テストレポート
「モンスターハンターワイルズ」オープンβテストでPCとコンシューマ機のフレームレートを計測。やはりウルトラ設定はかなり重かった
――ひたすら同じ場所をグルグルと回り続けていた!
遡ることテスト開催時,筆者は4Gamerの担当者より編集部に呼び出された。ついに何かやらかしたかと覚悟を決めて編集部に赴くと,そこには大量の機材がセットアップされているではないか。なお,担当者はニコニコして気前よく昼食を奢ってくれた。どうやらこれからする作業は大変な工程になるようだ。
話を聞くと,今回は「ワイルズの機種ごとのフレームレートを調査してほしい」ということでなるほど。確かに,SNSなどでも「ワイルズは挙動が重くなるのではないか」「PCのスペックが足りるか心配」という声が上がっていた。あくまでもオープンβテストでの実施となるが,読者の不安を払しょくするにはいい機会ということだろう。
というわけで今回は,異なるスペックのゲーム向けPCを3機種,PlayStation 5(以下,PS5),Xbox Series X(以下,Xbox X)で実際にテストプレイし,それぞれのフレームレートを計測してきた。あくまでテスト段階のもので,製品版ではさらなる最適化が施される可能性は十分にあるが,現段階での目安として参考にしてほしい。
今回検証を行った機材
さて,今回の計測に使用した機材と環境を紹介しよう。
■GALLERIA XA7R-R48S 7800X3D搭載
メーカー:サードウェーブ
BTO標準構成価格:40万9979円(2024年11月12日時点)
GALLERIA XA7R-R48S 7800X3D搭載(以下,XA7R-R48S)は,Zen 4アーキテクチャベースのデスクトップPC向けCPU「Ryzen 7 7800X3D」(8コア16スレッド)を中核とし,GPUには「RTX 4080 SUPER 16GB」を搭載するハイエンドモデルだ。
メーカーオリジナルのフルタワーPCケースを採用。メインメモリに容量16GB(8GB×2)のDDR5-4800メモリを,ストレージにPCI Express(以下,PCIe) 4.0 x4接続で容量1TBのM.2 SSDを標準搭載しており,CPUクーラーには240mmのラジエーター付き液冷クーラーを用いている。今回,検証に使用したマシンではもっとも高性能かつ,高価格のマシンだ。
■GALLERIA XA7R-R47 5700X3D搭載
メーカー:サードウェーブ
BTO標準構成価格:28万9980円(2024年11月12日時点)
GALLERIA XA7R-R47 5700X3D搭載(以下,XA7R-R47)は,CPUに「Ryzen 7 5700X3D」(8コア16スレッド),GPUに「RTX4070 12GB」を搭載するミドルクラスモデルだ。
こちらも同じくメーカーオリジナルのフルタワーPCケースを採用。メインメモリに容量16GB(8GB×2)のDDR4-3200メモリを,ストレージにPCle4.0 x4接続で容量1TBのM.2SSDを標準搭載しており,CPUクーラーには240mmのラジエーター付き液冷クーラーを用いている。
■Lightning-G AV5W Ryzen5 4500搭載
メーカー:サードウェーブ
BTO標準構成価格:13万5980円(2024年11月12日時点)
Lightning-G AV5W Ryzen5 4500搭載(以下,AV5W)は,CPUに「Ryzen 5 4500」(6コア12スレッド),GPUに「RTX 4060 8GB」を搭載するエントリーモデルとなる。本モデルには「GALLERIA」の名が冠されていないが,れっきとしたサードウェーブのゲーマー向けPCだ。
上述の2機種とは異なるコンパクトなミニタワーケースを採用し,メインメモリに容量16GB(8GB×2)のDDR4-3200メモリを,ストレージにPCle4.0 x4接続で容量1TBのM.2SSDを標準搭載しており,CPU付属の「Wraith Stealth cooler」空冷クーラーを用いている。コンパクトさと手頃な価格が魅力といえよう。
■PlayStation 5&Xbox Series X
今回はこれらのPCに加えて,PS5とXbox Xを検証に使用した。コンシューマの2機種については,4Gamer読者であれば説明不要だろう。「PlayStation 5 Proはないの?」と思われたかもしれないが,テストの時点ではまだ外箱レビューしかできなかったため,残念ながらテストはできなかった。正直に言えば試したかったというのが本音だ。
続いて,検証のプロセスを説明しよう。PCの3機種は,4Gamerが用いている独自基準「4Gamerベンチマークレギュレーション」,その最新版である「4Gamerベンチマークレギュレーション30」に準拠したプロセスで行った。ただし,本レギュレーションに「モンスターハンターワイルズ」の項目はないため,ゲーム内設定などは,筆者と担当者が決定している。
4Gamerベンチマークレギュレーション記事
以下が,本テストで用いた設定だ。
●オプション→DISPLAY
・出力ディスプレイ設定:テストによる
・スクリーンモード設定:ボーダーレスウィンドウ
・解像度の設定:テストによる
・アスペクト比の設定:ワイド(16:9)
・フレームレート:(フレームレート無制限のため無効化)
・フレームレートの無制限設定:ON
・カットシーンのフレームレート:OFF
・非アクティブ時のフレームレート:OFF
・HDR出力設定:自動的に有効(本テストではHDR出力で動作)
・垂直同期:オン
・NVIDIA Reflex 低遅延モード:テストによる
●オプション→GRAPHICS
グラフィックス設定については,「グラフィックプリセット:ウルトラ」を選択したうえで,以下の項目のみ,選択後の設定から変更を加えた。
・フレーム生成:テストによる
・アップスケーリングモード:クオリティ
また,PS5とXbox Xについては,ゲーム内オプションから「フレームレート優先」「高解像度優先」をテストによって選択したうえで,それぞれの本体設定でHDR出力を有効化している。
フレームレートの測定方法だが,PC版はフレームレートを計測できるソフトウェア「CapFrameX」を使用した。PS5とXbox Xについては,AverMedia製のビデオキャプチャデバイス「Live Gamer ULTRA 2.1 GC553G2」でキャプチャした映像をコマ送りで計測,平均的なフレームレート近辺の数値を割り出した。そのため,PC版ほど緻密な計測ができていないことはご了承いただきたい。
なお,テストではベンチマークソフトなどの類がなく,ゲーム内にて計測を行う必要があった。時間経過,一部の大型モンスターの出現でも天候が変わってしまうため,なかなか同じ条件での計測が難しいのが事実であったが,約2時間の悪戦苦闘の末,安定して近似の環境を再現できる手段を発見したので,そちらを用いて計測を行った。
シーンとしては「闘獣ドシャグマ」を3体同時に相手取る場面となり,時刻は昼間,天候は晴れで統一している。全体的な流れとしては,完全に3体と対峙したタイミングで計測を開始し,狩猟しながら生き延びつつ,1分後に計測を終了,データを確認するというものである。
「レ・ダウ」が出現しフィールドに雷が落ちる場面など,用いた環境よりも若干フレームレートが低下する場面はあったものの,再現性に欠けるため,こちらは計測を見送った。また,ほかのプレイヤーが多く表示されるキャンプエリアは著しくフレームレートが低下するが,本作のプレイ時間の多くを占めるのはモンスターの狩猟であると考え,こちらも計測していない。
プリセット:ウルトラではRTX 4060が苦戦を見せる結果に。一方, RTX 4080は一定の余裕を見せる
前置きが長くなったが,いよいよ計測結果を発表しよう。念のため断っておくと,上記で紹介した検証レギュレーションはかなり重量級の設定となっている(4Gamerは機材をバラしたり,ぶん回したりするのが大好きなのだ)。グラフィックス設定を落とすことで,フレームレートは格段に上昇することにも留意してもらいたい。
まず,PCの3機種から紹介していく。もっとも普及している1920×1080ドット(フルHD解像度)のスコアを見ていこう。グラフ1は「フレーム生成:オフ・NVIDIA Reflex:オン+ブースト」,グラフ2は「フレーム生成:オン・NVIDIA Reflex:オフ」の結果だ。
■グラフ1
■グラフ2
1920×1080ドットではどの機種も余裕……と思いきや,AV5Wは想像以上に苦戦している。平均30fpsも達成できておらず,グラフィックス設定を落とさなければ快適なプレイ環境の構築は難しいかもしれない。XA7R-R48S,XA7R-R47はフレーム生成をオンにすることで60fpsを余裕でオーバーしており,画質プリセット:ウルトラでも快適なプレイが見込める。
次は,2560×1440ドット(WQHD解像度)のスコアだ。グラフ3は「フレーム生成:オフ・NVIDIA Reflex:オン+ブースト」,グラフ4は「フレーム生成:オン・NVIDIA Reflex:オフ」の結果だ。
■グラフ3
■グラフ4
フレーム生成をオンにしたAV5Wのスコアが1920×1080ドットを上回ると思いきや,これにはからくりがあり,SNSでも話題になっていた“超ローポリ”状態での稼働となっていた(残りの2機種についてはまったく問題なし)。XA7R-R48Sはまだ余力があるが,XA7R-R47に関しては30fpsこそクリアしているものの,フレーム生成をオンにしないと60fpsを上回れなかった。
最後に,3840×2160ドット(4K解像度)のスコアを見ていこう。グラフ5は「フレーム生成:オフ・NVIDIA Reflex:オン+ブースト」,グラフ6は「フレーム生成:オン・NVIDIA Reflex:オフ」の結果となる。
■グラフ5
■グラフ6
もっとも解像度が高いだけあり,やはりAV5Wは“超ローポリ状態”での稼働となってしまった。ちなみにフレーム生成をオンにした場合では,ゲームそのものがクラッシュするほどの負荷がかかることも。XA7R-R47も苦戦を見せており,4K解像度で快適なプレイをする場合,最低でもXA7R-R48S程度のマシンパワーがないと難しいと考えられる。
ここから分かるのは,PCのスペックと画質設定のバランスを考慮して余力がある場合でないと,フレーム生成をオンにしてもフレームレートは向上するどころか,逆に負荷が掛かってしまい,フレームレートが低下するということ。高画質な設定で快適にプレイしたい場合,フルHD解像度ですら,それなりのスペックのPCを要求されることになる。
さて,ここからは,PS5とXbox Xの結果を見てみよう。先にも述べたが,計測方法の違いから平均フレームレート(推定)の結果となっている。
■PlayStation 5
■Xbox Series X
念のため解像度を変えてテストを行ったが,全体的に似通ったスコアである。それでも60fpsには届いておらず,30fpsが一定のラインと思われる結果となった。そして,やはりフレームレート優先の設定を行うと画質はかなり劣化してしまう。最新のゲームならではの美麗なグラフィックスを保ちつつ,60fps〜でのプレイを望む場合,どの解像度であってもPCを推奨せざるを得ないというのが現段階での感触だ。
逆に言えば,「フレームレートは30fpsで十分だし,PCの重量級設定ほどのクオリティは求めていない」という場合,PS5やXbox Xの市場価格は非常に魅力的に映る。PS5 Proの実行性能も非常に気になるところだ。余談だが,PCを含めた一連のテストの中で,PS5はロードの速さが際立っていた。これは特筆に値するだろう。
かなりの駆け足になったが,以上が今回のテスト結果となる。今後のさらなるテスト開催や,ベンチマークソフトの登場にも期待したいところだが,本稿で大まかなイメージは掴んでいただけたのではないだろうか。やがて来る狩りシーズンの環境構築の参考になれば幸いである。
「モンスターハンターワイルズ」公式サイト
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