プレイレポート
[プレイレポ]「Fit Boxing 3 -Your パーソナルトレーナー-」は“続けやすさ”がさらに進化。「チェアフィット」や「即トレ」「ミット打ち」など,幅広い運動を楽しめる
「Fit Boxing」シリーズはボクササイズで楽しく運動することを目的としたエクササイズゲームだ。プレイヤーはJoy-Conを手に持ち,インストラクターの指示に従い実際にパンチを繰り出してフィットネスをする。
2018年に発売された初代「Fit Boxing」は,体験版の配信と口コミでジワジワと売り上げを伸ばし,2019年には世界での累計出荷本数100万本を達成。2020年には「Fit Boxing 2 -リズム&トレーニング」が発売され,人気シリーズへと成長した。
その後も2022年の「Fit Boxing 北斗の拳 〜お前はもう痩せている〜」,2024年の「Fit Boxing feat. 初音ミク -ミクといっしょにトレーニング」といったコラボタイトルが発売されるなど,シリーズ展開を続けている。
最新作となる「Fit Boxing 3」は,ナンバリングとしては4年ぶりのタイトルとなる。ボクシングのパンチで気持ちよくカロリーを消費できるメイン部分はそのままに,座ったままでの「チェアフィット」や,すぐに始められる「即トレ」,自分のペースでパンチできる「ミット打ち」など,より幅広い層が運動を継続できるように進化している。
今回は一足先に製品版相当のバージョンをプレイできたので,そのレポートをお届けしていこう。なお,11月21日には本作の体験版が配信されているので,気になった人はチェックしてほしい。
新たなエクササイズとシステムで,よりプレイヤーに寄り添ってくれるツールに
ゲームの基本部分はこれまでと同様だ。Joy-Conのストラップを手首にかけ,手の中に握りこめば準備完了。画面内ではパンチのタイミングと種類を指示するアイコンが流れるので,タイミングよくパンチを打つ。そのたびにJoy-Conが振動し,手ごたえが伝わってくるのが心地いい。
ジャブ,ストレート,フック,アッパーといったパンチに加え,ダッキング,ウィービング,ステップといった移動もあるため,トレーニングを終えると身体が温まるどころか汗も出てくる。「デイリー」では「ストレートコンビ」「フックコンビ」といったメニューを複数こなすため,ゲーム内の参考値で3〜400カロリーくらいは当たり前のように消費する。終わった後に飲む水がもう最高で「今日も頑張った!」という満足感が沸き上がる。
こうした満足感を支えてくれるのがインストラクターたちだ。初代から登場するリン(CV.早見沙織さん),エヴァン(CV.中村悠一さん),ベルナルド(CV.大塚明夫さん),の3名と「Fit Boxing 2」のガイ(CV.緑川 光さん)に加えて,新インストラクターとしてステラ(CV.皆川純子さん)とモニカ(CV.ファイルーズあいさん)の2名が登場する。リンは真面目,エヴァンは元気,ベルナルドは頼れる兄貴系,ガイはぶっきらぼう……と,それぞれに個性がある。
新たに登場するステラはイケメン系のクール美女,モニカは明るくノリが良いお姉さんタイプで,先輩たちに負けず劣らずの個性派だ。そんな彼らがトレーニング中に励ましてくれるのだから,こちらも元気が出てくる。
インストラクターたちを自分好みにできるのもシリーズの特徴だ。トレーニングで手に入るゲーム内マネーを使い,「トップス」「ボトムス」「アクセサリー」「シューズ」「グラス」を買えるほか,「髪の色」「肌の色」「目の色」も変更可能。今回は新たに「ヘアセット(髪型)」という項目も加わり,コーディネートひとつで印象がガラッと変わる。
今回は,プレイヤーに寄り添う機能が充実し,インストラクターたちの存在感も増しているという印象だ。
例えば,トレーニング開始時にはインストラクターがこちらの体調を聞いてくる。良いと長めのメニューを提示し,悪いとその逆になる。体調が良い場合,インストラクターがさらなるメニュー「追いトレ」を提案してくることもある。もちろん,プレイするメニューは自由に選べるのだが,その手間を省けるのに加え,インストラクターという一人の人間に気遣ってもらっているようで嬉しい。
また,同じインストラクターと繰り返しトレーニングしていると,「エピソードチャレンジ」が可能となる。これは,インストラクターと会話し,新しいメニューを教えてもらえるというもの。
例えば,リンの「食べ物の誘惑」だと「旬の食材は体にいいが食べ過ぎるので,フックコンビ2でカロリーを消費!」という感じでメニューを教えてもらえる。プレイヤー自身の返答も選択でき,アドベンチャーゲームのイベントシーンのようだ。これまでのシリーズにはなかったアプローチといえるだろう。
「スウィート」モードも見逃せない新機能だ。ONにするとインストラクターのトレーニング中の声掛けがさらに優しくなり,とにかくこちらを褒めてくれようになる。現実のインストラクターに「今日はスウィートでお願いします」とお願いするわけにもいかないので,これはゲームならではの面白い機能だ。「今日は気が乗らないな」というときに使えば,インストラクターが気分を乗せてくれるかもしれない。
逆に「すぐトレーニングしたい!」とか「仕事中だけどトレーニングしたい!」「手っ取り早くパンチを打ちたい!」とやる気があふれている日もあるだろう。そんなときは新要素である「即トレ」「チェアフィット」「ミット打ち」がおすすめだ。
即トレは文字通り即座にトレーニングできるというもので,タイトル画面から即座にデイリーメニューをスタートできる。文字にするとシンプルだが,これはありがたい機能だ。“身体を動かしたい欲”は突然に高まる。しかし,実際のジムだと予約をしたり,服やタオルをカバンに詰めたり,交通機関で移動したり……と結構手間がかかる。即トレなら,すぐに始められるため“身体を動かしたい欲”のままにトレーニングできるというわけだ。
そして,「Nintendo Direct」での初報公開時,個人的にも注目していたのがチェアフィットだ。座った状態でパンチを打ってのトレーニングであり,専用のメニューが用意されている。仕事の合間に軽くリフレッシュしたいと思うことは多いが,ちょっとリフレッシュするだけのはずが,ガッツリ楽しんでしまったなんてことも少なくない。
チェアフィットであれば,座ったままですぐにトレーニングを始められるので,ちょっとしたリフレッシュにはもってこい。通常メニューより負荷が軽いので,「足が痛い」とか「今日はあっさり済ませたい」という場合や,立ってのトレーニングが難しいという人にも選びやすい。
個人的には,仕事中のリフレッシュ用に,タイトル画面から直接チェアフィットを始められるショートカット(要するに,即トレのチェアフィット版)も欲しいと感じた。
リアルなトレーニング感を楽しめるのがミット打ち。インストラクターがミットを構え,時には攻撃もしてくるので,パンチを打ちこんだり回避したりする。インストラクターとやりとりしている感覚がより強くなっている。
右手のミットを構えたらこちらも右手でパンチ,左手のミットならこちらも左手と,クロスするようにパンチを打つというのがミット打ちのルール。ほかのモードと同様にパンチの種類を示すアイコンも表示されているのだが,あえて見ずにインストラクターの声とミットに注目してパンチを打てば,リアルトレーニング感がより高まるのでお勧めだ。
ミット打ちのプレイはいくつかのブロックに分かれていて,ブロック終了時の得点が高ければ続くブロックのメニューがより難しくなる。全体的にインタラクティブ性を高めたシステムといえるだろう。
コースのラストでは,パンチを高速連打したのちにトドメとばかりに一撃をミットに打ち込めばクリア。この辺りは「Fit Boxing 北斗の拳」のバトルに似たシステムで,力の限り連打すると爽快だ。
「Fit Boxing 3」は即トレ,チェアフィット,ミット打ちで幅広いプレイスタイルに対応し,さまざまな人が続けやすくなり,使い勝手もこれまでよりもアップした感がある。ゲームでありつつも身体を動かす動機づけをするツールとして進化していると感じた。
ディスプレイの遅延を調整したり,ダッキングやウィービング,ステップなど特定の運動を自動で成功扱いにする,トレーニングの時間が来たらアラームで知らせてくれるなど,便利な設定は本作でも続投。テーブルモードで台の上に置くのはもちろん,ディスプレイやTVにつないだり,周囲の環境に合わせたスタイルでトレーニングできる。2人プレイにも対応しているので,Joy-Conを分け合って楽しむのも良いだろう。
「トレーニングする」と聞くと広い空間が必要なように思えるが,市販されているヨガマットくらいのスペースがあれば十分。“パンチを打つ”という分かりやすさと,ボクシングならではのカッコよさが気持ちいい。運動したい人や一味違ったゲームを楽しみたい人におすすめだ。
なお,4Gamerでは「Fit Boxing」の発売後に,同作を手掛けたイマジニア モバイルメディア事業本部 社長室の橋田寛幸氏と,エクササイズメニューや,インストラクターのモーションキャプチャなどを行ったプロインストラクター,一般社団法人フィットボクシングジャパン 代表理事 武藤直樹氏に,制作秘話やトレーニングのコツ,食事や休養についてなどインタビューをしている(関連記事)。
武藤氏による,正しい姿勢やダッキング/ウィービング,ステップ/ボディジャブの打ち方については動画もある。ボクシングの基本であり,今回の作品でも使える部分なので,ゲームを始めたばかりの人はぜひチェックしてほしい。
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