元マイクロソフトのXbox事業部長がRMT会社の顧問に就任
Xbox 360ローンチ時の丸山氏(xbox.comより)
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Sparterは,元マイクロソフトXbox事業部長であった丸山嘉浩氏を顧問に迎えることを発表した。 丸山嘉浩氏はスクウェアに入社後,米国スクウェアの上級副社長兼COOからXbox事業部に招聘されている。Xbox 360のローンチ前後にはメディアへの露出も多かったので,名前や顔を目にしたことのある人もいるかもしれない。2005年12月に日本でXbox 360をローンチしたあと,2006年2月には,米マイクロソフトエンターテインメント&デバイス部門(Microsoft Entertainment & Device Division)へ,事実上の更迭が決まっている。 Sparterは,G2Gビジネス(Gamer to Gamer)とはいっているものの,いわゆるRMT業者――というよりはRMTをビジネスのメインに据えている会社――そのものだ。氏の古巣の「ファイナルファンタジーXI」についても取り扱っているようだが,現時点での入札は見当たらない。最近のスペシャルタスクチームの活動で商売にならなくなったのかもしれない。
また丸山氏は,Sparter顧問への就任に際し,以下のようなコメントを行っている。 「Sparterは,RMTでパブリッシャの権利とユーザーのニーズを両立できるプラットフォームであると信じています。Sparterは,パブリッシャと協力してゲーム内のスパムやBotファーミング,悪意のあるコードの使用など,本当にひどい不正をなくして,我々の顧客をサポートする最良の方法を提供します。私は,ゲームに関わるすべての人にとって利益のあるソリューションを作り出すために,ゲーム業界とSparterの対話を用意にするように私の経験と人脈を生かしたいと思っています」
現状では,RMT業者と協力関係にあるパブリッシャはほとんどないといってもよい。確かにRMT業者とパブリッシャの協力関係が築けるのなら,それはパブリッシャにもゲーマーにもメリットをもたらす可能性はある。そういった「協力関係」を築くために氏の経歴が買われているようだ。 それはそれでオンラインゲームの将来を変える変革となるであろう。ただ現状でのオンラインゲームでのRMTにまつわる状況を鑑みるに,そういった関係が築ける可能性はかなり低いように思われる。さらに氏は,Sparterならゲーム内におけるさまざまな不正行為を防げるとしているのだが,その根拠はまったく示されていない。事実上,RMTマーケットのゴールドの大半を生成しているのは「生産者」であって,その問題は何も解決されないうえ,ビジネスのやり方自体も,古くよりある“RMT版価格コム”とほぼ同じに見える。何をもってそこまで言い切れるのであろうか。
丸山氏のXbox 360ローンチ時のコメントを挙げておこう。 「日本では、12月10日に、ハイビジョン映像でゲームを楽しめる、次世代家庭用ゲーム機、Xbox 360 を発売します。私たちは現在、日本での発売に向け、マイクロソフトはもちろん、ゲームメーカー、流通などのパートナー各社と協力しながら準備を進めています。日本のゲームファンの皆さんに、日本はもちろん海外の魅力的なゲームタイトルを楽しんでいただき、また、革新的なデジタルエンターテイメントを体験していただきたいと思います」
ゲーマーの利便性なども含んだRMT自体の是非はともかく,現状のRMTを明確に拒否しているタイトルに対してのRMTは,ゲームメーカーにとっては害悪そのものである。 ちなみにこのSparter,CEOはDan Kelly氏(元THQ上級副社長)だ。両者ともに,これまではゲーム開発企業およびゲームメーカーと協力して業界を盛り上げていく立場だった人が,現在の状況でRMTを推進する企業に協力するというのは,ゲーム開発者およびゲーマーに対する背信行為のように思われてならないのだが。(aueki)
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