企画記事
「E3 2011」を振り返って――取材をした4Gamerスタッフの編集後記を掲載
今年のE3関連の記事掲載数は,なんと178本と過去最高を記録。会期中は,編集部総出で泣きながら仕事をしていたのも記憶に新しいわけだが,「記事が多すぎて読み切れない」とお嘆きの読者も少なくないはず。会場全体の雰囲気などにしても,個々の記事からはなかなか伝わり難いものもあるだろう。
そこで今回は,E3 2011で出展されていた主要メーカーのブースの様子をひとまとめにしてみた。ブースの賑わいや展示物,押し出していたタイトルなどを,Photoレポートという体裁でお届けしよう。
任天堂ブース
基本的な作りは昨年と一緒だったが,3DSの新作とWii Uを体験できるコーナーが大きくプッシュされていた。どちらも長蛇の列ができており,とくにWii Uのコーナーは,早々に並ぶことが禁止されてしまったほどの盛況ぶりだ。
Wii Uは体を動かすゲームや,複数人で同時に遊ぶタイトルが出展されていたので,見ている人も楽しめた。MicrosoftのKinectもそうだが,こういったイベント会場ではアーケードゲーム的な楽しみができるハードは強いといいうことをあらためて感じた。(noguchi)
Sony Computer Entertainment America
ついに実機に触れるということで,3日間つねに長い列ができていた「PlayStation Vita」の試遊ゾーン。SCEAのプレスカンファレンスと同様に,1タイトルを数分プレイして次へ進む方式で回していたので,自由に作品が遊べるという状況ではなかったのだが……注目度が高いだけにそうでもしないと全員は触れなかったのかもしれない。
そのほか,「アンチャーテッド -砂漠に眠るアトランティス-」「Resistance 3」など新作のマルチプレイデモも盛況で,Vitaほどではないものの行列を作っていた。一方で,去年はPSPタイトルもちらほら出展されていたのだが,今回はその姿は見えず。もともとPSPが大きく普及しなかった北米だが,これで完全にPlayStation 3とVitaに移行していくという印象を持った。
ちなみに,SCEやMS,任天堂といったプラットフォームホルダーのブースには,サードパーティ製のゲームが出展されていることが多く,場合によっては各メーカーのブースよりも早くプレイできることがある。かく言う筆者も,「DARK SOULS」「FINAL FANTASY XIII-2」「NINJA GAIDEN 3」といったデモを最初にプレイしたのは,SCEAブースだったり。(Nobu)
Microsoft
開催前は「新しいハードウェアを発表するのではないか」と囁かれていたものの,結果的にハード関連の発表はなく,昨年同様,Kinectをメインとする展示を行っていたMicrosoftブース。「Kinect Sports: Season 2」や「Dance Central 2」のほか,非常に多くのギャラリーを集めていた「Kinect STAR WARS」などがプレイアブルで展示されていた。Kinectを使ってジェダイになれるというコンセプトが,多くの来場者のハートに訴えたのは間違いないだろう。たぶん。
Kinect以外では,「Forza Motorsport 4」「Gears of War 3」などが目立つところで,とくに3面のスクリーンとステアリングコントローラで操作するForza Motorsport 4の試遊台には長い列ができており,またGears of War 3では,ローカスト側になって人類と戦う異色の“Beast”がプレイでき,こちらも多くの来場者を集めていた。
展示はなかったものの,ピーター・モリニュー氏の「Fable the Journey」やUbisoft Entertainmentの「Tom Clancy's Ghost Recon: Future Soldier」,そしてForza Motorsport 4の「Autovistaモード」など,コントローラを中心としながら,部分的にKinectに対応するタイトルが増えている。全世界で1000万台以上のセールスを記録したというKinectが成熟期に入りつつあるという印象を与える,Microsoftブースだった。(松本隆一)
Electronic Arts
もう一つ,人気を集めていたのがスター・ウォーズをテーマにしたMMORPG「Star Wars: The Old Republic」だが,こちらは発売日が未定になってしまったということもあり,開発状況がやや心配。このほか,ドライバーが車を降りて歩き回れるという驚きの展開を見せたNeed for Speedシリーズの最新作,「Need for Speed The Run」にも注目が集まっていた。(松本隆一)
Ubisoft Entertainment
Free-to-Playの「Ghost Recon Online」は,PCゲーマーにとって期待の作品。Wii U版の開発も同時に進められているという異色の作品でもある。Eric Chahi氏の最新作「From Dust」や,映画をベースにした「The Adventure of Tintin: The Game」,そして「Your Shape 2」など,展示されていたゲームのバラエティは豊富で,一押しのタイトルに全力を注ぐほかの欧米大手パブリッシャとは対照的な雰囲気だ。(松本隆一)
Activision
ブースのサイズはかなり大きいActivisionだが,シアターのみで試遊台もなく,注目の「Call of Duty: Modern Warfare 3」も,すでに公開されているムービーが流れる程度。一部の招待されたメディアを除いてプレイシーンを見ることもできず,例年同様,ガードの固いメーカーという印象。2012年にリリースが予定されている「PROTOTYPE 2」と,Call of Dutyシリーズの新サービス「Call of Duty Elite」がシアター展示されていたほか,いくつかのカジュアルタイトルが予定されている。(松本隆一)
Sony Online Entertainmentブース
スクウェア・エニックスブース
Eidos作品などの海外作品を扱う機会が大幅に増えたスクウェア・エニックスだが,今年のE3ではブース構成にその傾向が色濃く出ていた。「デウスエクス」「HITMAN ABSOLUTION」「Dead Island」といった海外作品がブースの半分を占め,さらに「Wakfu」というフランス産のMMORPGを出展。結果的に国産作品が「FINAL FANTASY XIII-2」のみの出展となっていたのは,ちょっと寂しい気がする。やはり日本人としては,「FINAL FANTASY VersusXIII」や発売の近い「FINAL FANTASY 零式」の新情報が気になるところだ。(Nobu)
カプコンブース
今年のカプコンはラインナップを絞って展開しており,「バイオハザード オペレーション ラクーンシティ」と「Dragon's Dogma」の2本だけが大きく展示されていた。どちらも超目玉と呼べるほどではなかったせいか,ブース全体はあまり混雑していなかった。ちなみに興味深かったのは3DS用「バイオハザード リベレーションズ」で,ロゴを印刷した紙を貼っただけの簡素な台のみが用意されており,ひっそりと出展されていた。ほかのタイトルはきっちりと作り込まれた看板が用意されていただけに,急遽出展が決まったのかもしれない。(noguchi)
セガブース
セガブースで一際高い注目度を誇ったのは,E3 2011の開幕直前に再始動の動きを見せた「Aliens: Colonial Marines」(PC / PS3 / Xbox 360)のシアターだ。一世を風靡した映画「エイリアン」を題材としたFPSというだけでなく,「エイリアン3」に続く物語が描かれるというにゲーム内容においても,各国メディアの関心を集めていたようだ。
これに加えて,「龍が如く」の開発チームが挑むTPS「Binary Domain」(PS3 / Xbox 360)や,プラチナゲームスが開発を担う近接アクション「MAX ANARCHY」(PS3 / Xbox 360)の試遊スペースも始終賑やかな様子を見せていた。
また,PS3&Xbox 360版とニンテンドー3DS版で異なる物語が描かれる新作「ソニック ジェネレーションズ」を引っさげてブースの真ん中を陣取った,生誕20周年の青きハリネズミ“ソニック”がマスコット的な魅力を放っていたことは印象に深い。
このほか,牢屋をかたどったユニークな試遊スペースが用意された「Rise of Nightmares」など,Kinect対応タイトルも出展されていた。(Ky)
KONAMIブース
KONAMIブースで目立っていたのは,「SILENT HILL Downpour」(PS3 / Xbox 360),「NeverDead」(PS3 / Xbox 360)などの試遊スペース。これらはやはり期待の新作ということで人を集めていた。
このほか,「METAL GEAR SOLID SNAKE EATER 3D」(3DS),「METAL GEAR SOLID PEACE WALKER HD EDITION」(PS3 / Xbox 360)というリメイク2作品も同様に高い人気を誇っていたことから,「METAL GEAR」シリーズの海外での人気の高さが窺い知れる。
余談だが,ブース入り口の大型ディスプレイに各作品のスタイリッシュなPVが流れる中,「オトメディウスX(エクセレント!)」(Xbox 360)の“萌え”全開の映像が日本語で流れたときには,KONAMIの愛を感じた。(Ky)
バンダイナムコゲームスブース
バンダイナムコゲームスブースに関しては,2011年9月に発売が予定されている「DARK SOULS」(PS3 / Xbox 360)の試遊スペースに,常に行列が出来ていたことが思い出される。“マゾゲー”として注目を浴びた「Demon's Souls」の続編ということで日本でも関心の高い作品だが,どうやら海外でも同様の人気を勝ち得ているようだ。
ブースの中央にオブジェクト&専用コンパニオン付きで試遊スペースが設けられた「ACE COMBAT ASSAULT HORIZON」(PS3 / Xbox 360)は,試遊台の数自体が多かったこともあってか行列にはなっていなかったが,いつ行っても空席がなかったことから鑑みるに,「DARK SOULS」と同じく海外からの期待は高そうである。(Ky)
コーエーテクモゲームスブース
コーエーテクモゲームスブースにおいて試遊スペースの広さ,注目度共に最も優れていたのは「NINJA GAIDEN 3」(PS3 / Xbox 360)だ。コーエーとテクモが一つになってから「NINJA GAIDEN」シリーズが登場するのは本作が初だが,独特の世界観やゴアな表現などはしっかりと受け継いでいる様子。プレイレポートやプロデューサー早矢仕氏へ行ったインタビュー記事もあるので,合わせて目をとおしてほしい。このほか,「ガンダム無双3」や「トトリのアトリエ 〜アーランドの錬金術士 2〜」などもプレイアブル出展されていた。(Ky)
Bethesda Softworks
受付の周りには,常に人だかりができていたBethesda Softworksのブースだが,ここは基本的に表側には試遊台等を置いておらず,予約がある人のみがドアの中に入って,展示物を見られるようになっていた。
ブース周囲の飾り付けは凝っており,「The Elder Scrolls V: Skyrim」に登場する巨大なドラゴンのオブジェと,「RAGE」に登場する大型のバギーとミュータントの群れのディスプレイが印象的だった。(A.I.)
THQ
板垣伴信氏の新作「Devil's Third」は展示されていなかったが,4Gamerでは彼にインタビューを行うことができたのでそちらをどうぞ。(A.I.)
NEXON
今年はNEXONが,E3に比較的大きめのブースを出していた。韓国系企業がE3でこれほどの規模のブースを構えるのはちょっと珍しい。展示作品は,1本が,アメリカではNEXONがパブリッシングを手がける「ドラゴンネスト」。もう1本は,E3後に日本でもサービスが行われることが決まった「マビノギ英雄伝(英題:Vindictus)」だ。どちらの作品も多数の試遊台が用意され,来場者はマルチプレイが楽しめるようになっていた。(A.I.)
Warner Bros. Entertainment
もっとも力が入っていたのは「バットマン アーカム・アサイラム」の続編「バットマン アーカム・シティ(仮題)」の展示。試遊コーナー&専用シアターが用意されていた。大抵の作品はどちらかの形式での展示だが,両方とも用意されているところから,本作に対する力の入れようが伺える。バットマンの本国アメリカでの人気はさすがで,とくに試遊にほうにはかなり長い行列ができていた。
そのほかには指輪物語系のアクションRPG「The Lord of the Rings: War in the North」,バットマンとジョーカーの偽物になって撃ち合うファニーなシューター「Gotham City Impostors」,今年公開される映画をゲーム化した作品「Green Lantern: Rise of the Manhunters」などが展示されていた。(A.I.)
Trion Worlds
「Rift」が好調で,その存在感が増しつつあるTrion Worldsのブースでは,その「Rift」のほか,開発中のMMORTS「End of Nations」が展示されていた。「End of Nations」は,司令基地の内部を模したブースに試遊台をズラリと並べてのプレイアブル展示で,「Rift」に続き,こちらもやる気満々のようだ。(A.I.)
Take-Two Interactive
表側で大きくフィーチャーされていたのは,E3の翌週にアメリカでの発売日を控えていた「Duke Nukem Forever」と,凄惨な世界観が特徴のアクションアドベンチャー「The Darkness 2」。両方とも締め切った部屋の中で展示されており,「Duke Nukem Forever」部屋では,来場者同士で「ヘイルトゥーザキング」モードのマルチプレイが楽しめるようになっていた。中に入るとドリンクを出してくれるのだが,これが缶ビールだった。こんなもの取材中に飲んだらひっくり返っちゃうよ。「The Darkness 2」部屋はシアターとなっていた。
アポイントメントがないと入れないクローズドなスペースでは期待作「BioShock Infinite」の展示が行われていたようだ。(A.I.)
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