インタビュー
「フロントミッション」を思わせるSLG「Kriegsfront Tactics」の世界設定について,制作者に聞いてみた[TGS2024]
フロントミッションをベースに,ちょっとXCOMを添えて。盛り込まれた要素をうまく組み合わせた新作SLG「Kriegsfront Tactics」体験版をプレイ
日本最大級のインディーゲームイベント「BitSummit Drift」で,Toge ProductionsによるロボットSLG「Kriegsfront Tactics」の日本語対応デモ版が出展されていた。「フロントミッションっぽさ」で話題を集めた作品は,実際のところはどうなのか。さっそく遊んでみた。
戦争の複雑な側面を描く作品として
4Gamer:
見るからに「フロントミッション」や「XCOM」を感じさせる作品ですが,制作側もこの点は意識されているのでしょうか?
JUNKI氏:
はい。このゲームを作っているチームのリーダーは,フロントミッションをこよなく愛していまして,その愛の深さを世界に示すために本作は作られている,と言っても過言ではありません。
4Gamer:
何人くらいのチームで作っているのでしょう?
JUNKI氏:
正確に何人というのは答えにくいのですが,だいたい12〜15人程度です。
4Gamer:
完成までもう一息という雰囲気なのですが,ここまで来るのに何年くらいかかっていますか?
JUNKI氏:
本格的な制作が始まってからだと,3年ですね。ですが,コンセプト制作やモックの制作は,7年前から始まりました。
4Gamer:
本作は,背景世界も個性的ですが,なにか参考にした作品などはありますか?
JUNKI氏:
(特定の作品ではなく)「アジアの戦争」が参考になっています。具体的に言えばベトナム戦争や,インドネシア戦争といった戦争ですね。本作は架空の第二次世界大戦後の世界を扱っており,「もうひとつの第二次世界大戦と,その戦後」を描く作品でもあります。
4Gamer:
本作のストーリー制作にあたって,最も重視しているのはどんなところでしょう?
JUNKI氏:
戦争の持つ複雑な側面を,しっかりと描きたいと思っています。本作が扱う戦争は,大国間の戦いですが,現実の戦争がそうであるように,白黒にきっぱりと別れているものではありません。そこは大事にしたいですね。
それから,言うまでもありませんがメカも大事にしています!
4Gamer:
登場人物も多彩ですが,これもモデルがあったりするのでしょうか?
JUNKI氏:
このゲームには,さまざまな組織や陣営が登場しますが,まず,これらが歴史を踏まえたものとなっています。
そのうえで,そういった陣営に所属する人物もまた,歴史上の人物にインスパイアされた人物がいます。インドネシアやオランダ,アメリカなど,さまざまな地域の人々を参考にしていますね。
とはいえ,キャラクターはすべてオリジナルのキャラクターとなっており,「歴史上の人物がそのまま登場する」ことはありません。
4Gamer:
Togeと言えば,「Coffee Talk」など,2Dのアドベンチャーゲームに強いというイメージがあります。そんな評価を得ているなかで,3Dのストラテジーゲームを作るという決断は,どのように下されたのでしょうか?
JUNKI氏:
実際,簡単な経緯ではありませんでした。ご指摘のとおり,3Dのゲームを作るというのはTogeにとっても大きな挑戦となっており,野心的なプロジェクトなのは間違いありません。
なので本作は,長い時間をかけて作り上げられてきました。それくらい,ずっと作りたかったタイトルなのです。
インドネシアにおけるインディーゲームシーン
4Gamer:
お話からも,Togeの持つ熱気が伝わってくるのですが,JUNKI氏にとってTogeとは,どんな会社ですか?
JUNKI氏:
若い会社で,制限を課されることが少ないのが特徴だと感じています。また,未来に対して楽天的で,強い情熱を持つメンバーばかりです。
4Gamer:
東南アジアでもインディゲームが盛り上がっていますが,インドネシアにおけるインディーゲームシーンはどのような状況でしょうか?
JUNKI氏:
この3年で大きく変化したと感じています。最大の変化は,「インドネシアから,世界市場に向けてゲームを作る」意識が非常に強くなったということでしょうか。
4Gamer:
その点について,少し詳しくうかがいたいです。と言いますのも,インドネシアの人口は約2.7億人で,世界的に見ても非常に人口が多い国です。経済発展も進んでいて,ゲームもどんどん普及してきたわけですから,国内市場も十分な規模があるように思えます。
それにも関わらず,インドネシア国内市場の制覇ではなく,世界市場を狙うという選択の背景には,どんな理由があるのでしょう?
JUNKI氏:
このように「インドネシア市場」を単一の市場として扱うのが難しいため,より母数の大きな世界市場を目指すという方向性が,生まれているように感じています。
4Gamer:
なるほど,非常に興味深いです。
最後に,とても大事な質問をしたいと思います。アニメでもゲームでも漫画でも,「このロボット作品が好き」というタイトルをひとつ挙げるなら,何ですか?
JUNKI氏:
難しい質問ですね……そうですね,私達のチームのリーダーは「パトレイバー」が大好きです!
本作は「東南アジアのジャングルで『フロントミッション』のようなゲームを遊ぶ」というところに留まらず,史実において日本軍が撤退したあとの東南アジアで発生した,さまざまな戦争を踏まえた作品だ。実際,本作のイントロムービーでは,日本を模した国が,舞台となる地域から撤退した後の世界で繰り広げられる闘争であることが明示されている。
ロボットゲームとしてだけでなく,戦争を描いた作品としても,本作がどのような仕上がりを見せるのか。今後も注目したい。
Toge ProductionsのSteamストアページ
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