CCP GamesのCEOが語る「EVE Online」日本語化の現状。日本展開をあらためて発表することが明らかに

　アイスランドを拠点とするパブリッシャ/デベロッパのCCP Gamesがサービス中の「EVE Online」は，現在35万人以上がプレイしているMMORPGだ。EVE Onlineは，AIを極力使わないコンセプトのもとに構築されており，政治/経済など，すべてのバランスがプレイヤーの行動によって左右される。どんな小さなアイテム，例えばどこかの小惑星で採掘した鉱石であっても，全プレイヤーの経済活動によってその価格が決まるのだ。もちろん経済活動以外でも，いわゆる海賊行為によって生計を立てる，といったことも可能で，EVE Onlineの世界でできることは多い。
　このようにかなり自由なゲームになっている本作だが，日本人にとって大きな壁となっているのが言葉の問題。というのもEVE Onlineは英語，ドイツ語，ロシア語でサービスされているタイトルであり，システムを理解するのが多くの日本人にとって難しいのだ。


　そこで多くの日本人プレイヤーに望まれているのがEVE Onlineの日本語化で，そのプロジェクトは進行しているはずなのだが，待てど暮らせど一向に実装されない。2009年には日本語版クライアントのテストが行われるなど，それなりに動いているようではあるが，このまま日本語化は実行されないのだろうか，といった不安を抱いている人もいることだろう。
　そこで4Gamerでは，ロサンゼルスで6月7日〜9日に開催されたE3の会場でCCP Games CEOのHilmar Petursson氏を訪ね，日本語化の現状について聞いてみた。

「EVE Online」公式サイト

CCP Games CEOのHilmar Petursson氏

4Gamer：
　宜しくお願いします。「EVE Online」の日本語化プロジェクトは現在も進行しているのでしょうか。

Petursson氏：
　2007年頃から，翻訳や日本で一緒にサービスをするパートナー探しはやっていましたが，日本語のクオリティがあまりよくなく，いいパートナーも見つからなかったので，一旦ストップしていました。ですがその後，2009年ぐらいに再びプロジェクトを動かし始め，いまも進行中です。

4Gamer：
　なるほど。正直，あまり進捗が聞こえてこないので心配していましたが，日本語化のプロジェクトがなくなってしまったわけではないのですね。
　では現在はどのような作業をしている段階でしょうか。といいますか，気になって仕方がないのでスケジュールも教えてください。

Petursson氏：
　今は「サーバラス」というローカライズ用プラットフォームの開発が完了したところで，そこに日本語を入れている段階です。7月からマイグレーションを行い，今年（2011年）のうちには正式に日本語を実装する予定です。

4Gamer：
　まだまだ先の話になると思っていたので，ちょっと安心しました。

Petursson氏：
　ずいぶんお待たせしていますから，なるべく早く実現できるようにベストを尽くします。そうそう，まだ言えないのですが，日本で実績のあるパブリッシャとパートナー契約を結ぶ予定です。


4Gamer：
　以前は，CCP Gamesが直接やるようなことをおっしゃっていましたが，そんな話になっていたんですね。

Petursson氏：
　ただ，まだ具体的な社名は公にできません。正式な発表をお待ちください。　

4Gamer：
　聞こうと思っていたら，先に釘をさされましたね（笑）。では，せめて発表の時期だけでも教えてください。

Petursson氏：
　あくまでも予定ですが，7月上旬には発表できると思います。

4Gamer：
　分かりました，発表を楽しみに待っています。ところで，日本でサービスされるとなると，サーバーはどうなるのでしょうか。

Petursson氏：
　EVE Onlineの面白さは，さまざまな国の人達が同じサーバーで遊ぶことですので，その魅力をなくすようなことはしません。日本人プレイヤーもTranquilityサーバーで遊ぶことになります。

4Gamer：
　それはなによりです。では，拡張パックのローカライズはどのタイミングで行うのかを教えてください。

Petursson氏：
　ドイツ語とロシア語のバージョンでやっているのですが，拡張パックを実装するタイミングでローカライズも完了しています。日本語への対応も同じようにする予定です。


4Gamer：
　では，サポートはいかがでしょう。日本語で問い合わせられるようになると喜ぶ人が多いと思います。

Petursson氏：
　もちろん日本語で大丈夫ですよ。

4Gamer：
　それはアカウント管理を含み，すべてのサポートと考えてよろしいですか。

Petursson氏：
　ええ，そうなります。詳しくお話しすると，アカウントや決済など，プレイに関係ない部分は日本のパートナーが行い，そして，ゲームプレイに関する問題などは我々が対応するといったイメージです。


4Gamer：
　いまの状況と比べればかなり良いですが，ゲームを遊んでいるときに緊急で対応してもらいたいときなどはちょっと困りそうですね……。

Petursson氏：
　心配しないでください。ちゃんと日本語ができるGMも用意します。

4Gamer：
　それを聞いて安心しました。では最後に，日本語化を待っている人達に向けてメッセージをお願いします。

Petursson氏：
　まずは，いままでほとんどサポートしていないのに，遊んでくれている日本人プレイヤーに感謝を伝えたいです。本当にありがとうございます。日本でのサービスが本格化すれば，日本人プレイヤーが増えると思うので，いままで以上に楽しんでもらえると思います。また，日本人プレイヤーが増えることで，我々も学ぶことが出てくると思います。そういった意味で，我々も楽しみにしています。

4Gamer：
　ありがとうございました。



　E3の会場という慌ただしい場所でのインタビューになったため，あまり細かい部分までは聞けなかったが，日本でのパートナー企業が決まるなど，日本語化プロジェクトが進行していることが分かったことは収穫といえるだろう。
　CCP Gamesは日本でのパブリッシャを発表したあとに，あらためて質問に答えることを約束をしてくれたので，さらに詳しい情報を，追ってお伝えする予定だ。

「EVE Online」公式サイト