プレイレポート
「これぞハック&スラッシュ」としか言いようのない完璧な仕上がり。「Diablo III」CBTファーストインプレッション
そんなシリーズの最新作となる「Diablo III」では,現在クローズドβテストが行われている。2011年9月のCBT開始時はごく少数のテスターのみが対象だったが,テスター枠は段階的に拡張されており,幸運なことに筆者も先日,それに当選することができた。現在プレイできる範囲は限られているものの,さすがはBlizzardの最新作,麻薬的な面白さの片鱗は既に確認できる内容だった。本稿では取り急ぎ,Diablo IIIのCBTファーストインプレッションをお届けしたい。
前作から11年の時を経て蘇る悪魔“Diablo”
今作でマイキャラの拠点となるのは,呪われた村“New Tristram”。村を出たあとは薄暗い森林地帯を駆け抜け,墓場やダンジョンなどを冒険していく。そしてTristramの長老“Cain”を救出し,“Skeleton King:Leoric”を倒すという,シリーズ経験者にはお馴染みのゲーム展開が楽しめる。
本稿のスクリーンショットをよく見れば分かるかもしれないが,これらのエリアのコンセプトは「Diablo II」のAct1にとてもよく似ている。いきなりドラスティックな変更を提示すると「こんなのDiabloじゃない!」と拒絶されかねない人気シリーズの最新作だけに,そのあたりはかなり慎重に作られている印象だ。
大型のモンスターを倒したところ,その中から何かがワラワラと這い出て襲いかかってくる |
中でも,3D物理エンジンを駆使した演出がすばらしい。たとえばモンスターは,最初から目に見えるところに突っ立っているとは限らない。物陰からいきなり飛び出してきたり,地割れから這い出てきたり,屋外から窓枠をまたいできたり,壁を破壊しながら突進してきたり,倒した大型モンスターの骸の中から湧き出てきたりする。
それらのモンスターをBarbarianなどが力強く薙ぎ払うと,勢いよく吹き飛んで手すりなどにぶつかり,砕かれた瓦礫もろとも眼下へ落下したりもする。今作では,“樽”などのように直接クリックして破壊するオブジェクト以外にも,意味のある地形やオブジェクトが増えている。
Act1は全般的に暗めの景観が続くが,それだけに光源を使った処理にハッとさせられる。特にWizard用のスキルは美しいエフェクトが多く揃っている |
レベルキャップに達したあとも,ついついダンジョンに潜ってしまう魅力がある。マルチプレイの面白さは健在だ |
また,最初から最後まで薄暗いエリアがひたすら続くが,それだけに光源処理の秀逸さも目立つ。薄暗いといっても単に暗いのではなく,松明や魔法など色が異なる光源が場面ごとに設置されており,思いのほかバリエーション豊かな光景が楽しめるのだ。画面がぼんやりと浮かび上がる様はとても幻想的で美しく,ゴシックファンタジーとしての雰囲気は満点といっていい。
実際にキャラクターを操作してみて印象に残ったのは,武器を振るったり移動したりするアクションから,“重さ”が感じられること。今作では“ダッシュ”がないこともあって,プレイフィールとしてはDiablo 2よりも,初代Diabloに若干近づいた印象だ。前作はスピード感がありすぎて,たとえばマルチプレイ時は一丸となって突き進む感じだったが,Diablo IIIでは,仲間が戦う姿を確認しつつ,緊張感を保ちながらマップを移動していける。
攻撃のアクションが“重い”のが好印象。モンスターを攻撃する際は,その感触がマウスを通じて伝わってくるかのようだ |
「どのスキルを覚えるか」よりも
「どのスキルを使うか」が重要?
Barbarian |
各クラスをレベル10程度まで育成した段階での雑感としては,BarbarianとWizardは名前から受けるイメージそのまま。Monkはヒーラーではなく,格闘家としての意味合いが強い。Witch Doctorは,Diablo 2のNecromancerタイプ。最後のDemon Hunterは,クロスボウなどの遠距離攻撃用武器を獲物とするAssassinタイプ,といったところだ。主要スキルなどを含めたクラスの詳細に関しては,別の機会にあらためて紹介できればと考えている。
Wizard |
Monk |
Witch Doctor |
Demon Hunter |
キャラクターの成長システムは,レベルアップすると新たなスキルを自動的に習得していくタイプ。そして拠点やダンジョンの入口などに設置された“Nephalem Altar”を通じて,マイキャラが習得したスキルを,左/右クリックと1〜5の数字キーに,それぞれセッティング可能だ。
セッティングできるスロットに関しては,キャラクター作成直後は左/右クリックのみで,それ以降はレベルレベル6,12,18,24のタイミングで一つずつ開放されていく。スキルは比較的テンポ良く習得していけるのだが,スロットの制限があるため,どのスキルを持ち出すか試行錯誤することになるだろう。戦術の幅という意味では,コアゲーマーにとっては少々物足りないかもしれないが,たとえば本作で初めてDiabloシリーズに触れるような人にとっては,プレイしやすいのではないだろうか。
なお,CBTで確認した限り,Diablo IIIにはステータスポイントやスキルポイントを任意で割り振るシステムがない。言い換えると,「後戻りできない育成システム」ではないということだ。装備品やスキルスロットでキャラクターのスペックが調整できるため,(たとえば前作のように)パッチが当たる都度,最適なキャラクターを新たに育成し直すといったことにはならなさそうだ。
プレイアビリティを向上させるさまざまな工夫
シリーズの最新作とはいっても,本作は“Diablo”であり,ゲーム展開は絵に描いたようなハック&スラッシュそのものである。メイン/サブクエストこそ用意されているものの,その本質はキャラクターの育成であり,現在装備しているものより僅かでも性能が高いレアアイテムを捜し求め,ひたすら冒険へと繰り出す。この作業がまったく苦にならないのが,DiabloのDiabloたる所以である。
ある意味,偉大なるマンネリズムともいえ,この部分では今作において劇的な変化はない……というよりも,ファンとしてはあっては困る。しかしよく見ると,細かな部分でゲーム環境が整備され,遊びやすくなっているのだ。それらの中で特徴的なシステムをいくつか紹介してみたい。
●煩わしい操作を簡略化する新要素
従来のシリーズ作では,何をするにもマウスクリックが必要だったが,Diablo IIIでは,クリックを要求される場面が若干抑えめになっている。たとえば,ドロップしたゴールドは,その上を通過するだけで拾うことができる。モンスターの群れをやっつけたあと,走り回るだけでチャリンチャリンとお金が貯まっていくのはなかなか気持ちいい。また今回は,小動物の使い魔“Companion”をスクロールで召喚し,近くのアイテムを拾わせることも可能だ。
ドロップアイテムを拾うためにクリックしまくらなくてもよい。コンパニオンはなかなか便利な機能だ |
マイキャラの周囲に落ちているのがHP回復用のエネルギー。Normalモードでは結構な頻度でドロップし,きちんと確保すれば冒険がぐっと楽になる |
ついでにもう一つ触れておきたいのが,モンスターを倒すと,HPを回復してくれるエネルギー(のようなもの)が頻繁にドロップする点。マイキャラにその上を通過させるだけで,従来の“ポーション”の使用率は大幅に減る。今作のポーションは,ピンチに陥ったときに飲むような位置づけで,無茶なことをしなければほとんど必要にならない。
●マルチプレイへの参加がお手軽に
Public Gameに参加する際の,メインクエストの選択画面。これらの中から選ぶだけで,勝手にJoinあるいはCreateを行ってくれるという優れモノ |
たとえば,現在プレイできるCBTの範囲では,「The Fallen Star」「The Legacy of Cain」「A Shattered Crown」「Reign of the Black King」の4つのメインクエストがある。Public Gameに参加する際は,それらのメインクエストの中から選んで,Joinボタンを押すと,同じ目的を持った人が集まるRoomに入り,パーティーを編成してくれるのだ。
もし,Joinボタンを押してから20秒以内にRoomが見つからなければ,自動でCreateを行い,それ以降は他PCからのJoin対象となる。テキストで説明するのは少々ややこしいのだが,一度体験すれば,シンプルかつスマートなのがたちまち分かるシステムだ。筆者はそれを知ってから,ほとんどマルチプレイしか行っていない。
Joinボタンを押すと,選んだクエストを現在遂行しているパーティがないか,20秒間探してくれる。もし見つかればそこへJoinし,見つからなければCreateされる |
最初にメインクエストで仕分けされるので,Public Gameでパーティを組む仲間は必然的に同じ目的となる |
●タウンポータル要らずの“バナー”
マルチプレイを行いやすくするためのもう一つのシステムとして,“バナー”が挙げられる。マイキャラが冒険に出かけている間は,自分のバナー(旗)が拠点に置かれる仕組みで,他PCはこれに触れることで,直ちにそのキャラクターがいる場所へワープできる。常時更新される“Town Portal”のようなものをイメージすればよいだろう。このバナーによって,たとえあとからマルチプレイに参加したようなキャラクターでも,一瞬で合流できるというわけだ。
4本立っている旗が,各キャラクターの“バナー”。これをクリックするだけで,相手がいる場所へ直接ワープできてしまう |
キャラクター選択画面で,バナーのデザインをカスタマイズできる。図案,色,縁取りなどを自分で選べ,4人パーティでも見分けがつきやすい |
●ランクアップがアツい!“アイテム合成”
不要になったアイテムを分解し,それを材料にして鍛冶屋でマジックアイテムの合成が行える。時折レアな材料が得られたり,冒険中に拾ったレシピでバリエーションが増やせたりと,昨今のMMORPGではお馴染みのシステムといえるだろう。
Diablo IIIのアイテム合成でユニークなのは,これを行ってくれる“鍛冶屋自身”のランクアップが行えること。それによって,さらにグレードの高いアイテムが入手できるようになるのだ。鍛冶屋のランク情報はアカウント内で共有されており,セカンドキャラクター以降の育成時にも役立つ。ランクアップさせるには,これまた冒険時に得られるレアなアイテムが必要で結構大変なのだが,その価値は十分にある。
ちなみに,CBTでは行動できるエリアが限られており,モンスターからのドロップ品の性能はすぐに頭打ちしてしまう。しかし鍛冶屋のランクアップを重ねることで,レベルキャップ以上の品を入手することも可能だった。基本的に,陳列されるのは通常のマジックアイテム(=名前が青色)ばかりなのだが,そんな中にレアグレード(=名前が黄色)を見かけた瞬間などは,思わず脳汁がほとばしってしまうこと請け合いである。
Diablo IIIのアイテム合成&鍛冶屋のランクアップは,ハマる人が続出するはず。ランクに比例して,周りにある施設も少しずつ充実していく |
合成できるアイテムの一覧に“レア”属性を発見。こういったステータス画面とにらめっこしながら,装備品をアップグレードしていくのはやっぱり楽しい |
●その他あれこれ
各クエストにおける目的地は,ミニマップ等で分かりやすく表示される。ストーリーの内容さえ気にしなければ,英語を読まずともプレイ可能だ |
ファーストインプレッションとしてお届けする内容は以上である。現在プレイできる範囲そのものは広くはなく,ボスのLeoricを倒すだけなら,初プレイでも3〜4時間もあればクリアできるかもしれない。しかし,たとえクリアしたとしても,Public Gameに繰り返し参加してキャラを育成したり,鍛冶屋のランクアップにいそしんだりしてしまう。麻薬的な魅力は相変わらずといったところで,Diabloシリーズの最新作と呼ぶに相応しい出来栄えだと思える。
Diablo IIIのサービススケジュールは今のところ未定だが,現在行われているCBTのテスター枠は,今後も随時拡張されると思われる。興味がある人は,Blizzardのアカウント管理ページ“Battle.net 2.0”を通じて,忘れずに申し込み登録を行っておこう。
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