パフォーマンス向上&機能追加がトピック,「Catalyst 7.8」公開
AMDは,同社製GPUおよびグラフィックス機能統合型チップセット向けとなるグラフィックスドライバスイートの最新版,「ATI Catalyst 7.8」を公開した。対応OSはWindows XPおよびVistaで,「Display Driver」のバージョンは8.401。すでに4Gamerの最新ドライバページではリンクを更新してあるので,すぐに入手したい人はそちらからダウンロードページへジャンプしてほしい。
2007年8月版ドライバでは,パフォーマンス向上と,ATI Radeon HD 2600/2400シリーズへの機能追加がトピックとなっている。具体的には以下のとおりだ。
●ATI Catalyst 7.8でのパフォーマンス向上- ATI Radeon HD 2900 XT搭載環境でDirectX 10版「Lost Planet: Extreme Condition」を実行し,アンチエイリアシングを適用した状態でプレイすると,11%以上向上
- ATI Radeon HD 2600/2400シリーズのシングルカードおよびCrossFire構成で「3DMark06」および「3DMark05」を実行すると約6%向上
- ATI Radeon HD 2000シリーズで,HDRレンダリングを有効化して「Serious Sam II」をプレイすると約14.5%向上
●ATI Catalyst 7.8での機能追加- ATI Radeon HD 2600/2400シリーズ向けのATI Overdriveサポートが拡張され,CrossFire構成時に,各グラフィックスカードのコアおよびメモリクロックを変更できるようになった(シングルカードも当然サポートされる)
- ATI Overdriveに新しい負荷テストが追加され,マニュアルもしくは自動チューニングモードにおいて,オーバークロック設定の実効性をチェックできるようになった
カプコンから,GeForceと比べて「チューニングの差」があると指摘されたDirectX 10版「ロスト プラネット エクストリーム コンディション」への対応が進んでいるとされたのは興味深い。 英文リリースノートを見る限り,対応したのはATI Radeon HD 2900 XTのみで,アンチエイリアシング(以下AA)を4xもしくは8xに設定するとゲームが反応しなくなることがあるなど,まだ完全ではないようだ。AMDによると,2007年9月リリース予定となる「ATI Catalyst 7.9」において(2007年8月17日のアップデート分も含めて)一定レベルの最適化を完了する見込みだそうで,まだしばらく時間は要しそうだが,少なくとも前進しているのは評価すべきだろう。
このほか恒例のバグフィックスは以下のとおり。今回も基本的にはゲームに関係したところを中心にダイジェストでお知らせしたい。
●ATI Catalyst 7.8で解決した主な問題(Windows XP)- 「Counter-Strike: Source」「Day of Defeat: Source」「Half-Life 2: Episode One」をプレイすると,過度のフォグが表示される問題
- ATI Radeon Xpress 1200/1250/1300グラフィックス機能統合型チップセットの一部モデル(※「一部」の詳細は不明)を利用した環境で「Star Wars Knights of the Old Republic II: The Sith Lords」をプレイすると,画面表示がおかしくなる問題
- ATI Radeon HD 2900 XT搭載環境で,ディスプレイ解像度が1280×1024ドット以上だと,「ATI Catalyst Control Center」(以下CCC)にある「Overscan/Underscan」スライダーが有効化されてしまう問題
- Intel 965 Expressチップセット搭載環境でCrossFire構成を採ろうとすると,「3Dアプリケーションが実行中」「ケーブルが接続されていない」「マザーボード側に通信チャネルが存在しない」といったエラーメッセージが表示され,有効化できない問題
- Intel 975X Expressチップセット搭載環境でいわゆる“ソフトウェアCrossFire”環境を構成すると,CCCからCrossFireを有効化できない問題
●ATI Catalyst 7.8で解決した主な問題(Windows Vista)- 64bit版Windows Vista環境で「Call of Duty: United Offensive」をプレイするとき,CCCから3D設定を「Optimal Quality」に指定し,さらにゲーム側のグラフィックスオプションをすべて最高に指定すると,ゲーム開始後すぐにOSが反応しなくなる問題
- ATI Radeon HD 2000シリーズ搭載環境でATI Catalystをインストールすると,デフォルトのサウンドデバイスが「ATI HD Audio」に変更されてしまう問題
- CrossFireが無効化され,さらに3D設定(3D aspect)におけるAAのチェックボックスがチェックされていない状態で,CrossFireの14x AAと16x異方性フィルタリングを有効化すると,AAがかからない問題(※詳細不明。原文は「Enabling CrossFire followed by setting AA to 14x and AF to 16x no longer results in the AA showing a setting of 0x level when disabling CrossFire and unchecking the AA option in the 3D aspect.)
- ATI Overdriveから動作クロックが最高に引き上げられた状態でCrossFireを有効化すると,CCCがATI Overdriveの設定内容を正しく読み取れない問題
- CCCのAA設定にある「Use Application Setting」のチェックボックスを無効化すると,CrossFire構成時の最大AAレベルが6xに制限される問題
- ATI Radeon X1950 CrossFire EditionをIntel 975X Expressチップセットに差した環境でグラフィックスドライバをインストールしようとすると,OSの反応がなくなったりドライバをインストールできなかったりする問題
- HDMI接続してサウンドを出力しようとすると,特定のディスプレイ解像度でサウンド出力がおかしくなる問題
- セカンダリディスプレイを接続した環境で「Extended Desktop」を有効化すると,一部のディスプレイ解像度を選択できなかった問題
- グラフィックスドライバをアンインストールすると「Extended Desktop」モードになり,アイコンが消えてしまう問題
このほかWindows Vista環境を中心に,(前述のロスト プラネットも含め)未解決の問題はまだまだ少なくないが,ATI Radeon HD 2000シリーズの性能向上や機能追加が行われている点は,ATI Radeonユーザーなら看過できないところだろう。特別には取り上げないが,ビデオ再生周りの細かなバグフィックスも進んでいるようなので,ビデオ関連の不具合に見舞われていた人にも,相応の価値はありそうだ。
ドライバのアップデート作業は自己責任となるが,総じて導入する意義はあるといっていいのではなかろうか。(佐々山薫郁)
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