「テイルズウィーバー」で2015年夏に大型アップデートが実施。最大のエリア「必滅の地」と，2つの新システムについて開発チームに聞いた

　ネクソンがサービス中のMMORPG「テイルズウィーバー」。2015年5月23日に開催されたオフラインイベント「ネニャフル学院祭2015」では，2015年夏に行われる大型アップデートの情報が公開されたが，今回4Gamerでは，開発スタッフからこのアップデートのさらに詳しい話を聞くことができたので，さっそくお伝えしよう。答えてくれたのは以下の3名だ。

• 開発室 室長 チェ・ヒジン氏
• 企画チーム チームリーダー イ・スンボ氏
• グラフィックチーム チームリーダー キム・セフン氏

「異空間へのゲート」と2つのダンジョンでプレイヤーに新たな体験を提供

4Gamer：
　本日はよろしくお願いします。まずは2015年夏のアップデートがどのような内容になるのか，あらためて教えてください。

チェ・ヒジン氏（以下，チェ氏：）：
　このアップデートでは，これまでのテイルズウィーバーとは異なる体験をプレイヤーに提供することをコンセプトに，新エリア「必滅の地」を用意しました。

キム・セフン氏（以下，キム氏）：
　必滅の地は，かつて魔法王国「ガナポリー」が存在していたという設定のエリアです。

4Gamer：
　原作「ルーンの子供たち」では「滅びの地」として登場する場所ですよね。

グラフィックチーム チームリーダー キム・セフン氏

キム氏：
　そうです。必滅の地には，原作同様に魔法使いによって作られた魔法人形が登場するほか，魔法の呪いによってアンデッド化した人達や，ガナポリーを滅亡させた機械生物などのモンスターも出現します。またボスモンスターは，異界にいる生物や神話に出てくるような怪物を意識してデザインされています。

イ・スンボ氏（以下，イ氏）：
　ゲーム的な位置付けを説明すると，必滅の地はテイルズウィーバー史上もっとも広いエリアとなっており，モンスターの群れが点在しています。そういったモンスターの中から「チャンピオンモンスター」を見つけ，これを討伐すると「異空間へのゲート」が開くというのが必滅の地の特徴です。
　異空間には「ボスゾーン」と「モンスターゾーン」，そして「特別ゾーン」の3タイプが存在し，プレイヤーがどこに飛ばされるかは完全にランダムとなっています。

必滅の地（左）と異空間（右）のコンセプトアート

4Gamer：
　それぞれのゾーンは，どのようなものになるのでしょう。

イ氏：
　まずボスゾーンでは，5種類のボスモンスターと戦えます。もし1日で5種類すべてのボスを倒してしまったら，その日はもうボスゾーンに行くことはできなくなります。
　モンスターゾーンは，通常フィールドよりも経験値やゲーム内通貨を多めに獲得できる場所です。まだ調整中ですが，一定時間の経過か，モンスターを一定数倒すなどの条件を満たすと，通常フィールドに戻されます。
　そして特別ゾーンについては，ぜひ実際にプレイして内容を確かめてほしいのですが，非常に良い報酬を用意しています。ただし，低い確率でしか進入できません。

4Gamer：
　いずれのゾーンに飛ばされても，それぞれメリットは享受できるわけですね。

イ氏：
　そうです。また必滅の地の中央部は，セーフゾーン──つまりプレイヤーの拠点となっています。この中央部では，「封印された宮殿」と「試験の塔」と呼ばれる2つのダンジョンを用意しているほか，外伝ストーリーが展開されます。

4Gamer：
　2つのダンジョンに入るのに，何か条件はありますか？

イ氏：
　今のところ，プレイヤーのレベルによる制限のみにしようと考えていますが，具体的なレベル帯については現在調整中です。これは必滅の地全体に関しても同様になります。

4Gamer：
　それでは，どんなダンジョンになるのか教えてください。

イ氏：
　封印された宮殿は，3～8名のプレイヤーで攻略するレイドダンジョンです。内部には，さまざまなボスモンスターが配置されており，それぞれ攻略法が異なります。また途中にはプレイヤー間の協力が必要な部分もあり，たとえばプレイヤーが3手に分かれて3つの部屋を同時に攻略するような局面も出てきます。


4Gamer：
　その例だと，最低人数の3人でダンジョンに入った場合，1人で1部屋を攻略することになりますよね。かなり難度が高くなりませんか？

イ氏：
　確かに人数が少ないと，それだけ難度は高くなってしまいます。しかし，プレイヤー各自が自分の担当する部屋を早く攻略できれば，ほかの部屋の攻略を手伝えるようにもなっていますから，まったく手も足も出ないということにはならないでしょう。加えて要所ではヒントが表示されますので，それを頼りにプレイするといいかもしれません。
　また封印された宮殿には，攻略メンバーのオートマッチングシステムを用意しました。このダンジョンの参加申請を出しておくと，同じサーバー内で人数がそろったとき，自動的にダンジョンに飛んで攻略できるようになっています。

4Gamer：
　試験の塔についても説明をお願いします。

イ氏：
　試験の塔は，ソロで攻略するダンジョンで，全100階層で構成されています。各階には，これまでのダンジョンで登場したボスモンスターが配置されており，高い階層になるほど強くなっていきます。そして最後の100階には，「トゥタトール」と呼ばれる新しいボスが待ち受けています。

キム氏：
　試験の塔は，ガナポリーの魔法使い達が修練のために作った建造物です。内部には，魔法の実験台として使うためのかかしが設置されていたのですが，トゥタトールはそのかかしが積年の恨みによって狂気を宿し，凶暴化したという設定となっています。

イ氏：
　また試験の塔は，1日につき1階層しか攻略できません。たとえば昨日10階をクリアしたとしたら，今日は11階に挑戦するといった形です。ただし，クリアするまでは何度でも11階にチャレンジできます。100階までクリアするのはかなりの困難となりますが，それに見合った報酬を用意していますので期待してください。


4Gamer：
　それでは，必滅の地の中央部で展開されるという外伝ストーリーについても教えてください。

イ氏：
　外伝ストーリーでは，原作にも登場している「エフィビオーノ」を中心に，なぜ必滅の地が作られたのかが語られていきます。ストーリーは過去，現在，未来の3つに分かれており，どの順番でプレイするかは，任意で選択できます。3つすべての話を見ると，必滅の地がどういう存在なのかを知ることができます。

4Gamer：
　そのほか，必滅の地ならではの特徴はありますか。

イ氏：
　新たに「スイッチシステム」を導入しました。このシステムによって，必滅の地ではある場所でプレイヤーが特定の行動を取ると，新しいクエストが発生するなど，フィールドに変化が起きるようになっています。
　また通常フィールドにも2体のレイドボスを用意しました。これらのボスは，おそらく20～30名のプレイヤーで討伐することになるでしょう。

4Gamer：
　いろいろと新しい試みが施されている必滅の地ですが，プレイヤーにどう遊んで欲しいですか。

開発室 室長 チェ・ヒジン氏

チェ氏：：
　必滅の地の背景にあるガナポリーや中心人物のエフィビオーノについて，原作ではあまり深く言及されていません。それがゲーム内でどのように表現されているのかを楽しんでほしいですね。

イ氏：
　オンラインゲームの醍醐味は，皆でワイワイ遊ぶことです。必滅の地を広いエリアにしたのは，そうしたオンラインゲームの原点にもう一度戻ろうという意図もありました。ですから，ぜひ見知らぬプレイヤーと一緒に協力して，新しいコミュニティを構築してもらえると嬉しいです。

新要素「武器強化システム」「ソウルリンクシステム」が実装

4Gamer：
　オフラインイベントで紹介された「武器強化システム」についても教えてください。会場では，あまり詳しい説明がありませんでしたけれども。

イ氏：
　テイルズウィーバーには以前から武器を強化するシステム自体はありますが，少し内容が難しく，リスクも高いので，とくに新規プレイヤーがなかなか挑戦できないという側面がありました。
　そこで新たに，すべてのレベル帯のプレイヤーが活用できる武器強化システムを導入することにしたんです。もちろん，これまでの努力が無駄にならないよう，新しい強化は従来の強化に上乗せされる形となります。

4Gamer：
　新システムでは，具体的にどのように強化を行うのでしょう。

企画チーム チームリーダー イ・スンボ氏

イ氏：
　プレイヤーが通常フィールドでモンスターを狩っていると，そのレベル帯に合った強化素材が手に入ります。その素材とゲーム内通貨を消費して武器を強化していく形です。このシステムのポイントとなるのは，これまでと違って，強化に失敗しても武器の消失ペナルティがないということです。もちろん素材は集め直さなければなりませんし，運が悪いと強化段階が下がってしまいますが，完全な消失はないので，チャレンジしやすくなっています。
　ちなみに，強化は10段階に設定されていて，強くなるほどエフェクトも派手になるだけでなく，最大まで強化できれば，その武器が「覚醒」します。

4Gamer：
　覚醒ですか。一気にパワーアップしてくれそうな響きですが……。

イ氏：
　実は，覚醒することは決まっていますが，効果はまだ検討中です（笑）。ただ，もちろん強化の苦労に見合ったメリットを用意しますので，楽しみにしていてください。

4Gamer：
　それでは，オフラインイベントで発表されたレベル275武器についても教えてください。

キム氏：
　この武器は，魔法王国として輝いていた時代のガナポリーをイメージしてデザインしています。これまでは高レベル武器というと，どんどん大きくなっていく傾向にありましたが，着用したときの見た目のバランスを考えると，そろそろサイズにも限界が来ています。そこで今回は，スリムなデザインを心がけました。
　まだ公開していませんが，新防具の兜や背中の羽根も同様のコンセプトでデザインしています。

イ氏：
　発表では仮でレベル275武器としてお話をさせていただきましたが，必滅の地のダンジョンのレベル帯と合わせて調整しているので，実装時にはレベルが変更される可能性があります。


4Gamer：
　そのほか，新しいシステムを導入する予定はありますか。

チェ氏：：
　現在，9月に実装できるよう「ソウルリンクシステム」を開発しています。このシステムは，各プレイヤーが使っているメインキャラクターとサブキャラクター1体をリンクさせることで，メインキャラが獲得した経験値の一部をサブキャラに分配できるというものです。
　テイルズウィーバーのプレイヤーは，1つのアカウントで複数のキャラを使い分けているケースが多いですから，そこをうまく使って何かできないかと。

4Gamer：
　確かに，普段使っているキャラで狩りをするだけで，サブキャラも育成できるとなると，喜ぶプレイヤーも多そうですね。

チェ氏：：
　経験値の分配以外にも，リンクさせたときに，たとえばメインキャラのステータスがアップしたり，見た目が変化したりといった効果を持たせることも検討しています。
　またリンクさせたキャラ同士には，新たに「親密度」というパラメータが設定され，これが高まると2人のストーリーイベントが発生します。

4Gamer：
　リンクさせるキャラは自由に組み合わせられるんですか？　全キャラの組み合わせとなると，イベントが膨大な量になる気がするのですが。

チェ氏：：
　もちろん，すべての組み合わせでイベントを用意します。

4Gamer：
　なんと。ボリスとルシアンのような交流の深いキャラならともかく，あまり関連がないキャラ同士のイベントとなると，内容が気になりますね。

チェ氏：：
　そういった原作ではあまり触れられていない部分も，きちんと作り込みます。やはりテイルズウィーバーと言えば，ストーリーが大きな魅力ですからね。ただ，さすがに1つ1つのボリュームは，それほど大きくないですよ（笑）。

4Gamer：
　ちなみに，リンクするキャラを途中で変更はできるのでしょうか。組み合わせによってイベントが違うとなると，いろいろなパターンを観たいプレイヤーもいるでしょうから。

チェ氏：：
　できるようにする予定ですが，リンク可能な人数は制限するかもしれません。

4Gamer：
　それでは最後に，今回のアップデートに期待するプレイヤーに向けて，あらためてメッセージをお願いします。

イ氏：
　繰り返しとなりますが，今回のアップデートは，皆で遊ぶというオンラインゲームの原点を踏まえつつ，皆さんに新しい体験を提供できるよう，開発チーム一同で考え抜いて開発を進めています。
　またデザイン面では，今回は広いエリア，新しい試みということから苦労も多いんです。とくに武器の新強化システムは，2000種類以上の武器すべてに1つずつエフェクトを付けるという大変な作業をしています。がんばって制作していますので，そういった部分にもぜひ注目してください。

4Gamer：
　ありがとうございました。

「テイルズウィーバー」公式サイト