インタビュー
「ラグナロクオンライン」2022年ロードマップインタビュー。4次職に新PvEコンテンツ,新エピソードと実装と,20年目のROは熱い!
「バトルコロッセオ」でRJC復活なるか? 2022年のYggdrasillワールドはPvEコンテンツに注力
4Gamer:
では続いてYggdrasillワールドに関するアップデートについて教えてください。
山本兼寛氏(以下,山本氏):
中村に代わって私から,PvPについて2点ほどお話しようと思います。
1つめは新PvPコンテンツの「バトルコロッセオ」です。9月からテストを行っており,正式実装を目指して進めています。認定戦と臨時戦の2つのカテゴリーで,職業被りなしの5人対5人で戦って,先に相手全員を戦闘不能にするか,人数で勝っている方が勝ちとなる,Ragnarok Online Japan Championship(以下,RJC)に近いコンテンツになっています。
※Ragnarok Online Japan Championship(RJC)……ROのシステムをベースに競技性を高めたルールで行われた日本一のギルドを決める多人数vs多人数のPvP大会で,2005年から2015年まで開催された。世界中のギルドを集めて戦う「Ragnarok World Championship(RWC)」も開催され,RJCで選ばれた日本代表チームが世界一に輝いたこともある。
4Gamer:
バトルコロッセオは,運営チームの内部から持ち上がった企画ですか。それともプレイヤーの要望を受けて開発されたものですか。
実はですね,Yggdrasillワールドを作ると決まってからずっと,隙を見てどこかで作ってやろうと狙ってたんですよ。
4Gamer:
それはつまり今年実装しようと予定されていたものではなく,昔からコツコツ進めていたものが出てきたと?
山本氏:
はい,少しずつ進めていたんです。大変申しわけないのですが「蜃気楼の塔YE」の“Extra”と“Inferno”は,BaseLv200解放との同時実装が決まっているので,実装はもう少し先になります。ですので,それまでの間のスケジュールが空きますよね。
4Gamer:
つまり余裕ができた,と。
山本氏:
余裕ができたというか「今作らなきゃ,いつ作る」となりまして,テストではありますがバトルコロッセオをお出ししたんです。
4Gamer:
なるほど。評判はいかがですか。
山本氏:
まだテスト中で報酬はあまり出していないので,ぼちぼちという感じですね。というのも,報酬を出してしまうと5vs.5ですからアビューズ行為(※)がすごくしやすいんです。
※友人や知り合いと打ち合わせて対戦して,不正に報酬を獲得する行為など。
4Gamer:
すぐに対戦を終わらせられるから回転も早い,と。
山本氏:
ええ。なので報酬はその対策がちゃんと効いているか動いているのを確認してからにするつもりです。
4Gamer:
一方で報酬を出さないと人が集まらず,データや確認が取れない気もします。
山本氏:
臨時戦はマッチングシステムでメンバーを集めるため,単身で参加できるんです。そのマッチングシステムが,ちゃんと職業を被らせず抽出してマッチングできるかの確認が必要だったのですが,幸いなことに協力してくれるプレイヤーさんがいてくださったおかげで,システム上問題ないことが確認できています。
2021年末から報酬付きのテストを再開する予定なので,より多くのプレイヤーさんがテストに参加してくれるのではと期待しています。
4Gamer:
問題がなければそのまま正式スタートになるのでしょうか。
山本氏:
テストの報酬を渡す期間を設けていて,その間にいくつか,スキル仕様面の確認や,本実装した時にどのルールがいいかというのを確認します。それが終わったら正式スタートになります。
4Gamer:
現在は機能的なものに問題はなく,どのバランスやルールの選択,報酬のレベルを調整している,といったところですか。
山本氏:
バランスについては,現在全部のアイテムをレンタルで賄っていますが,それだと自分で装備を集める要素がなくてつまらないというプレイヤーさんもいらっしゃるんです。レンタル品とプレイヤーさん自身が集めた装備品の性能差,そして職業差などのバランスの確認と調整もテストの一環ですね。
4Gamer:
なるほど。では,いつ頃の正式実装を予定しているのでしょうか。
山本氏:
テストと調整次第というところもありますが,現在の作業の流れを見ると第2四半期中には行けるんじゃないかと思います。
4Gamer:
報酬にはどのようなものが?
山本氏:
勝ったら昇段,負けたら降格といった感じの称号システムが実装されていて,頂点に届いたら名誉になるような衣装や称号をプレゼントしたいです。
4Gamer:
となると,シーズン制を取り入れる形になるのでしょうか。
山本氏:
シーズン制というより,そもそも段位を50段階まで用意しているので,ほぼほぼ頂点になるのは難しい状態です。
4Gamer:
頂点に立つ条件は勝利数?
山本氏:
連勝数が条件です。頂点に至るには生半可な連勝数では届かないので難しいでしょう。それも含めてのテストですね。
4Gamer:
それなら自分の装備で,パーティを組んで参加したいというのが理解できます。
山本氏:
もちろん,個人で参加する臨時戦にも同様の段位はあるんですが,どうしても一期一会で組んだパーティ次第になるので勝てないとこともあるじゃないですか。例えば,自分以外の全員が支援系だったら,絶対に火力が足りません。
4Gamer:
同じ職でも育成タイプが違うと,戦い方も戦力も異なりますからね。
山本氏:
一緒に遊ぶメンバーがいるなら認定戦をされたほうがいいですし,自分1人しかいないなら臨時戦に参加して対戦を楽しむ。プレイ環境に合わせて,いろいろな遊びをしていただければと思います。
あと,コロッセオはYggdrasillワールドならではの機能として,神父というNPCからコードの入出力が可能になります。
コードはキャラクターのスキルや装備品などを記録したもので,NPCに話しかけるとコードが出力され,逆にNPCにコードを入力すると,元となったキャラクターの装備品やスキル,所持している消耗品が丸々コピーされたキャラクターが生成できるんです。
4Gamer:
なんだかファミコン時代に戻ったような感じですが,すごく便利そうです。いわゆる,キャラのパスワードですよね。
山本氏:
ベースとなる職業が同じじゃないと反映されませんが,対戦前の準備の手間が大幅に軽減されます。対人プレイヤーのなかでも,トップには及ばなくてもそれなりの腕前がある。にもかかわらず装備を集める時間がないという人は,装備をレンタルする代わりに友人からコードをもらって入力すれば,本格的な装備でプレイできるんです。
4Gamer:
なるほど。便利なのは分かりましたが,結局その職業のその育成タイプに精通していないと使いこなすのは難しそうです。
山本氏:
その点は確かにおっしゃるとおりですが,遊んでみるにしても一から装備やスキルを用意し始めると2時間近くかかってしまいます。でも,コードを使えば1分で準備が終わるので,すぐに準備が終わるならやってみようかなという気になってもらえるんじゃないかと期待しています。
対人戦を楽しむ方の周りには,ひとりふたり面倒見の良かったり,すごく詳しかったりするプレイヤーがいると思うので,そういう方にぜひ頑張っていただきたいですね。
4Gamer:
それこそ公式サイトで,全キャラのテンプレコードを掲載してアピールしてみるのもいいかもしれませんね(笑)。
山本氏:
もう1つは「ラグナロクジャパンシージウォーズ(RJS)」についてです。引き続き2022年も1月,5月,9月の計3回を実施予定です。
4Gamer:
春にはないんですね。
山本氏:
1大会あたり10週で組んでいて,4回だと40週。切り替えや発表の時期も含めると48週ぐらいになってしまうんです。となると,残りの期間が3週間ほどしかなく,その短期間では大会終了後にギルドを組み替えたりするには時間が足りない,もっと時間が必要だと切実にお願いされまして。
4Gamer:
なるほど。
山本氏:
大会が終わって2週間後に次の大会が始まったら,ほかのギルドと試しに組むこともできないし,新しい人の様子も見られないので困ると以前の勝利者インタビューでお聞きしたことがありました。そうした2,3週戦ってみないと分からないというプレイヤーさんの意向も汲んで,大会と大会の間に4週間ぐらいの間が作れる年3回ぐらいがベターかなという結論になったんです。
4Gamer:
2022年のルールは,2021年のものと同じですか?
山本氏:
基本的には同じですが,まったく同じでも良くないと思っているので若干変更するかもしれません。また,どこかでリーグ戦のようなものもやりたいと思っています。参加ギルドを2つのリーグに分けて総当たり戦を行い,トップ同士の決勝戦を行うとか,Jリーグの1部2部のような形でそれぞれ総当たり戦を行って,1部の下位と2部の上位で入れ替え戦をやるとかですね。プレイヤーさんの動向を見ないと,なんとも言えないところですが。
4Gamer:
バトルコロッセオをRJSに組み込むといったことは?
山本氏:
バトルコロッセオの大会を開くとしたら,RJCに近い形になると思っています。いまはオフラインで大会が開けないので,システムが安定したらオンライン大会を開催したいですね。
4Gamer:
それはRJSとの同時開催ですか?
山本氏:
たぶん時期はずらして実施することになると思います。そもそもバトルコロッセオを作った理由がそういう大会をやりたいという想いからなので,ぜひ開催したいですね。
4Gamer:
「自分が見たい!」といった感じでしょうか。
山本氏:
そうです,僕が見たいのはもちろんですが,RJCを復活させてほしいという要望もプレイヤーさんから多くあったんです。僕らもやりたいのにできなくて,ようやく開催できそうなものが作れそうです。
4Gamer:
バトルコロッセオによるRJC復活に期待したいです。
山本氏:
次に,YggdrasillワールドのPvE関連についてですが,2020年は蜃気楼の塔YE以外,RJSやバトルコロッセオ,攻城戦TEとけっこう対人色が強かったんです。
4Gamer:
攻城戦TEは,模擬戦という形で実装されましたね。
山本氏:
はい。なので来年はPvEにも力を入れようと思っています。まずは春に蜃気楼の塔YEにInfernoとExtraを実装します。
4Gamer:
先ほどのお話にあったBaseLv200解放にアップデートと同時実装という奴ですね。
山本氏:
もうひとつ,2020年に調整を行ったモンスターハウスですが,さすがに古いコンテンツで描画負荷も厳しいので,急遽,というほどでもないですがYggdrasillワールドに引っ越しする予定です。
4Gamer:
引っ越し&改修といったところですか。
山本氏:
ルールは現在のものを踏襲しつつ,システム自体をリニューアル。出現するモンスターはYggdrasillワールドに合わせて調整した形でYggdrasillワールド版モンスターハウスとして実装する予定です。時期は夏,第2四半期を予定しています。
4Gamer:
「描画負荷が厳しい」のはスキルの描画負荷の問題で,4次職実装時のスキル調整で解消されるのでは?
スキルだけではなく,モンスターハウスはNPCの数がものすごく多いんですよ。そのままYggdrasillワールドに持ってくるには負荷が高すぎるので,ちゃんときれいにカスタマイズしてお出ししよう,と。
そしてモンスターハウスの移植によって,Yggdrasillワールドを建てたときに移植したいと言っていたコンテンツが,ついに全部揃うことになるんです。
4Gamer:
ようやく,といった感じですね。
山本氏:
ええ。4年越しの達成になります。ですから,2022年には必ずやり終えたい仕事なんですよ。
4Gamer:
目標を達成した,となるとその次はいよいよ新コンテンツですか?
山本氏:
まさにその通りで,ギルド単位で遊べる新しいPvEコンテンツを予定しています。今,ギルドという限られたコミュニティで参加できるコンテンツってほぼないんです。ギルドでどこかに行こうとしても,人数制限で参加できないプレイヤーも出てきてしまう。そういうプレイヤーが出ない,ギルドメンバー全員で遊べるコンテンツがあったほうがいいだろうというのが企画の発端です。
4Gamer:
ギルド単位でプレイできるコンテンツとなると,ギルドダンジョンンぐらいですね。あれは,まだ機能しているんですか?
山本氏:
かなり古いコンテンツですが,神器クエストがあるので一応まだあります。しかし,それを除くと攻城戦ぐらいしかないので,新たにギルド向けのPvEを追加したいんです。難度的には4次職に合わせたエンドコンテンツで,気持ちとしては年末には間に合わせたいところですね。
4Gamer:
第4四半期がさらに大変になったと思うのですが,2022年の年末は大丈夫ですか。
山本氏:
結構危ういですけど,意気込みとしては「頑張ります!」という感じです。
4Gamer:
ギルドメンバーが参加できるというコンセプトからすると,人数制限はほぼない?
山本氏:
参加人数はギルド最大人数の56人までです。Yggdrasillワールドで遊べるコンテンツなので,いろいろなサーバーのギルドと連合を組んでプレイしていただいても結構です。そもそもYggdrasillは特殊なワールドなので,通常ワールドではできない特殊なギミックを入れるなどして,長く遊べる,攻略して楽しんでいただけるコンテンツにするつもりです。
4Gamer:
クリア報酬はどのようなものがありますか。
山本氏:
報酬は専用のものを用意する予定です。それなりのアイテムは用意したいですね。
4Gamer:
ギルドコンテンツとして実装するなら,クリア報酬は記念品になるようなものも欲しくなるのでは,と思うのですが。
山本氏:
深淵の回廊でクリアした人に「[衣装] Top Player」を渡していますが,そういったものを完全クリアしたときにギルドにプレゼントするとかもいいと思っています。クリアの証みたいなのがあれば欲しいですからね。
4Gamer:
いま「完全クリア」という言葉が出てきましたが,そういうコンテンツなんですか?
山本氏:
現在でも深淵の回廊に深淵の闘技場というコンテンツがありますが,そっちも完全クリアはとても難しくて,まだ1パーティぐらいしか達成できていないんじゃなかったかな。
中村氏:
2パーティじゃない?
4Gamer:
それでも2パーティなんですね(笑)。
中村氏:
ほかにも,深淵の回廊でボスドロップを狙うなら,ゴールのボスだけを倒してクリアすればいいんですが,完全クリアを狙うとすると,すべてのマップを踏破して,必要なものをすべて手に入れたあとにボスを倒さなくてはならないんです。
4Gamer:
つまり,ギルド向けの新コンテンツはそういうタイプのものになると。
山本氏:
どちらかというとティアマト攻城戦に寄っていると思います。フィールドがあって,モンスターを倒しつつギミックをクリアして,ボスを倒す。ただギミックが特殊だったり,人数が56人で制限されていたりというのが違う点ですね。
週2で開催されているティアマト攻城戦YEは,奥のモンスターを倒しに行ったり,すべてのスイッチを入れたりとみんなで手分けして100%攻略ができる状況になっています。ギルド向けの新PvEコンテンツもそういった協力要素というか,倒すだけじゃなくて,いろいろな仕掛けを動かして同時に進めましょうという形でクリアを目指すコンテンツになればいいなと考えています。
4Gamer:
分かりました。では,最後にROファンへメッセージをお願いします。
山本氏:
4年もお待たせしたモンスターハウスが,ようやくYggdrasillワールドにやってきます。そのほかにも新しいPvEコンテンツを徐々に増やしていきたいので,楽しんでいただければと思います。また,バトルコロッセオも新しい対人コンテンツとしてはやらせていきたいので,以前にRJCに出場していたプレイヤーさんもこの機会に復帰して,活躍していただければと思います。ぜひよろしくお願いします。
中村氏:
2022年で20年周年を迎えるROですが,そこでROが終わるのではなく,この先も長く続けていく節目だと考えています。この20年,いろいろなチャレンジをしてきましたが,20周年を迎えたからこそできるチャレンジもいっぱいあると思います。そういった新しい部分をプレイヤーさんにお見せして,またゲームにログインしていただければ良いなと。
そして,ROはゲームであると同時にサービスであるということも忘れてはいけないと考えています。
東日本大震災のときは,計画停電などもあってゲームを運営するのは厳しい状況でしたが,ROを通して無事の確認をしたい人もいるかもしれない。だから絶対落としちゃいけないという思いでサービスを行っていました。昨今ではコロナ禍でなかなか外出できず,ゲーム内でコミュニケーションをとるプレイヤーさんも多いのではないかと思います。
プレイをしなくともROで会って,お互い無事で良かったという確認に使うのも全然いいと思ってます。これからもゲームとして,そしてコミュニケーションツールとしてROを活用していただければ嬉しいですし,これからもROがそういう方々が集まる場になってくれればと思いますので,2022年もどうぞよろしくお願いします。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
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