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GeForce FX〜8完全対応のXP向け公式β「ForceWare 162.15」
2007/06/27 17:42
 NVIDIAは,同社の運営するゲーマー向け情報&コミュニティサイト「nZone」で,「Windows XP」用のβ版グラフィックスドライバ「ForceWare 162.15 Beta」を公開した。2007年6月27日5:40PM現在,日本語対応の多言語版は,以下に挙げるダウンロードページから入手可能だ。

Windows XP用 ForceWare 162.15 Beta(68.0MB)
(リンク先でDownloads - Primary Siteをクリックしてください)

 ForceWare 162.15 Betaが持つ最大の特徴は,「GeForce FX」から「GeForce 8」まで,グラフィックス機能統合チップセットも含め,デスクトップ向けGPU(グラフィックスチップ)のすべて――ひょっとすると何か抜けているかもしれないが,挙がっているリストを見る限り,「すべて」と断じて問題ないと思われる――がサポートされた点だ。これまでGeForce 8の登場以降,Windows XP用ForceWareは長らく“GeForce 8専用”“それ以外用”と分かれていたが,ついに一つのドライバソフトウェアとして統合されたことになる。

 このほかForceWare 162.15 Betaでは,長らく大幅アップデートのなかった「GeForce 7」以前のGPUにおけるバグフィックスが進んでいる。詳細は下にまとめたとおりだ。また,その下には未解決の主な問題もリストアップしておいたので,興味のある人は参照してみてほしい。

●ForceWare 162.15 Betaで解決した主な問題(Windows XP)
  • GeForce 8シリーズ搭載環境で「nTune」の「NVPerformance Benchmark」を終了するときにクラッシュする問題
  • 「GeForce 8800 GTX」搭載環境で,NVIDIAコントロールパネルにある「Resize HDTV Desktop」の(スライダーによる)設定が保持されない問題
  • GeForce 8800 GTX搭載環境で,Dell製液晶ディスプレイ「3007WFP」と接続すると,1680×1050ドットを表示できない問題
  • GeForce 8800 GTX/GTS搭載環境で,ゲーム設定からHDRレンダリング,NVIDIAコントロールパネルからアンチエイリアシング設定(以下 AA)を無効化すると,「The Elder Scrolls IV: Oblivion」で木々の向こうにキャラクターアニメーションが見えてしまう問題
  • GeForce 8800 GTX搭載環境でAAを有効化すると,「S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl」でクロスヘア(照準)が消えてしまう問題
  • GeForce 8800 GTX搭載環境で「Far Cry」をプレイ後,終了するとブルースクリーンが表示されてしまう問題
  • GeForce 8800 GTX,もしくは「GeForce 7900 GTX」「GeForce 7300 GS」搭載環境で「Tom Clancy's Ghost Recon: Advanced Warfighter」をプレイしているとき,ミッションをロードした直後に設定変更しようとするとクラッシュしてしまう問題
  • GeForce 8600シリーズ搭載環境で,8x/8xQ/16x AAに設定すると,「Tom Clancy's Rainbow Six Vegas」が起動しない問題
  • GeForce 8600シリーズ搭載環境で,シングルディプレイモードでNVIDIAコントロールパネルを終了すると,設定が自動的にシングルディスプレイモードへ変わってしまう問題
  • 「GeForce 8500」「GeForce 8400」「GeForce 8300」シリーズ搭載環境で,デュアルディスプレイに接続して3Dスクリーンセーバーをプレビューすると「Could not create Direct3D device」というエラーメッセージが表示される問題
  • 「GeForce 7」シリーズ搭載環境で,「Lock On: Modern Air Combat」の画面表示がおかしくなる問題
  • GeForce 7シリーズ搭載環境でnViewマルチディスプレイモードを有効にしたとき,NVIDIAコントロールパネルの「NVIDIA Multiple Display Wizard」が動作しない問題
  • GeForce 7シリーズ搭載環境で「HD Component 480i/576i/720」フォーマットを選択したとき,解像度変更画面でカラークオリティのスライドバーがグレーアウトしてしまう問題
  • GeForce 7900 GTX搭載環境で,NVIDIAコントロールパネルにある「Run Multiple DisplayWizard」を使用できない問題
  • 「GeForce 7800 GT」搭載環境で「3DMark03」を実行すると,パフォーマンスが低下し,画面表示がおかしくなる問題
  • 「GeForce 6600」(グラフィックスメモリ128MB)登載環境でデュアルディスプレイ環境を構築していると,セカンダリディスプレイの解像度やリフレッシュレートが正しく認識されない問題
  • GeForce 6600搭載環境で「Painkiller」のベンチマークを実行すると,水の表現がおかしくなる問題
  • すべてのNVIDIA SLI(以下SLI)環境で,SLIロードバランサを有効にしてTom Clancy's Ghost Recon: Advanced Warfighterをプレイした後デスクトップに戻ると,画面表示がおかしくなる問題
  • GeForce 8800 GTXのSLI構成時にV-Syncを無効化すると,「Titan Quest」のイントロシーンで黒い線が表示される問題
  • GeForce 8800 GTXのSLI構成時に,ゲームのランチャから「Tom Clancy's Splinter Cell Double Agent」を起動すると,SLI動作しない問題
  • GeForce 8800 GTXのSLI構成時に,スレーブとなるグラフィックスカードにディスプレイが接続されているとブルースクリーンが表示される問題
  • GeForce 8800 GTXのSLI構成時に,「Microsoft Dungeon Siege」をプレイすると,マウスカーソル周辺にブロックノイズが表示される問題
  • GeForce 8800 GTXのSLI構成時に,SLI AAが有効化されていると「The Elder Scrolls IV: Oblivion」の「Visual indicator」(※原文ママ)が正しく機能しない問題
  • GeForce 8800/8600シリーズのSLI構成時に,AFR設定で「Act of War」をプレイすると,カーソルの表示がおかしくなる問題
  • 「GeForce 7950 GX2」のQuad SLI構成時に「Sid Meier's Civilization IV」をプレイすると,画面をズームアウトさせたときに一部の画面表示がおかしくなる問題
  • GeForce 7950 GX2のQuad SLI構成時に,「Half-Life: Counter-Strike」のレンダリングモードをDirect3DからOpenGLに切り替えるとクラッシュする問題
  • GeForce 7950 GX2のQuad SLI構成時に,8x SLI AAを有効にすると,「The Chronicles of Riddick: Escape From Butcher Bay」でティアリングが発生する問題
  • グラフィックスメモリ256MB版の「GeForce 7950 GT」および「GeForce 7900 GT」によるSLI構成時に「Spellforce 2」をプレイすると,画面表示がおかしくなる問題
  • GeForce 7950 GX2のQuad SLI構成で,SFRモードに指定して「Sid Meier's Pirates!」をプレイすると,ビデオオーバーレイ表示周りがおかしくなる問題
  • GeForce 7950 GX2(1枚)および「GeForce 6800」「GeForce 6600」のSLI構成時に「X3」デモをベンチマークとして実行すると,画面表示がおかしくなる問題
  • GeForce 7900 GTXのSLI構成時に,NVIDIAコントロールパネルで「温度レベルのモニタ」をクリックすると,「SLI設定」ページが消えてしまう問題
  • GeForce 7800 GTXのSLI構成時に,何度かスクリーンセーバーを起動すると,NVIDIAコントロールパネルがクラッシュする問題
●ForceWare 162.15 Betaで未解決の主な問題(Windows XP)
  • ドライバをクリーンインストールした後は,すぐにシステムを再起動しないと,ForceWareのアプリケーションプロファイルがうまく動作せず,不安定になる(※すぐに再起動すれば問題ないとNVIDIAは指摘している)
  • 「Battlefield 2」で,グラフィックスオプションを「High」にすると,草オブジェクトの表示がおかしくなる
  • 「Star Wars: Republic Commando」で,新規にゲームを開始するとアプリケーションがクラッシュする
  • 「Dark Messiah of Might and Magic」で武器やキャラクターの表示がおかしくなったり,ゲーム開始後しばらくするとシステムがフリーズしたりする
  • 「F.E.A.R.」で水たまりの表示がおかしくなる
  • 日本語など英語以外のNVIDIAコントロールパネルで,テキストがウインドウに収まりきらない
  • 日本語版NVIDIAコントロールパネルの翻訳が一部おかしい
  • GeForce 8800 GTX搭載環境で,nTune 5.05.38.00を導入すると,GPUファンコントロールを正常に利用できない
  • GeForce 8800 GTX搭載環境で,ディスプレイを高解像度設定にして「Star Wars Battlefront II」をプレイすると,「training mission」(※原文ママ)で画面表示がおかしくなる
  • GeForce 8800 GTX搭載環境で「Sid Meier’s Railroads!」をプレイすると,ドライバが停止したりゲームがクラッシュしたりする
  • GeForce 8800 GTXあるいはGeForce 7900 GTX搭載環境で「Neverwinter Nights 2」をプレイすると,特定条件においてミニマップの表示がおかしくなる
  • GeForce 8800 GTX搭載環境でCSAAを有効にして「Microsoft Dungeon Siege 2」をプレイすると,マウスカーソルの動きがおかしくなる
  • GeForce 8600 GT搭載環境で,ディスプレイ解像度を1920×1200ドットに指定し,2xアンチエイリアシングを有効にして,さらにNVIDIAコントロールパネルから「拡張されたアプリケーション設定」(Enhance the application setting)の16xQ CSAAを選択すると,「Call of Duty 2」をプレイしたときにゲームがクラッシュする
  • GeForce 8600搭載環境でディスプレイ解像度を1920×1200ドットに指定し,さらにゲーム側のAAを「medium」に指定して「Microsoft Rise of Nations: Rise of Legends」をプレイすると,ゲームがクラッシュする
  • GeForce 8600搭載環境で,ゲーム側の設定をデフォルトにしたまま「Thief: Deadly Shadows」をプレイすると,テクスチャ表示がおかしくなる
  • GeForce 7950 GX2搭載環境でアンチエイリアシングを有効化して「Pirates of the Caribbean: The Legend of Jack Sparrow」をプレイすると,画面表示の一部がおかしくなる
  • GeForce 7950 GX2あるいはGeForce 7900 GX2でSLI AAを有効にすると,「Grand Theft Auto: San Andreas」をプレイすると,イントロムービーが暗くなる
  • GeForce 7900 GX2あるいはGeForce 7900 GX2で「Call of Duty 2」のゲーム側からSLI最適化オプションを有効化すると,画面表示がおかしくなる
  • GeForce 7800 GTX搭載環境で,1920×1200ドットのディスプレイに接続し,1024×768ドット以上の画面サイズを指定して「Need for Underground 2」をプレイすると,指定した解像度に設定されない(※多くのワイドディスプレイで1280×960ドットがサポートされないために生じるとのこと。NVIDIAコントロールパネルから同解像度を設定することが推奨されている)
  • GeForce 7600 GT搭載環境で「The Lord of the Rings: The Battle for Middle-Earth II」をプレイすると,ゲームのロード画面の表示がおかしくなる
  • GeForce 7300 GT搭載環境で「Test Drive Unlimited」をプレイして,ゲーム側のAAを変更しようとすると,ブルースクリーンが表示される
  • GeForce 7300 GT搭載環境で,2560×1600ドット,4xAAを行って「Medieval 2: Total War」のデモ版をプレイしようとすると,ブルースクリーンが表示される
  • GeForce 7300 GT搭載環境で「Command & Conquer 3 Tiberium Wars」をプレイすると,特定条件で一部オブジェクトが描画されない
  • GeForce 7300 LE搭載環境で「Half-Life」「Half-Life: Counter-Strike」をデフォルト設定のままプレイすると,画面にゴーストが表示される
  • GeForce 6150/6100搭載環境で「Battlefield 2」をプレイすると,画面表示がおかしくなる
  • SLI構成時にDirect3Dを採用したゲームタイトルを1080iで実行できない
  • SLI構成時に「Haze」のパフォーマンスが低下する
  • SLI構成時にV-Syncを無効化していると,「3DMark05」のCPU Test 1で一部の画面表示がおかしくなる
  • SLI構成時にV-Syncを無効化していると,「Far Cry」で一部の画面表示がおかしくなる
  • GeForce 8800 GTXのSLI構成で「S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl」をプレイすると,パフォーマンスがそれほど上がらない
  • GeForce 8800 GTXのSLI構成で,2560×1600ドットに指定し,16xQ CSAAを有効化して「Half-Life 2: Episode One」をプレイすると,画面表示がおかしくなる
  • GeForce 8800 GTXのSLI環境で「Neverwinter Nights 2」をプレイすると,画面表示がおかしくなる
  • GeForce 8600シリーズのSLI構成時にSLIのロードバランサが表示されない
  • GeForce 8600シリーズのSLI構成時に,スタンバイからの復帰に失敗し,画面がブラックアウトしてしまう
  • GeForce 8600 GTのSLI構成時に「Far Cry」をプレイすると画面表示がおかしくなる
  • GeForce 8600シリーズのSLI構成時に,1600×1200ドットに指定し,8xAAを有効化すると,「3DMark06」がクラッシュする
  • GeForce 8600シリーズのSLI構成時に,1600×1200ドットに指定し,32xQ SLI AAを有効化すると,「Tom Clancy's Splinter Cell Double Agent」がクラッシュする
 以上,今回のアップデートは多岐にわたっており,すべてをお伝えすることは難しいため,ゲームに関係した部分を中心にまとめてみた(それもすべてではない)。このほかにもSLI動作やNVIDIAコントロールパネル,ビデオ再生周りで多数の修正と問題の確認が行われているので,興味のある人は英文リリースノート(※クリックするとPDFファイルのダウンロードが始まります)をチェックしてみるといい。

 さて,6月19日の記事でお伝えしたとおり,NVIDIAはnZoneで公開しているβ版ドライバを,単なる“最新のWHQL未認証テスト版”ではなく,「いち早く最新のゲームに対応したゲーマー向けバージョン」と位置づけている。NVIDIAのRoy Taylor副社長も,自身のblogでForceWare 162.15 Betaについて「ロスト プラネットで遊ぶならこのドライバを使うべき」と述べており,一般的に言うところのβ版ドライバとは少々趣が異なることを,認識しておく必要がありそうだ。
 もちろん「WHQL認証が取れていない」ことは信頼性という意味でマイナスなので,導入作業が自己責任となることを考えても,全GeForceユーザーに導入を勧めたりはできない。またβ版が登場した以上,同バージョンをベースとした公式バージョンの登場が(おそらく)近いはずなので,導入を躊躇する人はいると思う。未解決の問題として日本語の翻訳がおかしい点がリストアップされたからには,解決を待ちたいという人さえいるかもしれない。

 ただし,Windows XP用ForceWareの歴史を見たときに,ForceWare 162.15 Betaが重要な意味を持つのは確か。GeForce FX以降のGPUを利用しているのであれば,導入しておいて損のないβ版といえるだろう。(佐々山薫郁&松本隆一)


ForceWare
■開発元:NVIDIA
■発売元:NVIDIA
■発売日:2003/10/23
■価格:無料
→公式サイトは「こちら」

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/news/history/2007.06/20070627174210detail.html