インタビュー
11月中の正式リリースが決定した戦国村作りシム「Sengoku Dynasty」の開発者インタビュー。2025年にはコンシューマ機版もリリース[TGS2024]
Sengoku Dynastyは,戦乱で疲弊した日本の戦国時代を舞台にしたシミュレーションゲームだ。2023年8月からSteamで早期アクセス版を公開しており,日本のゲーマーからも高い評価を得ている。
武士だったと思しき主人公が娘を連れて,争いのない「農民の国」を求め,行き着いた土地を開墾していくことになる。村のリーダーとなったプレイヤーは,森で木を切り出して住居を建てたり,農地を広げたり,鍛冶屋や宿などの施設を増やしたりしながら集まってくる流民に定住を促し,豊かな村作りを目指していくのがゲームの目的である。
2024年6月には「Kaizen」,9月には「Ikigai」と題されたアップデートを提供しており,着実に進化を続けている。そして11月にはついに正式リリースが決まった。それでは,ジギエルスキー氏とのインタビューをお届けしよう
開発者インタビュー
「明確にしておきたいのは,我々はこれで終わらないということ」
4Gamer:
TGS 2024に合わせて大きな発表がありましたね!
ヤクブ・ジギエルスキー氏(以下,ジギエルスキー氏):
はい,2024年11月に正式リリースすることを発表しました。本作は,日本をテーマにしたゲームですし,日本のゲーマーコミュニティもこれまでサポートしてもらっているので,この機会に小さなブースではありますがTGS 2024へ出展することにしました。
ゲームの開発はまだまだやることも多いのですが,リクエストとして多かった女性のプレイアブルキャラクターと,キャラクターカスタマイズ機能の追加,そして戦闘システムを調整して正式リリースしたいです。
4Gamer:
戦闘システムについては,Ikigaiアップデートでも大きく変化していました。
ジギエルスキー氏:
ええ,そこからさらに拡張させて,プレイヤーの戦う理由を明確にするのが目的です。また,盗賊の野営地は1つしかありませんでしたが,これを9か所程度にまで増やす予定にしています。野営地は1つの地域を示しており,すべての野営地を占領することで,マップ全体を手中に収めることができるというわけです。
4Gamer:
正式リリースで開発が終わるというわけではありませんよね?
ジギエルスキー氏:
そのとおり。ゲーマーコミュニティの方々に明確にしておきたいのは,我々はこれで終わらないということです。これからも皆さんの要望を聞き入れ,Sengoku Dynastyをより良いゲームに仕上げていきたいと考えています。
たとえば,我々は最近,マップの自動生成技術を開発しており,これを使ってより大きなマップを作ることができるようになりました。先ほど話した占領のゲームシステムにも応用して,さらに今後は世界を広げていくこともできるようになるはずです。
4Gamer:
SteamのQ&Aセッションでは,結婚や家族に対する要望も寄せられていました。
ジギエルスキー氏:
ゲームシステム的な課題はあるのですが,すでに恋愛や結婚の要素は開発し始めていて,正式リリース後のアップデートでは,新しい仕組みを加えることなく,シンプルな形でリリースしようと考えています。
とくに結婚は,クエストの1つとして,ある程度の資金を集めることでイベントが発生するというようなものになる予定です。子どもについてはキャラクターモデルが用意できていないので,表現できないのですが。
4Gamer:
やはり,農村で子どもたちが走り回っている姿は見たいですからね。しかし,それを3Dキャラクターとして登場させないというのは,どういうことでしょう?
ジギエルスキー氏:
プレイヤーキャラクターとその伴侶には子どもがいるけれど,それは3Dではなく,2Dデータで表現することになると思います。ただ,季節イベントにより,ある時期が来るたびに子どものためのクエストが発生し,成長を感じられるようにしていくつもりです。正式リリース後に十分なファンコミュニティが整い,彼らが望むのであれば,次の次あたりのアップデートで,村人たちに大きなテコ入れをするつもりです。
4Gamer:
城も築けるようになるとか?
ジギエルスキー氏:
城はまだですが,庄屋レベルの大きな屋敷は作れるようになります。イワサキ(岩崎)には,三郎兵衛が住む大きな家がありますよね。あのくらいの屋敷です。
4Gamer:
これまで,Superkamiのメンバーとは,ゲームイベントでお会いする機会がなかったので,詳しく話しができなかったのですが,スタジオやSengoku Dynastyの成り立ちについて教えていただけますか?
ジギエルスキー氏:
我々は2021年に起業して,Toplitz Productionsが展開していた“Dynasty”シリーズの1つとなるべく,日本の戦国時代をテーマにした企画を持ち込みました。同じDynastyシリーズの「Medieval Dynasty」(PC / PS5 / Xbox Series X|S / PS4 / Xbox One)では,ヨーロッパの中世を舞台にしていましたが,同じ時期に封建時代を迎えながら文化も歴史も異なる日本を描いてみたかったのです。
ゲーマーコミュニティの中には勘違いしている人もいるのですが,Dynastyというブランドでまとめられてはいるものの,Toplitz Productionsが各パートナースタジオに対して,同じ開発ツールやアセットを共有しているわけではありません。Sengoku Dynastyは,そのゲームシステムに至るまでは我々独自のものです。
コンテンツ量やバグについて,比較されることも多いのですが,Medieval Dynastyは,我々よりも3年ほど成熟したゲームです。我々のゲームも長い目で見ながら応援していただきたいと思います。
4Gamer:
Superkamiの皆さんは,元から日本の歴史に興味を持っていらっしゃったのですか?
ジギエルスキー氏:
元々日本の歴史好きだった仲間もいますし,私のように企画が決まってから勉強したメンバーもいます。私はとくに,網野善彦さんの中世日本史研究に大きく感銘を受けました。我々にとってラッキーだったのは,戦国時代の研究で歴史学の博士号を習得しているポーランド系日本人の方と知り合えたことです。彼をアドバイザーに迎えて,当時の生活や風習により忠実なゲーム作りができるようになったと思います。
4Gamer:
もう1つ,今回のイベントに合わせてコンシューマゲーム機向けの開発も発表しましたね。
ジギエルスキー氏:
はい。まだSengoku Dynastyをプレイしたことのない,日本のゲーマーにも楽しんでもらえるのではと考えています。サードパーティにコンシューマゲーム機への移植を委託しており,今回は「2025年中のリリース」と発表しておりますが,わりと早い時期,おそらく夏ごろにはリリースできると思いますので,楽しみにしていてください。
4Gamer:
ありがとうございました。
日本でも多くのゲーマーに愛されるSengoku Dynastyは,いよいよ11月中にも正式リリースとなる。正式リリース後にも継続的なアップデートや追加コンテンツの提供を予定するだけでなく,2025年にはコンシューマゲーム機向けの移植版も発売となり,より大きなコミュニティが出来上がっていきそうだ。
MOD対応については,まだ具体的な試案はないようだったが,結婚や子育てなどの要素も楽しみにしつつ,今後数年にわたる成長を見守りたいところだ。
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