ロサンゼルス郊外に住むTaylor Carol君は,12歳の時に白血病と診断されて以来,すでに一年以上病気と闘っている。Taylor君の治療には,化学療法,骨髄移植といった通常の手法のほか,ちょっと変わったプログラムが追加されている。PCゲームだ。 CMP Groupのニュースサイト,InformationWeek.comが伝えるところでは,非営利団体,Hope Labが制作したPCゲーム「Re-Mission」がTaylor君の治療に効果を上げているという。 Re-Missionは,がんと闘う子供達のために開発された3Dシューティングで,その開発には多くの医療施設や専門医,そして患者らが協力しており,要望があれば誰にでも無料配布されている。プレイヤーは,がんと闘うナノロボット,Roxxiを操作して体内を進み,がん細胞を攻撃したり,感染症と闘ったりするのだ。 もちろん,ただゲームをプレイするだけで魔法のように病気がよくなったという話ではない。Taylor君は,最初は診断結果に強いショックを受けており,ゲームに興味は惹かれなかった。だが,苦しい化学療法の間,自分の体の中で何が起こっているかを理解するためにプレイを始めたという。ミッションを通して痛みの原因を知ったことにより,治療にも納得できるし,実際の治療と同じような攻撃ができるRoxxiのキモブラスターで,がん細胞を攻撃することはなお面白くなったようだ。そんなわけで,化学療法の最も厳しかった数週間を除いて,昨年はほぼ毎日プレイし続けた。 その結果,Re-Missionは彼の最も大きな情報源になり,記者が「なぜ今年はみんなと小学校に行けないのか?」と質問したところ,「白血球数が回復するまで,だいたい1年ぐらいかかるから」という専門家のような答えが返ってきたという。 白血病の治療は想像するよりずっと大変だ,とTylor君は言う。それに立ち向かうためには「知識」が大きな武器になるが,病気に苦しむ子供達にテキストでそれを理解させることは難しく,こうしたPCゲームを使うことは非常に効果的だ。 Taylor君によると,Re-Missionは「グラフィックスはそれほどでもないけど,シューティングとしてはそんなに悪くはない」らしい。Hope Labはこうした取り組みを今後も続けていく予定だ。(松本隆一)
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