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ありがたき哉 日本語化:デッキ構築型ローグライトなサバイバルホラーRPG。グロめの終末世界を舞台とした「Draft of Darkness」をご紹介
「ありがたき哉 日本語化」は,ここ最近で日本語対応となった海外作品を良い機会だからあらためて紹介しようという,フワッとしたコーナーです
「デッキ構築型ローグライトで,仲間とか装備とか謎解きとかRPGっぽい要素のあるゲームがやりたい。舞台はディストピアで」という人は,今回紹介する「Draft of Darkness」を遊んでみるといいかもしれません。これがそれです。
Draft of Darknessは,終末世界を舞台に,仲間を集めて装備を固め,自ら構築したデッキで遭遇した敵とターン制バトルを展開するというサバイバルホラーRPGです。マップはランを始めるたびにランダム生成,死んだら装備もレベルも失って最初から――という,いわゆるローグライト的なゲームです。俯瞰するとそういうゲームなのですが,RPGライクな非戦闘フェイズが凝っていたり,戦闘において武器のリソース管理が必要になったりと変化が付けられており,噛めば噛むほど味が出るタイトルとなっています。
そんな本作は2023年8月にPC版がSteamでリリースされ,2024年9月に正式に日本語対応となりました。ありがたき哉。本稿執筆時点で200以上のレビューを集め,評価は“非常に好評”(全てのレビュー)。実際に遊んでみると,すぐにハマれて中毒性も高いことが分かりました。「こりゃいいのを見つけたわ……」ということで,こうやって紹介しているわけです。
「ダークネス」に蝕まれた終末世界が舞台
Draft of Darknessは,トルコのインディーゲームスタジオ・Crawly Gamesが開発し,配信しているタイトルです。公式サイト(※外部リンク)では,Crawly Gamesはソロのデベロッパとされています。日本翻訳は灰壁人鳥氏(@ashwall_penguin)の手によるものですね。マジで足を向けて寝られません。ありがとうございます。
Draft of Darknessを一言で表現すると,終末世界を舞台にした,デッキ構築型ローグライト要素を持つサバイバルホラーRPG――といったところです。世界設定がなかなかに複雑で筆者もバシッと理解していないのですが,どうやら人類が生み出した「ダークネス」と呼ばれる新技術(物質)によって,生物災害のようなことが起こったようですね。世界はダークネスによる感染や放射能汚染に見舞われており,しかも統一政府と呼ばれる巨大な組織が圧政を敷いています,と。ディストピアですね。ローポリ風に荒らしたグラフィックスも,雰囲気作りに一役買っています。
さて実際のゲーム部分ですが,本作の1回のランを構成する主な要素は,エリアの探索と戦闘です。基本となる「ストーリーモード」では,3つのエリアをクリアするか途中で死んだらランは終了。こなしたイベントや倒した敵,クリアしたフロア(エリア)の数などでスコアが算出され,それに加えて達成した内容で報酬が決まります。
探索は,いわゆるフォグに覆われたマップを歩き回って視界を広げていき,ほかの生存者とコミュニケーションを取ったり謎を解いたりしていきます。このようにして,仲間を見つけたり,デッキを強化したり,装備を調えたりするわけですね。
戦闘はターン制のカードバトルが採用されており,主人公を含む味方のキャラクターと敵陣営のキャラクターが,行動の速い順にカード(本作では“行動”と呼びますが,以下便宜上“カード”で統一します)をプレイしていく形で戦います。行動の速さは「ファイナルファンタジー」シリーズのアクティブタイムバトルのように各キャラクターの下のゲージで分かるようになっています。画面右上には実際の行動順もキャラクターの顔グラフィックスを使って表示されるので,カードのプレイなどによる行動の速さの変化が,どのように行動順に影響したのかが分かりやすいですね。
また本作では各キャラクターが「武器タイプ」を持っています。武器はナイフ,銃,チェーンソー,注射器などとさまざまで,素手もありますね。
重要なのは,武器タイプによってはリソースが必要になるという点でしょう。たとえば銃系統なら種類によってピストルの弾薬やショットシェル,チェーンソーなら燃料缶,注射器なら化学薬品といった形です。拾ったり買ったりして入手するリソースには限りがあるため,好きなカードをプレイし続けるということができません。
その代わり,本作には「節約モード」があり,リソースが必要なカードでも,リソース不要の弱い行動(その名も「弱行動」)という形でプレイできます。一つのカードの通常行動と弱行動,両方を把握することで,より効率的な戦闘が可能ですね。
ちなみにダークネスの要素はゲームシステムにもちゃんと(?)組み込まれています。エリアで戦闘を重ねていくとダークネスレベルが上がり(画面中央最上段の数値がそれです),そうなるとボス以外の敵が強くなる,一定数を超えると「苦悩」という弱体化を受けるといったデメリットがあります。一方で戦闘での戦利品が増えるというメリットもあるので,ダークネルレベルの増減をどのようにコントロールするのかも,プレイヤーの腕の見せどころの一つとなります。
探索で仲間を集めキャラを強化し,戦闘を有利にする
実際のゲームの流れを,ストーリーモードを例に紹介しておきましょう。
ストーリーモードでプレイヤーは,主人公(キャラクター),そして(選べる場合は)挑戦するエリアを選んでランを開始します。主人公の選択画面では,ランに持ち込むアイテムを選んだり,デッキを編集したりすることも可能です。
ランではまず,フォグに覆われたエリアを探索して,視界を拡大していきます。アイコンで示されたあちこちの場所をクリックして,落ちているリソースやアイテムを拾っていくのが基本ですね。そのほかイベントが発生する場所もありますし,武器やカード(あらためて書いておきますが本作では“行動”と呼ばれています),アイテムを売る商人のようなNPC,そのほか各エリアで仲間にできる候補者に会えます。
敵のシンボルの前後左右(計4タイル)にぶつかったら戦闘開始です。少し動く敵も含めて戦闘を(文字通り)避けることはできますが,そもそも通路を塞いでいる敵とは戦うしかありません。ほぼ必須のボス戦に向けて主人公達に経験を積ませないといけいないですし,ある程度の戦闘は必要ですね。
ストーリーモードでは,3つのエリアを,各エリアのボスを倒して踏破すればクリアです。クリアすると成績に応じて「クレジット」がもらえるので,これを使ってカード(行動)を買ったり,ラン開始時に指定できる特性をアンロックしたりできます。これによって,次回のランをより有利に進められるわけです。
次回のランを有利にする要素としては,各エリアに設けられた「ドリームターミナル」も重要です。この端末もさまざまな機能がありますが,その一つに,ラン内で獲得したトロフィー(特殊アイテム)やカードを保存する機能があります。保存できるのは1回のランにつき,アイテムとカード(行動)の各1つのみ。保存したものは,次回のラン開始時に選択できるというわけです。
カード(行動)はレアリティ以外にも,大きく分けて「スターター」と「ラン」の2種類があり,後者はラン中でのみ獲得できます。つまりラン開始時のデッキ編集では選択できないのですが,ドリームターミナルで保存したカード(行動)なら1枚だけですが,種類に関係なくランに持ち込めるんですね。
なお本作にはストーリーモードのほか,「チャレンジモード」と「カスタムモード」があります。
チャレンジーモードは,探索での視界の広さや,出現する敵の種類,ゴールなどを組み合わせたさまざまなルールでランに挑むモードです。報酬として得られる「チャレンジジェム」を使えば,エピックレアリティの強力なカード(行動)をアンロック可能です。
カスタムモードは,いくつかの条件を組み合わせて独自のルールと報酬量でのランに挑めるというモードですね。
探索と戦闘のバランスが良いせいか妙に時間が溶ける
本作の1回のランは,大体30分ぐらいでしょうか。いわゆるデッキ構築ローグライトのターン制カードバトルを繰り返すタイプのゲームは連戦連戦また連戦というイメージが強いですが,本作はそうでもありません。サバイバルホラーRPGというだけあって,探索フェイズもなかなかに遊ばせてくれます。
そもそもエリアの通路は狭く,なおかつシンボルエンカウントが採用されているので,探索はおそるおそる(一歩一歩)しっかりと確認して歩く感じになります。それもあって,戦闘の回数は高が知れているのに,1回のランでかなりの満足感を得られます。そして疲れないのでランを繰り返してしまい,妙に時間が溶けるんです。ランの中での探索と戦闘のバランスが良く独特のテンポを持っているのも,本作の大きな魅力だと感じました。
そんなプレイフィールや,大胆なビジュアルと世界設定,システムがどう調和しているのかなどに興味が湧いたという人は,ぜひ試してみてください。
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