インタビュー
手描きアートによる美しいメトロイドヴァニアADV「The Eternal Life of Goldman」についてプロデューサーに聞いた[TGS2024]
2024年8月に制作が発表されたばかりの「The Eternal Life of Goldman」は,古代の伝説やおとぎ話,寓話などにインスピレーションを受けたシングルプレイのアドベンチャーゲームだ。
複数の島からなる“アーキペラーゴ”(Archipelago)に潜入した初老の男性が,“神”(Deity)の暗殺を目指してさまざまな謎を解き明かしながら進んでいくというトーリーが展開される。
手にした杖をトンピング遊具のように利用し,プラットフォームを乗り越えたりクリーチャーを踏みつけて倒したりするだけでなく,杖のフックを輪にひっかけて引っ張ることで,ちょっとしたパズルを解き明かしていく。
本作の大きな特徴となるのが,手描きアートを駆使した開発チームの努力溢れるビジュアルスタイルだ。フレームバイフレームのクラシカルなアニメ制作技法を採用し,背景からキャラクターに至るまで妥協のない,滑らかなアニメーションを再現している。その懐かしくも斬新な雰囲気は,2017年にStudio MDHRがリリースした「Cuphead」を連想するが,プレイヤーにストレスを抱かせない緩めなゲームプレイとなっている。
東京ゲームショウ2024においては,「ディズニー エピックミッキー:Rebrushed」の豪華なブースの裏側でひっそりと公開されていた「The Eternal Life of Goldman」ではあるが,THQ Nordicのプロデューサーであるアンドレアス・シュミーデッカー(Andreas Schmiedecker)氏にお話を聞く機会があったので紹介したい。
アーティストたちのこだわりや熱量が伝わってくる力作
4Gamer:
「The Eternal Life of Goldman」を開発するWeappy Studioは,汚職警官を主人公にした「This is the Police」シリーズなどで知られていますが,どういう開発チームなのでしょう。
シュミーデッカー氏:
2015年に設立された開発チームで,もうすぐ10年目になります。ベラルーシとキプロスを拠点にしており,地域ではベテランになりつつありますね。ちょうど「This is the Police 2」の開発が終わったときに企画が持ち込まれて,すぐに販売契約を結びました。新作のアイデアを考慮するとかなり時間のかかるプロジェクトだと分かっていましたが,彼らのこれまでの実績を考慮すると難しい判断ではありませんでした。
4Gamer:
手描きアニメーションは相当な時間が掛かると思いますが,チームを拡大するなどしたのでしょうか。
シュミーデッカー氏:
いえ,私の知る限り,25人程度の開発メンバーの人数は変わっていないはずです。我々もアウトソーシングなどをオプションとして薦めたことがあるのですが,とくにフレームバイフレームのアニメーションだと画質や配色のセンスもアーティスト個人によって大きく異なってしまうため,Weappy Studioは時間をかけても自分たちの手でやりたいという思いを強く持っているようでした。
4Gamer:
それを企画段階からパブリッシャがサポートしていたというのもすごいですね。
シュミーデッカー氏:
ありがとうございます。このあいだにパンデミックが起こったり,ご存じのように我々の親会社であるEmbracer Groupが経営難に陥ったりと大変なことが続きましたが,我々がデベロッパ,そしてファンと築き上げた関係を維持するために,我々もできることをやってきています。その成果を,「The Eternal Life of Goldman」でゲーマーの皆さんに感じ取っていただけるとうれしいです。
4Gamer:
それではゲームの話に戻しますが,初老の男性が主人公というのが面白い発想だと思います。彼について教えてください。
シュミーデッカー氏:
今のところは秘密にさせてください。制作発表の際のアナウンストレイラーをご覧になればお分かりのように,まるで母親が子供に聞かせているようなナレーションが入っていますよね。それが何を意味するのかは,ゲーマーの皆さんがプレイしながら明らかにしていただければと。もちろん,老人を意味なく主人公にしているのではありません。そこにはギリシャ,ユダヤ,メソポタミア地域の古代神話に基づく,生と死に関するメッセージが詰め込まれているストーリーがあります。
4Gamer:
プレイできたのはチュートリアルだと思いますが,ポータルが開いて幽霊のようなキャラクターがヒントをくれました。
シュミーデッカー氏:
そうですね。これについても詳しい話をするのは控えますが,ポータルが開くと同時に,その周囲の大地に草花が咲く描写があるのに気づきましたか? チェックポイントもフェニックスですが,フェニックスも多くの地域で不死鳥とされているシンボルであり,ゲームのストーリーに大きな意味を持たせています。
4Gamer:
“アーキペラーゴ”(群島の意味)という舞台になっているのは,プレイヤーキャラクターが異なる島を旅していくということですか。
シュミーデッカー氏:
はい。3つの環境の異なる島が,アーティストによってしっかりと描き上げられています。「The Eternal Life of Goldman」のゲームシステムがユニークなのは,普通のプラットフォームアクションのように1つの流れになっていないということです。
つまり,現在公開しているようなジャングルやツンドラの島を旅すれば,プレイヤーはハブとなる村に戻ってきて,そこでNPCたちと会話をする流れになっています。ただ,バックトラック(ステージをプレイし直すこと)はできないので,隠しエリアなどをすべて見つけるには,何度かプレイし直すことになるかもしれません。
4Gamer:
主人公のお供になる歩行杖が良い味を出していますね。
シュミーデッカー氏:
プレイしてご理解なされたでしょうが,この杖はハンドル,棒,そしてフットの3つに分かれていて,ゲーム中に新しいパーツを入手していきます。今回でのデモでは,ハンドルがフック状になったものを最初に入手したはずです。これは,輪っかに引っ掛けてゲーム内オブジェクトを引っ張ったり,バルーンに掴まったりするのに使用します。もう1つ,棒の部分の新しいパーツを獲得したと思いますが,これはより高いプラットフォームに上がるために必要になるものです。
4Gamer:
そうやって,本来なら武器にならないものが武器として成長していくのが面白かったです。
シュミーデッカー氏:
ええ,そしてただ新しくしていくだけでなく,古いパーツも使うときがあり,木の棒であっても使い道はまだまだあるということです。例えば,狭い洞窟を進むとき,性能が高すぎるとジャンプしすぎてしまい,天井にある鋭い石に頭をぶつけてしまうわけです。
4Gamer:
ゲームクリアまでの時間はどれくらいになりますか。
シュミーデッカー氏:
ボスは9体います。今回の東京ゲームショウで公開したデモの最後には闘牛が登場したかと思いますが,あれは小型のミニボスなんです。ストーリー全体としては15時間くらいになると思います。
4Gamer:
15時間はなかなかのコンテンツ量ですね。手描きアートの2Dプラットフォーマーのヒット作と言えば「Cuphead」を連想しますが,ゲームとしてはまったく別物と言えそうです。
シュミーデッカー氏:
そうですね。どちらもアーティストたちのこだわりや熱量が伝わってくるような手法を使った力作ですが,ゲームプレイでは大きく違っています。「The Eternal Life of Goldman」のペースはゆるくなっているので,各所で立ち止まってパズルについて考えたり,情景の美しさを感じてもらったりできると思います。
本作はメトロイドヴァニア型でマップを自由に探索し,自分のペースで楽しめる作品になっています。より多くのゲーマーがパズルやボスファイト,そしてストーリーを楽しみ,コンプリートできるようなゲームに仕上がることを期待しておいてください。
「The Eternal Life of Goldman」公式サイト
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(C)2024 Weappy. Published & Distributed by THQ Nordic GmbH, Austria. All other brands, product names and logos are trademarks or registered trademarks of their respective owners. All rights reserved.
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