「日本オンラインゲーム協会」設立発表と,市場統計の最新版披露。第8回オンラインゲーム研究会
「有限責任中間法人 日本オンラインゲーム協会」の設立発表時に紹介された,会長のゲームポット 植田氏以下,理事四氏(本文参照)
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本日(6月28日),都内で首都圏ベンチャーフォーラムの第8回オンラインゲーム研究会が開催され,「有限責任中間法人 日本オンラインゲーム協会」(JOGA。Japan Online Game Association)の設立発表が行われた。4Gamerでも何度かお伝えした「オンラインゲームフォーラム」(OGF)を前身とし,発足時点でオンラインゲームメーカー16社の正会員,オンラインゲーム事業に関連した9社の準会員で構成される(ただし,現在参加手続きを進めている会社も,別途あるとのこと)同団体は,「安全な課金サービスやネット利用トラブルからのユーザー保護,同時多数アクセスでも安定してサービス提供するための運用面の対策,ネットビジネス上のマナーやユーザーモラル対策」など,個別の企業努力では解決が困難な問題について「協議」するための組織だ。現段階での参加企業は,以下のとおりとなる。
■正会員 ・エムゲームジャパン ・ネクソンジャパン ・CJインターネットジャパン ・ハイファイブ・エンターテンメント ・ガーラ ・テクモ ・エヌ・シー・ジャパン ・デックスエンタテインメント ・レッド・エンタテインメント ・SeedC ・NeoWiz Japan ・ゲームオン ・ジークレスト ・ガマニアデジタルエンターテインメント
■準会員 ・イクスフェイズ ・オプトリンクス ・ゲームエイジ総研 ・フレパー・ネットワークス ・アドバゲーミング ・ISAO ・オリコム ・富士通エヒ・アイ・ピー ・ウェブマネー
会場では,同協会の理事に就任した参加者の紹介が行われた。すでにお伝えしたとおり,会長のゲームポット 代表取締役社長執行役員CEOの植田修平氏,理事のNHN Japan 取締役副社長の森川 亮氏,ゲームオン 代表取締役社長の李 相Y氏,ガマニアデジタルエンターテインメント 取締役最高執行責任者 浅井 清氏,ジークレスト 代表取締役社長兼CEOの長沢 潔氏,そして,事務局長の川口洋司氏が紹介された。 植田氏は,「オンラインゲームのマーケットは,ブロードバンド接続の普及もあって短期間で急速に成長してきた。それゆえに,未解決の問題も残されてきた」という認識を示し,その解決に向けて協議できる組織としての,同協会の意義を強調した。 それを補足する形でガマニアの浅井氏は,共同で取り組むべき課題別に分科会が組織されていることを説明した。すでに公式サイトでも明らかにされているとおり,2007年7月上旬には渋谷区に事務所が開設され,同じく7月中に各分科会が開催される。現時点で同協会は,意思決定機関である理事会の下に以下の六つの分科会を備えている。
■オンラインゲームガイドライン分科会 ■ゲーム広告分科会 ■電子マネー・ポイント分科会 ■ゲーム輸出分科会 ■人材育成・マッチング分科会 ■市場統計調査分科会
前述したように,同協会の母体となったのは,経済産業省関東経済産業局が推進するプロジェクトの任意団体「首都圏ベンチャーフォーラム」の分科会であるオンラインゲームフォーラムであり,日本オンラインゲーム協会の活動も,当面はこれを引き継ぐ形で行われるようだ。活動内容として挙げられているのは,以下のとおりである。
■オンラインゲームの振興のための啓発および認知向上活動 ・オンラインゲームに関する調査と研究,セミナー。シンポジウムの実施 ・オンラインゲームガイドラインの制定とその更新 ・オンラインゲームに関する国内外の企業,関係省庁,地方自治体,諸団体との情報交換および連携協力活動 ・オンラインゲームに関する事業支援活動 ・会員相互の交流,情報交換,相互協力の促進活動 ・会報の発行など
設立発表に続いて行われた,説明会の様子。開始時点で50〜60名の参加者が確認できた
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オンラインゲームフォーラムの活動としては以前,独自の「オンラインゲームガイドライン」および,コンシューマゲームタイトルを含む「オンラインゲーム市場統計調査報告書」について記事でお伝えしているが,ここで気になるのは,日本オンラインゲーム協会が言う“オンラインゲーム”の意味内容である。植田氏の説明によればそれは「PCをベースとしたもの」であり,これは現状の参加企業の構成に沿った見解だろう。
オンラインゲームフォーラムの,比較的広汎な産業振興的側面に沿った形で設立された同協会だが,現実として同じタイプのビジネスを展開するオンラインゲームパブリッシャが,独自の団体を組織したことの意義はそれなりに大きいだろう。オンラインゲーム業界には,おそらくオンラインゲーム業界の住人にしか分からない課題が,数々あるのだから。 とはいえ,少々気になるのは,やはり参加企業の顔ぶれだ。シグナル・コーポレーション,ゴンゾロッソオンライン,ガンホー・オンライン・エンターテイメント,ガイアックス,エレクトロニック・アーツといった,もともとオンラインゲームフォーラムに属していた企業の名前が,まだ並んでいない。会長である植田氏が所属するゲームポットの名前も正会員として挙がっていないだけに,おそらくは現在参加手続き中の企業が多いものと推測するが,同協会の活動を一層意義深くするのは,オンラインゲームフォーラム参加企業以外のビッグネームも含めた,広汎な協力であろう。参加企業の増加と,活動の充実をぜひとも期待したい。
■アイテム課金の急伸ぶりがうかがえる市場統計調査
「オンラインゲーム市場統計調査報告書2007」の各種統計数値を説明する,日本オンラインゲーム協会 事務局長 川口洋司氏
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さて話題は前後するのだが,首都圏ベンチャーフォーラムの第8回オンラインゲーム研究会では,日本オンラインゲーム協会の発表に先立って,オンラインゲームフォーラム時代から継続している「オンラインゲーム市場統計調査報告書」の最新版が披露された。
資料そのものは,すでにオンラインゲームフォーラムの公式サイトからPDFファイルの形でダウンロードできる。従前の調査基準を引き継ぐ形で,ネットワーク対戦対応のRTSやFPSも「オンラインゲーム」として数えられているため,統計数値を見るに当たっては考慮に入れる必要があるものの,例えば,2006年におけるPCオンラインゲームで,「ソフト無料+サービス定額課金」が33タイトルに対し,「ソフト無料+サービスアイテム課金」が115タイトルとなっている。2004年調査で,それぞれ42タイトルと12タイトル,2005年調査で63タイトルと57タイトルであるのと見比べたとき,アイテム課金の急速な普及ぶりがうかがえるわけだ。また,売上ベースで見ても,PC定額課金が2005年の約314億円から2006年で約210億円と,前年比67%に縮小しているのに対し,アイテム課金は2005年の約210億円から2006年の約460億円で,217%への成長を遂げている。 また,オンラインゲームクライアント,ネットワーク対戦対応タイトルの両者を含むと思われる「PCパッケージ売上」が2005年の約36億1000万円から,2006年で約40億2900円と,前年比約112%の成長を見せていることも,やはり内訳が気になるものの,注目しておくべき数値だろう。
日本オンラインゲーム協会の発足と活動の充実で,今後こうした数的把握の側面でも,一層精度の高いデータが得られることを期待したい。(Guevarista)
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