インタビュー
新ワールド「Breidablik」では「ラグナロクオンライン」の10年間が追体験できる。10周年記念「βプロジェクト」の正体とは
では,Breidablikだとどれくらいでレベルキャップまで成長するんでしょうか。
中村氏:
だいたい週5時間ぐらい遊べば,ちょうど1か月ぐらいで到達できると思います。
4Gamer:
なるほど。個人的には既存ワールドと同じでも良さそうですけど。レベルキャップに到達したら,新しいキャラクターをたくさん育てられるじゃないですか。
中村氏:
実はそのキャラスロットですが,当初は3つです(現在のワールドは12スロット)。
4Gamer:
ああ,そうでした! そこも当時を再現しているんですね(笑)。
田口氏:
はい。キャラスロットの数は,アップデートが進むと増えていくことになると思います。
4Gamer:
分かりました。キャラクターの成長に関係するところで,転職関連のクエストについてはどうなるんですか。例えば1次職の転職クエストは,既存ワールドにはもうありませんよね。
中村氏:
そうですね。Breidablikでも,1次職転職クエストは入っていません。
田口氏:
1次職転職は,それぞれの職業に転職できる各街に転送できるようにし,そこでNPCに話をすれば転職できるようにします。ただ,テコンキッド系や忍者,ガンスリンガー,スーパーノービスといった特殊1次職には転職できません。
4Gamer:
では,2次職や上位2次職への転職はどうでしょう。
中村氏:
2-1次職と2-2次職は同時に転職できる予定です。こちらはしっかりと転職クエストを行ってもらう予定ですが,クルセイダーやダンサーなど,過去に転職待ちの長蛇の列ができていたことがあるので,調整を行う可能性もあります。
田口氏:
転生についてですが,プレイヤーの皆さん全体の経済状況によっては,転生金額を多少緩和するかもしれません。
4Gamer:
それは嬉しいかも。zeny集めが大変でしたし……。
田口氏:
zenyの話になったので合わせてお話ししておきたいのですが,ラヘルの献金クエストなどダンジョンに入るのに前提クエストをクリアする必要があるものは,クエスト自体を免除するアイテムを用意する可能性があります。
4Gamer:
ラヘルの献金クエストは,クリアまでに多大なzenyと時間が掛かりますから,それは助かります。そのほかのダンジョンも,同じようにアイテムで入れるんですか?
田口氏:
機械工場や生体工学研究所といったダンジョンなどがそうですが,これらについては,クエストをただ免除するのではなく,クエストをクリアして入ってもいいし,免除するアイテムを使って入ってもいいという形になると思います。あと名も無き島については,ゲームバランスの関係上実装そのものを検討しています。
中村氏:
ダンジョンやマップの実装については,現状のバランスを考慮する必要があるので,当時のアップデート順とは多少前後する可能性もあります。例えばグラストヘイムですが,今と昔とでは対象レベルが違うので,現在のバランスのままで順番に実装しても,実装時に狩りができませんから。
4Gamer:
確かにそうですね。
中村氏:
あと,カプラサービスに転送がありません。
4Gamer:
そうなると,久しぶりにポタ屋(プレイヤーがワープポータルスキルでお客を転送する商売や楽しみ方)が復活しそうですね。
中村氏:
ワープポータルを使用するのに必要なブルージェムストーンもゲフェンでしか購入できませんから,行商も盛んに行われることになるかもしれません。
田口氏:
オープン当初は1次職だけなので,ブレッシングや速度増加などの支援スキルと,ワープポータルが使えるアコライトの偉大さを再確認できると思いますよ。
12月には通常ワールドへのアカウント移行を予定
10周年だからこそできる新しいROの息吹を感じてほしい
4Gamer:
ここまで話を聞いてきて,既存のROプレイヤーも楽しめそうだと思いました。当時の懐かしさにまた触れてみたいというか。
そうですね。Breidablikのメインターゲットになるのは,新規プレイヤーはもちろんですが,βテスト時代など初期にROを遊んでいたけど,自身を取り巻く環境の変化などでプレイを止めてしまっていたり,いまはプレイをお休みしていたりという方々になります。当時の懐かしさを味わえる要素がたくさん入っているのは,そのためですね。逆に新規プレイヤーにとっては,2002年以前のMMORPGの姿は,すごく新鮮に見える要素だと思うんですよ。
4Gamer:
いまのMMORPGの至れり尽くせりなチュートリアルだったりを考えると,かなり不親切に感じるかもしれませんよ。
中村氏:
だからこそ生まれるコミュニケーションが魅力ですし,我々も人力で親切に対応します。
4Gamer:
いまのプレイヤーが,その世界をどう見るのかは興味深いです。ちなみに,Breidablikは半年をかけてアップデートしていくんですよね。アップデートが追いついたときは,通常のワールドとして運営されていくんでしょうか。
中村氏:
Breidablikの公開自体は,RO10周年の期間中,つまり11周年を迎える12月の頭までになります。
4Gamer:
ということは,2013年12月1日にBreidablikは閉じてしまうんですか?
中村氏:
12月1日は日曜日ですし,メンテナンス日ではないので多少ずれるとは思いますが,12月の第1週に一度閉じることになります。もちろんただ閉じるのではなく,既存ワールドへの移行など,プランは用意しています。
4Gamer:
移行は,ワールドエクスチェンジサービスのように,各プレイヤーが行きたいワールドを申し込むというものなんでしょうか。
中村氏:
これについては,いくつかのプランを想定しています。例えばBreidablikだけで数千人のアクティブなプレイヤーさんがいるなら,そのまま既存ワールド化したほうが良い,ということになります。
逆にそこそこの人数であるならば,既存のワールドと合併させるかもしれませんし,各プレイヤーさんが移動先のワールドを任意に選べるようになるかもしれません。こればかりはワールドの様子を見ないと分からないので,どのプランを採用するかは未定となっていますが,可能な限りキャラクターの状態を維持したまま,プレイが続けられるようにします。
4Gamer:
それなら,もし移行になっても安心ですね。既存ワールドへの移行ということは,基本プレイ無料もそこで終了となるんですね?
中村氏:
そうなります。
4Gamer:
では,Breidablik閉鎖と同時に移行できるのでしょうか。プレイヤーとしては,できるだけ少ないタイムラグでプレイを続けたいでしょうし。
中村氏:
採用するプランにもよるので,若干タイムラグが出るかもしれません。既存のクライアントにこだわったのも,引き続き遊んでもらえることになったときに混乱せずプレイしてほしいからです。
4Gamer:
クライアントが違ってログインできなかったりすると,初心者は混乱しそうですよね。既存クライアントのダウンロードとインストールが必要となったら手間もかかりますし。
中村氏:
ええ,そういう理由もありますね。
このようにBreidablikは,10年前のことを知らない方にも,βテスト時代に,どんな面白さがあったのか知ってほしい……そういう想いが込められたワールドです。そして,先行登録キャンペーンやボスハンティング(仮称)といった,数々の施策を含めたすべてが「βプロジェクト」に含まれています。
4Gamer:
Breidablikワールドだけではなく,その内外で行われる企画すべてが「βプロジェクト」なんですね。
中村氏:
そうです。その一環として,現在のROの公式サイトとは別にBreidablik専用の公式サイトを作り,そこに読み物的な感じで過去のROの様子を紹介していこうと考えています。
Breidablikの公式サイトでは,マップやそこに出現するモンスター,アイテム,街の詳細などといった基本的な情報はもちろん,攻略本やプレイヤーさんが有志で作られているデータサイトに載っているようなデータまで,すべて掲載する予定です。さらに各職業の紹介やその育成タイプ,タイプ別の狩り場などの攻略情報も掲載します。
初めてROに触れるプレイヤーさんでも,公式サイトを見れば情報が分かりますし,楽しみ方も分かります。
4Gamer:
確かに,ROの情報を個人的に調べようと思っても,10年分の膨大な情報のどれを見ればいいのか迷うと思うので,公式にまとまっていると分かりやすいですね。それでは最後にBreidablikオープンを待つ読者にメッセージをお願いします。
中村氏:
ROは10年間,いろいろな楽しさを積み上げてきました。その原点となる楽しさと,新しいROの姿がBreidablikには詰まってます。僕らもすべてのパワーを注ぎ込んで,皆さんが楽しめるようなワールドを提供し続けていきたいと思ってます。ぜひ一度,Breidablikへログインしてみてください。
田口氏:
Breidablikは,プレイヤーさんの皆さんと一緒に成長していくワールドです。皆さんの意見も取り入れて,より楽しめるワールドにしていきたいと思ってます。ROを遊びながら気が付いたことや要望などがありましたら,GMや運営スタッフに届けていただけると嬉しいです。
4Gamer:
本日は,ありがとうございました。
10年前のMMORPGを思い返すと,満足なチュートリアルなどはなく,手探りで遊び方を模索するのが当たり前だった。むしろ,それすらがゲームの一部になっていたようにも思える。それと比べると昨今のオンラインゲームは,システムやヘルプが充実しており,悩むことなくソロでもゲームをある程度は進めていける。それはとても良いことなのだが,不便だからこそ生まれてきたもの……初心者時代の感動やプレイヤー同士の関わりが,薄れているのも確かだろう。
10周年記念ワールドとしてオープンするBreidablikは,意図的ではあるものの,それをもう一度再現しようとする意欲的な施策だと思う。もちろん,オープン当初はかなり不便な状況になると思うが,古くからROをプレイしていた人には懐かしく,当時を知らない人には新鮮に映るのではないだろうか。正直,このように「不便な」MMORPGをプレイできる機会は,もうほとんどないだろう。
期間限定とはいえ,基本プレイ無料で半年もの間,ROをプレイできるまたとないチャンスでもある。この機会に,老舗MMORPGの10年前から今日に至るまでの歴史を追体験してみよう。
「ラグナロクオンライン」公式サイト
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