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「餓狼伝説 City of the Wolves」開発者インタビュー。ファンの声に耳を傾けながらも,“餓狼”は現代向けに再構築された新たなステージへ[TGS2024]
東京ゲームショウ2024のSNKブースにおいても,もちろん本作は大きくフィーチャーされており,スペースの大半を占める試遊台に多くの来場者が足を止め,発売前の本作を楽しんでいた。
「餓狼伝説 City of the Wolves」公式サイト
ボックス・リーパー
今回のTGS 2024バージョンでは,ロック・ハワード,テリー・ボガード,プリチャ,ボックス・リーパー,そして初めて試遊に登場となった不知火舞の5名で,CPU戦や対人戦が楽しめるようになっていた。
なおボックスは完全新規のキャラクターながら,前作「餓狼 MARK OF THE WOLVES」(以下,餓狼MOW)の中ボス的存在だったグラントのバトルスタイルを引き継いでおり,グラントの特徴だった使い勝手のいい通常技(しゃがみ弱P,立ち強Pなど)と必殺技が,ほぼほぼ使用できる。その上で新たな技も加わって,師匠的存在のグラントよりも多彩な攻めが展開できる,可能性を秘めたキャラクターに感じられた。
一方,シリーズを通してヒロイン的立ち位置だった不知火舞は,忍び装束からレザースーツへと衣装を一新。餓狼シリーズのみならず,KOFシリーズで登場した技も一部登場するなど,これまでの強みのいいとこ取りなキャラクターに仕上がっている印象だ。
飛び道具(花蝶扇)と対空必殺技(花嵐)による迎撃戦術が可能な一方で,多彩な特殊技と,地上・空中のどちらからでも出せるムササビの舞を駆使したトリッキーな攻めも展開できる。さらには必殺技の隙を軽減するブレーキングを駆使すれば,花嵐と必殺忍蜂から固めを狙えるなど,プレイヤーの個性を反映しやすいキャラクターになりそうだった。
ケンと春麗がサウスタウンにやってくる! 「餓狼CotW」とストリートファイターのコラボが発表された,SNK公式配信レポート[TGS2024]
「東京ゲームショウ2024」のYouTuber公式チャンネルにて,公式番組「SNKスペシャルプログラム」が本日(2024年9月26日),配信された。「餓狼伝説 City of the Wolves」と「THE KING OF FIGHTERS XV」の最新情報が公開され,ストリートファイターとのコラボも明らかとなったこの配信をレポートする。
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現代の格闘ゲームとして生まれ変わる“餓狼”――「餓狼伝説 City of the Wolves」開発者インタビュー
ビジネスデイのSNKブースには,「餓狼伝説CotW」のプロデューサーである小田泰之氏をはじめとした開発スタッフが常駐しており,国内外のメディア対応に大忙しといった様子だった。4Gamerも30分ほどではあるが話をうかがう機会が得られたので,その模様をインタビューの形でお伝えしよう。
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。今回のTGS 2024を含め,「餓狼伝説CotW」が一般にお披露目される機会が増えてきましたが,今のところの手ごたえはいかがですか。
小田泰之氏(以下,小田氏):
あくまで僕の所感ではありますが,遊びやすいと感じていただけているんじゃないかと思います。1つのキャラクターをじっくり遊んでもらうタイプのゲームですので,短い試遊時間から得られる感想としては,いいリアクションなんじゃないかと。
ジョシュア・ウェザーフォード氏(以下,ウェザーフォード氏):
あとはアニメーションなど,キャラクターの動きがSNKらしいと言ってもらえることが多いですね。
カンパナ・ジョナサン氏(以下,ジョナサン氏):
新鮮さと懐かしさのバランスが,いい感じで取れているのかなと。とくに「餓狼MOW」以来のファンの皆さんからは,とてもいい反応をいただいています。
4Gamer:
今回の試遊バージョンでは,ボックスと不知火舞が追加されていましたが,なぜこの2キャラクターが試遊用に選ばれたのでしょうか。制作中のキャラクターの中で,一番完成度が高かったからですか?
小田氏:
そういうわけでもないんです。試遊台のビルドをどこまで用意するかは,開発キャパの問題もあるのですが,舞はけっこう無理やりねじ込んでもらいました。発表時のコスチュームの評判がとてもよかったので,ぜひTGSで触ってもらいたかったんです。
4Gamer:
なるほど。世間の反応を見ながら,臨機応変に考えているんですね。
小田氏:
皆,怒りながら作ってましたけどね。急に言うなよって(笑)。
4Gamer:
(笑)。EVO Japanの試遊台にいたロックやテリー,プリチャの性能は変わっていないのでしょうか。
小田氏:
細かいところは変わっているはずです。開発中のキャラクターは,一見完成したように見えても,ほかのキャラクターが仕上がってくると,それとの兼ね合いで具合の悪い部分が出てたりするので,微調整は頻繁に行っています。あと,おそらく大阪の開発チームは,「ストリートファイター6」のテリーのクオリティを見て,これじゃイカンと思って,いろいろいじってるんじゃないかな(笑)。
4Gamer:
参戦キャラクターは,「餓狼MOW」からのキャラクターと,シリーズを通しての人気キャラクターが混在している感じですが,残りのキャラクターもこの方向性になるのでしょうか。もちろん,まだ言えないことが多いとは思いますが。
小田氏:
そうですね……本作のローンチ時の登場キャラクターは17体ですが,その後もダウンロードキャラクターとして5体が追加され,シーズン1では計22体が使用できるようになります。現時点では,そこからシーズン3までは計画がありますので,最終的には幅広いニーズに応えられるキャラクターが揃うのではないかと思っています。
もちろん,ファンの皆さんが望むキャラすべては難しいですが,できるだけがんばりたいですね。皆さんがあっと驚くキャラクターも,そう遠くないうちに発表できると思いますので。
4Gamer:
“あっと驚くような”というのは,先日ニュースになったサッカー選手のクリスティアーノ・ロナウド選手のことでしょうか。
「餓狼伝説 City of the Wolves」にクリスティアーノ・ロナウド選手が参戦か。公式Xアカウントに謎の映像を投稿
サッカーのクリスティアーノ・ロナウド選手が自身のXアカウントに「餓狼伝説 City of the Wolves」について謎の映像を投稿し,話題を集めている。ロナウド選手の背番号である「7」の文字や,「ある伝説の選手が伝説のゲームに参加する」といったテキストなど,ロナウド選手の参戦を強く示唆する映像だ。
ロナウド選手の件は、続報にご期待いただければと。
4Gamer:
分かりました。今回の試遊にはありませんでしたが,先日公開されたトレイラーによると,本作にはEOSTなる新モードが用意されているとのこと。こちらについて詳しく教えていただけますか。
小田氏:
EOSTは,シングルプレイで本作を遊び続けたい人向けに用意したゲームモードです。対戦とはまた異なる格闘ゲームの遊び方として,プレイのモチベーションになるものを用意しています。またEOSTとは別にストーリーモードもありますので,シリーズのキャラクターの活躍が見たい人は,こちらもおすすめです。「餓狼MOW」から続く物語を,しっかり楽しめるようになっていますので。
4Gamer:
なるほど。EOSTはキャラクターというより,プレイヤーにスポットを当てたモードということでしょうか。
ウェザーフォード氏:
そうですね。プレイヤーを主役にしながら,「サウスタウンってこんな街なんだなあ」って思える体験や,「餓狼伝説」シリーズにまつわる豆知識などを見られるものになっています。
4Gamer:
ゲームシステムの変化はいかがでしょうか。REVシステムの追加が一番大きいと思いますが。
小田氏:
REVはプレイヤーの自由度が広げるシステムですので,とくに格闘ゲームファンからポジティブな反響をいただいている半面,未プレイの人にとっては「このゲームってシステムが多くて,難しいのかな?」って思わせてしまう可能性もあるんじゃないかと思っています。本作のプロモーション期間を長くとっているのも,実はそんな理由があったりするんですよ。
4Gamer:
確かにまだ半年以上ありますものね。
小田氏:
なので試遊の機会を増やし,たくさんの人に触ってもらいたいと思っています。体験した人から本作のプレイフィールを発信してもらうことで,発売までに本作ならではの操作感に慣れてもらえたら……という意図ですね。
システムを少なくシンプルにしたほうが分かりやすいので,そのほうが広がりやすい側面はあると思うんですが,長く遊んでもらうことを考えると奥深さはどうしても必要になります。REVシステムは,その奥深さを生み出す仕掛けでもあるので,絶対入れておきたかったんです。
4Gamer:
おっしゃるとおりですね。
小田氏:
実際に触ってみたら,絶対いろいろ言いたくなると思うんですよ。そうした感想は,SNSなどでぜひ発信してもらいたいです。早めに言ってもらえると,こちらも対応しやすいので(笑)。
ウェザーフォード氏:
いわゆる“バスターウルフ警察”※とかも,愛されているからこそああいう反応が出るのだと思いますし(笑)。それに反応があること自体,作っている側のモチベーションにつながりますからね。
※本作のPV公開時にSNS上で巻き起こった,テリーの超必殺技・バスターウルフの演出についての議論(?)のこと。テリーを象徴する技だけに,変化したビジュアルに多くの意見が噴出した。
4Gamer:
細かい話になりますが,REVシステムにキャラ差のようなものはあるのでしょうか。例えばオーバーヒートになる時間が,キャラクターによって異なるというような。
小田氏:
そこはちょっとまだ決め切れていない部分ですね。いろいろな要素を考えながら,調整を矛度しているところです。
4Gamer:
「餓狼MOW」は,中下段の択や投げでガードを揺さぶるというより,強烈な連携で相手を固め,ガードクラッシュを狙っていくのがセオリーなゲームだったように思います。それが「餓狼MOW」の個性であり,また昨今の格闘ゲームとの違いだと思っているのですが,そうした部分は今作にも継承されているのでしょうか。
小田氏:
「餓狼MOW」の制作時は,そこまでガードクラッシュにフォーカスしたつもりはなかったんですけどね。ただ10年,20年と遊んでくれたプレイヤーの皆さんによって,最終形態にそういう形に行き着いたのだと思っています。いつの間にか,僕も知らないゲームになっていたと言いますか(笑)。
だから今作においても,制作者側としては「ガードクラッシュを狙ってくれ」といった作りにはしていません。ただREVみたいなシステムがある以上,攻めたほうが強くて,その結果としてガードクラッシュがけっこうな頻度で発生することはあると思います。もちろん,10年後はどうなっているか分かりませんけどね(笑)。
4Gamer:
では今作では,投げや中段といったオーソドックスな崩しを使う機会も多くなる?
小田氏:
そうですね。崩す手段がないと,組み合わせによっては詰む可能性が出てくるので,昨今の競技シーンに合わせた調整は当然行っています。あとは選択肢を増やして,プレイヤーの色が出るようになればいいなと。そうした攻め方の差が生まれるような要素は,意識して取り入れるようにしてます。
4Gamer:
ブレーキングやフェイントキャンセルのようなシステムは,むしろ今のほうが受け入れやすいかもしれませんね。
小田氏:
そうですね。普通はここで攻めが終わるってところに変化がつけられると,展開が読みにくくなり,通り一遍な試合展開になりづらくなります。そうしたフックは,「餓狼MOW」の開発当時から意識していました。
ウェザーフォード氏:
格闘ゲーマーの平均スキルが,10〜20年前と比べてものすごく上がっているので,用意したシステムをどう活用してくれるだろうって期待は,すごく大きいです。昔はゲームがうまい人が身近にいないと,システムの活用やコンボ開発もなかなか進みませんでしたから。
ジョナサン氏:
解説動画も増えましたよね。昔は自分で調べものをしないと,分からないことが多かった。
4Gamer:
トレーニングモードもなかったですしね。そういえば,ウェザーフォードさんは先ほどからレバーレスコントローラで難しそうなコンボを決めていますが,本作とレバーレスコントローラの相性はいかがですか。
ウェザーフォード氏:
確かにやりやすい気がしますね。例えばジャストディフェンスはニュートラルから入力する必要があるんですが,レバーと違ってボタンはニュートラルを意識する必要がないんです。こっち(アーケードコントローラ)の操作も好きですけど,操作の精度という意味ではレバーレスのほうが上だと思います。
小田氏:
僕はこっち(アーケードコントローラ)しかできませんけど,開発スタッフの間ではレバーレス派が増えてきていますね。仕事場の机の上で使うとなると,レバーレスの方がかさばらないので。
ただジャストディフェンスなど「餓狼MOW」から受け継がれたシステムは,現在のプレイ環境を考えて出しやすくする方向で調整を加えています。オンライン対戦を考えると,ラグを考慮した作りにしなくてはならないので。
4Gamer:
確かに昔はかなり入力がシビアでしたし,今のプレイ環境だと難しいかもしれません。自分としては昔と同じ感覚のつもりでも,実はけっこう甘やかされているのかも(笑)。
小田氏:
入力もですが,システムも現代に合わせた調整を行っています。
例えば「餓狼MOW」だと,中級者くらいからジャストディフェンスからのガードキャンセルが成立するように,入力に仕込みを入れるようになるじゃないですか。そこからさらに進むと,ガードキャンセルされないよう技にディレイをかけたりするようになる。これは「餓狼MOW」ならではの駆け引きで,今作でも可能ではあるんですけど,そこを駆け引きの軸に据えてしまうと,地域によってはオンライン対戦が成立しなくなる可能性がある。そういう懸念もあって,今回はREVシステムなどで派手に戦える方向に調整しています。
4Gamer:
ああ,なるほど。
小田氏:
とはいえ,格闘ゲームはプレイヤーの手で育っていくジャンルですので,1年後にどういうゲームになっているかは分からないですけどね。思っていたのと全然違うセオリーのゲームになっている可能性だってありますから。
4Gamer:
TGS 2024以降で,広く一般のプレイヤーが試遊できる機会はありますか。例えば体験版の配信といったような。
小田氏:
体験版というより,βテストがやりたいですね。時期はまだ言えませんが,クロスプラットフォーム対戦をやる以上,一度はβテストを挟んでおきたいと思っています。
4Gamer:
楽しみにしています。最後に,本作の発売を心待ちにしている人へのメッセージをいただけますか。
ウェザーフォード氏:
今のうちに「餓狼伝説」シリーズの過去作をアーカイブなどでプレイしておくと,本作が発売したときにサウスタウンの雰囲気が,より深く味わえると思います。プレイ環境のある人は,ぜひ試してみてください。
小田氏:
発売までまだ時期がありますので,今後も順次いろいろ発表が続いてきます。そういった情報を確認してもらいつつ,楽しみに待ってもらえたらと。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
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