プレイレポート
「プロ野球スピリッツ2024-2025」先行体験レポート。 新ゲームエンジンの採用で表現可能になったリアリティ,多彩なゲームモードの魅力を紹介
本作はKONAMIの野球ゲームの中でも,現実のプロ野球の再現に注力する「プロ野球スピリッツ」(プロスピ)シリーズの最新作だ。コンシューマ機では「eBASEBALLプロ野球スピリッツ2021 グランドスラム」以来となり,シリーズ初となるSteamでのリリースも決定している。
「プロ野球スピリッツ2024-2025」公式サイト
プロスピシリーズの節目,20周年記念タイトルということもあって,最新作にはKONAMIが独自に開発した次世代の野球ゲームエンジン「eBaseball Engine」の採用をはじめ,惜しみなく新技術が投入されている。グラフィックス,選手のモーション,音響など,あらゆる面がパワーアップし,現実のプロ野球と見間違える,聞き間違えるほどの再現度に達している。
プロ野球の試合,選手,球場などの再現に惜しみなくリソースが割かれている一方で,本作に収録されるゲームモードの量と質も充実している。とくに今作から追加された「myBALLPARK」「白球のキセキ」は,それぞれだけでも1本のゲームとして遊べるほどに,やりこみがいのあるものなっていた。
myBALLPARKは,プロ野球チームのGM兼社長となって,試合と球団運営を行っていくシミュレーションゲーム。試合ではガチャから入手できる12球団の選手を練習で鍛え上げ,理想のオーダーを作成する。
球団運営パートでは,秘書と共にホームタウンの拡張や資金集めに奔走する。健全な球団運営とホームタウンに存在する施設を開放していくことで選手の練習効率も上がり,より強いチーム作りが可能になる。
なお,1シーズンを戦い抜いたマイチームは,myBALLPARKのリーグやイベントに登録して全国のプレイヤーと競い合える。
一方,白球のキセキは高校野球の監督として,球児たちを率いて全国制覇を目指すゲームモードだ。
試合中の作戦指示,日々の練習などは,「パワプロ」シリーズでおなじみ「栄冠ナイン」と同じ感覚で進められる。白球のキセキはそれに加えて,プレイヤーがチーム全体を操作して勝ち上がったり,1人の選手になりきってフィールドプレイを楽しんだりといった,選手の立場から高校野球を体験できるのが大きな魅力になっている。
とくに,開始直後の弱小チームで戦う試合の感覚は,プロ野球選手たちを操作できる通常の試合とはまったくの別物だった。
また,従来のシリーズ作品に登場していたゲームモードについても,新たな要素が追加されている。いずれも遊びの幅が広がっており,長期間にわたってやりこみたくなることを感じさせた。
開発スタッフの合同インタビュー
――本作は「プロ野球スピリッツ」シリーズとしては久々の新作で,対応ハードはPS5とPCとなっています。このようになった経緯を教えてください。
山口氏:
「プロスピ」シリーズとしては,2015年から2019年まで家庭用ハードでリリースしていなかった空白期間があります。2015年に3Dフォトスキャンなどの新しい技術を取り入れ,当時としては過去の野球ゲームを超えるリアルな表現をお届けできたと思っています。
しかし,シリーズとして先の段階に進むためには,ある程度まとまった期間の研究が必要で,またシリーズファンの皆様から期待されているクオリティのゲームをお届けするために,開発期間をいただきプラットフォームとしてはPS5とPCでのリリースを選択しました。
――長期間の研究と開発期間を経て,とくにクオリティがアップしたと思える点を教えてください。
吉田氏:
グラフィックスに関して言えば,eBaseball EngineとUnreal Engineという2つのゲームエンジンを導入することで,プレイしていただいた方に驚いてもらえる,野球が持つ熱量を伝えられるものになったと思います。プレイひとつひとつに,観客やベンチの反応にもこだわって作っていますので,野球の臨場感を味わっていただきたいです。
柏崎氏:
サウンドには注目してほしい点が2つあって,まずはスタジアムの音響空間の表現です。実際の球場に行って,音の響きをキャプチャし,そのデータをゲーム内に実装しているので,球場にいるような音が聞こえます。
もう1つは音声合成AIです。これを導入したことによって,ペナントレースやスタープレイヤーモードなどをプレイしている際に,記録に関する実況がかなり充実しました。節目の記録(2000本安打,200勝など)だけではなく,かなり細かい記録や数字も実況しますので,ぜひゲーム内でいろいろ試してほしいですね。
――場内の応援や売り子の声の聞こえ方がかなりリアルでした。
柏崎氏:
観客の声はホーム側のチームが点を取ったら,1塁側やライト方向が盛り上がる,逆にビジター側が点を取ったら,3塁側やレフト方向から声があがるようになっています。ホーム席とビジター席が逆の球場の場合は,当然得点時に声が聞こえる方向も逆にしています。
吉田氏:
観客は描き割りでなく,実際に3万以上の観客モデルを球場内に入れて動かしているので,処理負荷には注意しつつ,リアルさを感じられるように描画しています。試合が進むと立ち上がってご飯を買いに行き,戻ってくる観客もいたりします(笑)。
観客それぞれが意思を持ってバラバラに動いていると見えるように,資料集めからモデル,モーション制作に力を入れた部分です。
――本作は2つのゲームエンジンを使っている点が興味深いです。eBaseball EngineとUnreal Engineはどのように使い分けをしているのでしょうか。
山口氏:
主に選手の姿や観客,球場などのグラフィックスはUnreal Engineを採用させていただき,そのグラフィックスを動かし,制御する役割には新しく開発したeBaseball Engineを使っています。
――見た目のリアルさはUnreal Engine,動きのリアルさはeBaseball Engineというわけですね。
山口氏:
はい。野球をゲームとして再現するには,見た目と動き,音などの感覚が重要になってくるので,どちらのエンジンも重要です。
――球場の外観,音響を再現するにあたって苦労した点はありますか。たとえば北海道日本ハムファイターズの本拠地は,札幌ドームからエスコンフィールドに移転し,制作に割ける時間が少なかったと思います。
吉田氏:
エスコンフィールドには球場を作っている最中にも何度かおうかがいさせていただき,完成前からレーザースキャンなどでデータを取らせてもらいました。実際のエスコンフィールドとほぼ同じタイミングに,本作のエスコンフィールドも完成することができました。
また,北海道日本ハムファイターズ様に限らず,球場に関しては毎年取材させていただいております。変更や改修が行われた部分は情報をいただき,弊社の野球ゲームにフィードバックさせています。写真や図面などの情報をいただき,先手を打てるように相談することもあります。
――プロ野球ファンにとって,本作の球場の再現度は強力なセールスポイントになるクオリティだと思います。そんな球場をじっくり眺められるモード,たとえば「パワプロ」シリーズに搭載されていたVRモードを導入する予定はありますか。
山口氏:
発売前の現時点でも「球場をじっくり眺められる機能が欲しい」という要望は多くいただいており,ぜひ実現させたいのですが……。ここで簡単に「はい」と答えると,ここにいるメンバーに怒られてしまうので,今回は「前向きに検討します」という回答にさせてください(笑)。
――球場はレーザースキャンを用いて再現しているとのことですが,選手の外見に関しても同じくスキャンが行われているのでしょうか。
山口氏:
はい。開幕前の春季キャンプ期間を中心に,関係者にご協力をいただいて実施しています。シーズンの途中に加入した選手に関しては,残念ながらスキャンによる再現はできませんが,社内の独自ツールを使い,見た目と動きを再現できるように努力しております。
――白球のキセキの追加により,本作は高校野球にもスポットライトを当てたゲームになったと思います。これは,高校野球ファンにも訴求できるゲームを目指したということでしょうか。
池本氏:
さまざまな層の野球ファンに遊んでもらいたいという想いがあります。パワプロシリーズの「栄冠ナイン」がすごく人気がある事も導入のきっかけにはなりましたが,多くの野球ゲームファンに喜んでもらいたいという狙いから生まれたものとなります。
さらに,今回はオリジナルチームが作れるなどのエディット機能も拡張し,オリジナル選手を使って遊ぶ幅も広がったので,高校野球のモードも作りやすく,なじみやすいだろうという点も大きかったです。
ただ,白球のキセキはシミュレーションゲームとしてだけではなく,自分でチームを操作してアクションの腕前で勝ち進めたり,1人の選手になりきって試合に参加したりもできます。そのため,栄冠ナインというより,ペナントモードの高校野球版と表現したほうが正しいかもしれません。
「プロスピ」シリーズのアクション性が好きな人にも,ぜひ楽しんでほしいです。
――細かい話になりますが,ペナントモードのドラフト会議で指名できるOB選手は「転生選手」と表記されていましたが,白球のキセキでは「同姓のプロ野球選手に憧れている球児」という表現になっていました。
池本氏:
そうですね。白球のキセキに登場するのは,あくまでプロ野球選手に憧れているポテンシャルの高い高校生という設定です。
――myBALLPARKはガチャで選手を獲得していく運営型ゲームですが,こちらもOB選手は登場しますか。
柿崎氏:
myBALLPARKもアップデートで拡張を予定しており,OB選手の参戦も検討はしています。期待していただいてもらえればと。
――商品概要には「サービス期間:2年」と記載されていますが,このサービスとは具体的にどういったものですか。
柏崎氏:
ネットワークに接続して遊ぶゲームモード全般ですね。myBALLPARKやプロ野球速報プレイ,オンライン対戦などです。
――有料ダウンロードコンテンツの発売予定はありますか。今年の「パワプロ」に追加された応援曲セットが本作にもあると,さらに試合中の臨場感がアップすると思います。
山口氏:
「パワプロ2024-2025」の有料ダウンロードコンテンツとして発売された応援曲関連のDLCは,本作でも配信を予定しています。また,選手が打席に立つ前,投手がマウンドに立つ際に流れる登場曲も,一部にはなりますがDLC配信を予定しています。
――発売から2年でオンラインサービスが終了すると,近年の「パワプロ」シリーズと同じサイクルですね。来年の春には2025シーズンの選手データが反映されるようになり,サービス期間が切れる2026年には「プロスピ」の新作が登場する……という流れを期待してもいいですか。
山口氏:
現在はスタッフ一丸となり,「プロ野球スピリッツ2024-2025」に取り組んでいる状況ですので,次回作についてはっきりとしたことを申し上げることはできません(笑)。
ただ,今年から来年にかけてのアップデートに関しては,ほぼおっしゃるとおりになると思います。
発売時には7月1日時点の12球団に支配下登録されている選手を収録し,以降も何度かのアップデートを予定しております。2025年春頃には今年のドラフト会議を経て入団する選手やFA移籍,トレードなどを反映した2025シーズンのデータが無料でアップデートされます。現実のプロ野球とリンクしたデータで,さまざまなゲームモードを遊んでもらえればと思っています。
「プロ野球スピリッツ2024-2025」公式サイト
Konami Digital Entertainment/WBCI ©2024 SAMURAI JAPAN 日本プロ野球名球会公認 日本プロ野球OBクラブ公認 日本プロ野球外国人OB選手会公認 プロ野球フランチャイズ球場公認
ゲーム内に再現された球場内看板は、原則として2023年度プロ野球公式戦のデータを基に制作しています。
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