インタビュー
「転生2次クラス」実装を含む過去最大規模のアップデートを実施。新体制で開発力が高まった「眠らない大陸クロノス」運営・開発スタッフインタビュー
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クロノスの開発スタッフをゲームオンで引き受けて“ゲームオンスタジオ”を設立。当面は「クロノス」1本に注力
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずは10月14日実装の“転生2次クラス”のアップデートを手がけたというゲームオンスタジオについて教えてください。
ゲームオンスタジオのメンバーは,もともと韓国Lizard Interactiveでクロノスの開発を手がけていた開発者達です。実は2009年10月頃,Lizard Interactiveから「(新作などで忙しく)今後はクロノスのサポートを続けることが難しくなる」という相談を持ちかけられました。しかしクロノスは2003年のサービス開始以来,長く日本のプレイヤーの皆さんに楽しんでいただいているタイトルですから,私達も「はい,そうですか」と簡単に納得するわけにはいきません。そこで,何とかならないかとLizard Interactiveをサポートしながら,さまざまな方法を模索してきました。
4Gamer:
その結果,クロノス関連の開発メンバーをゲームオン側で引き受けて,子会社化して自社スタジオにすることになったわけですね。
キム・ジョンチャン氏:
そうです。今年の7月,ゲームオンが100%出資する完全子会社として,正式にゲームオンスタジオを設立しました。そういう経緯ですので,このスタジオは当面,クロノスの開発に注力していきます。開発環境が一新されたことを機に,新システム導入などでクロノスをリニューアルし,いわば新たなタイトルとして展開したいと考えています。
4Gamer:
ゲームオンスタジオは,ゲームオンの子会社ということですが,日本にあるんですか?
韓国です。現在は23名の開発スタッフが在籍しています。スタッフは以前からクロノスに携わってきた人達です。今回,子会社化したことで,いわば自社の内部に開発環境を構築できたことになります,なので今後は,これまで以上に,日本のプレイヤーさんの要望が通りやすくなります。またゲームオンとしては,今後グローバルに展開していく上での大きなメリットを見込んでいます。
4Gamer:
現在,クロノスは何か国で展開しているのですか?
キム・ジョンチャン氏:
提携企業が英語版のグローバルサービスを展開していますが,ゲームオンスタジオが中心となって携わっているのは,日本と韓国,台湾です。その中では日本市場の規模が最も大きいですから,日本からの要望の優先順位は必然的に高くなっています。
4Gamer:
今後,ゲームオンスタジオで,クロノス以外のタイトルも手がける予定はありますか?
キム・ジョンチャン氏:
もちろん,将来的には視野に入れています。とはいえ,現状の方針としては,“いま持っているものをよりよくする”ことで成長を遂げようと考えています。どのように自分達の未来を築いていくべきか,スタッフと常々話し合っているのですが,今はクロノスをバージョンアップして,これまで不可能だったアイデアを実現することに注力しようという結論になりました。
今後,クロノスのアップデートは,日本からの要望が色濃く反映された内容になる
4Gamer:
それでは,スタジオ設立によって日本からの要望が大きく反映されているという,今回および今後のアップデートについて教えてください。
まず10月14日に,“転生2次クラス”を含む大型バージョンアップを実施します。さらに今後は“生産システム”や“武器ソケット”の導入を予定しています。これらのコンテンツはすべて日本主導の企画です。具体的には2009年の11月頃から準備を進めていました。
4Gamer:
企画の実現には,スタジオの設立が大きく影響しているんですね。
竹内氏:
そのとおりです。これまではなかなか思うようにリソースを割けないという現実がありました。ですが今回,スタジオを設立したことでさまざまな問題が解消され,開発チームも「日本の皆さんに喜んでもらおう」と意気込みを見せています。
4Gamer:
ではまず,転生2次クラスについて教えてください。
竹内氏:
はい。クロノスはサービスの開始から7年目を迎えるタイトルです。そのため当然,プレイヤーの皆さんの大半は,ゲーム内で高レベルに達しています。今回はそんな方々に,さらにクロノスを楽しんでいただくために,その先のコンテンツである“転生2次クラス”を用意しました。
4Gamer:
これまでのコンテンツの上位に位置するわけですね。
そうです。また他方で,実は従来のクラスにはバランス上の問題がありました。例えばマジシャンは,必中スキルがあるので対人戦では最も強いんですが,その反面,通常時のパーティプレイではあまり活躍できないクラスとなっていました。この問題については,プレイヤーの皆さんからも指摘を受けており,今回上位クラスを設計する際には,そのバランスの問題を解消することも意識しています。
4Gamer:
新しいクラスと従来のクラスとでは,どのようなところが違うのでしょうか?
竹内氏:
まず外見が大きく異なります。デザイン的にはかなり今風の,スタイリッシュなキャラクターモデルに変わります。
上位クラスは基本的に,従来のクラスの特徴を引き継ぎ,さらに強化されたイメージとなっています。
パラディンの上位クラスとなる「ヴィクター」は,攻撃と支援のハイブリッドです。範囲攻撃スキルもあり,ソロプレイもパーティプレイも楽しめます。
ヴァルキリー上位の「アイドネス」は,敵のクリティカル率や命中率を下げるデバフスキルを強化しています。また単体攻撃では全クラス中で最大のダメージを出せるようになりました。
マジシャン上位の「ソーサラー」は,バフ&デバフスキルが大幅にパワーアップしています。対人戦では今までとおり自己強化と必中スキルで戦い,パーティプレイ時には支援クラスとして活躍できます。
ウォリアー上位の「ベルセルク」は,タンクとアタッカーの両面を強化しています。高い防御力を誇るので,パーティプレイでの活躍はもちろん,ソロプレイ中心の方にもオススメですね。
ヴィクター |
アイドネス |
ソーサラー |
ベルセルク |
4Gamer:
日本側の意見が大きく取り入れられているということですが,たとえばどういった部分ですか?
竹内氏:
たとえば,ベルセルクは韓国の開発側が最初に用意したデザインではモヒカン頭でした。しかし「韓国ではともかく,これは日本では受け入れられないので長髪に変えよう」と提案して,結果そのようになりました。こうした変更は以前なら交渉が大変だったんですが,今回はかなりすんなりと受け入れてもらえました。
4Gamer:
そういった細かい変更もやりやすくなったわけですか。
竹内氏:
そもそも新しい転生システム自体も,はじめ韓国の開発側では別のものが用意されていました。それは“無限転生”と呼ばれるシステムで,レベル115に達すると,またレベル1の状態に戻って……を繰り返すような内容でした。プレイヤーは1回目よりは2回目,2回目より3回目と強くなっていきますが,ゲームのコンテンツ自体は変わらず,それでは実装する前からマンネリ化するのは目に見えています。そこで日本側で転生2次クラスというシステムを企画して,合わせて新しいマップと新しいモンスターも加えようと提案しました。
これまでと異なり,企画に大きく踏み込むことができるようになったわけです。
竹内氏:
最近では「こうしたら楽しくなる,日本で受け入れられる」という企画書だけでなく,もっと細かい仕様書まで日本で作ってくれと,韓国の開発スタッフからいわれるようになりました。
4Gamer:
それはそれで,やることが増えて大変ですね。
キム・ジョンチャン氏:
(竹内氏を見ながら)本望ですよね(笑)。
竹内氏:
その一方で,今回皆さんにお詫びしておかなければならないこともあります。実は,転生2次クラスになるときに「マスター転生」(1次転生)時のボーナスが反映されないんです。大変申し訳ありません。プレイヤーの皆さんには,あらためて目に見える形でボーナスを提供できるよう準備していますので,後日の発表をお待ちいただければと思います。
4Gamer:
そのほか,直近で追加されるコンテンツはありますか?
転生2次クラス導入の少しあとには,「称号システム」が導入されます。また12月ごろには,最終的には5人のボスが登場する予定のシリーズクエストに,4人目のボスが実装されます。
4Gamer:
称号は具体的にどういった内容になるのでしょう?
竹内氏:
称号によって,プレイヤーのステータスにボーナスが生じます。称号の取得方法は幾つかあって,クエストを受諾して特定のモンスターを既定数倒したときや,一連のクエストをひととおり終えたときなど得られます。そのほかプレイヤーレベルが一定に達したときや,転生したときなど要所要所で得られるようにもなっています。
2011年は「武器ソケット」「生産」を実装。2012年には全面リニューアルを予定
4Gamer:
それでは,2011年に実装が予定されている生産システムについて教えてください。
竹内氏:
現在は,すべてのクラスに生産スキルを持たせるか,それとも独立した「鍛冶屋」のような生産クラスを設けるか調整している段階です。生産システムは,もう少し早く実装する予定だったのですが,皆さんによりよい形で提供できるよう,少し時間をかけて検証作業を行っているところです。
4Gamer:
武器ソケットシステムはどうでしょう。
これは,武器にソケットが空いていて,そこに各種のオプション効果のあるアイテムをはめ込むという武器強化システムです。ほかのタイトルで採用されている同様のシステムと大きな差はありませんので,皆さんにも受け入れてもらえるのではないでしょうか。ソケッテッドアイテムというと「Diablo II」のものが有名ですが,そういう共通の知識があるおかげで,これについては「おお,あれでしょ? わかるわかる」という感じで,開発側と日本側とで非常にスムーズに意思疎通ができています。なので開発も順調に進んでいて,ひょっとしたら実装を年内に前倒しできるかもしれません。
4Gamer:
それでは,中長期的な今後の展開を教えてもらえますか。
キム・ジョンチャン氏:
クロノスは,7年間のサービスの中でアップデートを重ねてきましたが,現在ではシステム自体が古くなってきており,限界が見え始めています。そこで今回,自社開発に切り替えたのを契機に,サーバシステムやファイル管理システムも含めて,新規に構築し直す計画を立てています。もちろんグラフィックスにも手を加え,より見栄えのする内容になる予定です。今年の年末には仕様を決定し,そこから約1年半,しっかりと期間をとって開発にあたります。ですので2012年には,皆さんに新しいクロノスをお見せできる予定です。
グラフィックスに関しては,リリース当初DirectX 6.0対応だったものを,2010年3月にDirectX 9.0対応に変更しています。またファイル管理システムを一部データベース化するなど,今キムがお話した新システムが登場するまでの間にも,現行システムの改善を図っていきます。
一方,目に見える部分ではストーリークエストなどを用意していこうと考えています。そのほか,他作品にあってクロノスにないコンテンツも厳選して導入していく予定です。
4Gamer:
では最後に,クロノスの今後を期待している人達に向けてメッセージをお願いします。
キム・ジョンチャン氏:
ゲームオンスタジオを設立したことで,今まで以上に,日本の皆さんに向けたサービスを迅速に展開できるようになりました。新コンテンツの追加と内容の改善により,より皆さんに愛されるクロノスにしていきますので,今後も応援をお願いします。
竹内氏:
クロノスは,今年の10月27日で7周年を迎えます。長い期間運営させていただいているタイトルですが,最初期から現在まで継続して遊んでいただいている方も数多くいらっしゃいます。そういった方々や,もちろん新しくプレイされる方のためにも,我々運営・開発ともども力を合わせてクロノスに取り組んでいきます。ぜひ末永く遊んでください。
4Gamer:
ありがとうございました。
インタビュー中にあるとおり,クロノスはサービス開始から7年にもなる,日本のオンラインゲーム市場における古参タイトルである。毎年多数の新作タイトルがサービスを開始する中で,こうした古参タイトルが注目を集めるのはかなり難しい状況となっているが,ゲームオンでは,今回のゲームオンスタジオ設立を大きな転換期と捉え,あらためて新規プレイヤーにも広くアピールしていくという。
クロノスのように長く継続しているタイトルの魅力は,やはり蓄積されたノウハウに基づく安定感だろう。今回のアップデート内容や,このインタビューからクロノスに興味を持ったという人は,ぜひ一度プレイして,その安定感を味わってみよう。
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