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[GC 2008#02]「EVE Online」の経済担当が語る「バーチャル世界の現実性」とは
グドムンドソン氏は,膨れ上がるEVE Onlineのゲーム経済で適切な判断を行うために,2007年春に雇用されたばかり。それまではゲーム業界とは何の関連もなく,アメリカで経済学を専攻し,地元アイスランドの大学で教鞭をとっていた経済学者である。
EVE Onlineは,2003年にサービスが開始され,すでに5年が経過している息の長いゲームである。現在では25万人ほどのプレイヤーが,ゲーム世界の宇宙空間で派閥争いをし,資源の採掘や製造,アイテム売買を通して経済活動を行っている。今では,一日に5000アイテム,ゲーム内金額にして2兆1千億ISKの市場価値を誇るという。
すでに運営が軌道に乗った2007年に入社したグドムンドソン氏だが,データを分析していくうちに面白いことに気付いたという。まず,個々のプレイヤーが経済活動をするうえで協調し合えるCorporationの機能がプレイヤーの悲願で実装されたのが,2003年末の頃。さらに,2004年中期にはCorporation同士が連合を組むAllianceへと発展し,より大規模な経済活動が行われるようになった。この頃は,まだ3万人ほどのプレイヤーしかおらず,シャードが無く全プレイヤーが一つの世界で遊ぶEVE Onlineでも,しばらくは十分に満足できるものだったという。
10万人を突破し,EVE Onlineの人口が急速に伸びるにつれ,ゲーム経済は完全に「消費者(プレイヤー)によって100%動かされる市場」になったのだと言う。こうして,さまざまな専門知識が必要となったため,2007年にグドムンドソン氏がCCPへの仲間入りをすることになったというわけである。
現在は,例えば「ゲーム中の,とある鉱石の出現率を増やす」と発表しただけで,実際に実装する前から値崩れが始まるなど,現実世界の市場原理がそのままEVE Onlineで見られるようになっているという。経済学者なら,そんなゲーム世界でさまざまな実験をしたいに違いない,などと筆者は考えてしまうのだが,開発者達が“神の手”とならないためにも,彼は前述のように「我々運営者は掃除人である」という意識を強く持っているのだろう。
CCPの目下の目標は,現在男性7人に対して2人しかいない女性プレイヤーの率を増やしていくことだ。すでに複数の女性デザイナーを雇用するなどして,2009年にローンチされるであろう次期アップデートの準備を進めているらしい。今後の発展が楽しみなMMORPGの一つであるのは間違いないだろう。
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EVE Online
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Copyright (C) CCP 1997-2017
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