキャラクターをプレイしてほしいと考えています。ですが,対人戦などで活躍しようと思えば,当然ですがレベルの高いキャラが有利になります。しかし,最大レベル750というのはやはり遠い道のりですから,新キャラにかける時間がありません。そこで,1から育てるのが大変だというプレイヤーの育成の手助けになればと思って導入したわけです。
4Gamer:
確かに,新キャラクターを育成する時間を取るか,最大レベルを目指す時間を取るか,悩ましいところだとは思いますが,とは言え,いきなり強いキャラクターが手に入るというのはどうなんでしょうか。
GMモスグリーン氏:
たとえば運営が高レベルキャラクターをお渡しすると,ゲームバランス上問題が出てきてしまいますが,あくまでプレイヤー自身の手で育成したキャラクターを取引するというのが重要なんです。
4Gamer:
と言いますと?
ポンガイエロー氏:
プレイヤーがキャラクターを育てるわけですから,そもそも高レベルまで育成したキャラクターは自分で使いたいですよね。実際に,レベルキャップに近づくにつれて出品数は少なくなっています。また,仮に最大レベルまで育ったキャラクターを買ったとしても,実際は購入後に装備を集める楽しさがありますから,そこで終わりにはならないんです。
4Gamer:
なるほど。実は,最初にこの話を聞いたとき,規約で禁止になっているアカウント売買へのカウンターなのかとも思ったのですが。
GMモスグリーン氏:
ええ。企画立ち上げのとき,そういったことも話に出ました。運営が正規の手順で取引の仲介を行うことで,RMTなどに触れる危険なども回避できるのでは,と。
井上氏:
ミューというタイトルは,運営開始時点からRMTに狙われ続けたタイトルでもありましたね。最初は宝石の現金取引,そしてBOTによる放置狩り。結局そういうことを防げるかどうかは,お客さんのニーズを運営側でどれだけフォローできるかにかかっていると思うんです。その点において,妥協できる範囲を見つけて提供していくというのも重要なのかもしれません。
ただ,仮にいまのようなサービスを運営開始当初にやろうとしても,お客さんの反感があっただろうし,できなかったと思います。でも,いまだからこそできる,そういう判断なんだと思います。
年末か来年頭に新キャラ実装を予定。復帰者大歓迎の10周年
4Gamer:
今後のアップデートについても教えてください。
一番大きいのは新キャラクターの追加ですね。
4Gamer:
お,どんなキャラクターでいつ頃になるのでしょう。
ポンガイエロー氏:
3体めの女性キャラで,これまでにない“カッコイイ系”になります。早ければ年内から来年の頭頃には導入できる予定です。
GMモスグリーン氏:
この新キャラは,近距離攻撃と遠距離攻撃を併せ持ったキャラになる予定です。武器は槍で,片手槍を使うと遠距離,両手槍を使うと近距離になる感じですね。これまでのミューにはなかったタイプになると思います。それと,ペットであるミューンの追加も予定されています。
4Gamer:
ミューンと言えば,6月18日に実装された「力の十兵衛」がいきなり和風で驚いたユーザーさんも多かったみたいですが。
GMモスグリーン氏:
あれは日本運営チーム側から開発元にお願いして,日本用のミューンを作成してもらったんですよ。
ポンガイエロー氏:
まずは「力の十兵衛」が第1弾ということで,ほかに2体ほど予定しています。
4Gamer:
ああ,シリーズなんですね。
井上氏:
全部和風なの?
GMモスグリーン氏:
ええ,全部,和テイストです。
ポンガイエロー氏:
次の実装予定が9月くらいで,可愛い系の忍者的なキャラになります。3体めは11月から年末になると思います。
GMモスグリーン氏:
3体めはなんというか……天狗と鎧武者を混ぜたような,怖い系かと思いきや,ミューンにすると可愛いと思える,そんなキャラになる予定です。
4Gamer:
分かりました。ところで本作に限らず,オンラインゲームでは新規プレイヤー獲得のための施策も重要になりますが,そのあたりはどうでしょう。
ポンガイエロー氏:
大きなイベントなどを行うと新規プレイヤーさんもいらしてくださるんですが,それよりもむしろ復帰プレイヤーを対象にした施策を主軸に置いていますね。
4Gamer:
新規よりも,復帰プレイヤーですか。
GMモスグリーン氏:
もちろん新規プレイヤーさん向けにも,さまざまなコンテンツを用意しているので大歓迎です。一方で,10年も続けていると,一度でも触れたことがあるプレイヤーが多いタイトルになっていますから。
4Gamer:
そういったプレイヤーに復帰してもらいたいと。では,どういった施策が行われているのでしょうか。
GMモスグリーン氏:
実は,これまでの復帰キャンペーンなどで,昔使っていたアカウントにいろいろな豪華なアイテムを送らせていただいているんです。
井上氏:
休眠アカウントにもプレゼントしてたんだ?
GMモスグリーン氏:
ええもう,すっごいたくさん入ってます(笑)。ランダムでスペシャルプレゼントが贈られているアカウントもありますので,復帰して覗いてみたら大変なものが入っている可能性もあります。
4Gamer:
なんでこんなレアなものが……と(笑)。
GMモスグリーン氏:
ええ,驚かれると思いますよ。
一方,新規プレイヤーについては,最近はライブ配信を見て遊んでくれた方が多いんですよ。公式のライブ配信だけではなく,プレイヤーさんが“生主”となって配信している光景を見て,新たに始めてくれるという方も多いようです。その観点からも,ライブ配信に力を入れようと,最初は不定期だったものを月に1回,第一日曜日に行うことになりました。
4Gamer:
そうした新しいツールが,プレイヤーと運営の触れ合いを生んで距離を縮めるだけではなく,新規プレイヤーを呼び込むキッカケにもなっているんですね。10年以上続く作品となると,いまから改めて知ろうという人は少ないでしょうし,ゲームタイトルそのものではなく別の方向から見てもらい,知ってもらう施策が必要なのかもしれません。
GMモスグリーン氏:
おっしゃるとおりだと思います。
4Gamer:
というわけで,最後に読者の方へメッセージをお願いします。
井上氏:
えーと,それは現ミュー運営のお2人に(笑)。
4Gamer:
はい。では,GMモスグリーンさん。ポンガイエローさん。お願いします。
GMモスグリーン氏:
はい(笑)。
初期のころ,ミューを遊んでいて200レベルあたりで諦めてしまったという方もいるかもしれません。いまは本当に育ちやすくなっています。当時のアカウントがもう分からないという人でも,新たなアカウントを取得していただいてサクサクと育てられると思います。
昔のアカウントが分かれば,先ほどお話したように,さまざまなアイテムをプレゼントしていますので,まずはログインして,Xキーでアイテムモールから保管箱を確認してみてください。いまのミューがどうなっているのか,覗いてくださるだけでも僕らはとても嬉しいですし,配られたアイテムを使ってまた遊んでみようと思っていただければ最高です。
ポンガイエロー氏:
実は,最近になって復帰したというお客さんも多いんです。いまは昔からあった複数のワールドが「イグニス」というワールドに統合されて,そのワールドに昔遊んでいたキャラがいると思います。
当時一緒に遊んでいたお友達の名前が変わっている可能性もありますが,公式サイトでは,その変更が確認できるページも設置されています。いまなら10周年記念ミューンなども受け取れますし,この機会にぜひ復帰してみてください。
4Gamer:
本日は,ありがとうございました。
運営開始初期の順調さとは裏腹に,2005年以降の不正アクセスや基本プレイ無料化への移行,プレイヤーへの露出の減少と,やや停滞していた感があったミュー。そうした状況を乗り越え,10周年を迎えた本作は,環境の改善や運営チームによるライブ配信によるプレイヤーとの触れ合いなど,その姿を大きく変えつつあるようだ。
10年も続いているだけに,かつて本作に触れたことがあるというプレイヤーも少なくないだろう。ミューが今どんなゲームになっているのか。久しぶりに覗いてみると,新鮮な体験ができるのではないだろうか。その際は,アイテムモールから保管箱を調べるのをお忘れなく。
「ミュー 奇蹟の大地」公式サイト
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