プレイレポート
[プレイレポ]ピクセルアートで描かれるミステリーADV「都市伝説解体センター」のデモ版を体験。一度“視”たら,続きが気になって仕方がない内容だった
インディーゲーム制作チーム・墓場文庫が開発するアドベンチャーゲームで,「都市伝説解体センター」の調査員である主人公が,「都市伝説」の正体を追い,さまざまな依頼を解決していく。
こちらを見下ろす,無表情の男。背景のピラミッドに,印象的な目のシンボル。9月26日から9月29日まで行われていた東京ゲームショウ2024でも,ほかにはないメインビジュアルが異彩を放っていた。
本稿では,配信前に体験版をプレイする機会を得たので,プレイレポートをお届けしよう。
「都市伝説解体センター」「シュレディンガーズ・コール」など5作品を展示。集英社ゲームズのTGS 2024出展情報が公開に
集英社ゲームズは本日(2024年9月10日),千葉県・幕張メッセにて9月26日に開幕する「東京ゲームショウ2024」への出展と,その内容を発表した。今回は,「都市伝説解体センター」「シュレディンガーズ・コール」ら4作品がプレイアブル展示される。また,都市伝説解体センターに登場するピラミッドがブースに設けられるとのこと。
“都市伝説”は,現実の事件にどう関わっているのか? 不思議な力を使って,事件の真相を追う
プレイヤーは,主人公の大学生・福来(ふくらい)あざみを操作しゲームを進めていく。 “不思議なものが視える”という特異な体質について相談するため,都市伝説解体センターに訪れたあざみ。彼女を出迎えたのは,センター長と呼ばれる車いすの男,廻屋 渉(めぐりやあゆむ)だ。
廻屋は,名乗る前からあざみのフルネームを知っており,彼女を驚かせる。廻屋もまた,特殊な能力の持ち主なのだ。
あざみは,成り行きで……というか,半分廻屋にはめられるような形で都市伝説解体センターの一員となり,いつもだるそうな先輩・ジャスミンこと止木休美(とまりぎやすみ)と共に,助けを求める依頼人のもとへ向かうことになる。
依頼を受けた現場で証拠を収集し,そのデータを基に仮設を立て,都市伝説の特定,検証をする……捜査はこのような流れで行っていく。廻屋から受け取った特殊なメガネをかけると,あざみだけが見える「過去そこにいたもの」がさらにはっきり捉えられるようになるので,現場の状況を肉眼とメガネをかけた状態でそれぞれ調べ,情報を拾っていこう。
噂話の集まるSNSは,都市伝説の特定に最適の捜査場所だ。インターネットも調査の対象だというのは,今のゲームっぽい。バズった投稿に集まってくるコメントを読んで,不審な点,気になる点を探していく。
とくに気になる投稿は,メガネをかけて再び見ると有力な情報を得られることがあり,さらにそこで知った言葉を使ってキーワード検索をすることで,さらなる情報を引き出せる。検索ワードをふたつまで設定できるのも,実際のインターネットに近い演出だ。
こうしてオフライン,オンラインの双方から捜査を進め,集まったヒントを取得選択してつなぎ合わせていくと,事件の全貌が次々と明らかになっていく。事件に関係する都市伝説とは? そして,その裏には,どんな真実が隠されているのだろうか。
謎解きの難度はあまり高くなく,選択肢から正解を選ぶ場面も総当たりで突破できるし,たとえそれが誤っていたとしてもペナルティはないので,気楽に取り組める。
少なくとも今回2時間程度のプレイを体験した段階では,集める証拠の数,参照するべき情報など,考えかたや進めかたの流れについて,親切なガイドがさりげなく表示されていた。
たくさんの砂粒から砂金を見つけ出すような作業ではなく,数々の情報を丁寧に整理しながら真実を見つけ,自身で組み立てていくという,パズルのピースをはめる過程のような気持ちよさを味わえるのだ。
今回プレイできた範囲は依頼達成の手前までだったので,事件の最終的な終着点は分からずじまいだった。
ここまでの体験だけでもさまざまな都市伝説がシナリオ内に登場し,不可思議な展開も目白押しで,先が非常に気になる。廻屋やジャスミン,そして「都市伝説解体センター」などには,まだまだ大きな謎が隠されていそうだ。2025年2月のリリースが待ち遠しい。
洗練されたピクセルアートと臨場感を高めるBGMにハマる!
ミニマルでありながら表情豊かなグラフィックスや演出は,本作の持つ唯一無二の魅力だ。インパクトのある色彩,ドラマチックで焦燥に駆られるBGMとも相まって,怪異を扱う本作の魅力はさらに引き立っている。
主人公のあざみは“視る”能力の持ち主だということもあり,特に「目」は本作の重要なシンボルとして,プレイヤーの心に残るだろう。登場人物の心を雄弁に語る,ちょっとしたまぶたの動きや視線の動かしかたなどの“目の演技”にも,ぜひ注目してほしい。あえて色数を絞って描かれているドット絵自体の美しさ,色の合わせかたにもセンスが光り,本作の魅力に寄与している。
ディープな都市伝説ファン,ミステリーファンを満足させることはもちろんだが,ビジュアルに惹かれてなんとなく本作を始めたプレイヤーであっても,その世界にグッと惹き込み,虜にするパワーを本作は持っている。
流血のような表現はあっても,ドット絵の表現と抑えられた色彩のためかグロテスクな描写は抑えられている。ただし,心理的な恐ろしさ,得体のしれないものに対しての恐怖はしっかり感じられる。あくまでデモ版の印象にはなるが,プレイをするのに「怖さの度合いが気になる」という人は,PVなども併せて視聴して参考にしてほしい。
「都市伝説解体センター」公式サイト
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(C)Hakababunko / SHUEISHA, SHUEISHA GAMES
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