企画記事
「野狗子: Slitterhead」でなにより大事にしたことは,アクションゲームとしての面白さ。キーマン3名に聞く,謎多きホラー作品のこれまでの歩み
外山氏が,佐藤一信氏,大倉純也氏といったクリエイターたちとともに立ち上げた独立系スタジオ・Bokeh Game Studioのデビュー作で,いよいよ2024年11月8日に発売を向かえる。
2021年12月の発表や本作の開発初期の2022年2月に掲載した外山氏と音楽/サウンド担当の山岡 晃氏のインタビュー以降,4Gamerでも常に追いかけていた「野狗子: Slitterhead」だが,作品の雰囲気は伝えられていたものの,ゲーム部分は長きにわたり謎に包まれていた。
2024年6月の発売日発表に合わせてそれらが明かされ,驚きとともに困惑――なにやらすごいことになっていそうだが,いったいどういうゲームなのか? という気持ちでそれを受け取った人は少なくないのではないだろうか。
「野狗子: Slitterhead」クリエイターの外山圭一郎氏と作曲家の山岡 晃氏にインタビュー。謎多き“ホラー×エンタメ”作品に込めた思いとは
Bokeh Game Studioが開発中の「野狗子: Slitterhead」とは,果たしてどんなゲームなのか。同作クリエイターの外山圭一郎氏と,音楽を担当する作曲家の山岡 晃氏に話を聞いた。インパクトのあるタイトル名とトレイラーで話題となった同スタジオのデビュー作は,どういった経緯で誕生し,どんな思いで制作されているのかをお伝えしよう。
発売まで1か月を切った10月19日,4Gamerは都内某所のBokeh Game Studioにうかがいインタビューを実施。外山氏と山岡氏,そしてキャラクターデザインの吉川達哉氏にも参加いただき,独立後初めてのゲーム制作,物語とアクション,街の人と音,そしてゲームのカルチャー面についてたっぷり話を聞いた。
「野狗子: Slitterhead」公式サイト
分からないからこそ面白く,理解したときの驚きがある。コッソリ覗き見てほしい,謎多きホラーアクション「野狗子: Slitterhead」の楽しみかた
混沌の街を舞台に,人に憑依する謎の精神体と人に擬態する怪物が暗闘を繰り広げる「野狗子:Slitterhead」。「サイレントヒル」や「SIREN」の外山圭一郎氏による新たなホラーゲームということもあり,注目している人もたくさんいるだろう。そしてこういう人も多いはず。どういうゲームかまだ掴めていないと……。
SIRENのキーコンセプトを今の形に。アクションと物語の軸となった“憑依”
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
いよいよ「野狗子: Slitterhead」(以下,「野狗子」)が発売されるわけですが,今回は開発初期のお話しを聞いた2022年2月のインタビュー(リンク)の取材陣が再集結しておりまして。それの答え合わせじゃないですが,当時からこれまでの話も交えつつお聞きしたいと思います。
外山圭一郎氏(以下,外山氏):
なるほど面白そうですね。よろしくお願いします。
4Gamer:
イントロダクションとして,まず今の心境をうかがえればと思います。
2024年6月の発売日発表に合わせて,日本国内やSummer Game Fest 2024などのメディア向けプレビューでプレイアブルデモが披露されましたが,そのときの反応はいかがだったでしょうか。
文化的な部分で日本やアジアとそのほかの地域で印象が異なるのでは? とも感じる世界観ですが,そういった違いはあったのかなというのが気になります。
外山氏:
発表からこれまでは意図的にゲーム内容をぼかしていたところがあり,ホラー的な部分をイメージとして出してきました。ゲームの雰囲気は分かったけど,実際どういうジャンルでどういった立ち位置のゲームかが分からず困惑していた人は多かったようでした。
4Gamer:
あえてぼかしていたわけで,ある種狙いどおりだったけれど……という。
外山氏:
そうですね。いちおう最初のトレイラーでもアクション性みたいなところは伝えたつもりではあったんですが,そのあたりのゲームの部分は,こちらから出す情報だけで伝えるのは難しいなとも感じました。
それもあってメディアの皆さん向けの試遊の場所を用意し,体験していただこうと。実施してみてのリアクションとしては,「実際プレイすると分かった」「どういうゲームか掴めた」という意見は多くいただけたかなと思います。
4Gamer:
ゲーム部分をあえて明かさず,発売近くで一気に見せたのはどういった考えがあったのでしょうか。
外山氏:
アクションやゲームの仕組み自体は開発当初から固まってはいましたが,あのとおり特殊な作りのものではあるので小出しにしても分かりにくいんですね。
とくに憑依のシステムなのですが,ちゃんと実際に映像として見せられるものが仕上がってから畳み掛けるよう公開しよう。メカニックの部分はそこから知ってもらおうという考えがありました。
4Gamer:
ゲームの仕組みを知ったときまず驚いたのが,まさにこの憑依のシステムでした。
他者の身体を乗っ取るというなかなかにインパクトのあるシステムですが,九龍城を思わせる混沌の街という舞台は,ゲームの仕組みがあってのものだったのでしょうか。それとも,この街に合うゲームシステムとして考えたものなのでしょうか。
外山氏:
これは「野狗子」というゲームのそもそもの立ち上げに関わる部分ですね。
本作の立ち上げにはいくつかのアプローチがありましたが,そのなかでひとつ大きなものに「SIRENの再構成」がありました。
簡単に説明すると,SIRENのキーコンセプトを今のゲームとして,そしてエンターテインメントとして再解釈しようというものです。
4Gamer:
ああ,なるほど。憑依のシステムを知ったとき,まずイメージとしてSIRENの視界ジャックが思い浮かびましたが,コンセプトにそれが含まれていたわけですか。
外山氏:
そうですね。そうして新作のイメージを固めていく過程で,ゲームのテーマは土着文化の根強い土地から,大勢の人が行きかう都市のホラーにしよう。ゲームシステムは,それこそ視界ジャックのような仕組みを新しいゲームに向けて考えてみようというのがありました。
なので,どちらが先とかではなく,割とどちらも最初から形は決まっていて,それぞれの要素が集約されて今の設定が生まれたという流れですね。
4Gamer:
肉体がなく記憶失った謎の存在「憑鬼」となって,往来する人の身体を乗り移っていき,人間に擬態した怪物と戦う。この憑依のシステムですが,言葉が正しいか分からないですが“人間を使い捨てていく”という背徳的な要素がありますよね。
ストーリー上にもそれが深く関わっていてかなり攻めた内容だと感じましたが,これは独立系スタジオだからこそできた……みたいなところはあるのでしょうか。
外山氏:
部分的にはなくもないですが,そこまでではなかったかなと思います。
というのも,今回「野狗子」で形となった構想やアイデア自体は独立する前からやろうとしていたことですから。
4Gamer:
あっ,2022年のインタビューでもそのようにおっしゃっていましたね。SIEに所属していたころからあったと。
外山氏:
ええ。「野狗子」の原型となったアイデアを考えていたのが,「The Last of Us」が日本でも注目度が上がっていた時期で。
The Last of Usは,これまでのゲームだったらちょっと抑えておこう,控えておこうというテーマや表現に取り組んでいるゲームだと思うんですが,それに影響されてではないものの「次の作品はもっと踏み込んだものをやっていかないと」という意識があったんです。
なのでゲームのテーマやコンセプトについては,独立したからやれたとか,やろうと思ったとかいうわけではないですね。
4Gamer:
どのような場所や立場であれ,こういった踏み込んだテーマの作品を作っていたと。
外山氏:
そうですね。もちろん踏み込むといっても越えてはならない一線がありますし,それだけに慎重にやらなければならないことがたくさんあります。
ただ,ギリギリを攻めるじゃないですが,危ないからやめておこうではなく「この文脈であれば守るべきものを守って表現できるのではないか」「こういう形や見せかたであれば許容の範囲ではないか」というあたりは知恵を絞って作り上げていきましたね。
4Gamer:
実体を持たず人間に乗り移っていく,“人間とは違った価値観を持つ謎の存在”という主人公像もかなり攻めた設定かと思います。これはそもそもどういうイメージで生まれたのでしょう。
外山氏:
大きな理由となっているのが,憑依というゲームのシステムを際立たせるためです。
「野狗子」は最初ホラーのイメージで発信しましたが,作品づくりとしてはアクションゲームとしてどうあるかがベースにあります。なので主人公像も,アクションゲームとして見せたい部分やシステムがまず前提にありました。
当初は特定の主人公を立てようかとも考えたのですが,次から次へと人に乗り移っていくというストーリー上の理由とゲームの仕組みを考えたとき,「それを際立たせるにはこれぐらい踏み込んだ方が良い形になるのでは」と思いました。のちのち振り返ってみて考えると,イメージ元としては「ヒドゥン」の影響は強かったかなと。
4Gamer:
人間に寄生し悪事を働く異星人が出てくるSFホラー映画ですね。
同じように人間の身体の乗り移り,FBI捜査官として犯罪者を追いかける異星人が出てきますが,たしかに人間に憑依し怪物退治をするという「野狗子」の憑鬼は「ヒドゥン」をイメージすると分かりやすいです。
外山氏:
もともとそういった作品を観てきたというのがありますが,「ヒドゥン」のほかにもいろいろといわゆる憑依モノのホラーの要素は作品のイメージを作るうえで元になっていると思います。
ヒーローすぎない。しかしヒーローの素質のある“特別な人間”を
4Gamer:
プレイヤーキャラクターを変えていくというアクションを作るうえで,大変だったところはありますか?
この仕組みをしったとき,ちょっと近いところで「ウォッチドッグス レギオン」が思い浮かびました。あのゲームはロンドンという街に住むいろいろな人たちになれる楽しさがある一方,プレイヤーキャラがヒーローではなく一般人のため,特定の主人公ではないと感情移入しにくかった人もいたと思います。
「野狗子」は“中身”が共通とはいえ,システムを作るうえで同じような問題も抱えたりはなかったのかなと。
外山氏:
そのあたりはおっしゃるとおりで,憑鬼が乗り移る対象がいわゆるモブ的なキャラクターだけでは,ドラマを描くうえでも難しいと思いました。
憑鬼は主人公としてのキャラクター性を持つ存在ではありますが,ドラマの舞台は人間社会ですから。その物語を描くには,乗り移る対象のなかに,性格や社会的背景などを設定した登場人物がある程度必要になるだろうと。
そう考えてできたのが,ストーリー上はもちろんアクションゲームのプレイヤーキャラクターとしても特別な存在となる「稀少体」と呼ばれる人間たちです。
4Gamer:
それぞれにバックグラウンドがある十数名の登場人物たちですね。
それをデザインしたのが吉川さんというわけですが,どういう形で依頼があったのでしょうか。スタジオの公式動画では,コンセプトアートなどもまだない段階から……みたいな話があったので気になっていまして。
吉川達哉氏(以下,吉川氏):
そうですね。まずスタジオ設立前からなんとなくはこのアイデアは聞いていました。外山さんとは一緒にお酒に行ったりもしているので,そういう場所で「こんなゲームを考えていて」みたいな話はしていましたね。
4Gamer:
なるほど。2022年のインタビューでも山岡さんが同じようなことをおっしゃっていました。そうして聞いていたものが,実際に作り始めるとなって正式なオファーがみたいな流れですか?
吉川氏:
スタジオができてから,それこそお酒の席で「あの話だけどいよいよ動くよ」みたいな話になって。僕はホラーが大好きなので,面白そうだしお声がけいただけるならぜひ,みたいな流れですね。
本当に雑談の延長みたいな感じで。緊張感ある場所で,お互い神妙な顔つきでひざを突き合わせて……みたいなのはありませんでした(笑)。
4Gamer:
たしかにゆるい始まりですね(笑)。では,実際に動き出してからどうでしたか? 外山さんとはどういった形でキャラクターデザインを固めていったのでしょう。
吉川氏:
始める段階で外山さんからはしっかり仕上がった基本の設定をいただいて,そこから一体ずつさらに話を詰めていってという流れでした。舞台設定と地域性みたいなところはけっこう重要で,外山さんが思い描いているゲームの世界観を聞いて,イメージ元になる映画やその内容の話などもしましたね。
そうやって外山さんからいただいた人物設定,街の出来事や物語からイメージした街に集う人たちを描き,またそれを照らし合わせてデザインを仕上げていきました。僕はアニメっぽいキャラクターデザインが多いのですが,今回はリアル路線だということや大好きなホラー作品ということでそのあたりも楽しみながら。
4Gamer:
背景を持つキャラクターが十数体いますが,デザインを進めるうえで軸になったキャラクターはいますか?
外山氏:
ヒーローではない人たちがメインだけど,エンターテイメントの物語としてのヒーロー性のある人物は必要で,そういう意味でもダークヒーロー的なアレックスは軸になっています。
4Gamer:
野狗子を追う猟人で,フルフェイスのヘルメットで顔を隠し,散弾銃を持ってバイクを駆る。しかも普段の顔は闇医者という,いろいろくすぐるキャラクターですね。
吉川氏:
ヒーローすぎない一般人的な面白さを出すキャラクターがいれば,アレックスのようにヒーローとして採用されるべく個性を備わったキャラクターもいる。このあたりは外山さんが設定したキャラクターの背景がしっかりしたものがあったので,私は見ための部分での差異も出していこうとデザインできましたね。
そういえば,外山さんが話していたイメージ元みたいな話だと,アレックスは「処刑ライダー」でした(笑)。あくまでアウトライン的に捉えるためのもので,直接的なデザインや人物性に関係している話ではないですけどね。
4Gamer:
黒ずくめの姿でバイクに乗って街にやってくる……たしかに分かる気がします。もしかすると,こういったホラーに重要な,ほどよく漂うB級映画感みたいなところの味付けも? と(笑)。
ほかにイメージとしてこういう作品を共有し合ったというものはありますか?
吉川氏:
それこそ先ほど外山さんが話していた「ヒドゥン」などの,人体乗っ取りや憑依モノですね。
私もホラー好きなので,外山さんが名前を挙げていただいたものは「なるほど」という感じでわりとすぐイメージできました。あとはホラーに限らず,「野狗子」の舞台のイメージ元になっている1990年代のアジアの街並みが出てくるような作品の話もしました。
4Gamer:
キャラクターデザインを進めるうえでどういったところが大変でしたか? そもそもキャラクター数って意味で大変そうではあるのですが。
吉川氏:
そうですね。シンプルに数が多いことは大変でした(笑)。ゲームに登場しないキャラクターもデザインしたので,全部で二十数体はデザインしていますから。
外山氏:
当初は稀少体のほかドラマに絡む登場人物がそれくらいいたんですね。そこから制作を進め,物語やゲーム自体の整備や調整を進めるうちに登場キャラクターの数も調整していきました。
4Gamer:
ストーリーに関わるバックグラウンドのある人物が二十数人いたとなると,個性付けみたいなところも大変そうです。
吉川氏:
たしかに大変ではありますが,それよりも楽しかったですね。
先ほどのヒーローすぎない一般人的なキャラクターと,ヒーローの素質のあるキャラクターみたいな話だと,そのバランスが全体的にいい凸凹感を出せているというか。それぞれ個性的で,いま思い出しても笑ってしまうようないいキャラクターがたくさんできました。
何よりも最優先なのが,アクションゲームであること
4Gamer:
なるほど。その話を聞くと,ゲーム本編に出なかった人物が登場するサイドストーリーやスピンオフ的なものに期待したくなります。
しかしこれだけ登場人物が多いと,憑依のシステムに落とし込むのもまたいろいろと苦労があったのではないでしょうか。それこそ稀少体が特別な存在だといって,一般の人たちに憑依してくれないんじゃないかとか。
外山氏:
それもおっしゃるとおりで,ユーザーテストを頻繁にやってきたんですけど,なかなか思うように憑依を使ってくれないというのは最初の悩みとしてありました。
けっこう普通のアクションの操作じゃないですけど,ひとつの身体のままでガードやパリィ,攻撃……みたいな戦いかたをされる方が多かったんです。
4Gamer:
最初に乗り移った身体から移りたがらないみたいな。私はメディア体験会に参加したのですが,このバージョンではそういったことはありませんでした。
弱った人間は敵の的にして違う身体に乗り移り,またそれも囮にして違う人間で攻撃していくみたいな戦いかたが「作品のコンセプト的にもこうなのか……」と驚きましたし,物語も操作も物語冒頭で丁寧に説明されているなと。
外山氏:
ここはユーザーテストをしたからこそ「ここはしっかり乗り移ることのメリットを伝えなければ」というのを理解できたところですね。ユーザーテストを見ながら「そこはあの……もうその考えかたは棄てちゃってください!」みたいに思いながら,しかし説明が足りなかったなと感じましたから。
4Gamer:
そもそも敵と向かい合って戦うアクションではないと。
チュートリアルでの説明もまた難しそうですね。乗り移ることが物語と直結していますし,さらに世界観や雰囲気にも重きを置かれたゲームなので,説明しすぎになると没入感や“だんだん理解できてくる恐さや面白さ”に影響してしまいそうで。
外山氏:
まさにそこには気を遣いました。ゲームの冒頭は,チュートリアルとしてはもちろん物語上で憑鬼がどういう存在かを知ってもらうことも重要で。
最初は人間ではない生き物から始まって「憑鬼とは自我のある存在なんだ」というのを見せ,そこから憑依で人間に,そして人間から人間へ……と移っていく。この操作をするなかで,憑依がアクションのベースになっていることや,街でなにが起きているのか。そして憑鬼が記憶を取り戻していき,それによって徐々にできることが開放されるという流れを作りました。
4Gamer:
最初に憑依する生き物が,いかにもアジアのこういう街にいそうなアレですが,なるほどそういった意味があったわけですね。
外山氏:
ええ。このために動かせるキャラクターとして作るのももったいないし,なにかほかの場面でも出せないかなとか考えながら(笑)。
4Gamer:
インタビューの冒頭で「最初は困惑されたけど,プレイしてもらうことで理解してもらえた」という話をうかがいましたが,“困惑から始まるけど,分かっていくことが楽しい”ゲームなんだなと思いました。
メディア体験会でプレイしたときですが,冒頭では何が起きているか分からないけど,進めていくうちに「そういうことか」と納得できて,次にこのアクションをうまくなりたいってなっていったんです。物語はもちろんですが,それくらいアクションが面白いゲームなんだと。
外山氏:
ありがとうございます。チームの方針としては,アクションゲームであることが最優先なんです。開発チームにはそれを基本として考えてほしいというのは常に話していたことですし,これまで僕とゲーム開発をしてきたメンバーとはその考えを共有できていましたから。
なので,ストーリーはもちろん大事ですが,その展開はアクションゲームとして遊んでほしいステージやシチュエーションがまず先にあるんですね。アクションの緩急として,単調にならないようにというのがあって,それに合わせてシナリオを当てはめていく。これが大変ではあるんですが,物語としても意外性のある展開も生まれたりするんです。
4Gamer:
こういう言いかたは失礼になるかもしれませんが……多少のつじつま合わせよりも,矛盾があろうがカッコよければいいぞみたいな。
外山氏:
いえいえ,まさにそのとおりで(笑)。
無理やりっていうと言葉は悪いですけど,たとえば「ここからこの場所に移動ってどういうこと?」って場面も「そこはこっちの裏道から行って……」みたいに,そのあたりはプレイする人たちの想像で補填してもらおうとか。「勢い重視でこういう展開にしちゃったけどどうしよう」みたいなこともありますが,週刊連載の漫画的な勢いというか,ライブ感みたいなものは大切にしていますね。
4Gamer:
なによりアクションありきというゲームの作り方ということですが,各ステージは憑依を使ってもらう場面や憑依する回数などを想定して制作されていたのでしょうか。何分あたりに1回とか,そのために一般人は何体置こうとか。
外山氏:
そういった形とは少し違いますが,ゲームが単調にならないよう全体をとおしてメリハリや緩急をつける調整はしましたね。がっつりとしたバトルが続かないよう,次に時間内に違う人間に乗り替わっていくチェイスが待っているというような。
4Gamer:
そしてそれに物語を紐づけて,勢いは大事にしつつあまりに外れないよう整えると。全体もですが,ひとつのステージのアクションの調整も大変そうですね。なにせお手本になるゲームがほぼないわけですから。
外山氏:
それについてはいつもというか,僕が制作してきたゲームはそんなのばかりですから(笑)。
4Gamer:
(笑)。たしかにそれでいうと,「GRAVITY DAZE」も最初は「なんだこれは?」というところから始まるゲームでしたね。「上に行くの? えっ,下?」みたいな困惑から始まって,理解すると楽しくなるというか。この感じは似ているかもしれないです。
外山氏:
スタジオのメンバーはこれまでも僕とゲーム開発をしてきた人間が多いので,このあたりについてはある意味慣れているというのはあります。
4Gamer:
とはいえ「分かっているよね? じゃあお願い」ではないわけですよね。
外山氏:
はい。やはり話し合い,繰り返し説明することが大事で。
開発序盤はまず「これはプレイヤーになにをさせたいんですか。これのなにが面白いんですか」みたいなところから始まるんです。そこからはさらに第三者的な視点を重視していて,今回もすごく頻繁にユーザーテストを実施しました。
そしてそのフィードバックからの検証ですね。「ここは伝わったけど,逆にここはまったくだったな」といったように検証をする。このあたりはSIE時代,とくに後半でかなり叩き込まれたことであり,いまもゲーム開発で大事にしている工程です。
九龍という街のサウンド。音楽的ではないアプローチでゲームの音を作る
4Gamer:
ここからは山岡さんに音楽とサウンドについてお聞きしたいと思います。
2年前のインタビューで印象的だったのが“ちょっとのズレの違和感”,「ホラーゲームだったらこういう音楽だよね」「この場面はああいう音だよね」みたいなイメージからちょっとずらすという話で。実際どのように「野狗子」の楽曲やサウンドを制作されたのかぜひお聞きしたいと思います。
山岡 晃氏(以下,山岡氏):
その音楽というのは,悲しいシーンには悲しい曲を,みたいな話です。作り手はその依頼を受けて,「悲しい音楽といえばこういうのかな」と考えて作曲するわけですが,まずそこから違うんじゃないかと。
音楽である必要はないのではないか。サウンドのデザインとしてのテンポや音色があればいいのではないかというところから考える。「野狗子」ではそういう考えをもって曲……と言っていいのか分かりませんが,ゲームのための音を作っていきました。
4Gamer:
ではそもそもが,たとえば「バトルのこの曲をお願いします」とか「こういうドラマのシーンで安堵したような雰囲気の曲を」みたいなオファーがあって……みたいな制作方法ではなかったということでしょうか。
外山氏:
それについては僕から説明すると,山岡さんは開発当初からステージやシーンができるとそれを見て,それぞれに合った音を作って当てていっていました。
たとえばイベントの場面であれば「このシーンはこの人物はどういう心境なのか」を確認したり,恐怖から安堵に変わる間を計ったりされていましたね。そういった場面はゲーム開発が進むと修正が入るわけですが,山岡さんもそれに合わせて何度も調整していたんです。
なかなかこういった形でサウンドの制作をしてもらうということはないので,これは私たちにとってもすごい取り組みでした。
4Gamer:
2年前も「場面によって合う音は異なる」という話をされていましたが,そこまで徹底されてという。
「野狗子」は九龍という街で起きる出来事だけでななく,街自体がゲームの重要な要素としてありますよね。お話をうかがった感じ,そこで流れるBGMは音楽的な発想というより,その場面や街自体の音というものを作る……みたいなイメージだとも受け取れます。
山岡氏:
確かに場面場面でという前に,その街の一角で起きている出来事と空気感,温度みたいなものは大きいです。
たとえばジュリーだったら,野狗子に襲われていまどのような心境なのか,そこはどういう雰囲気の場所なのか。それらにはBGMのような音楽的な発想はなくて,そこで鳴る効果音の隙間に鳴るべき周波数の音を当てはめるようなイメージですね。
4Gamer:
ボス曲……という言いかたが適切かどうか分からないですが,ゲーム上でいわゆるボス的な敵と戦うときの音楽は,ボス戦の音楽というよりその場面の音,そのシーンの当事者が置かれている状況みたいなものがなにより先にくるわけですね。
山岡氏:
ええ。もちろんすべてがそれではなく,エンターテイメント作品としてオープニング曲やドラマの場面で流れる楽曲も作ってはいますが,いわゆるバトル曲やボス曲という考えで作ってはいないです。
そもそも僕はいちゲーム好きとして,ボスとかザコとかいう言いかたが嫌いなんですよ。だから「これはボス曲ですか」とか言われるとイラっとくるかもしれない(笑)。
4Gamer:
(笑)。それこそ「野狗子」の世界の人たちは,ザコもボスも関係なく,人の命を奪う怪物ですからね。ゲームの世界をリアルに捉えてその人たち側に立って考えると,その心境を表現する音楽や音にザコもボスもないという。
山岡氏:
ええ。モノづくりとしての考えとしても,ザコ,中ボス,大ボスみたいに考えるのはどうなんだろうかと。
ゲームはインタラクティブなものなので,このあたりはプレイの状況や人それぞれの感じかたで異なるかとは思いますが,どういったテンポや進行でプレイヤーがここにたどり着いたか。それは場面単体で見るのではなく,それまでの流れも大事なんだと考えています。
あとはゲームをプレイしていて感じられる気持ちよさ。このタイミングに音が鳴り出す瞬間の気持ちよさというのも,ゲームのオーディオやサウンドデザインにとって大事なポイントだと思います。
4Gamer:
2022年のインタビューでお聞きしたティザートレイラーのお話もまさにそれだったんだなと思いました。暗転からのドラム,そしてギターが入ってくる感じの気持ちよさがまさに,と。即興というか,楽譜を書いて作る音楽とは違うものを感じるのですが,そのライブな感じってどのように作られたのかが気になります。
山岡氏:
技術的な話で言うと,「野狗子」のサウンドはLogicやPro Tools上で制作しているのですが,このときグリッドをオフにしています。
なので自分でもテンポが分かんなくなっていくし,いま何小節目かというのも分からない。そもそもその概念なく作ったんです。オープニング曲やテンポのある楽曲はグリッドをオンで作りましたが,「野狗子」の有機的でオーガニックな雰囲気というか,そのあたりを表現するうえではグリッドはいらなかったんです。
4Gamer:
なるほど。都市の民族音楽というか,音楽の根源的なものやプリミティブなモノを感じますね。でもそれはゲームで鳴る音として,プレイヤーの操作や目の当たりにしている状況にもつながっている。
山岡氏:
音楽に意識がいかず,「このアクション面白かったな」という気持ちになってもらえるようにしたい。今回はそういう意味で,「どうやったらそこまでに達するのか」を徹底的に考えました。
たとえばプレイヤーが指でコントローラを操作し,その映像が光で,音が空気振動で伝わってくるスピードとラグを考え,プレイヤーに感じ取ってほしいタイミングにするため音の周波数や大きさを調整する。すごく細かいところですが,そういった試みはしましたね。
4Gamer:
かなり実験的なところもあってという。
山岡氏:
そうですね。個人差やハードウェアの違いによって伝わりかたが変わる部分ではありますが,フォーリーサウンドに関しても何度も計ってやり直しました。今後レイテンシーが一切なくなるということはないとは思うんですが,もっとダイナミックで効果的なゲームの音の表現ってできるんじゃないかなと。すみません,「野狗子」の話からは外れてしまっていますね。
4Gamer:
いえいえ大好物な話でした(笑)。「野狗子」はかつてのアジアの国や地域,そして日本に“かつてあった街”という雰囲気が重要で,その雑多な感じというものには映像はもちろん音も含まれているわけですよね。
それを音楽ではなく音で伝えるというのは,行き交う人の喧騒やどこからか聞こえるクラクションみたいな,現実の都市の音に近い感覚があるんだろうなと感じました。
アクションの舞台として,人が生きている場所として。九龍という街を深く表現する,路地裏の怪しさ,危うさ
4Gamer:
そんな「野狗子」の街についてなのですが,ゲームの九龍は1990年代のアジアの街,具体的には香港の九龍城砦がイメージの大元にありますよね。外山さんには2022年のインタビューで,“消えゆくものへのシンパシー”,ノスタルジックなものとは違った形でゲーム上に表現するという話を聞きました。
個人的には,いわゆるサイバーパンク的なネオンサインの街並み以上に路地裏の怪しさがたまらなかったんですが,この街づくりについていろいろお聞きしたいと。
外山氏:
ネオンサインなどはもちろん大事でしたが,まさに路地裏は再現したい街の雰囲気において大事なものでした。
こういった路地裏って,大きい通りから一変して「ここは入って大丈夫かな。危ないよな」という空気がありますよね。で,実際足を踏み入れてみるとパンツ一丁のおじさんがいて……という。
4Gamer:
はい,分かります(笑)。
外山氏:
そういう場所がネオンサイン輝く表通りのすぐ近くにあるという対比は,野狗子という存在,街の暗部で起きる野狗子に関わる物語を描くうえでもうこれ以上ないものというか。街の光と影というと安直な表現になってしまいますが,そういった比較を描くうえでも路地裏の雑多な雰囲気や怪しさ,それをステージとして作り上げることはゲームにとって重要な部分でした。
個人的に路地裏の雰囲気が好きというのもありますが,ゲームの舞台としても探索したくなるものを生み出しますし,アクションのステージとしても生きるんです。
4Gamer:
ステージとして作りあげるうえでの大変さはありましたか?
猥雑な街を表現しようとすると,それが乱雑すぎるとゲームのステージやマップ構造としてはプレイしにくいものになるかもしれない。かといってスッキリしすぎると,雑多な街の雰囲気が出ないといった難しさはなかったのかなと。
外山氏:
大変だったところはまさにそれでしたね。実はそれについて一度,僕が日和った……じゃないですが「もう少し簡易なものにしようか」って開発チームに伝えたことがありまして。
4Gamer:
路地裏の雰囲気は重要だけど,でもアクションがなにより優先という考えだと,ステージとしては簡略化しなければならない……みたいなところでしょうか。
外山氏:
ええ。それとプロデューサーとしての立場としては,ステージを作るメンバーに相当な負担になるのではないかとか,レベルデザインの面でもゲームが難しくなりすぎないかという懸念がありました。
それで「大変じゃない?」って話をしたんですが,企画のコンセプトの重要な部分だし,街の表現っていう大事な部分はしっかりやりましょうと言ってくれたんです。開発メンバーからは「やらないんですか? 現場はやれるし,やってみせますよ」と勝負を挑まれたというか,気迫に押される感じがあったんですね。
実際それで開発は大変でものすごく労力をかけた部分になったんですが,そこは各担当のメンバーが「本当によくここまで仕上げたな」というところまでやってくれました。
4Gamer:
具体的にはどのようなところが大変でしたか?
外山氏:
このあたりはなにより現場の声を聞くべきところではあるんですが,そうですね……アクション部分で分かりやすいところだと,初期は行ってほしくないところにもジャンプで行けてしまうみたいなのはありました。
4Gamer:
ああ,意外なものが足場になって……みたいな。素人の考えではありますが,ディテールが細かくなると処理負荷の問題とかもありそうだなとも思いました。
外山氏:
もちろんそういった部分もありました。今までの開発と違ってさまざまなプラットフォーム向けにゲームを開発したというのもありますし,それこそPCはプレイヤーそれぞれのゲーム環境やゲーム自体の設定でも変わるので。ただこのあたりは,スタジオの強みとして優秀なエンジニアが揃っているというのがありまして,本当によくやってくれたなと思います。
4Gamer:
独立してからの4年を振り返ってもらい……というのは仰々しいのですが,独立して初めて1本のゲームを作り上げて,大手での開発とここが大きく変わったところってどこにありましたか?
良し悪しの話ではなく,大きく環境が変わっていろいろ感じたことがあったのではないかなと思いまして。
外山氏:
ひとつ挙げると,プロジェクトを進めるうえでのさまざまな選択肢を増やせるというのはありました。
SIE時代はゲーム開発を始める時点で戦略上のミッションがあって,こういう規模のゲームをこれぐらいのチームで何年かけて,ハードの特徴であるこの機能を取り入れた内容で……というのをしっかり決めて始めるんですね。それによって安定して高いクオリティのゲームの制作に取り組めるのですが,一方でそれが制約になる場合もあるんです。
それと比べると,独立してからのほうが開発進行中でも「ここはこうしよう」みたいな変更や調整がしやすいというのはありました。
4Gamer:
柔軟性みたいなところで違うと。
外山氏:
ええ。でもこれはどっちがよくてどっちがダメって話ではぜんぜんなくて。
というのも,独立スタジオとしてゲームを作ってみて,ゲーム開発は建築的な側面があるなと感じたんです。大手ゲームメーカーは,その地域や街のランドマークになるような建物を建てるわけです。大規模なプロジェクトで,何年も前からその先を考えて長期的なプランで動いていて,立ち上げから整理しなければいけないことやそこに関わってくる人の数も多くなる。
独立していま僕がやっていることは一軒家を作ることなんですね。大きいビルは作れない代わりに,いろいろなフィードバックを得ながら建てていって,僕たちだからできるというスタイルの家を作る。
大手の時代にそれがなかったわけではないですけど,より自分たちでできる範囲を考えてゲームを作れたというのが大きく変わったところだと感じています。
4Gamer:
なるほど。そうなると次は,「この家面白いね。これ設計したのどこのデザイン事務所だろう」という話になってきますよね。
外山氏:
そのあたりも「野狗子」の制作を進めるうえで重要な部分でした。
スタジオのデビュー作,つまり世間に見られるのがこれひとつしかないわけなので,開発が遅れてしまうことって信頼に大きく影響してしまうだろうと。クオリティを保つことはもちろんですが,しっかりスケジュールを考えて,大きく遅れることがないよう完成させるということもまた大事でした。
4Gamer:
実際,発売時期は想定したとおりになりましたか?
外山氏:
イメージしていたより時間がかかったところがあったり,市場の動向的に調整すべきか検討したりはありましたが,大きくずれることはなかったです。独立して初めての制作としてはよくできたなと。
4Gamer:
中心メンバーがいままで外山さんと開発を共にしてきた人たちなので,それはなかっただろうなと思いつつの質問ですが,新しく立ち上げたチームということで,話がかみ合わなくて開発に支障があったみたいなことはなかったのでしょうか。
いろいろなところからベテラン開発者や優秀な人たちが集まったけど,それぞれがもともといたところのゲーム開発文化の違いみたいなところでうまくいかない……みたいな話を聞くことがあるので。
外山氏:
そうですね。おっしゃるとおりコアメンバーはずっと一緒に開発をしてきたメンバーですし,そいういうかみ合わなかったみたいなものはほとんどありませんでした。「ここは守ろう」「ここは割り切っていこう」みたいな話もしっかり話し合える関係ですから。懸念があったのは,立ち上げ当時の平均年齢が高すぎるということくらいでしょうか(笑)。
そのあと新しいメンバーが加わりましたが,各チームのリーダー的なポジションにはベテランの開発者がいるので,開発の進めかたやゲームの方向性の共有などはうまくできていたかなと思います。
4Gamer:
開発メンバーの紹介動画や対談企画の動画などの自社コンテンツも発信されていましたが,やはりそういった情報発信やプロモーションもこれまで以上に自分たちで考えてそれを形にして……という感じだったのでしょうか。
外山氏:
そうですね。自社パブリッシングでそのプロダクトをPRするって,ものすごく大変だなというのはありました。
ただ,これもスタジオデビュー作みたいなところで,ここは苦労してでも開発から販売,PRといった一連の流れをやっておきたいというのがありましたね。
4Gamer:
大変でも外部に任せてというのではなく,自分でやろうと。
外山氏:
ええ。最初から外部にお任せにしてしまうと,それらを進めるうえでどういった工程があるのか,自分たちが見なければならないところはどこかといったことが分からないままになりますから。
ショップイベントやオンラインストアでのTシャツの販売といったマーチャンダイズもですね。まずはそもそも自分たちでやってみたかったというのがありましたけど(笑)。
4Gamer:
皆さんが着ているのもいい宣伝効果だと思います。取材が終わったらオンラインストアをチェックしようと思いました(笑)。
こういったプロダクトも初めてのことが多く大変だったと思いますが,それは開発に影響はなかったのでしょうか。
外山氏:
ええ,そこはもちろん。当然ですがゲームを作ることがまず一番ですから。
4Gamer:
たっぷりお話をいただきました。そろそろ締めという時間でして,皆さんにメッセージをお願いできればと思います。
皆さんそれぞれが担当した部分もあらためて触れつつ,ゲームの魅力やオススメの点などをいただければと。
山岡氏:
ゲームがまず本当に面白いというのがあって,ほかにない手触り,ほかにはない体験があるので,まずは手に取ってほしいと思います。
音楽や音についてはさっき言ったとおりなんですけど,切り取って受け取るものではなく,ゲームの体験に含まれているもののなかのひとつです。なので注目しなくてもいいですし,音楽や音が記憶に残らないくらいゲームに集中して,楽しんでもらえると嬉しいですね。
吉川氏:
知らない人はいないと思いますが,外山さんといえば「サイレントヒル」がありますよね。
僕は初めてサイレントヒルをプレイしたとき,ゲームとしての面白さはもちろんなんですけど,こんな映画的な体験ができるゲームはあっただろうかとものすごく衝撃を受けたんです。「野狗子」もその衝撃が変わらずというか,アクションを楽しみながらも「この映画,観てみたいな」みたいな感覚があるんです。
こういう雰囲気の作品が好きな人なら,トレイラーを観ればすごく期待せずにいられなくなると思うんですね。その期待に応えてくれる。全部をプレイしたわけではないですが,想像できない何かがあって楽しませてくれると感じられるゲームです。皆さんもぜひプレイしてください。
外山氏:
独立系スタジオとしてゲームを作り,これからリリースを迎えるとなっていま難しさを感じているのが,できあがったゲームをどうアピールするかなんですね。
「野狗子」は自分たちらしいゲームをきちんと作るっていう気持ちで開発を始めて,できあがったいまそれをやりきれたと自信を持って言える作品です。これをぜひ多くの人に手に取っていただきたいのですが,小さな会社で宣伝をバンバン打ってということはできないですし,そういう作品でもないと思うんですね。
長い時間がかかるかもしれないですが,プレイした人たちの思いが伝播し広がっていくような。なので,「思ったより良かったよね」でもなんでもいいので,プレイして感じたことを届けていただけると嬉しいです。
4Gamer:
本日は貴重なお話をありがとうございました。発売を楽しみにしています。
「野狗子: Slitterhead」公式サイト
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(C)2021 Bokeh Game Studio Inc.
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