イベント
[E3 2012]いよいよE3 2012が開催。岐路に立つ世界のゲーム業界。今年のE3は我々に何を見せてくれるのか
昨年(2011年)の来場者数は約4万7000人と発表されており,これは20万人以上を数える東京ゲームショウや,ドイツのGamescomに比べれば少ないものの,一般公開が行われていない,メディアやバイヤー向けのイベントであることを考えれば,かなりの数だ。
E3 2012公式サイト
開催前には,Sony Computer Entertainment,Microsoft,そして任天堂というプラットフォームホルダー3社がロサンゼルス市内でカンファレンスを開催し,さらに,Electronic ArtsやUbisoft Entertainmentなどの大手パブリッシャも独自のイベントを行い,新作ハードやタイトルを発表する予定だ。これはE3の恒例ともいえる光景であり,この時期,ロサンゼルスには世界中のゲーム情報が集中することになる。
さて,2012年のE3最大のトピックはなんといっても,任天堂のWii Uだろう。据え置き型のコンシューマ機としては,Wii以来6年ぶりとなるWii Uは,昨年のE3 2011で概要が発表されて話題になり,今回のE3で「最終形」が明らかにされると予告されていた。任天堂はカンファレンスの開催を予定していたが,それに先駆けるかたちでWii Uのコンセプトを「Nintendo Direct Pre E3 2012」で配信するなど,例年以上に力を入れている。
モバイル機向けゲームの急速な拡大や,ソーシャルゲームの普及によって,ゲームとそれを取り巻く市場が変化しつつある現在,任天堂が次世代のゲームに向けてどのような提案をしてくるのが,世界中の興味が集まっているといっていいだろう。
任天堂以外のプラットフォームホルダーについては,PlayStation VitaをリリースしたSCEが,Vita対応タイトルを積極的に押し出してくると思われるほか,Microsoftもまた,世界累計で1000万台以上の販売実績を記録したKinectを中心にしたラインナップをアピールしてくるだろう。PlayStation 3およびXbox 360の後継機については,E3での発表はないという関係者の発言が聞こえてくるものの,可能性がまったくないともいえず,毎年のことだが,行ってみるまで分からない。
各社が2012年後半から2013年にかけて発売を予定している新作タイトルも出そろってきた。大作や話題作が次々に登場した2011年の翌年ということもあって,谷間の年ではないかと言われていたが,それでも見るべきタイトルは出揃いつつある。
どうしてもメディアは人気シリーズの最新作に目がいってしまうが,確実だと思われているシリーズでも,例えば「Call of Duty: Black Ops 2」が戦場を近未来に移し,「Assassin's Creed III」が舞台となる時代を中世からアメリカ独立戦争にするなど,マンネリに陥らないような試みに挑戦している。デベロッパが変更になった「Halo 4」や,6年ぶりの現役復帰となる「HITMAN ABSOLUTION」なども,シリーズ作ではあるが,従来作からの進歩を強調しそうだ。
PCゲーマーにとっては,シミュレーションゲームとしての原点回帰を目指す「SimCity」や,The Elder Scrollsの世界観を使った「The Elder Scrolls Online」などが気になるところだろう。
さらに,「Dishonored」「Aliens: Colonial Marines」,そして「Sleeping Dogs」など,必ずしも超大作とは呼べないかもしれないが,期待感の高まる完全新IPタイトルも少なくないし,「Dead Space 3」「Gears of War Project 」など,タイトルが発表されただけの作品も,E3での詳細説明が楽しみだ。昨年に比べ,出展タイトル数が減った印象は確かにあるが,期待作や注目作は例年並みにそろっている。もちろん,例えば噂されているQuantic Dreamの新作など,事前に正式発表されていない「サプライズ」も多数あるはずで,こちらもまた,フタを開けてみるまでは分からない。
一時期,規模を縮小しながらも,再び現在のような大掛かりなイベントに戻ったE3だが,劇的な変化を続けるゲーム業界の動きについていけていないのではないかという批判も,最近,聞こえるようになってきた。出展するメーカーの顔ぶれや,PC/コンシューマ機向けのビッグタイトル中心という展示スタイルなどは,ここ数年,ほとんど変わっていないし,Blizzard EntertainmentやValve,Bethesda Softworksといったメーカーは独自のイベントを開催し,そこで新作を発表したりしている。こうしたことから,E3の存在意義が薄れているのではないかというのだ。
さらに,我々メディアのあり方も岐路に立っている。ご存じのように,プラットフォームホルダーだけでなく,ゲームメーカーさえカンファレンスの実況をネットで配信するようになってきた。E3というイベントを良い機会として,メディアを介することなく,直接エンドユーザーにアピールしようというわけだ。TwitterやFacebookなど,個人の情報発信能力も飛躍的に高まっており,いちいちメディアを通すことなく,情報共有が可能になった現在,これまでどおりのやり方は通用しなくなるかもしれない。
以上,さまざまな意味で,今年のE3 2012は試金石としての意味合いも大きいといえそうだ。コンシューマゲーム機の存在意義さえ問われる現在,果たしてE3は我々に何を見せてくれるのだろうか? 4Gamerは今年も取材スタッフを現地に派遣し,さまざまな最新情報をいち早く読者にお伝えする予定だ。思わず「キターー!」と叫んでしまいそうなレポートを期待してほしい。最後に,各プラットフォームホルダーおよびメーカーの映像配信情報を掲載しておこう。
Microsoft:Xbox E3 2012 メディアブリーフィング(6月5日1:00開始予定)
→http://www.xbox.com/ja-JP/event/e32012/home
Sony Computer Entertainment:北米PlayStationのE3特設ページにて6月5日9:30からカンファレンスプレビューを開始,10:00からカンファレンスの模様を配信。さらに,6月5日から7日のE3本開催中の配信も予定
→http://us.playstation.com/e3-2012/
任天堂:特設サイトにて配信を予定(6月6日1:00開始予定)
→http://e3.nintendo.com/
Electronic Arts:E3特設ページにて,映像配信を予定(6月5日5:00開始予定)
→http://www.ea.com/e3
Ubisoft Entertainment:YoutubeのE3特設チャンネルにて,映像配信を予定(6月5日7:00開始予定)
→http://www.youtube.com/watch?v=aKRWubusKBU
「E3 2012の特設ページはこちら」
- この記事のURL: