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[インタビュー]プリメのファンアートを描いてたら,赤井孝美氏に刺さった。「プリンセスメーカー Children of Revelation」
本作はその名のとおり,“自分の娘”を見守る育成シム「プリンセスメーカー」シリーズの新作だ。しかも2001年に発売された「プリンセスメーカーQ」の不遇の主人公,大道寺カレンが娘になる。
しかも開発は韓国のゲームスタジオというのだから,これいかに?
「プリンセスメーカー Children of Revelation」に触れる。不遇な道を歩んだプリメQの主人公カレンが,新たに咲き誇る[TGS2024]
東京ゲームショウ2024で,D-ZARDは育成シミュレーション「プリンセスメーカー Children of Revelation」の試遊台を出展した。本作は2001年発売のシリーズ作品「プリンセスメーカーQ」の設定を継承した,ファンをどよめかせる1作だ。
本作が抱えるプリメシリーズの歴史的な背景については,上記のプレイインプレッションを参照してもらうとして。
本稿では同スタジオのCEOであるDong Hyun Kim氏に,満員御礼状態の幕張メッセ内でインタビューした様子をお届けする。
生粋のファンアートが決め手
4Gamer:
最初にですが,本作はあのプリンセスメーカーなんですよね?
Dong Hyun Kim氏(以下,Kim氏):
はい。あのプリンセスメーカーです。
4Gamer:
どのような志で作ったものなのでしょう。
Kim氏:
往年のプリンセスメーカーが大好きな方々のために作りました。
4Gamer:
なるほど。実際,ゲーム体験はプリメそのものでした。
そして今回の娘は,大道寺カレン。彼女は「プリンセスメーカーQ」の主人公であり,シリーズ展開的には不遇の道を歩みました(※)。そんなカレンを23年経った今,なぜ選ばれたのでしょう。
※簡単な経緯:プリメ4の序章にあたるプリメQの主人公カレンは,そのままプリメ4で正式な娘役になるはずだったが,プリメ4の制作が頓挫。続くプリメ5では別のヒロインが採用されてしまい,不遇な存在に
Kim氏:
昔遊んだプリメQで,カレンさんのことがとても印象深かったからですね。今回は新たなヒロインを制作させてもらうこともできましたが,「いろいろあって娘になれなかったカレンを主人公にする」のもキャッチーだろうと考えて,こうしたかたちで抜擢させてもらいました。
4Gamer:
プリメQのカレンは,クイズで旅をして魔界にやってきました。今回はファンタジー世界が舞台のようですが,設定は“つながっている”のか。あるいは引き継ぎは一部だけなのか。どちらなのでしょう。
Kim氏:
結論から言えば,設定の継承は一部だけです。
当初,プリメQのエンディング後からスタートさせる流れも考えましたが,未完の次回作プリメ4は“魔界から人間界に戻り,現代を舞台にカレンを育てる”といった設定でした。それがかなわなかったとはいえ,本来あるべきだった未来をないがしろにして続編を名乗るべきではありませんので,本作ではカレンたちシリーズの登場人物と,原作ラストの魔界という舞台をそのまま生かして,新たな作品に仕立てました。
4Gamer:
なにか深い思い入れがあることは伝わってきますが,そのうえでなぜ,D-ZARDはプリメを作ることになったのでしょう。
Kim氏:
そこはおもしろい話なのですが,まず私たちの会社にはプリメファンがたくさんいました。なかにはファンアートを描いている人もいて,私たちもそれを「いいねいいね!」と眺めていました。
ちょうどそのころ,プリメのIPライセンスが使えるようになったと耳にして,それならばと,米子ガイナックスさんにあいさつさせてもらいにいったんです。そしたらプリメの生みの親である赤井孝美先生が,我々のファンアートを見て,とてもいい反応をくださって,しかも「どうせなら新作を作ってみては」と言ってくれたんです。
結論として,開発の人手もプリメ愛も満ち足りていると思い,制作することを決めて,ライセンスの契約をさせてもらいました。本作のビジュアル担当も,当のファンアートを描いたデザイナーとなっています。
4Gamer:
ファンが成しためぐり合わせだったと。ちなみに,韓国ではプリメ人気がやたら高いと聞くのですが,実際どうなんでしょう。
Kim氏:
まず,昔の韓国におけるゲーム事情は,日本のようにコンソールゲーム機が浸透しておらず,PCゲームが主流でした。
それにPCゲームといってもオンラインゲームが主流で,スタンドアロン型のPCゲームはあまり数がなかったんですよね。
4Gamer:
MMOもネカフェも,それこそPCオンゲの中心地でしたね。
Kim氏:
ええ。そんななか韓国版「プリンセスメーカー2」が送り出されて,ゲーマーのみならず,一般層にも伝わるくらい人気を博しました。
日本でもプリメは大人気だったと聞き及んでいますが,韓国のほうでもものすごく遊ばれていたんですよ。
4Gamer:
日本ではシリーズ展開の断絶期間もあって,今は「知る人ぞ知る」的な温度感かと思いますが,韓国だと「みんな知ってる」も言いすぎではないくらい,一般認知度の高さが違うらしいですしねえ。
おかげで生まれた新作ですが,今回は往年の育成シムを継承するとのことで。具体的にはどのような内容を目指したのでしょう。
Kim氏:
具体例としては,プリメ2やプリメ3をイメージしています。ただ,子供を育てるにあたって,ゲーム内とはいえ文化の差はあるのかなと思いまして,娘が働いてお金を稼いでくる側面をどうするかは悩みました。
4Gamer:
ゲーム的に「娘に養われる親」になりがちですしね……(笑)。
それと,基本システムは育成シムですが,一部イベントで“プリメQのようなクイズ”がありましたね。これはやはりリスペクトで?
Kim氏:
そのとおりです!
4Gamer:
同じくビジュアルも,往年のプリメの雰囲気を醸しつつ,レトロだけど古くは見えない,といったバランスを目指しているのでしょうか。
Kim氏:
我々としては“Newレトロ”な感覚で表現しています。ただ,デザイナー陣もまだ古き良きレトロさと,現代風な新鮮さのバランス感を表現するのに難儀していて,今も悩んでいる最中ではあります。
4Gamer:
カレンの立ち絵は何種類くらい用意されますか。
Kim氏:
現在はまだ用意できていませんが,リリースまでに「年齢に応じたビジュアルの変化」を導入したいと思っています。エンディングのスチルに関しては,大量にあるので期待してください。
4Gamer:
体重に応じた,ビジュアルの体型の変化はどうでしょう。
Kim氏:
体型の変化については,立ち絵と並行して試行錯誤してきたのですが,現状はスケーリングがちょっとぎこちなくて。納得できる仕上がりにならなそうなら見送るかもしれない,といったところです。
4Gamer:
今回はバトルにも力を入れているそうですが。
Kim氏:
はい。まだ開発中のため,そこにある試遊版では実装していませんが,アクションゲーム的な探索と戦闘要素も充実させる予定です。
4Gamer:
先ほどエンディングのスチルが大量にあるとおっしゃられましたが,プリメと言えばマルチエンド。リプレイ性も求められるゲームですが,今回のワンプレイは何時間くらいの想定でしょうか。
Kim氏:
そこもプリメ2くらいが適切だと思っているので,初プレイなら5時間ほど,慣れた人なら2〜3時間ほどで終われるように調整します。
4Gamer:
本作の「ギャラリー機能」では,到達エンディングの回想といった視点ではなく,1プレイの一部イベントをかいつまんで,娘がどのような成長を遂げたのかを1冊のアルバムに仕立てていますよね?
これがD-ZARDなりのこだわりなのではないかなと。
Kim氏:
おっしゃるとおり,そのときのプレイがどうだったのか,娘との思い出を想起してもらえるような記録を作りたくて用意しました。皆さんにもぜひ,たくさんのアルバムを飾っていただきたいです。
4Gamer:
リリース予定は現状,いつごろでしょう。
Kim氏:
2025年の秋ごろを想定しています。もちろん韓国のみならず,プリメが生まれた日本でのリリースもマストです!
4Gamer:
プラットフォームはPCとSwitchだけですか。
Kim氏:
展望としては,PCとSwitchに加えて,ほかのコンソールゲーム機でも配信したいと思っています。ただ,現状はようやく遊べるようになったバージョンをTGSで初公開した段階で,パブリッシャの調整もこれからとなりますので,デモ版の公開も含めてしばらくは手探りが続きます。
4Gamer:
それでも,渾身の自信作にはなりそうですか?
Kim氏:
自信作にします。赤井先生にプリメを許諾していただいた以上,ファンにも認めてもらえるプリメには絶対にしていきます。
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