「リネージュ2」は6月25日で正式サービス18周年。現状の課題と今後の展開を統括プロデューサー新井氏に聞いた

　エヌシージャパンが運営するPC向けMMORPG「リネージュ2」のライブサービスが，2022年6月25日で18周年を迎えた。


　長期にわたって多くのプレイヤーに愛されてきた本作だが，最前線のコンテンツが楽しめるライブサービス，オープン当時の雰囲気を再現したクラシックサービス，「狩り」にフォーカスし，キャラの成長も速く，カジュアルにプレイできるアデンサービスと，幅広い層の要望に応えながら，今なお進化を続けている作品だ。
　今回4Gamerは，リネージュ2統括プロデューサーを務める新井友和氏に，サービス開始からの18周年を迎えた心境と，これからの展開について聞いた。

――2022年6月10日収録

18周年を盛大に祝うイベントが多数開催中

4Gamer：
　本日はよろしくお願いします。リネージュ2は今年の6月25日で18周年を迎えます。今の時代だと，新成人ということになりますね。

新井友和氏（以下，新井氏）：
　そうですね（笑）。18年は，やはり長い年月です。数多くのゲームが世に出ているなか，無事に18周年を迎えられたのは，プレイヤーの皆様あってのことだと思います。この場を借りてお礼を申しあげます。

4Gamer：
　この記事が公開されている頃には，恒例の周年イベントも始まっていますよね。

新井氏：
　はい。6月15日から約1か月間，18周年を記念したイベントを，ライブ，クラシック，アデンの全サービスで行います。イベント自体は趣向を凝らしたものをいろいろご用意していますが，3サービス共通のものだと，プレイヤーからの絶大な人気を誇る「ブラッククーポン」（※）も配布いたします。

※過去にエンチャントで失敗して失った一部の装備を復旧・交換可能にするチケット。対象となるアイテムはサービスごとに異なる

「リネージュ2」公式サイト
18周年Anniversaryページ

新井氏：
　そのほか，本作は新規や復帰プレイヤーを支援する「ウェルカムプログラム」を行っており，イベント期間中は受け取れる報酬が通常よりパワーアップしていますので，詳細を公式サイトでチェックしてご活用いただけると嬉しいです。

4Gamer：
　では，サービスごとの注目イベントも教えてください。

新井氏：
　ライブサービスでは「18周年記念アモールのプレゼント」が注目のイベントです。NPCアモールから，強力な効果を持つ「18周年チュチュアガシオンチャーム」など，18周年イベントでしか手に入れることのできない貴重なアイテムを入手できます。
　クラシックおよびアデンサービスでは，「18th 特別な秘密商店」イベントを実施します。これは，狩りなどを通じて“交換券”を手に入れ，特定の時間だけ開く「特別な秘密商店」からランダムでアイテムを入手できるというものです。ただし，秘密商店で公開されるアイテムの数に限りがあり，なくなると商店が閉まってしまうので，お早めに秘密商店を訪れてください。


4Gamer：
　商店街の福引きみたいなイメージでしょうか。抽せん器をガラガラ回して特賞を狙うような。

新井氏：
　そうですね。過去に何回か同様のイベントを開催しておりましたが，プレイヤーの皆様が秘密商店に殺到して，開店後すぐにアイテムが売り切れになったこともあり，秘密商店の開店時間の調整などを過去に行った経緯があります。大人気イベントとなるので，時間を調整して秘密商店イベントにぜひご参加ください。

4Gamer：
　周年イベント時期の参加人数はいかがでしょう。いつも通りにプレイするだけで普段よりもアデナ（ゲーム内通貨）やアイテムを稼げるわけですが。

新井氏：
　やはり多くの方が，リネージュ2をプレイする良い機会と捉えているのか，プレイ人数は大きく上昇します。一方，サービスを18年続けているタイトルなので当然かもしれませんが，新規よりも復帰の方が多くプレイしています。

4Gamer：
　長い作品だとなかなか初心者は入りづらいですから。

新井氏：
　そうですね。ですが，リネージュ2は18年という年月でゲーム内コンテンツも大きく変わり，最近は新規や復帰の方々がスムーズにゲームに馴染めるように，キャラクター育成サポートが充実しているんです。18周年イベントと合わせてプレイすることで，より楽しい体験ができると思いますし，これからも毎日遊びたいと思える，魅力的なサービスを提供していきます。

4Gamer：
　前回のインタビューは，昨年9月の大型アップデートの時期でしたが，そこからゲーム内に変化はありましたか。


新井氏：
　プレイヤーの皆さんが作るコミュニティには変化があったように思います。リネージュ2はパーティや血盟など，多人数で遊ぶことがメインのゲームです。しかし，ここ最近の動向を見ると，流入してきたプレイヤーと既存のプレイヤーのコミュニケーションが停滞しているような印象でした。

4Gamer：
　それは，ソロでも遊べる環境になってきていることが原因なのでしょうか？

新井氏：
　そうですね。自動狩りのシステムが実装されていますから，ログインはしているけどプレイヤーは画面を見ていないという状況が発生し，コミュニケーションが取りにくくなっている状況です。
　SNSなどゲーム外でコミュケーションを取っているプレイヤーさんも大勢いますが，ゲーム内の接点がないと，コミュニティへの参加は難しくなってしまいます。

4Gamer：
　ゲーム内の「チャット」がメインのコミュニケーションツールになっているわけですから，難しい問題ですね。

新井氏：
　ええ。ただ，MMORPGとしての面白さ，リネージュ2ならではの楽しみをプレイヤーの皆様に提供したい。そこで出した1つの方策が，今年4月から順次実装している「アディショナルアップデート」なんです。

今年上半期に導入されたアディショナルアップデートの意図

4Gamer：
　アディショナル，いわゆる追加アップデートを行うに至った経緯を教えてください。

新井氏：
　アディショナルアップデートはユーザーケア，つまりプレイヤーの皆様に寄り添う形のアップデートが目的として計画されました。
　リネージュ2は「みんなで一緒に何かをする」ことが楽しみの1つでしたが，流入してきたプレイヤーのキャラクター育成がスムーズに行われていなかったり，既存のプレイヤーを含めたコミュニティ形成やコミュニティ参加に苦戦していたりという部分が見えてきました。
　そこでアディショナルアップデートでは，レベルアップ導線の整備として狩り場の調整や，複数人でプレイすることによるコミュニティ形成や定着促進のためのレイドボス関連の追加や調整を行っています。
　今後もプレイヤーの今の状況に合わせて小まめに変化を提供していく，新しいアップデートを重ねて行きたいと思います。

4Gamer：
　アディショナルアップデート導入の際，「プロデューサーレター」として説明もありました。アンケートも取っていたようですが，プレイヤーからどんな意見が出ているのでしょうか。

「リネージュ2」公式サイト
プロデューサーレター

新井氏：
　多かったのはクラス調整に関わる内容で，プレイヤーの皆様が遊んでいるメインクラスや敵対するクラスへのご意見などが見られました。
　クラス調整については，アップデートでさまざまなアイテムやスキルが追加されたことで，攻撃力やスキル効果のインフレにより，クラスバランスが偏っていることが問題となっています。その問題を解決するために検証や協議を重ね，全体的なバランス調整を行う方向で進めることを検討しています。
　そのほかのご意見に関しても，可能な限り対応できるよう努力していきますので，今後のアップデートにぜひご期待いただければと思います。

4Gamer：
　アディショナルアップデートで終わりというわけではなく，長期的にユーザーケアを行っていくことになりそうですね。

新井氏：
　はい。今年の秋に大きなアップデートを予定していますが，それまでの期間はユーザーケアを最優先していきます。

4Gamer：
　ライブサービスは「大人数でプレイしたい人向け」，クラシックサービスは「じっくり育成を楽しみたい人向け」，アデンサービスは「ソロプレイを楽しみたい人向け」といった具合に，プレイの指針がアナウンスされています。プレイヤーの動向も変わってきている中で，これらの指針は狙ったとおりに機能しているのでしょうか。

新井氏：
　ライブサービスは長く運営しているものなので，復帰されるプレイヤーが一番多く，指針どおり大人数でプレイしたい方にオススメです。
　クラシックサービスは，古き良きリネージュ2がそのまま楽しめるサービスで，じっくりとキャラクターを育成できる環境が整っています。さらに，ゲーム内では既存プレイヤーが中心となってレイドボスツアーなどを企画したりして，サーバー別に文化の違いもあって，ワイワイとゲームを楽しめるサービスでもあります。
　アデンサービスは，育成マネジメントがメインのサービスになっており，プレイヤーサポート機能がとても充実しているので，長時間ゲームをプレイできない方でもスムーズな育成が可能なサービスです。
　ちなみに韓国では，アデンサービスの人気が非常に高い状況なんです。

4Gamer：
　韓国でアデンサービスが人気である理由は，どこにあるとお考えでしょうか。

新井氏：
　韓国で「リネージュM」が爆発的にヒットし，そのリネージュMと同じプレイヤーサポート機能が実装されたアデンサービスが注目され，かつてリネージュ2をプレイしていた人がこぞって復帰した，というのが背景になります。

4Gamer：
　なるほど。

新井氏：
　サービスの違いに関わらず，私たちとしては「集中する1時間」をゲームに取り入れたいと考えています。普段は自動狩りを行いながら，1日1時間程度，手動で遊んで満足感が得られるようなコンテンツですね。

4Gamer：
　先ほど話に出たレイドボスのような，短時間で集中して遊べるコンテンツを大事にしていく，と。

新井氏：
　そうです。レイドボス討伐については，一緒に行ける人を探して待っている間に，すでに参加しているメンバー間で雑談したり，ドロップしたアイテムをゲーム内でオークションしたりするなど，プレイヤー間でさまざまなコミュニケーションが取れるコンテンツです。なので，今後も大事にしていきたいと思っています。そのほかに，狩りなどの調整も進めて行きたいと思っています。

4Gamer：
　コミュニティ関連だと，昨年実装した専用の“キャラクターネーム”で挑む「ディスローン」が面白い試みだと思ったのですが。

新井氏：
　サーバー間競争型コンテンツとして実装したディスローンですが，非常に好評です。今後のアップデートで拡張と調整を予定していますので，楽しんでいただければと思います。

4Gamer：
　2022上半期のアップデートは，ユーザーケアを含めゲームバランス改善が中心の印象を受けましたが，意図していることがあれば教えてください。

新井氏：
　運営チームとして，日々ゲーム内のデータを集計し，統計の確認を行っており，ここ1年，コミュティ形成手段の減少と，コンテンツ消費の速さが問題になっていることが明らかになりました。2022年上半期のアップデートは，この2つの問題を解決すべく，本来のアップデートとは別に調整すべきと考えて実施したものです。

4Gamer：
　遊んでいる環境が異なるので，アップデート内容に良し悪しが出てしまうこともあるかもしれませんが，細かくゲーム内状況を分析して修正をしてもらえるのは嬉しいことです。

新井氏：
　そう言ってもらえるとありがたいです。より多くの人に納得してもらえるよう，今後も調整は続けていきます。

2022年秋に次期大型アップデートを実装予定

4Gamer：
　では，今秋に行われる予定の次期大型アップデートについて教えてください。

新井氏：
　ライブサービスではサーバー競争型のワールドレイドボス「バイウム」追加と新システムとなる「英雄の歴史書」の追加を，アデンサービスでは新規フィールドレイドボスの追加，クラシックサービスでは狩り場の調整などを予定しています。

4Gamer：
　英雄の歴史書というのは，どういったものですか？

新井氏：
　専用のユーザインタフェースを使ったシステムで，一部の装備アイテムや専用アイテムを材料にすると「英雄の歴史書」を成長させられます。成長させる専用アイテムは，狩り場などで入手が可能です。「英雄の歴史書」が成長していくと，防御力や獲得アデナの上昇など，さまざまなステータス向上効果が得られます。

4Gamer：
　ステータスが伸びるのであれば，確実に注目されるシステムになりそうです。最後に，リネージュ2を楽しんでいるプレイヤーに向けてメッセージをお願いします。

新井氏：
　18周年を迎え，リネージュ2は記念すべき日を祝うべくたくさんのイベントを用意しています。今の時代に合った機能も追加され遊びやすくなったリネージュ2に，久しぶりにログインしてみてください。これからも皆さんに愛されるゲームになるよう運営を続けてまいりますので，引き続きよろしくお願いいたします。

4Gamer：
　本日はありがとうございました。


　なお，今回のインタビュー収録にあたり，ゲーム内アイテムが入手できるクーポンナンバーを用意してもらえた。使用期限は明日（2022年7月13日）の定期メンテナンス前と短くなっているので，さっそくナンバーを確認して，下のリンクボタンから飛べる公式サイトの登録ページで入力し，アイテムを手に入れよう。

「リネージュ2」公式サイト
クーポン登録ページ

「リネージュ2」公式サイト