「グロリア・ユニオン FHD EDITION」プレイレポート。バランス調整に加えて新機能＆新要素も追加されたSRPG

　スティングが配信中のシミュレーションRPG「グロリア・ユニオン FHD EDITION」（Switch / iOS / Android）は，2011年にPSPで発売された「グロリア・ユニオン」のリマスター版だ。

価格は全プラットフォーム共通で2200円（税込）。4月30日〜5月23日は正式価格より33％オフとされている

「グロリア・ユニオン FHD EDITION」公式サイト

「グロリア・ユニオン FHD EDITION」ダウンロードページ

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　ゲームの基本的な部分（ストーリーやシステム）はオリジナルと同様だが，リマスター版である本作では現代的な便利機能や新要素が多数追加されている。そのうえで大幅なバランス調整も施されており，オリジナル未体験者はもちろん，もう一度遊びたいという人にも，プレイしやすいタイトルに仕上がっている。本稿ではスマホ版（iOS版）をベースに，プレイフィールをお届けしよう。

イラストサイズが大きくなり，グラフィックス全体の質も向上。「ドット優先フィルタ」は今作で追加された新機能だ

世界の8割が海となってしまった世界で

海賊少年イシュトの物語が描かれる冒険ファンタジー

　はるか数千年もの昔，世界は万物に宿る意志の力“ウィル”を持つユーフォリア王国が支配していた。だが，突如として世界の8割が海中に没し，ユーフォリア王国も海の底へと沈んでしまう。

　しかし『ユーフォリア王国が“強大なウィル”をクリスタルに封じ，各地に残した』という伝説が数千年にわたって語り継がれていた。

　そして現代。数多くの海賊たちが一攫千金を夢見て大海原を駆け巡る中，クリスタルの伝説に引かれた海賊の少年イシュトが，謎の少女ルルゥとグロリア海賊団に出会い，物語が始まる。

海賊の少年イシュトは，子分のピンガーとともにクリスタルを探して遺跡のある小島にたどり着く。そこにイシュトと同郷の海賊ベルガスが手配書を持って現れる

ベルガスを撃退後，空から飛来したカプセルが浜辺に落ち，中から謎の少女が現れる。ルルゥと名乗るその少女は，ユーフォリアの鍵の所持者をクリスタルに導く存在であり，その鍵がイシュトの持つ剣だと言う

その言葉を信じてルルゥに案内を頼んだ矢先，懸賞金を目当てに現れた女海賊アンヌに襲われるイシュト。だが，窮地に陥ったところをグロリア海賊団のエリーシャに助けられる

　物語の導入部分，チャプター1における最序盤の展開は以上のとおりで，謎の少女ルルゥと有名な海賊団であるグロリア海賊団の副船長エリーシャ。この二人との出会いによって，イシュトの運命は大きく動き出す。このあと，イシュトとピンガーはグロリア海賊団に所属し，エリーシャも行動を共にしていくことになる。

個性的なキャラクターたちが多数登場。ストーリーは全体的に軽めのノリでコミカルな描写も多く，あまり構えずにプレイできる部分も魅力だと感じられた

会話パートには，ボイスに合わせてテキストが自動送りになるAUTOボタンや，会話のログを見る機能も搭載されている

新機能で“軍勢バトル”も快適に

　本作における戦闘は，フィールドパートとバトルパートを繰り返し，敵の全部隊を撤退させる（あるいは何らかの条件を満たす）ことで勝利となる“軍勢バトル”システムを採用している。


　ターンを迎えると最初に「タクティクスカード」というものを選択することになる。このカードは特殊効果を発揮するほか，CARD POWERやMOVEが記載されており，自軍ユニットはこのMOVEと同じ数値だけマス目を移動可能で，敵軍ユニットに接敵すると攻撃（デュエル）を仕掛ける。基本的にデュエルは1ターンにつき1回限りなので，毎ターンどの自軍ユニットが攻撃を担当するかは慎重に選ぶ必要がある。

　デュエルの勝敗には，ユニット同士の武器による相性が大きく影響する。例えば剣は斧に有利だが，銃には不利となる。デュエルに負けると士気ゲージが減り，ゼロになったユニットは撤退してしまうので，デュエルを仕掛けるときは武器の相性だけでなく，士気の残量にも気を付けよう。

戦闘前の出撃準備画面で出撃させるユニットを選択できる。出撃可能な数はマップによって異なっている

装備可能なアイテムを所持している場合，ユニットに装備させたうえで出撃させられる。NORMALより上の難度だと耐久度が設定されているので消耗品だが，今作で追加されたEASYでは耐久度が減少しないので，ずっと使用できる

ユニットの士気を回復できるアイテムもある。ユニットによって好みがあり，好物を与えると回復量がより大きくなる

タクティクスカードの持ち込める数はフィールドによって制限がある。相手の能力を下げたり，フィールド上の海を凍らせて足場にしたりといった特殊効果を優先するか，CARD POWERやMOVEが高いカードを中心に構築するかは，プレイヤー次第

タクティクスカードのMOVEは，自軍の各ユニットではなく，自軍全体が合計で移動できる数。MOVEが10なら1ユニットが10歩進むか，2ユニットが5歩ずつ進むといった具合だ

デュエルに勝利すると敵軍ユニットに士気ダメージを与える。士気ダメージはタクティクスカードのCARD POWERの数値を基準に，複数の要素から算出される。また，士気ダメージを与えたタクティクスカードはCARD POWERが成長する

フィールドによっては船も出撃する。船には船長として特定のユニットを配属でき，船長の能力に応じて船のステータスや攻撃範囲が変わってくる

船はユニットに対して砲撃で一方的にダメージを与えられる

　バトル中，一度使用したタクティクスカードは次のバトルまで使えず，手持ちのタクティクスカードを使い切ってしまうと敗北となる。そこで嬉しいのが今作で追加された“巻き戻し機能”だ。この機能を使えばタクティクスカードを選択するターンの最初までゲームを巻き戻せる。敵軍ユニットを仕留めなきゃマズいのに仕留めそこなったといった場面でやり直しがききやすいので，大いに活用しよう。

デュエル後でも巻き戻せるので，筆者もプレイしながら「あってよかった！」と力強く思った“巻き戻し機能”

　タクティクスカードだけでなく，“ユニオン”を生かすこともバトルを有利に進めるには欠かせない要素となっている。これは，デュエルを仕掛ける/仕掛けられたユニットをユニオンリーダーとし，特定の範囲内にいる自軍ユニットもデュエルに参加させるというシステムだ。
　ただし，敵軍ユニットもこのシステムを使うので，ユニオンリーダー同士のデュエルは互いの全兵力がぶつかり合う総力戦になることも。

タクティクスカードのMOVEは，特定のユニットが使い切るのではなく，自軍ユニットでバランスよく使おう

ユニオンの範囲はＸ字か十字であり，どちらなのかはユニットによって違う。一部だが，そもそもユニオンの範囲を持たない（ユニオンリーダーになれない）ユニットもいる

　デュエルが開始しても，ぼうっと画面を眺めていてはいけない。デュエル中に画面の左側をロングタップすると「Passive」，右側をロングタップすると「Aggressive」へと，自軍ユニットの“作戦”を変更できる。Passiveでは攻撃力が低下するが，後述のスキル発動に必要なゲージが溜まりやすくなり，Aggressiveでは反対に攻撃力が上昇し，スキルのゲージが溜まりづらくなる。

　発動するスキルはタクティクスカードによって異なるが，例えばタフな敵軍ユニットを相手にデュエルをするなら，Passiveでスキルゲージを溜めて，高火力のスキルで仕留めたほうがいい場面もあるだろう。

スキルゲージが最大でも発動条件を満たせず，スキルが使えないこともある。条件をクリアできる状況でなければ，Aggressiveで果敢に攻めることも視野に入れよう

通常のセーブとオートセーブのほか，状況に関係なく手動で進行状況を保存できる自由セーブ機能も今作で搭載された新機能。自由セーブの枠は一つだが，いつでもセーブしてゲームを中断できるのは便利だ

気になる新機能や新要素まとめ

　本稿の執筆時点で筆者はまだ本作をクリアできていないのだが，今作がもとは10年前のタイトルだと言われても，すぐには信じられないくらいリマスター版の手触りは良好だ。すべてを紹介するとキリがないほど，リマスターにあたって追加/調整されている項目は多く，現代に返り咲いた「グロリア・ユニオン」はぜひ購入を検討してみてほしい一本である。
　記事中で紹介しきれなかったそのほかの主な追加・調整要素も最後にまとめておこう。

●そのほかの主な追加・調整要素

・NIGHT MAREモードの追加
　難度問わず一度ゲームをクリアするとHARDより上の難度「NIGHT MARE」に挑戦できる。

・引き継ぎ機能
　ゲームクリア後，セーブデータを使用してアイテムとタクティクスカードを引き継いだまま最初からプレイが可能。

・EXプレイ機能
　エクストラコンテンツに登録されているアイテムとタクティクスカードをすべて所持した状態でゲームを開始できる。

・EXTRAコンテンツの開放条件変更
　最初からEXTRAコンテンツが開放されており，コンプリート状況を確認しながらプレイ可能。


・EXTRAコンテンツのアイテムコンテンツ画面に入手ヒントを追加
　EXTRAコンテンツ内のアイテムコンテンツ画面で，そのアイテムがどのステージで入手可能なのかヒントが確認できる。


・ユグドラを剣タイプのユニットに変更できる
　特殊な条件で仲間になるユグドラに特定のアイテムを装備させることで，剣タイプのユニットに変更可能。

・タクティクスカード「ジハード」を追加
　ユグドラが剣タイプのユニット時に使用できる専用のタクティクスカード「ジハード」が追加。

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