インタビュー
「Master of Epic」「パンドラサーガ」「ドルアーガの塔」が相次いでアップデートを実施予定。各タイトルの運営開発チームに,その内容を聞いてきた
「Master of Epic」には
新たなハウジングマップと「引っ越し機能」が登場
「Master of Epic: The ResonanceAge Universe」(以下,MoE)では,2012年11月20日に実施する大型アップデートにて,新ハウジングマップ「シスの天空島」や「引っ越し機能」などを実装する。今回のアップデートについて,同タイトルのプロデューサーを務める井坂宗慈氏と,開発ディレクターの藤原一人氏に話を聞いた。なお藤原氏は,ハドソンがMoEの運営開発を行っていた2005年から,ずっと本作に携わっており,「飛竜の谷」以降のコンテンツではとくに開発における重要なポジションを務めてきた人物である。
井坂宗慈氏 |
藤原一人氏 |
「シスの天空島」は,MoEにおける4番目のハウジングマップで,空の神「シス」の名を冠しているとおり,空中に浮遊する巨大な天空の楽園だ。島々は雲の上に浮いており,景観の良さは大きな特徴である。
このハウジングマップは10の島で構成されており,それぞれ外見および機能が異なる。具体的には,農場のようなフィールドが広がる島,小山と滝が配置された島などがある。また,収穫可能な畑/伐採可能な森/採掘可能な鉱山といったように,生産と連動する島も用意されている。さらには牛が放牧されている島もあり,ミルクを絞ることも可能だ。
それぞれの島は,メインアルターの設置された島を中心に,残りの九つの島が円状に配置されている。島と島との行き来は,各島に設置されたミニアルター機能を持つワープポイントを利用して行う。各施設とプレイヤー各自の家は,基本的にアルターの周囲に配置されるので,利便性はかなり高いと言える。
「天空に浮いている島ですから,当然,プレイヤーが落下することもあります。着地点はソレス渓谷なので,ある意味,ショートカットになるとも言えます。その代わり,5000ダメージを食らってしまいますが,水のあるところにダイブできれば,生き残ることも可能ですよ(笑)」(藤原氏)
「シスの実装に合わせ,実装を記念したイベントの開催を予定しています。また今回のアップデートでは,以前実施したコンテストで入賞作となったデザインの家を実装します。そのほか,特別土地権利書が手に入るキャンペーンも実施中です」(井坂氏)
また,新たなハウジングマップが登場することに合わせ,「引っ越し機能」も追加となる。この機能は,プレイヤーの所有する土地のグレードとアセット,そしてストレージの3要素をそのまま引き継いで,新しい土地に引っ越しできるという機能である。
引っ越しの手順は,まず引っ越し先の土地を予約して確保する。その状態で,引っ越し元の土地に戻ると,必要な手続きを実行できるようになる。この手続きでは,アセットを一括で外せるが,注意してほしいのは,引っ越し先に販売員と家そのものを継承できないという点だ。すなわち,引っ越し先の土地では,もう一度家を建て直すこととなる。
「引っ越しは,シスだけでなく,既存のハウジングマップ間でも行えます。今回,シスへの引っ越しが最も多くなると推測できますが,それは裏を返すと,既存マップに空きができるということでもあります。以前から狙っていた,いい土地を手に入れるチャンスと言えるのではないでしょうか」(藤原氏)
さらに,以前から告知のあった新スキル「栽培」が,2013年春頃のタイミングを目標に開発が進んでいるようだ。このスキルの大きな特徴は,自分の農地で手軽に素材アイテムを入手できるという点である。
「MoEの長所はスキル制とリアリティですが,ゲームを始めたばかりの方や社会人プレイヤーにとっては,それがマイナス要因になってしまうこともあります。とくに,あまりプレイ時間を取れないようなプレイヤーだと,素材採取に時間を割かなければならず,満足に生産スキルを上げることができないケースも見受けられました。栽培スキルは,そうしたわずらわしさを軽減し,より生産スキルを活性化することをコンセプトに,企画開発を進めています」(井坂氏)
栽培を行うには,まず各フィールドマップに点在する収穫オブジェクトから,種/球根/花粉などの「触媒」を入手する必要がある。これは,盗みスキルのテクニック「スティール」と同じように,専用テクニックを使用して入手する形式だ。
また栽培を行える場所は,専用のマップに作られる「貸し農地」である。貸し農地は,プレイヤーが「貸し農地権利書」を所持することで,特定の区画を利用できるようになる。具体的な作物の栽培は,貸し農地に畝/倒木/ハウスといった栽培専用オブジェクトを設置し,それに対応する触媒をセットして育てていくという手順で行う。
「貸し農地は,MoEを始めて間もない方にも生産スキルを体験してほしいという思いを込めて,ゲーム内通貨のみで利用可能にする予定です。AncientAgeに土地を持っている方のため,自分の土地でも栽培を利用できる仕組みの導入を検討しています」(藤原氏)
作物の育成は,触媒を栽培アセットにセットした瞬間からスタートする。育成状況は各アセットのウィンドウで確認可能で,作物が弱っているようであれば栄養剤を投与したりといった処置ができる。また,ゲーム内における天候の変化も,作物の育成状況に変化をもたらす要因の一つだ。
育成の内容や,農地のグレードなどの条件によって収穫できる農作物も数が異なる。また栽培には成否判定があり,将来的には栽培スキルのスキル値の影響も考慮するとのことだ。
ちなみに栽培に失敗した場合には,ゴミアイテムが生成されてしまうのだが,将来的にはこのゴミアイテムを栄養剤の素材や錬金素材としてリサイクルできるような仕組みの導入も検討しているとのことである。
「栽培の一連の流れは,ブラウザゲームの作物育成や施設建造などをイメージしていただくと,理解しやすいかと思います。しかしそれらと大きく異なるのは,MoEの栽培は育成期間がゲーム内時間の1日程度と,かなり短くなっている点です。これは,井坂がお話ししたとおり,社会人でも短い時間でサクサク収穫できるように考えた結果です」(藤原氏)
さて,井坂氏と藤原氏が述べているとおり,栽培スキルは手軽に生産スキルを利用できることを目的に導入されるものだが,その一方では,やり込み要素の追加も検討しているという。
まず「品種改良」は,触媒同士を掛け合わせることで,より収穫回数の多い作物の触媒を作り出したり,異なる種類の触媒を作り出したりする機能である。品種改良の結果は,レシピバインダーに記録されていき,コレクション的な意味合いを持つようになる予定とのこと。
また「栽培クエスト」は,拠点となる各タウンに栽培ギルドを設置して,栽培スキルで作成したアイテムや,品種改良で作った触媒などを納品するクエストを受託できるという内容である。クエストのクリア報酬は,栽培スキル値や触媒,ゲーム内通貨などが予定されている。
以上が,今後,2013年春頃にかけて実装される予定のコンテンツだが,このほか2012年11月20日には,別途発表しているとおり,錬金の森がリニューアルされる。井坂氏いわく,このリニューアルは可愛らしさやファンシーさをコンセプトにしているとのことで,赤頭巾をイメージさせるようなアイテムも登場するそうだ。また錬金の森の複合テクニックも10種類以上が用意され,藤原氏いわく「すごいジャンプ」ができるものも含まれるとのことである。
また2013年は,初心者に向けたチュートリアルの改善などを予定しているほか,比較的早い時期に新マップ「スローリム平原」「カドゥス湖」を実装すべく,準備を進めていると藤原氏。また栽培スキルに関しても,上記で言及した内容のみに留まらず,さらにボリュームアップする可能性もあるとのことで,数段階に分かれて実装となるかもしれないそうである。
「そのほか,2012年内には,あるアニメ作品とのタイアップを実施しますので期待してください。また社内的な事情でMoEの運営開発体制に変更がありましたが,MoEチームは一丸となって,今まで以上のサービスを提供すべく努めてまいりますので,今後ともよろしくお願いいたします」(井坂氏)
「これまでの私自身の7年間の経験を生かし,引き続き開発に努めます。MoEは,今後も変わらず展開していきますので,ぜひ2013年以降もよろしくお願いします」(藤原氏)
「Master of Epic: The ResonanceAge Universe」公式サイト
「パンドラサーガ」はヘルプ機能の拡張と
軽量化モードの導入でプレイ環境を改善
「パンドラサーガ」では,2012年11月と12月に相次いでアップデートが実施される。今回のアップデートは,正式サービスの開始から5周年を目前に,より多くの人が快適にプレイできるような内容を目指したという。同タイトルのプロデューサーを務める近藤俊介氏と,企画リーダーの渡辺正太氏に,そのあたりの話を聞いた。
近藤俊介氏 |
渡辺正太氏 |
2012年11月のアップデートは,“これから始める人に優しいゲームを目指して”というテーマのもと,まずゲーム内ヘルプ機能の強化が図られる。具体的には,ポップアップ表示を加えるなど,初心者にとって説明が足りていなかった部分にメスを入れるとのことだ。
「最近のタイトルはヘルプ機能やチュートリアルが充実していますが,パンドラサーガは5年以上前に設計されているため,初心者の方にあまり親切とは言えません。これまでは,今さらヘルプ機能を強化するよりも,もっとほかのコンテンツを充実させようという方針で企画開発を進めてきたのですが,今回,あらためて“今だからこそ”と見直しを図り,これから始める方に向けた改修を施しました」(渡辺氏)
「3次職への転職は,対人戦にデビューする一つの目安となっています。そこで,転職可能レベルを引き下げることで,より早く対人戦を体験していただき,さまざまなスキルを使っていただこうと考えました」(近藤氏)
「レベル40の3次職は,これまでのレベル44の2次職よりも性能が高くなります。対人戦の前線に出ても足手まといにならないよう,きちんと調整を図りました」(渡辺氏)
続く2012年12月には,「ゲーム軽量化モード」が導入される。これは,ゲーム起動時に選択できる機能で,具体的には,グラフィックスのテクスチャのデータ量を通常モードの4分の1に抑えることで,大人数のプレイヤーが参加する戦争コンテンツでも快適に遊べるようにするというものである。運営開発チームが行ったテストでは,GeForce 9800 GTクラスのグラフィックスカードでも十分に遊べるほどの効果が見られたとのことなので,ちょっと前のゲームPCでも,ほぼ問題なくプレイできるようになったと言っていいだろう。
「運営開発チーム内でも『なぜ,今まで軽量化に踏み切らなかったのか?』という声が挙がるくらい,効果のある改修です。またゲームとしても,PCスペックを気にせずにスコアを稼いでいただけるという意味で,非常にやり応えのある内容となるのではないでしょうか。個人的には,早く自宅のPCでも軽量化モードで戦争を楽しみたいですね」(近藤氏)
「パンドラサーガは,これまでグラフィックスへのこだわりをセールスポイントの一つに掲げていたのですが,今回はゲーム性に重点を置き,かつお客様に選択していただけるような改修を目指しました。これも,今さらではなく“今だからこそ”を念頭に,PCスペックがハードルとならないよう見直しを図った結果です。もちろん,従来のエフェクト簡略化も含めて,軽量化モードにおけるグラフィックス表示が対人戦の有利不利につながることがないよう配慮しています」(渡辺氏)
上記のとおり,2012年末のアップデートでは,ゲームの土台となる部分に改修を加えるわけだが,2013年はさらに“快適さと面白さの両立”をテーマに運営開発を行っていくと両氏は語る。たとえば,自分が敵プレイヤーを倒した場合には,画面上にキルマークが表示されたり,打撃時に爽快感をもたらすような音響を施したりといったような,演出面の強化が図られるとのことである。
また,2013年には待望の4次職実装も予定しているという。現在の3次職それぞれに2系統,計32種類の4次職が用意され,二刀流や新たな召喚職などが登場するとのことだ。
「MMORPGでは,自分だけの個性を求めて,キャラクターカスタマイズにこだわるお客様が多くいらっしゃいます。そこで4次職は,単純に強くなるのではなく,これまで以上に専門性を高め,対人戦における限定された場面で長所を生かせるような戦闘スタイルとバランス調整を図っています」(渡辺氏)
さらに両氏は,パンドラサーガの2013年以降の展開について,以下のように語った。
「私は,MMORPGをよく遊園地に例えます。遊園地に来ていただくためには,どんなアトラクションが喜ばれるのかを考えなければなりませんが,そのためにパンドラサーガの運営開発チームでは,お客様の声を重視しています。お客様のご意見ご要望にすべて目を通し,本当に求められているアトラクションを用意することで,皆さんが毎日遊びに来たくなるようなテーマパークのような内容を目指します。ぜひ,さまざまな声をお寄せください」(近藤氏)
「パンドラサーガの目指すところは,対人戦メインのMMORPGでは他の追随を許さない最高の存在です。ほかのジャンルにはない,自分だけの個性を持たせるキャラクターカスタマイズと,対人戦をいかに両立していくか,これからもチャレンジしていきます。MMORPGで対人戦を楽しみたいという方は,ぜひプレイしてください」(渡辺氏)
「パンドラサーガ」公式サイト
「ドルアーガの塔」は遠藤雅伸氏発案のコンテンツを追加
「ドルアーガの塔〜the Recovery of BABYLIM〜」では,「ドルアーガの塔」シリーズの生みの親であり,同タイトルのスーパーバイザーを務めるる遠藤雅伸氏が企画・監修した新コンテンツなどを,2012年12月に実装する。同タイトルのプロデューサーを務める沼田健佑氏と,企画担当の追川和樹氏に,その概要を聞いた。
沼田健佑氏 |
追川和樹氏 |
新マップ「冥界メスラム」は,「ドルアーガの塔」シリーズの「ザ・ブルークリスタル・ロッド」にも登場するマップで,冥界神ナーガルが統治している死者の国である。その入り口となる「冥界への階段」は,「死の砂漠」のどこかに存在しているという。
「冥界の階段は,3つの柱で支えられた丸天井のオブジェクトです,天上の上部には,月と太陽の印が彫られているのですが,これは遠藤氏御自身がデザインした冥界神のシンボルマークなんです」(追川氏)
また比良坂にはギミックが仕込んであり,解き明かすと,「ザ・ブルークリスタル・ロッド」でおなじみの“あの”モンスターがマップのどこかに登場するという。
「比良坂の小部屋それぞれには,属性の異なるモンスターを配置しています。これは遠藤さんの発案で,パーティの構成によって各小部屋の攻略難度が変わりますので,それに合わせて狩り場を選んだり,進むルートを考えたりするという,新しい遊びが含まれています。また比良坂を下ったところにある,ギエナの原につながる『メスラム大門』前には,モンスターの出現しない休息地を配置予定です」(追川氏)
「比良坂では,マップ構成により次第に冥界に降りていくという雰囲気を出しています。その一方で,メスラム大門前の休息地周辺には草木が生えていたりと,生命の息吹が感じられるような演出を施し,対比を作っています。またBGMも,原作の曲をアレンジしたものになっています」(沼田氏)
また,すでに公式サイトにてアナウンスしている「ボッタクルバス」も近日中の実装に向けて開発が進められているようだ。これも遠藤氏に発案によるコンテンツで,各フィールドマップ上の数か所に設置された停留所を瞬時に行き来する機能であり,主に狩り場への移動時間を短縮するためのものである。利用価格はレベル39以下のプレイヤーは1区間あたり10銅(10ギルダ),レベル40以上だと1銀(1000ギルダ)となっており,これ以外にレベル制限なしで一定期間利用し放題の定期券が有料アイテム(価格未定)として提供される。
「これまで,狩り場への移動時間が長い,あるいは苦労して狩り場に着いても混雑しているというご意見をいただいてきましたが,ボッタクルバスの導入でそういった問題も緩和されると思います。定期券は,遠藤さんの提案により生み出されたアイテムがラインナップされているボッタクル商店の取り扱いではありますけれども,リーズナブルな価格にする予定ですので,ご安心ください。また停留所の設置場所は,随時追加していきます。当初はダンジョンマップなど,不便な場所を優先して設置する予定です」(追川氏)
「停留所の設置場所は,遠藤さん自身が実際にプレイして,ここにあると便利という場所を選んでいます。今後,停留所は随時追加していきます。プレイヤーの皆様のほうで『是非このマップへ設置してほしい!』などのご希望があれば,サポート窓口までご意見をお寄せいただければと思います」(沼田氏)
さらに,年末にかけて新スキルの追加も予定されている。レベル40〜80の中レベル帯についてはガーディアンの「バッシュ」やレンジャーの「パワースロー」といった,レベルの概念のあるスキルの上位版が追加される。また,レベル90以降のキャラクターについては,より職業の特性を生かせるスキルの追加が予定されている。
「スキルの強化ツリーの見直しを図り,同じ職業であっても異なるスタイルで戦うことができるようにすることも検討しています。たとえば同じ火力特化のメイジであっても,一つの属性にさらに特化したり,汎用的にさまざまな属性スキルを使えたりといった選択肢を持たせようというわけです」(追川氏)
最後に,両氏のプレイヤーに向けたメッセージを掲載しよう。
「このタイトルは,サービス開始当初から不便なところが多く,それを乗り越えるためにプレイヤーの皆さんがいろいろ工夫するというスタイルが定着してきました。そうした皆さんの創意工夫に応える形で,新コンテンツの提供とシステムの見直しを図っていきます。とくにサービスに関しては“良い運営”と呼ばれることを目標に,頑張っていきます」(沼田氏)
「今まで,遠藤さんにマップ監修や新規コンテンツの監修のご協力をいただいてきましたが,今後は監修だけでなく遠藤さんと一緒に考えた新規コンテンツのご提供も行う予定です。また,現在も調査対象となっているさまざまな問題への取り組みも随時行っていきますので,ぜひ,今後の展開にご期待ください」(追川氏)
「ドルアーガの塔〜the Recovery of BABYLIM〜」公式サイト
- 関連タイトル:
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- 関連タイトル:
パンドラサーガ
- 関連タイトル:
ドルアーガの塔〜the Phantom of GILGAMESH〜
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