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今年の夏こそ「AIR」に出てくる「どろり濃厚ピーチ味」の決定版を作る。俺のコラボカフェ:Menu 054
4Gamerをご覧の皆様こんにちは。クッキングエンターテイナーの大西哲也です。様々なゲームに出てくる料理をプロの料理人が本気で作ったり,プロ目線で勝手に検証して発表したりする「俺のコラボカフェ」。今回もよろしくお願いします。
夏の訪れとともに,特別な思い出が蘇ります。青い空,白い雲,強い日差し。ピアノの旋律とともに胸いっぱいに広がる切なさと感動。そう,名作アドベンチャーゲーム「AIR」の思い出です。以前から生粋の「鍵っ子」(Key作品のファン)であることを公言してきた私にとって,決して忘れることのないゲームの一つです。
「AIR」は2000年にPCのアダルトゲームとして発売され,その後,移植版やリメイクも発売され,アニメも大ヒットとなった伝説のアドベンチャーゲームです。「泣きゲー」というジャンルを築いたゲームの一つであり,今も語り継がれる名作と呼べるでしょう。
主人公やヒロインたちはひと夏で様々な経験を経て成長し,自らの運命に立ち向かっていきます。そしてそれを美しく切ないBGMが彩ります。
AIRは夏にプレイすると,その魅力が一層際立つと私は思っています。夏の風物詩や海辺での思い出,そして季節の移り変わりが,プレイヤーに心地よい懐かしさを与えてくれるのです。夏の日差しとともに感じる熱気や,風の爽やかさなど,まさに夏を体感するような臨場感をもたらしてくれます。
そんな清々しい思い出の中に一つ,大きな違和感が存在します。それは,メインヒロインである神尾観鈴の大好物「どろり濃厚ピーチ味」です。
飲むときの効果音が「ドクドク」だったり,濃厚すぎてストローを通らないのでパックを握って押し出すように飲むのがコツというエピソードからも,真夏に飲むには厳しい飲み物のようです。主人公はこのドリンクをくれた観鈴に対して「嫌がらせか」と言っていますので,よっぽどですね。
私と同じかそれより上の世代の人は,子どものころに不二家の「ネクター」を飲んだことがあると思います。あれもかなり濃厚でしたが,それのかなり上をいっている予感もします。
AIRを初めてプレイしてから20年。料理人として十分な経験を積んだ今だからこそ,ついに挑戦するときが来ました。AIRの世界からそのまま飛び出してきたような「どろり濃厚ピーチ味」を美味しく作ってみようと思います。
■材料
白桃 2個
黄桃缶詰 1個分
糀甘酒 200ml
ゼラチン 10g
水 60ml
実食
味は非常においしいです。フレッシュな白桃と,香り高くフルーティーな黄桃を合わせることで,フルーツミックスジュースのような複雑さも感じます。甘さを添加するために,糀甘酒を入れたことでどろり感も良くなりました。
甘酒というと,冬の飲み物と思われがちですが,実は歴史的には夏に飲まれていた飲み物なのです。俳句でも夏の季語なんだとか。栄養も豊富で夏バテの症状である体のだるさや疲れを回復し,腸内環境を整えることで食欲不振の解消も期待できると言われていますし,ぜひ入れてほしいですね。
作り方の注意点としては,氷水に当てて冷やすときは,常に混ぜ続けることです。手を止めるとただのゼリーになってしまいます……。
今年は全国的に猛暑に見舞われていますが,どろり濃厚ピーチ味で一緒に乗り切りましょう。ちなみに,AIRを知らない人にはストローではなくスプーンで出したほうが喜ばれるかもしれません。
今回のテーマはいかがでしたでしょうか? 面白いと思ったり,実際に試したりした人は「#俺のコラボカフェ」「#COCOCORO」といったハッシュタグをつけてSNSに投稿してくれると嬉しいです。
それでは,またお会いしましょう!したっけ!
■■大西哲也(クッキングエンターテイナー)■■
あるときは,料理研究家,またあるときは,「COCOCOROチャンネル」のYouTuber,しかしてその実体は……,料理を通じて多くの人を喜ばせたいと日々奮闘する,クッキングエンターテイナーだ! Key作品の料理をに挑戦するのは3回目。Kanonは冬ですし,Summer Pocketsは夏。春や秋がテーマの作品もあるのでしょうか。また探し出してその季節に再現してほしいですね。よろしくお願いします。
※次回の掲載は2023年8月26日を予定しています
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