連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第813回「理不尽さが乗り越えられなかったから」
ドラクエは社会現象になりました。いやマジで。当時はダウンロード販売なんて洒落たシステムはなかったので,手に入れるには店頭に並ぶしかないわけです。
で,並んでも手に入れられなかった人が手に入れた子供を恐喝して奪うという,いわゆる「ドラクエ狩り」なんて犯罪も起きたりしました。
ちなみに,「ドラクエII」の発売直後には小中高の学生が学校をずる休みしたり,社会人が無断欠勤したりする現象も巻き起こり,それが「ゲイムは悪」みたいな風潮を生み出していた記憶があります。今にして思えば時代に関係なく悪いヤツは悪いし,今は今で転売の問題だってあったりするので,単純に商品の需要と供給のバランスが悪かったがゆえに起こった出来事だったんじゃないかと思うのですが。
ともかく,ドラクエIIIは社会現象とまで言える作品だったのは確かです。私は自由にファミコンソフトを買える財力はなかったので,中古が出回るのを待っていました。ですが,ドラクエIIIはバッテリーバックアップという,当時としてはまだ目新しかった方法で中断セーブが可能になっていました。
それまでのドラクエはパスワードを入力することで,冒険の途中から続けることができる方式でした。当然,ボリュームが多い作品ほどパスワードは長く,間違えてパスワードを書き取り,今までの努力が水の泡になるという事例は全国各地で起こっていたと思います。
今と違って携帯電話もない時代なので,写真なんて気楽には撮れません。それが,ドラクエIIIでは自動で冒険のデータをセーブしてくれる,今に近い形の中断方法に変わったのです。
ですが,このバッテリーバックアップも完全なものではありませんでした。バッテリーが切れるとデータはなくなってしまいます。また衝撃に弱く,ちょっとしたアクシデントでセーブデータが消えてしまうという,理不尽な冒険のあきらめ方をしなければならないケースも続出しました。
ドラクエの呪いにかかった際に流れる「デデデデ デデデデ デデデデ デデデデ デデーンデレン」というSEは,むしろ冒険の書が消えた音として有名だと思います。主に40代以上のドラクエプレイヤーにとっては。
あれ,けっこう心が折れますよ。人生の初挫折が「冒険の書が消えたこと」って人,そこそこいるんじゃないでしょうか。パスワードの書き取りを間違えたのであれば,自分のせいだと思えるんですが(それでも現実を受け止めきれないけど),セーブデータが消えるのはもう理不尽というほかありません。
でも,消えたデータは元には戻らないので,もう一度プレイし直すしかない。冗談でもなんでもなく,私が「プロレスラーすげえ」と感じているのはドラクエの影響はある気がします。
「辛いことがあっても立ち上がる姿がカッコいい」と思えるのは,私には「ドラクエの理不尽さが乗り越えられなかったから」という原体験があるからかもしれません。職業こそプロレスラーを名乗れていますが,今の私はあの頃の憧れたようなプロレスラーになれているのだろうか。
今はYouTubeなどでチート技として自動レベルアップの方法が紹介されたりしてますが,実はその友達もチート技を使っていました。1988年に。誰から聞いたわけでもなく,自分で生みだした独自の方法で。それは「弟にひたすらレベル上げだけさせる」というものでした。
兄の力が強い兄弟っているじゃないですか。それが,ゲイムにまで及んでいたんですね。少しでも先に進むと,お兄ちゃんに怒られる。そんな状況でも,ただひたすらスライムとおおがらす相手に「たたかう」を選び続けた弟さんの努力を思うと本当に涙が出そうです。今,あの兄弟はどういった人間関係を築いているのでしょうか。残りの人生で会えるかなぁ……。
まだまだドラクエIIIのエピソードはありますよ。「遊び人が賢者になれる」みたいな話に対して,「でも僧侶が遊び人だったりもするしなぁ」って言ったお寺の住職の息子の話とか。現実の夜のお店で「ハッスルダンスタイム」という時間を経験した後,「ハッスルダンスは回復どころか,むしろ体力使うよね」と言った後輩の話だとか。ドラクエの話は尽きません。
はい,今回は「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…(HD-2D版)」(PC / PS5 / Xbox Series X|S / Nintendo Switch)を始めましたっていうお話でした。
今週のハマりゲイム
Nintendo Switch:「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…(HD-2D版)」
Nintendo Switch:「発進!!ヒーロー基地DX」
Nintendo Switch:「三國志8 REMAKE」
iOS:「プロレスリング物語」
iOS:「ロードモバイル」
iOS:「ウイニングイレブン カードコレクション」
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