連載
「SPORE」で作る,あなたの銀河 / 第3回:文明の光と影
数十億年にわたる生物の進化をエンタテイメントする世界初のゲーム「SPORE」。先週の「集落ステージ」に続き,今回は「文明ステージ」を紹介していこう。
なんだかあっという間に100万本のセールスを達成したり,スポアペディアに登録されたクリーチャーの数が3000万匹になったり,さっそく拡張データパックの話が出てきたりと,景気のいい話が続く本作。まさにカリスマゲームデザイナー,Will Wright(ウィル・ライト)氏の面目躍如といったところで,大変ねたましい。いや,すばらしい。
さて,いよいよあなたの生き物も我々のような文明を持つ段階に至ったのだ。そう,都市の誕生である。彼らは指導者をいただき,巨大な建物を築き,さまざまな乗り物や兵器などを生み出していく。そして,我々の歴史がそうであったように,文明と文明が衝突するとき,そこにさまざまなドラマが生まれるのである。
ゲームもまたここでちょこっと難しくなるので,ぜひ気合を入れて取りかかっていただきたい。
知性を身につけたあなたのクリーチャー達は仲間と集落を作り,火や道具を使い始める。やがてほかの種族を征服/交渉によって支配し,周辺地域をついに征服してしまったというのが前回までのお話。
ついに集落から都市へと進化した今回の文明ステージでは,惑星にあるすべての都市を攻撃したり転向させて征服したり,あるいは交易により都市を買い取ったりして,最終的に惑星の覇者になることが目標だ。転向って何? という向きには,あとに詳しい説明をしているので,心配しなくていいです。
ゲームシステムとしては集落ステージと同様,RTS(リアルタイムストラテジー)っぽさがメインとなるが,ここまでくればさすがにRTS初心者もすっかり慣れているはず。ステージの冒頭には親切なチュートリアルも用意されているから安心だ。建物を並べて都市や,ユニットとなるビークルを作ったりと,この文明ステージも大忙しになる。
ついに惑星上の集落がパワーアップして最初の都市が誕生した。なんかちょっぴり感動的だが感動している場合じゃない。これからが本番だ!
都市には「軍事系」「宗教系」,そして「経済系」という3種類の特性があり,軍事系,宗教系ならば戦闘や転向による攻撃的なやり方で他の都市を攻め落とし,経済系ならば交易を通じてじっくりと相手の都市を支配して都市ごと購入してしまうことなる。転向とは耳慣れない言葉だが,これはつまり宗教ビームによって建物に被害を与えることなく征服してしまうというものだ。
最初に誕生する都市の特性は,細胞ステージからどう進化してきたかによって変化するので,自由には選べない(文明ステージからやり直すなら選択可能)。とはいえ,例えば自分の最初の都市が宗教系だとしても,あとで軍事系都市を手に入れれば軍事系の行動も取れるようになり,さらに経済系都市も手に入れれば,すべての特性を持つ国家を築き上げられるのだ。
集落ステージで食料が必要だったように,この文明ステージでは何をするにも資金(スポアバックス)が必要となる。世の中は金,金なのである。ああ,進化って恐ろしい。
資金を手っ取り早く稼ぐためにはスパイス間欠泉の確保をする必要があるというのは,文明ステージ冒頭のチュートリアルで真っ先に教えてくれるので,よほど忘れっぽい人以外とっくにご存じのはずだ。
スパイス間欠泉の位置は画面左下のミニマップに表示される。グレーのマークが所有者がいないスパイス間欠泉なので,ビークルで乗り付ければ自動的に採掘装置が設置されて資金が増える。でも,ステージの最初に作れるのは陸上ビークルだけで,海の向こうの大陸には渡れない。したがって最初に手に入れられるスパイス間欠泉は同じ大陸にあるものだけとなる。
文明ステージの操作ユニットであり,スパイス間欠泉の確保だけでなく,ほかの都市への攻撃や転向,そして交易になくてはならないのがビークルだ。
ビークルには「陸上」「海上」,そして「飛行」の3タイプがあり,また経済系都市では経済系ビークルが作れるといった具合に,その都市の特性と同じものしか作成できない。
最初に作れるのは陸上ビークル。これは都市のある大陸内のみ行動できる。海を隔てた大陸に進出するためには,海上ビークルか飛行ビークルが必要になるが,これらは一定の条件を満たすことで作れるようになる。その条件とは,海上ビークルは海辺の都市を占領すること,そして飛行ビークルは都市を四つ占領することだ。
これで海の向こうの大陸への進出ができるのだから,なる早で条件を満たしておきたい。
ビークルは無数に増やせるわけではなく,例えば軍事系都市を持っていれば最初に5台の軍事系ビークルが所有可能。さらに経済系都市を占領して都市の特性を経済系のままにしておけば,経済系ビークルが5台。さらにさらに別の軍事系都市を占領すれば,全部で軍事系ビークル10台,経済系ビークル5台を作れるといったアンバイだ。ビークル数の上限は都市数だけでなく,それぞれの特性を持つ都市の人口によっても増減するので,都市開発も怠ってはならない要素になる。ね,忙しそうでしょ。
惑星征服に挑みつつ都市開発にも精を出したい。都市開発といっても「家」「娯楽施設」,そして「工場」を配置可能な場所に置いていくだけだ。このへんは集落ステージと一緒だが,どの建物を隣接させるかで都市の満足度に影響が出る。
たびたび出てきた満足度とは,都市にいる市民(もはやクリーチャーではないのだ)が過ごしやすい都市かどうかを示す指数。満足度が高ければ市民も一生懸命に働き,満足度が低ければ働きも悪くなる。とにかく満足度を高い状態にしておけば最高の働きをしてくれる。
具体的な満足度は,建物同士の位置関係から生まれてくる。都市建設は,シティホール(家と同様に機能する)を中心に建物を配置していくわけだが,例えば工場は設置するだけで満足度が下がるが,家を隣接することで収入が得られる。また,娯楽施設は配置するだけで満足度が上がり,家と隣接することでさらにそれが高まる。これらを組み合わせることで,多くの収入が得られて満足度が高い配置を見つけ出すのだ。
まあ,文章で書くと分かりにくいかもしれないが,建物を設置した時点で満足度が上がるのか下がるのかは顔マークで即座に分かるので,実際にやれば簡単だろう。
スポアの最大のウリは,クリーチャーから建物,ビークルに至るまで,エディタを使って簡単にデザインできてしまうところにある。それぞれのパーツを組み合わせ,長さや大きさ,角度などをいろいろ変えれば,あら簡単。手早くいろんなものを生み出せてしまうのがとても面白く,時間を忘れてついつい作業してしまう。
しかもクリーチャーの作成のみならば「SPORE クリーチャー クリエイター」(機能限定の無料版もあり)を手に入れれば,スポア本体を買わなくてもクリーチャーを作れてしまう。スポアは持ってないけど,クリーチャー クリエイターでクリーチャーだけは作っているなんて人も世界にはたくさんいるとかいないとか。
しかし,筆者は自慢じゃないがデザインセンスがナッシング! いくらやってもイイ感じのクリーチャーやビークルが作れなくてガッカリしまくりのし放題なのだが,全然落ち込んでいないので気を遣わなくていいです。
それというのも,開発元Maxisや世界中のプレイヤーが用意してくれた大量のデータが存在しているからだ。ゲーム中,いつでもアクセスできるので,そこからお気に入りのものをピックアップすればいいだけ。世界中のユーザーが作ったさまざまなデータを誰でも無料で自由に利用できるようになっているのだから,これを使わない手はないでしょう。こうやって楽しむゲームなんだし,遠慮せずに使わせてもらおう。
惑星上にあるすべての都市を自分のものにするためには,ビークルを使ってちょっかいを出す。軍事系,宗教系,経済系という都市の特性により攻め方は異なるが,どの特性でも大量のビークルで攻めていくのが基本スタイルだ。な〜んだ,と思うかもしれないが,誰もが手軽に楽しめるところがスポアのプレイスタイルなのだからあまり文句はいわないように!
軍事系都市の場合,要するに相手の都市に対して直接攻撃を加えるわけなので,ビークルを大量動員して攻め込もう。もちろん,向こうも砲台やビークルで応戦してくるので,こちらのビークルの性能次第では簡単にやられてしまう場合もある。
あまりにも手強い都市が相手だと,次々にビークルを生産して補充していかねばならず,そうなると“懐の暖かさ”が重要になる。貧乏はいつでも辛いのだ。
宗教系都市は,攻撃というよりも都市のそばで巨大なホログラムなんかを出しちゃって,音楽や念仏といった宗教パワーを雨のように浴びせて転向させる。市民に対するマインド攻撃であるため,建物に傷つけることなく占領できるのがいいところ。といっても,都市を手に入れたあとは,建物の配置を見直しておいたほうがベター。
経済系都市の場合は,軍事系と宗教系のイケイケなやり方とはちょっと違い,交易によって両国の関係を向上させ,「購入ゲージ」を貯めて都市を買収してしまうというやり方だ。
交易は相手から申し込まれることもあるが,こちらから申し込むことがほとんど。交易ができるかどうかは相手と良好な関係にあるかどうかがキモだが,無線で挨拶したり,贈り物として資金をあげたりすれば,ご機嫌で交易取引に応じてくれるだろう。まったく絵に描いたように単純なヤツらである。
交易が始まると,都市間に交易ルートが確立されて経済系ビークルが行き来し,資金がだんだん増えていく。それに伴って両国の関係が向上し,購入ゲージが貯まり,最終的に都市自体を買い取れるのだ。買い取り金額はこちらが決めることになるが,相手が望む金額を掲示できなければ交渉決裂。都市は手に入らずに関係は悪化してしまうのだ。あまりケチんぼだと泣きを見るわけで,しょっちゅう泣きを見ている筆者はケチなのか?
しかし,都市の購入ができる状態になっても交易を続けるほうがオススメだ。というのも,経済系ビークルが行き来する限り資金は増え続けるため,購入するより資金面で余裕が出やすい。そのため,交易をしている都市は最後の最後で一気に購入して完全征服に持ち込むのがいいと思う。
とまぁ,こんな感じで軍事系や宗教系,あるいは経済系の都市を手に入れ,都市を拡張しながらビークルを増やし,さらに別の都市を手に入れていくのが文明ステージの流れ。文明って,そういうことだったのね。
とはいえ,どんな方法で手に入れていくかによって継承アビリティーが変化することを忘れてはならない。次の「宇宙ステージ」にも大きく影響するので,画面右下の「歴史」で進化の流れをこまめにチェックしながらプレイしよう。
さまざまな手段を用いて惑星にあるすべての都市を手に入れ,惑星の支配者になれば,次なるフロンティアは宇宙だ。いよいよあなたの種族は惑星というちっぽけな場所を飛び出し,広大な銀河の大海原へと漕ぎ出すのだ。宇宙の海はオレの海だ。
というわけで,次回は泣いても笑ってもスポアの最終段階となる「宇宙ステージ」をやっつけていく。無限の宇宙という言葉がまさにぴったりなほど広大な宇宙を探検しながら,これまでの進化の課程でやってきたことを宇宙レベルに拡大して銀河の覇者を目指すのだ。はっきり言って,やりごたえ十分。お楽しみにどうぞ。
|
- 関連タイトル:
SPORE
- この記事のURL:
(C)2008 Electronic Arts Inc. EA, the EA logo and SPORE are trademarks or registered trademarks of Electronic Arts Inc. in the U.S. and/or other countries. All Rights Reserved.