プレイレポート
大型アップデート実施まであとわずか。「ラグナロクオンライン」3次職先行体験レポート&運営スタッフインタビュー
経験値テーブルは据え置き,モンスターの経験値でバランス調整を図っていく
4Gamer:
3次職をはじめとする全職業の経験値テーブルや,モンスターの経験値の見直しを行う予定はありますか?
廣瀬氏:
経験値テーブルは変更せず,モンスターの経験値や狩場などの調整を行うことで,より早く3次職が目指せるような状況にしたいと考えています。
3次職についても,BaseLv.150にならなくても強さが実感できる,例えば,BaseLv.110とか120とかで3次職の強さがある程度実感でき,さらに上を目指そうという形になればいいかなと。
ゲームとして,結果だけでなく過程も楽しめるようにしたいという考えがあるので,レベルが上がるにつれて稼げる狩り場も増え,強さも向上するという流れを作れればと思います。
4Gamer:
3次職のJobLv.も,25から30ぐらいまで順当に上がっていくといいのではないでしょうか。
廣瀬氏:
経験値テーブルをグラフで表すと,3次職のJobLv.30ぐらいまではなだらかに上がり,そこからさらに上昇するように調整しています。
4Gamer:
JobLv.が30くらいになれば,どの職業でもスキルが充実し始め,3次職でのプレイが楽しめるという感じですか?
中村氏:
JobLv.25ぐらいで,入手しておきたいスキルが揃います。3次職ならではの強さはそのあたりから発揮でき,もっと上を目指そうという気持ちになるはずです。職業によっては,スキルを一つマスターするだけで「自分がものすごく強くなった」と感じられるものもあるので,後半はそういったスキルをじっくり一つずつ増やしていき,最強のキャラクターを目指してほしいと思います。
廣瀬氏:
今後のアップデートで,3次職向けのモンスターや狩場をどんどん増やしていきたいと考えています。現在のモンスターで計算してしまうと、大変だと感じてしまうかもしれません。
4Gamer:
ちなみに,一般的なプレイヤーがBaseLv.150になるには,どれぐらいの時間がかかると見ていますか?
廣瀬氏:
それはプレイスタイルによって異なりますので,一言で答えるのは難しいところです。
4Gamer:
なるほど。SakrayJでは,モンスターの経験値が通常の1.5倍になっていましたが,今回のアップデートでもそれが採用されるんでしょうか。
廣瀬氏:
基本的には底上げしたいという考えから1.5倍にしていますが,個々のモンスターをどの程度上げていくかは調整していきます。
4Gamer:
年内に実装予定の「エル・ディカスティス」は,主に3次職向けのアップデートだと思いますが,それが実装される前にも調整は随時行われるということでしょうか。
廣瀬氏:
ええ,例えば,「3次職に狩ってもらいたい」と考えているモンスターを対象に,個別に調整するといったことを随時行っていきます。
中村氏:
上位2次職が実装された当時も,「転生オーラなんて無理だよ」という話がありましたよね。私自身も,βテストから7年以上プレイしていますが,初めて上位2次職をレベルキャップまで育てられたのは「名もなき島」実装後……転生システム実装から約3年後ですし。
ただ,そこにたどり着くまでの過程にも,新スキルの習得や新ダンジョンの攻略といった楽しみがあり,いつの間にか達成していたという感じです。
プレイヤーの皆さんは,私達が想定しているスピードよりずっと速くレベルを上げていきますので,あとになってハードルを高くするのは難しいんです。レベルが上がりやすい状態に慣れたプレイヤーの方が,レベルアップを諦めてしまいかねませんから。
そこで,3次職実装時はキツく感じられるくらいに設定しておき,今後のアップデートで,そこに到達するまでのあいだに楽しめるコンテンツを追加していく方針です。
4Gamer:
もう少しJobLv.が上がりやすければ,上位2次職から3次職に転職するとき,無駄がなくなって助かるという人もいるかもしれません。
中村氏:
以前と比べると,通常ワールドでも,経験値の調整はかなり行っています。例えば,タナトスタワーには,Base経験値よりもJob経験値のほうが高いモンスターが多数います。今後も,BaseLv.よりもJobLv.が上げやすい環境を作っていくつもりです。JobLv.5,6ぐらいなら,おそらく,3次職に転職して1,2時間ほどでなれると思います。
4Gamer:
とあるプレイヤーが検証した経験値テーブルを見て,なかなか厳しいと感じていたので,ちょっと意外です。
中村氏:
数値でみると長い道のりに感じるかもしれませんが,JobLv.10ぐらいまでなら,3次職に転職した勢いで数時間プレイすれば,到達できると思います。
4Gamer:
3次職が実装されたら,BaseLv.はともかくJobLv.が70になるまで転職しないという人が多いと思うので,先にJobLv.が上限に達しやすくなるのは嬉しいところです。
経験値に関することでもう一つ質問があります。拳聖の「温もり」スキルにより,上位2次職のオーラが大量に育成されていますが,何らかの調整を行う予定はありますか?
廣瀬氏:
どちらかといえば,温もりスキルのバランスよりも,トーキーボックスで「太陽と月と星の奇跡」を発生させることのほうに注目しています。
ただ,これを育成の要として利用している人もいますので,調整課題としてGravityと協議しています。とはいっても,温もりスキル自体は今後も使えるようにしておくつもりです。
4Gamer:
なるほど。ところで,ルーンナイトのグラフィックスの進捗はどうでしょうか。
中村氏:
作業自体は進んでおり,差し替える予定ですが,まだ完成していません。7月6日には,現状のものを実装します。
4Gamer:
3月のカンファレンスで発表された,忍者をはじめとする特殊1次職の上位職の実装時期は決まっていますか?
廣瀬氏:
韓国でも実装時期は未定ですが,年内を目指していると聞いています。日本ではそのあと実装する予定です。
ステータスボーナスは実装済み。愛用の武器/防具は売らずに実装を待つのが吉?
3次職のスキルで,韓国版の仕様と異なるものはありますか?
廣瀬氏:
基本的には韓国版と同じ仕様ですが,韓国では現在も調整が続いていますので,最近調整された点については適用していない部分もあります。日本では,調整を行う場合に一つのスキルに対して何度も変更するという形ではなく,できる限り1回で決定できるようにしていきます。また,今回のSakrayJテストで大きな影響を与えている,ジェネティックの「ハウリングオブマンドラゴラ」などは,テストサーバーで調整を行って様子を見たり,韓国での修正と照らし合わせたりして,最終的にフィックスするつもりです。
4Gamer:
SakrayJのGvGでは,3次職スキルに限らず,一部職業のスキル「スパイラルピアース」「阿修羅覇王拳」などの威力が高すぎ,戦いにならないといった話も出ているようです。
廣瀬氏:
それらについては,Gravityと協議しつつ,調整を行っているところです。
4Gamer:
GvGに関わる部分なので早いほうがいいと思いますが,7月6日までに修正されそうですか?
廣瀬氏:
影響が大きすぎるものは,できるだけ早く修正する方針です。最優先課題の一つと捉えており,Gravityにもそう伝えています。
4Gamer:
逆に,低くなっているDefを高くすることは考えていませんか?
廣瀬氏:
元の計算式自体が変更されているので,難しいところです。防御計算式は固定し,防具の数値や,モンスターのAtkなどを変更してバランスをとっていきます。
4Gamer:
アップデート実装後,所持している防具の数値が上下する可能性はありますか?
廣瀬氏:
もちろん,今皆さんが持っている装備の価値は極力落とさないようにしたいと考えていますが,100%というわけにはいかないと思います。実装後も随時調整していきますので,7月6日時点の状況を見て,すべてを決めないほうがよいと思います。
4Gamer:
ただ,ステータスの仕様変更により,ステータスを高める装備品やカードの価値が,大きく下がってしまったと感じている人もいるようです。
廣瀬氏:
現在,Matkなどの調整を行っており,SakrayJよりもステータスに対する依存度を高くしますので,SakrayJよりは現在の状況に近くなります。カードの一部に,不具合によって効果が現れないものがありますが,それも修正します。
ステータスについては,個人的に,ステータスポイントを振ることでボーナスがつき,それによって強さを実感したり,達成感を味わったりという部分があってほしいと考えています。先ほどお話ししたように,「過程を楽しむ」部分も残しながら調整していくつもりです。
廣瀬氏:
そういえば,AtkとMatkの両方にステータスボーナスを付けているんですよ。
4Gamer:
ステータスボーナスが復活するんですか?
廣瀬氏:
これまでの仕様では,Matkであれば,5の倍数で最大Matk,7の倍数で最小Matkがアップするという形になっていました。アップデートで,どの値でボーナスが付与されるかが変更されます。
4Gamer:
“Atkボーナス”も復活したり?
廣瀬氏:
計算式の話になりますので,詳しくはお話しできませんが,ボーナス値自体はあります。ただ,今までのようにステータスウインドウで確認できるものではありません。
今回は,“成長感”をテーマの一つにしています。「ステータスを上げても成長した実感が得られない」との意見が寄せられており,私達としても,キャラを育てるときの目標としてステータスボーナスは必要だと考えています。そこで,形は少し変わりますが,ステータスボーナスは残していくつもりです。
また,多くのプレイヤーが感じている“前衛職と後衛職の職業格差”も,AtkやMatkの調整により,皆さんのイメージに近いものになっていくはずです。
4Gamer:
調整を行ったとき,詳細な内容を告知すれば,プレイヤーは安心できると思います。
そういえば先ほど,育成についての話が少し出たので質問しますが,ブラックスミス系が製造した星入りの武器の必中部分が効いていないようですが,これは修正されますか?
廣瀬氏:
それは不具合として認識しています。また,モンク系の気弾や,ブラックスミス系の武器研究による必中効果にも同様の問題が起きていますので,Gravityと協議中です。
4Gamer:
ところで,製造系スキルには,成功率がJobLv.に影響されるものが多いわけですが,3次職はJobLv.の上限が50となり,上位2次職よりも最大20下がってしまいます。
廣瀬氏:
私達もテストを行う前からこの問題に気づいていました。Gravityには伝えてありますが,修正できる時期など今のところ未定です。
4Gamer:
ステータスの話に戻りますが,従来の状態異常は,対応するステータスを100にすると防げてしまいます。3次職のスキルで付加される新しい状態異常も,ステータスの数値によって耐性が得られるようになるんですか?
廣瀬氏:
効果はさほど大きくありませんが,現時点でも,ステータスによる耐性は付いています。新しい状態異常は,付加するほうも治すほうも,3次職で対応してもらえればいいなという考えです。それと,先ほど挙がった従来の状態異常についても,ステータスが100になると完全耐性が得られることが問題だとは認識しています。とくに「凍結」と「石化」については,アンフローズン装備を持たなくても凍結を防げてしまうので,Gravityに問題提起しているところです。
アップデートの実装日は7月6日。だがそれは,ROのリニューアルの始まりに過ぎない
アップデート実装日は7月6日と発表されましたが,すべての内容が実装されるんでしょうか。
廣瀬氏:
基本的に,SakrayJでテストした要素はすべて実装する予定です。ただ,オーバー精錬とソーサラーの精霊システム,パーティーマッチングシステム,そして買取専用露店のようなシステムは,7月6日には実装されません。
精霊システムについては韓国でも最近実装されたばかりなので,そちらの様子を見ながら順次実装していくつもりです。そのため,実装時期は未定となっています。また「ホムンクルスS」については,韓国でも発表されたばかりで,日本での実装時期は未定です。
4Gamer:
当面は,細かく調整を行っていく感じですね。SakrayJの状況を見る限り,バグや未調整の部分が残っている印象で,7月6日の実装に間に合うか,やや不安な気がしています。
中村氏:
バグにはスピーディに対応していきます。調整案件については,短いスパンで実装していくのではなく,じっくりと調整し,まとめて実装する方針です。
4Gamer:
そういえば,以前,カンファレンスのあとに公式サイトで発表された,ストームガストやセイフティウォールの仕様について,昨年のSakrayJ仕様のままではないかという声が聞かれます。
廣瀬氏:
とくにセイフティウォールに関しては,たくさんの意見が寄せられていますし,貫通してしまっては,セイフティウォールの特性が失われると考えていますので,従来の仕様,またはそれに近い形への修正を行うべく,Gravityに提案しています。
ストームガストは,アップデート実装時はSakrayJと同じ仕様になるかもしれませんが,調整を行う可能性があります。
中村氏:
今回のテストでは,参加者からより多くの意見を集めることを目的の一つにしています。セイフティウォールについても,皆さんの意見をもとに改善する予定です。
廣瀬氏:
各スキルのあり方について話し合いを行ってきましたが,Gravityとしては,プレイヤーの反応も参考にしたいという考えです。そのため,今回のテストでのプレイヤーからの反応は,Gravityに伝えていきます。そのうえで,あまりに大きな調整を行う場合は,リセットなどの補填策も含めるというのが運営側のスタンスなので,安心してください。
例えば,GvGで一撃で相手を倒してしまえるようなスキルは修正すべきですし,アップデート実装後も,ゲームバランスが崩れてしまうほどの問題が見つかった場合は調整を図る必要があります。ただ,遊び方や楽しみ方の一つだと捉えられるものについては,残してもいいかと思うんです。
中村氏:
ゲームには,“揺らぎ”の部分がないとつまらなくなってしまいます。すべての面で平均がとれていれば面白いかといえば,そうではありませんよね。あえてリスクを背負い,特定のスキルやステータスに特化したキャラクターを作るというのも,揺らぎがあるからこそできる楽しみの一つだと思います。その揺らぎの部分が許容範囲内かどうかが,検討するうえでの焦点になります。
4Gamer:
そろそろ時間のようです。最後にROファンや,4Gamer読者へのメッセージをお願いします。
廣瀬氏:
ラグナロクオンラインは,正式サービスから8年目の運営を迎えられました。これは,日頃プレイしていただいている皆さんあってこそです。今回のアップデートでは,これまでに培われてきたプレイスタイル/攻略法を残しつつ,新たなプレイスタイルや楽しみ方が生み出されることを目指してきました。
まだまだ荒削りの部分もありますが,皆さんの声を大事にしながら,より長く楽しんでいただけるゲームにしていきますので,これからもよろしくお願いします。
中村氏:
毎日のんびりプレイして,キャラクターが少しずつ強くなっていく「小さな喜び」を味わいつつ,ボスモンスターを倒したり,レベルキャップに到達したりといった「大きな目標」を目指せる。そんなROは,3次職の登場でプレイの幅が大きく広がり,5年,10年と遊び続けられるタイトルに進化していきます。もちろん,3次職になるまでの過程にある,2次職や転生,上位2次職でも,小さな喜びはたくさん味わえます。
また,アップデートの実装に合わせて,数年ぶりとなる新ワールドを立ち上げる予定です。すべての方がゼロからゲームを始められるまたとないチャンスとなりますので,まだ遊んだことがないという人も,ぜひROの楽しさを体験してほしいと思います。
4Gamer:
本日はどうもありがとうございました。
発表から約1年,ROのリニューアルはついに実装へとこぎ着ける。なんといっても,3次職の登場を首を長くして待っていたプレイヤーは,いてもたってもいられないといったところだろう。
ただ,インタビューでも述べられているように,現在もさまざまな調整が進められており,細かい部分まで見渡せば,どのような形でアップデートが実装されるか,まだ完全にはフィックスできていない状況だ(※編注:公式SNSを通じて,修正予定項目の一部が6月22日に発表されている)。
今回のインタビューでは,AtkやMatkに関連する計算式の変更や,ステータスボーナスの復活といった話は聞けたものの,2回にわたって行われたSakrayJでのテストに参加してきた一人として,現在判明しているバグや問題が修正・調整されるのか,不安に感じている部分があるのも事実だ。インタビュー中にも何度か出てきた「Gravityに伝え」ることが,すなわち問題解決とはならないわけで,そういったラグを踏まえての回答であったことは承知している。すべてがプレイヤーの望む形でというわけにはいかないだろうが,これまでにテスターから寄せられた意見や要望といったものが,可能な限り生かされたアップデートとなってくれるように願う。
7月6日の実装予定日まで,あと10日あまり。リニューアルを迎えたROがどのように変わっているか,早く自分の目で確かめてみたい。
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