連載
徳岡正肇のこれをやるしかない! / 第2回:VASSALの魅力を伝えるしかない!
上の写真を見てほしい。左は実際のボードゲームのワンシーン。右が今回紹介するツール,「VASSAL」のスクリーンショットである。VASSALとは何か? それは……まあ本文を読んでいただくとして,というわけで,不定期連載「徳岡正肇の これをやるしかない」の第2回はそんなVASSALをサカナにしてみる。「場所」を共有しなければどうにもならなかったアナログ丸出しのボードゲーム世界を,デジタルツールが広げつつあるのだ。紹介するだけでなく,導入から使用方法,そして実際のプレイレポートまで織り交ぜて,みっちり解説するしかない! しかないったらない!
4GamerはPCとコンシューマのゲームを扱っているサイトだが,広い意味で「ゲーム」というときに指すそれが,PCやコンシューマ機に依存しているというわけではもちろんない。野球やサッカーといったスポーツはゲームの一種だし,将棋やチェスといった非電源系ゲームもたくさんある。歴史的にいえば,人間はコンピュータを使わずにゲームを楽しんできた時間のほうが,ずっと長いのである。
とはいえ,この手の伝統的なゲームは,人類がPCという便利な道具を手に入れて以降に発達したゲームに比べ,いくつかの弱点がある。
一番の問題は,伝統的な非電源系ゲームは,原則として対戦を行う場合にプレイヤーが時間と場所の両方を共有しなくてはならないということだ。東京と大阪に棋士が座って将棋を打つことはできない。もちろん郵便などの手段を使って戦うことはできなくはないし,それにはそれ相応の面白さがあるが,「できる!」と胸を張るのは難しい。
RTSや対戦型FPS,MMORPGといったゲームは,この「場所」の問題を克服することに成功した。東京と大阪どころか,世界中に散らばっているプレイヤーが,時間さえ都合できれば自由に対戦できる。これはゲームにとって非常に優れた環境だ。
かくして,非電源系のゲームがコンピュータとそのネットワークを利用するケースは,年々増えている。オンライン麻雀は雀荘の地位を脅かすほどに成長したし,ポーカーに至っては,アメリカではそれで食っているギャンブラーが出現するほどだ。
これはストラテジーゲーム――アナログ世界では「シミュレーションゲーム」と呼ぶが――においても同様で,これまでにいくつも「コンピュータを使ってネットワーク対戦ができるツール」が開発されてきた。
中にはよくできた作品も多く,固有のファンもいたが,いくつかの問題があった。とりわけ大きかったのが,そうした一種のエミュレーターにシミュレーションゲームを移植するためにかかる膨大な手間と,そうやって移植した作品があまり美的完成度を伴えなかった(伴うのが難しかった)ことだ。また,完全に同期したゲームの進行が難しく,通常のゲームプレイに比べて違和感が強いといった問題もあった,
結果として,これらのツールは,最大のターゲットであるはずのシミュレーションゲーマーからあまり積極的な評価を得られず,プレイヤー層も「そういったツールを使って遊ぶコミュニティ」の範囲を超えることはなかった。ましてや,一般のPCゲーマーに伝わることなど,まず起こりえなかった。
だが今,VASSALというツールが,状況を変えつつある。
VASSALはJavaで書かれたフリーウェアで,過去の同様なツールに比較していくつもの利点がある。ざっとまとめると,
- 移植が比較的容易:相変わらず手間はかかるが,以前のものとは比較にならないほど楽
- 進行が完全リアルタイム:相手がコマを動かせば,それが双方のディスプレイで同時に反映される。PCゲーム的には常識だが,かつては難しかった
- ビジュアルの良さ:PCのスペックが向上したこともあるが,アナログ版のマップやユニットをそのままスキャンして使えるのが大きい
現在VASSALは,アナログのシミュレーション界をかつてない勢いで席巻しており,過去の傑作から最新作まで,精力的に「移植」が進められている。VASSAL上で特定のゲームをエミュレートするためのプログラムを「モジュール」と呼ぶが,現在では,海外の公式サイトから数百の単位でモジュールをダウンロードできる状態にある。
もちろん,モジュールにはルールそのほかが付いてこないので,ゲームが遊びたかったらちゃんとそのゲームを購入しなくては話にならない。現在配布されているモジュールは,権利関係が基本的にクリアされているので,安心してプレイできる。
メーカーによっては,簡単なゲームのルールをpdfで配布し,モジュールのダウンロードを可能にしているところがあり,これらは事実上のフリーゲームとして楽しめる。
……とはいえ,VASSALをPCゲーマーに無条件で推奨できるかといわれると,それはちょっと苦しい。
VASSALは,PCゲーム的な意味におけるゲームエンジンではない。PCゲームでは,どんなに複雑であっても,クリックするボタンをクリックすれば先に進むし,クリックできないボタンはクリックできない。
VASSALでは,「歩兵は,そのままでは海に入れない」「戦車は沼地に入ると大きく減速する」といった処理(それがそのゲームに存在するとして)を,すべてプレイヤーが判断しなくてはならない――VASSAL側は,そういったルール適用について,ほとんどなんの補助もしてくれない。
また,自動化されている部分もごくわずかで,ユニット同士が戦闘をした結果「敵ユニットを撃破」の結果が出たとしても,実際に撃破されたコマを手で取り除かねばならない。当たり前といえば当たり前なのだ。
このため,まったくシミュレーションゲームの心得がないプレイヤーがVASSALとそのモジュールに手を出しても,さっぱり何ができるのか分からないのが現状ではある。
筆者としては,これはとても惜しいことだと思う。非電源系ゲームには,今では埋もれてしまった傑作や秀作,あるいは今なお生み出される名作が存在している。VASSALを通じてこれらが楽にプレイできるようになれば(ゲームは遊んでなんぼだ),より広い視点でほかのゲームも楽しむことができる。あるいはもしあなたが開発畑の人なら,VASSALによって浮き彫りにされる「過去の轍」を辿ることで,「過去の車輪」にどんなものがあったかを知ることもできるのだ。
というわけで,ここではVASSALの導入方法と,実際にどういうゲームがプレイできるのかを紹介しよう,じゃなくて,紹介するしかない!
以下,実際にステップを追ってVASSAL導入からゲーム開始までの道のりを見ることにする。
1.Javaの導入
VASSALはJavaで動いているので,まずは最新のJavaランタイムを入手しなくてはならない。
「そもそもJavaとは何か?」をここで説明する余裕はないので,その点は各個に調査していただくとして,ここから最新のJavaが入手できる。まずこれをダウンロードしよう。また「もうJavaは入っているよ」という場合でも,最新のバージョンであるかどうかは確認しておいて損はない。
最新版のJavaを導入していない場合は,上記のページから。Macではやり方が違うが,それもこのページで解説されている
2.VASSALのダウンロードとインストール
こちらのページの左上,“Quick Launch”と書かれた緑の六角形をクリックすれば,VASSALのダウンロードが始まる。“Java Web Start Launcher”で展開し,そのままインストールまで行わせる。途中何回かセキュリティ警告が出るが,許可しよう。
左上の「Quick Launch」と書かれた六角形のボタンを押せばダウンロード開始。もちろん手動でダウンロードしてインストールしてもよろしい
3.VASSALの起動
ためしに起動してみよう。
英語サイトからのダウンロードではあるが,VASSAL本体は日本語版にローカライズされたものがダウンロードできているはずだ。
もっとも,起動してもこのままでは何もできない。前述のとおり,ゲームを行うにはモジュールと呼ばれる「VASSAL版のゲーム」が必要になる。とりあえず,ここでは動作確認ができれば,それでいい。
なお,PCの環境によってはここでエラーが出て起動できないことがある。この場合,現状ではここにある最新のβバージョンを使えば解決するはずだ。将来的に,公式サイトからダウンロードできるバージョンでもそういった不具合はなくなると思うが,今しばらくは試行錯誤が必要になる場合がある。
4.モジュールのダウンロード
今回は,モジュールとルールの双方を無料で配布している作品を見てみよう。
国際通信社の「コマンドマガジン日本版」サイトでは,自社製品のVASSALモジュールを配布している。この中の「シュペー号追撃戦」は無料でルールも配布されているので,これをダウンロードしよう。
ダウンロードしたモジュールは,自分で把握できる場所に置いておこう。今後もVASSALでさまざまなモジュールをプレイする予定があるなら,マイドキュメントなどに「VASSAL_Module」とでも名づけたフォルダを作り,そこに保存しておくといい。だがとりあえずは,デスクトップであろうがどこであろうが,分かる場所にあれば大丈夫だ。
なお,「シュペー号追撃戦」のモジュール「grafspee1.9.1」だが,PCの環境によってはZipファイルとしてダウンロードされる場合がある。しかし,実際にはそのままでモジュールとして使用できるので,解凍などしないように。
モジュールのダウンロードができるページ。いろいろなゲームのモジュールが置いてある
5.ルールの把握
VASSALはゲームがルールに則って動いているかどうかについて,一切監視しない。あくまでオンライン対戦の場所を提供する,バーチャルゲームボードなのだ。
というわけで,まずは「シュペー号追撃戦」のルールを読んで,どんなゲームなのかを把握しよう。実際にプレイした様子を本記事の後半にまとめてあるので,それを参考にしてもらえれば幸いだ。
6.VASSALの起動とモジュールの実行
あらためてVASSALを起動しよう。いよいよゲームに突入だ。
トップのメニューから「モジュールをプレー」を選択,さきほどダウンロードしてきた「シュペー号追撃戦」のファイル(grafspee1.9.1)を指定する。
最初に名前やパスワードを聞かれるので,設定しよう。以降,これがVASSALでの対戦におけるハンドルネームになる。「本名」と書いてあるが,ネットでのセキュリティを考えれば,最低でもローマ字表記にしておくほうがいいだろう。
続いて,「新規ゲームをオフラインで開始」「オンライン中のゲームを探す」「保存したゲームを読み込む」という選択になる。今はオンライン対戦を前提としているので,「オンライン中のゲームを探す」を選ぶ。
この段階で,とりあえずはオンライン上のロビーに入るところまでできた。満を持して対戦相手を招待しよう。
7.対戦相手を呼び込む
ここから先は,当然だが,同じようにVASSALをインストールし,モジュールを導入したプレイヤーが必要になる。
対戦相手は,上記と同様の手順でVASSALを起動,モジュールを選択し,「オンライン中のゲームを探す」を選択する。これで自動的に「シュペー号追撃戦」モジュールをプレイする人が集まるロビーにログインする。
8.部屋を作る
この段階では,二人がいるのはロビーである。ここでゲームを広げては,ほかの参加者の迷惑になることうけあいだ。ということで,対戦用の部屋を作成する。
画面右のほうにある「新規ゲーム」に,部屋の名前を入力しよう。これで新しく部屋が作れる。部屋を作ったプレイヤーは,自動的にその部屋に移動するので,対戦相手はその部屋の名前をダブルクリックして,当該の対戦部屋に移動しよう。
これにて対戦準備完了である。
9.ゲームの開始
メニューの「ファイル」から「新規ゲーム」を選択すれば,ゲームが始まる。そのままだとリアルタイムでの情報伝達が行われないので,前もって部屋にいる対戦相手と「同調」をしておこう。
「シュペー号追撃戦」では,ドイツ軍か,イギリス軍かを選択するところからスタートだ(三人め以降は見学者としてゲームを観戦することもできる――このときも,無言で入室/観戦するのではなく,一言断ってから観戦するようにしたい。まあ基本的なマナーだ)。
ここから先は,いよいよゲーム本編となる。
さて,では実際にこれがどのようなゲームなのか,対戦記録をもとに紹介してみよう。
「シュペー号追撃戦」は,1939年9月30日から展開されたドイツ海軍「アドミラル・グラフ・シュペー」の戦いを題材とした作品だ。プレイヤーの一人はシュペー号の艦長となって大西洋で通商破壊を行い,もう一人は英海軍の司令官となってこれを阻止することがテーマとなる。
シュペー号はドイツに軍事力を与えまいとするヴェルサイユ条約の範囲内で作られた「小さな戦艦」で,非常に長い航続距離と,ワンサイズ下の重巡洋艦を上回る火力,従来の戦艦よりも優れた機動性を備えていた(悪くいえば,戦艦ほどの火力はなく,巡洋艦のような足もない船でもある)。
史実では,シュペー号は大西洋での通商破壊に従事し,英海軍の追撃部隊(戦艦3隻,空母4隻,巡洋艦16隻)との激闘を繰り広げた。最終的には1939年12月13日,ラプラタ沖海戦で航行機関に重大な損傷を受け,もっとも近い中立国であるウルグアイのモンテビデオ港に入港。脱出不可能という判断によって,そこで自沈した。全体の経緯は「戦艦シュペー号の最後」と題された映画にもなっている。
いかに大西洋が広いとはいえ,約3か月にわたって1vs.23の戦いを継続し,かつ多数の商船を撃沈したという戦果は,注目に値する。実際的な効果はさておき,宣伝的な意味合いの大きさは否定できない。
ゲームとしては,「逃げ回りながら通商破壊で勝利得点を稼ぐシュペー号」対「それを封じ込めて撃沈しようとする英海軍」という展開になる。
シュペー号は自分の船がどこにいるのかを明らかにする必要がないので,英海軍は通商破壊の結果などからシュペー号の居場所を推測しなくてはならない。一方でシュペー号側は,通商破壊以外の方法で勝利に近づくのはほとんど不可能なので,自分の居場所を一時的に露見させる通商破壊を行って勝利を目指さねばならない。大西洋を舞台にした,壮大な「狐と猟犬」である。
最初にシュペー号をマップ上に配置し,そのあとで英海軍が編成を決定する。
シュペー号は,そのままでは対戦プレイヤーに居場所が見えてしまうので,画面上のツールバーにある「シュペー号の隠匿・露見」ボタンを押して,居場所を隠匿しよう(もう一度このボタンを押せば,露見状態に戻る)。隠匿・露見はユニットを右クリックすると表示されるメニューからも選択できるが,普通はこのショートカットを使ったほうが便利だ。
隠匿すると,ユニットは半透明になる。この状態であれば,英海軍プレイヤーにはシュペー号がどこにいるか分からない。
一時的にシュペー号の移動速度を増大させてくれる補給船も,隠匿状態での配置となる。こちらはユニットを右クリックして隠匿状態を選択しよう。
英海軍は,最初は大西洋に向かわせる組と,インド洋に向かわせる組での分割を行う。シュペー号は必ず大西洋側でスタートするので,大西洋側に大量の艦艇を送り込めば追撃は有利になるが,一歩間違えるとインド洋側に抜けられてやりたい放題を許してしまう。思案のしどころだ。
英海軍プレイヤーには,それぞれの艦艇が何であるのかが見えているが,シュペー号プレイヤーにはすべての英海軍は赤い「?」マークのユニットに見える。シュペー号は,英海軍がどのあたりにいるのかという情報は得ているが,実際にそこに何がいるかは分からないというわけだ。
初期配置が完了したところ。画像は独軍の画面なのだが,この段階では英軍も自分が振り分けた山の中身は分からない。
なお,英海軍は1マス(ヘックス)に複数の艦艇を存在させることができる。この場合,ユニットをクリックすると,重なったユニット全体が選択される。一般的なシミュレーションゲームでは,そのような状態ではユニットが束になったまま移動することが多いためだ。
それで構わないなら問題ないが,個別のユニットを指定して動かしたいときは,ユニットの束をダブルクリックしよう。順番に,特定のユニットが選択されていく。
まず,シュペー号をアフリカ沿岸に配置。アフリカ沖に密集する商戦団に狙いを定める。通商破壊は,通常50%の成功率で2VP(VP=勝利ポイント)をもたらしてくれるが,商船マークの書かれたマスでの通商破壊は100%成功する。各商船マスで1ゲームに1回しか自動成功しないとはいえ,美味しいポイントなのは変わらない。
英海軍は大西洋方面に展開,広く網を張る。
「シュペー号追撃」では,ゲームはターンベースで進行する。
各ターンは,「シュペー号の移動」「英海軍の移動」「索敵・戦闘」「通商破壊」の順番に行われるが,今何をしているのかを簡単に示すため,ツールバーのなかにターン管理ボタンがある。
最初「1turn ドイツ軍移動」となっているボタンの右にある「+(プラス)」を押せば「1turn イギリス軍移動」になるわけだ。これは自動的にチャット窓に表示されるので,いちいちチャットで「移動が終わりました,そちらどうぞ」などと言わなくても構わない。
なお,VASSALはあくまでも大枠の環境を提供しているだけなので,例えば表示が「1turn イギリス軍移動」になっていたとしても,ドイツ軍プレイヤーは勝手に自分のユニットを動かしてしまえる。ルール的なサポートは,基本的に存在しないのだ。
シミュレーションゲームは,プレイヤーが互いに紳士的な態度でゲームを行うことが前提となっている。相手に見えないからといって,こっそりシュペー号を超空間移動させてしまったりするのはゲームそのものを壊す行為なので,厳に慎みたい。
両軍の移動が終わったところで,索敵が行われる。
索敵といってもルールは簡単で,英海軍のユニットと,シュペー号のユニットが同じ場所にいたら,それで索敵に成功だ。この場合,シュペー号は居場所を露見させ,その場所にいた英海軍と戦闘になる。
英海軍のほとんどの艦艇に比べて優越した火力を持つシュペー号だが,英海軍には「おかわり」があっても,シュペー号は1隻だけである。沈没させられようものならゲームはそこで終了するし,損傷を受けると移動力が低下するので事実上の“詰み”になる。よほどの確信がない限り,シュペー号は英海軍に発見されたくないのが本音だ。
通常の索敵で成果がなかった場合,英海軍は空母艦載機を飛ばして索敵できる。この場合,英海軍プレイヤーは空母ユニットの位置を明らかにして,その周囲6マスのうち一つに対して,どこを索敵するか宣言する。この航空索敵が成功すると,その場でシュペー号は一方的に航空機に殴られることになる。戦艦の時代は終わっているのだ,うん。
空母の居場所を明らかにするには,空母を右クリックして「Flip」を選択してもいいし,ツールバーから「空母1(または2)を裏返す」をクリックしてもいい。
なお英軍プレイヤーからは,自分のユニットが表になっているのか裏になっているのかちょっと分かりにくいが,裏(ドイツ軍からは「?」と見える側)になっている状態ではユニットの周囲に黄色い枠が出ているので,それを目安にしよう。ドイツ軍プレイヤーは,本来表になっていてはいけないユニットが表になっていたら,それを指摘するようにしたい。
また,どこを索敵するかは,マスに書かれた文字をチャットで流してもいい(「B2のヘクスを航空索敵します」など)が,ツールバーの「Piece」をクリックすると,一時的にマップ上に配置できるマーカーが選べるので,それをマップ上に置いてもいい。
置いたマーカーは,右クリックしてメニューを選択すれば除去できる。むしろドラッグ&ドロップで「マーカーがあった場所」に戻しても除去されないことに注意しよう。
同様に,索敵の結果についても,ドイツ軍プレイヤーはツールバーの「索敵」ボタンを押せばping音が鳴るようになっているので,チャットせずにボタン一つで索敵成功を教えることもできる。
英海軍の索敵網にかからなかったシュペー号は,アフリカ沖で通商破壊を行う。
通商破壊をすると,自動的にシュペー号の位置が露見する。
もちろん,自動的といっても,VASSALが自動的にやってくれるわけではなく,シュペー号プレイヤーが自ら「シュペー号隠匿・露見」ボタンを押すのだ。これで英軍にもシュペー号の位置が明らかになる。
先ほども説明したとおり,通商破壊の成功率は50%だ。しかし商船マーカーがある海域での通商破壊なので,自動的に2VPを得る。
一度通商破壊した商船マーカーは,以降適用されないので,「Piece」から黄色い六角形のマーカーを取り出して,そこで通商破壊をしたということを示す。覚えていられるならそれでもいいが,「やった」「やってない」をあとでチャット履歴から調べたりするくらいなら,マーカーを置いたほうがいい。
ここで英軍プレイヤーは,海軍に動員をかけることにする。英海軍はドイツ軍に1VPを与えるかわりに,6面体サイコロ1個分のユニットを余分に機動させられるのだ。出た目は6! 最高の結果である。英海軍は一気に包囲の輪を縮める。
シュぺー号の冒険はまだ緒についたばかりだが,「実録! シュぺー号追撃戦」天の巻はここらへんでいったん休憩。VASSALを使った“アナログのようなデジタルのような”新たなボードゲーム体験は,次回「地の巻」に続くのである。では,次回もお楽しみにするしかない!
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