インタビュー
「オーバーウォッチ 2」×「僕のヒーローアカデミア」のコラボレーションが10月18日開幕。コラボスキン制作のキーマンにインタビュー
私が来た!「オーバーウォッチ 2」と「僕のヒーローアカデミア」のコラボが10月17日に開催[TGS2024]
Blizzard Entertainmentは本日(2024年9月26日),東京ゲームショウ2024の配信番組「Xbox Tokyo Game Show 2024 ブロードキャスト」で,FPS「オーバーウォッチ 2」と「僕のヒーローアカデミア」のコラボを10月17日に開催すると発表した。
公式ブログ(リンク)でもアナウンスされているが,今回のコラボスキンの制作を担当したDion Rogers氏に合同オンラインインタビューが行われた。Blizzard Entertainmentの開発者として15年以上のキャリアを持ち,「Heroes of the Storm」「World of Warcraft」「オーバーウォッチ」などに携わってきたベテランだ。現在は「オーバーウォッチ 2」のアートディレクターを務めている。
4Gamerもインタビューに参加したので,コラボの経緯や注目ポイントといったRogers氏から語られた内容をお届けしよう。第一線で活躍するゲームクリエイターとしての興味深い話もあったので,ぜひ最後まで読み進めてほしい。
「オーバーウォッチ 2」公式サイト
「本当にコラボしたい」とずっと待ち望んでいた夢が実現できた
――今回,「僕のヒーローアカデミア」(以下,「ヒロアカ」)とコラボすることになった経緯を教えてください。
Dion Rogers氏(以下,Rogers氏):
まず,本作の開発メンバーに「ヒロアカ」のファンが数多くいるということに言及させてください(笑)。「オーバーウォッチ 2」の根底にある「誰でもヒーローになれる」という世界観と,ポジティブさが強く伝わってくる「ヒロアカ」の世界観はどこか共通するものがあるんです。
最初は弱かったり,欠点があったりしますが,少しずつ成長していくストーリー性ですね。皆が「本当にコラボしたい」とずっと待ち望んでいた夢が実現できたので,本当に嬉しく思っています。
――日本はもちろん,北米などでも大きな話題を呼んだコラボですが,どのようなフィードバックがありましたか。
Rogers氏:
アニメ,漫画のファンであるプレイヤーも世界中に多くいらっしゃいますし,たくさんの好意的なフィードバックをもらえてとても嬉しいです。こうした反応は毎回楽しみにしています。
――今回の「ヒロアカ」だけでなく,以前の「ワンパンマン」「カウボーイビバップ」といった日本の作品とのコラボはどのようにして発案されたのでしょうか。
Rogers氏:
メンバーが子供の頃から慣れ親しんできた作品,最近触れて面白かった作品……由来はさまざまですが,開発チーム内にはタイトルのリストが常にあるんです。もちろん,我々はクリエイターですが,1人の人間として“何かのファン”でもありますからね。
そして,最初からコラボ企画としてスタートするのではなく,アーティストが自ら「こういうのはどう?」と持ち込んでくることも多くあります。今回のコラボもまさにそのようなきっかけでスタートしました。
――コラボスキンの対象となるキャラクターは双方の作品でも限られると思いますが,どのようなプロセスを経て選ばれたのでしょうか。
Rogers氏:
「ヒロアカ」には魅力的な個性を持ち,デザイン面でも楽しいキャラクターが数多くいるので,5人に絞り込むのは非常に難しい作業でした。個人的には常闇踏陰が好きなのですが,技術面の関係で泣く泣く断念したんです。彼の黒影を再現するのは不可能ではありませんが,あまりに困難だったので……。
また,トゥルーフォームのオールマイトも入れたかったキャラクターの1人ですが,断念せざるを得ませんでした。“トゥルーフォームのオールマイト,おなじみのオールマイト”を表現したかったのですが,これも技術的に困難だったためです。
もちろんオールマイト以外の教師陣もセレクトしたかったのですが,彼らもビジュアル的に再現するのが困難で,残念ながら断念した経緯があります。
「オーバーウォッチらしさ」と「ヒロアカらしさ」
――コラボスキンについて,こだわったポイントを教えてください。
Rogers氏:
コラボスキン全体の観点だと,「ヒロアカ」の魅力を生かしつつ,いかに本作の雰囲気にマッチさせるかという点です。スキン全体のシルエットや,プレイフィールを損なわない点はとくに重視しました。「スキンによって,どのヒーローか分からない」ということはあってはならないですからね。
たとえば緑谷出久とトレーサーには,性格や生い立ちに似ている部分がありますよね。ウィンストンとの出会いによって,己の個性を弱点ではなく長所と捉えられるようになったトレーサーは,緑谷出久の“個性を探す旅”のようなキャラクター性に近いものがあると思います。
もちろん,緑谷出久は真っ先に候補に挙がったキャラクターであり,チーム内でも「デクとトレーサーはいいね」と落ち着きました。
オールマイトとラインハルトはゲームプレイ,パーソナリティ的にも最適だったと思います。陽気で,声が大きくて,仲間を思いやって助ける……“みんなのヒーロー”な性格もマッチしていますよね。ラインハルト以外でも試したのですが,やはり彼の性格や体格から「オールマイトがいい」となりました。
また,コラボ実施が決まった際,ジュノは開発中のヒーローでしたが,麗日お茶子と非常にベストマッチングだと感じました。ニューフェイスのヒーローではありますが,スキンの種類を増やし,プレイヤーの皆さんに楽しんでいただく選択肢を用意するという意味でも,とてもいいセレクトだったと思います。
そして,「ヒーローだけでなくヴィラン(悪役)も欲しい」ということで,リーパー(死柄木 弔)とキリコ(トガヒミコ)をヴィラン役にしました。リーパーは納得のセレクトかと思いますが,キリコを起用したのは「すごくいい子のキリコが,逆にヴィランだったら面白くない?」という意見が出たからなんですよ。
こうしたスキンだけではなく,POTG(Play of the Game)のハイライトやイントロなどにも「ヒロアカ」の要素を取り入れていますので,楽しみにしてください。全員ではありませんが,ちょっとしたサプライズもあります。ぜひゲームをプレイしてチェックしていただけたら嬉しいです。
――デザイン面で苦労したスキンはありますか。
Rogers氏:
全体的なコンセプトとして「オーバーウォッチのヒーローたちが『ヒロアカ』のファンであり,その作品のコスプレをしている」というものがあるんです。トレーサーは緑谷出久が“推し”なので,「もうデクのコスプレしちゃう!」といった感じです(笑)。
実は緑谷出久のスキンには,ほかのヒーローも候補に挙がっていたのですが,「誰がデクを好きだと思う? 選ぶと思う?」とディスカッションをした結果,「やっぱりトレーサーが好きだよね」と。
すべてのスキンにおいて「オーバーウォッチらしさ」を保ちつつも,「ゲーム中にコラボ相手の魅力を存分に味わってもらいたい」と思っているので,双方のバランスを取る作業は非常に苦労しますね。
とくに毎回悩むのは髪型です。シルエットを大きく変えてはいけませんが,印象に大きく関わるパーツですから。エフェクトも変えすぎてしまうと「誰?」となってしまうので,そのあたりの匙加減も難しいですね。
――とくにお気に入りのスキンはありますか。
Rogers氏:
ラインハルトが大好きなので,彼のオールマイトスキンは非常に気に入っています。「ヒロアカ」初期の「オールマイトが来てくれれば勝つ,助かる」というところも,緑谷出久に教え込んでいく教師役としての物語上の立ち回りも大好きなんです。
“ヒーローの先生”というコンセプトが本当に素晴らしいですよね。現実にいてほしいなって(笑)。
――今回のコラボについて,原作者の堀越耕平氏や関係各社とはどのように連携したのでしょうか。
Rogers氏:
週刊少年ジャンプ編集部とは何度も調整を行いました。とくに多くの議題になったのは「ラインハルトのオールマイトスキンの顔」でしょうか。ラインハルトは老齢の顔立ちなので,そのままオールマイトの顔を当てはめると,「あれ? ラインハルト若返った?」というビジュアル面のコントラストが生まれてしまうからです。
これに限らず,漫画やアニメといった2D表現を3Dモデルで表現する部分,前述した髪型など,何度もミーティングを行いました。こうしたやりとりは非常に楽しかったですし,何より貴重な経験でした。
――最後に日本のプレイヤーへのメッセージをお願いします。
Rogers氏:
まずは記事を読んでくださった皆さん,今回のコラボに興味を持っていただき,誠にありがとうございます。皆さんと同じく,我々も「ヒロアカ」が大好きです。「オーバーウォッチ 2」の世界で,ぜひ「ヒロアカ」の世界を体験して楽しんでください。
開発チームも今回のようなコラボを本当に楽しみにしています。アニメや漫画といった文化からたくさんのエネルギーをいただいていますし,影響も受けています。
自分たちの大好きなキャラクターが,自分たちが作った世界で走り回ったり,動き回ったりするのは本当に嬉しいですし,とても光栄なことです。こうした楽しさを,ぜひプレイヤーの皆さんにも感じていただければ嬉しいです。
本日はありがとうございました。
「オーバーウォッチ 2」公式サイト
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