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Intel,発表会で“新世代”Centrinoをお披露目。Centrino Duo/Pro対応ノートPCが各社から登場
2007/05/10 22:57
 Intelの日本法人であるインテルは5月10日,ノートPCプラットフォームの「インテルCentrino Duoプロセッサー・テクノロジー」(以下,Centrino Duo)の新世代版と「インテルCentrino Proプロセッサー・テクノロジー」(以下,Centrino Pro)についての発表会,「新世代モバイル・コンピューティング・コンファレンス」を開催した。
 この発表会では,Centrino Duo/Centrino Proについての基調講演および新世代Centrino Duo/Proを採用した新製品やソリューションの展示などが行われた。ここでは,発表会の内容や,会場で展示されていた新世代Centrino Pro/Duo対応ノートPCを中心に紹介していこう。

■第4世代に進化したCentrino Duo

 開発コードネーム「Santa Rosa」(サンタロサ)と呼ばれていたCentrino Duoの詳細については,5月9日の記事で解説されているので,ここでは簡単にその特徴を紹介するに留める。
 今回発表された新世代Centrino Duoは,2003年3月に発表された初代Centrinoから数えて4世代めとなるプラットフォームだ。Centrinoは,「いつ,どこででも可能なコンピューティングとネットワーク接続」(いわゆるユビキタスコンピューティング)を実現するために誕生したモバイル向けプラットフォームで,以下の四つの要素を特徴としている。
  • 「優れたパフォーマンス」
  • 「シームレスなワイヤレス接続」
  • 「長時間のバッテリー持続時間」
  • 「革新的な新型フォームファクター」
 新世代Centrino Duoは,これらの特徴をさらに改良しており,より魅力的なモバイルプラットフォームに進化している。これまでのCentrino Duoは,CPU/チップセット/無線LANモジュールという,ノートPCにおける主要コンポーネント三つを指すブランド名だ(この三つのコンポーネントがすべてIntel製でないと,Centrino Duoブランドは付与されない)。今回の新世代Centrinoでは,これら三つのコンポーネントがすべて進化した。

Centrinoの基本コンセプトは,いわゆるユビキタスコンピューティングの実現を目指している。新世代Centrino Duoを構成する主要コンポーネントの必須要件は上段の三つで,下段のIntel Turbo MemoryやIntel AMTはオプション


 まずCPUだが,従来のCentrino Duoと同じくCoreマイクロアーキテクチャーを採用したCore 2 Duoが採用されている。Core 2 Duoについては,以下の4点が改良されており,より高いパフォーマンスと長いバッテリー持続時間を実現する。
  • FSBが667MHzから800MHzに向上
  • FSBを動的に変化させる「Intel Dynamic Front Side Bus Frequency Switching」
  • キャッシュメモリへの電源供給をカットする「Enhanced Intel Deeper Sleep」
  • シングルコア動作時にクロックを引き上げる「Intel Dynamic Acceleration」
 Intelによれば,これらの改良によってWindows Vista上で旧世代と比べたCPUベンチマークテストの結果は,最大4割向上しているという。

(左)新世代Centrino Duoに採用されるCore 2 Duoの新機能一覧。コア自体は同じMeromだが,新機能がいくつか追加されている
(中央)CPUベンチマークテストの結果。左のグラフが浮動小数点演算性能,右が整数演算性能の比較。初代Centrinoに比べると,浮動小数点演算性能は2.87倍に,整数演算性能は2.55倍に向上している
(右)65nmプロセスルールで製造されるCore 2 Duo


■内蔵グラフィックス機能の3D描画性能は,従来の2倍以上に向上

 チップセットについては,グラフィックス機能統合型のMobile Intel GM965 Express(以下,Intel GM965)およびグラフィックス非統合のMobile Intel PM965 Express(以下,Intel PM965)が用意される。Intel GM965では,グラフィックスコアとしてGMA X3100を採用。Windows Vista Premium Readyの要件を満たしており,Vista Aeroも問題なく動作する。Mobile Intel 945GM Expressの内蔵グラフィックスコア「GMA 950」に比べて,3DMark06のスコアは2倍以上に向上するとのこと。ただし,従来に比べて3Dグラフィックス性能が向上したといっても,グラフィックスカード向けのGPUと比べると性能は遙かに及ばない。3Dゲーマーを満足させるほどの性能ではないので,過度な期待は禁物だ。

(左)Intel GM965の概要を示すスライド。グラフィックスコアが新世代のGMA X3100となっている
(中央)3Dグラフィックスベンチマークテストの結果。3DMark06のスコアは,前世代に比べても2倍以上に向上している
(右)チップセットは,ノースブリッジとサウスブリッジ(ICH8-M)の2チップから構成される


 Intel GM965では,「Intel Clear Video Technology」と呼ばれる技術の搭載によって,動画再生時の品質が大きく向上していることもウリだ。動画再生時のジャギーを軽減させることができるので,ノートPCでDVD-Videoなどの映像を楽しみたいという人には朗報であろう。ショーケース会場でも,実際に動画再生品質を比較するデモを行っていた。

(左)Intel Clear Video Technologyにより,動画再生時のジャギーを軽減できる
(右)ショーケース会場では,実際に前世代のGMA950と新世代GMA X3100の動画再生品質の比較デモを行っていた


■ドラフト版IEEE 802.11n対応で高速ワイヤレス通信を実現

 最後の要件が,高速無線LAN規格IEEE 802.11n(ドラフト版)をサポートした,無線LANモジュール「Intel Wireless WiFi Link 4965AGN」である。Intel Wireless WiFi Link 4965AGNは,複数ストリームで通信を行うMIMO技術を採用することで,従来のIEEE 802.11a/b/g対応無線LANモジュールに比べて,最大5倍(300Mbps)という高速通信と,2倍のカバーエリアを理論上実現する。ただし,300Mbpsという速度は,チャネル幅を40MHzにした場合の値である。現時点で日本国内では40MHz幅での通信は認められておらず,最大速度はその半分となる。
 なお,ドラフト版IEEE 802.11nをサポートしない「Intel Wireless WiFi Link 4965AG」も提供されるほか,従来の「Intel PRO/Wireless 3945ABG」も引き続き提供され,これらの無線LANモジュールとの組み合わせも可能だ。
 基調講演では,バッファロー製のドラフト版IEEE 802.11n対応無線LANルーターと組み合わせて,1080pのHDビデオ映像をワイヤレスでストリーミング再生中に,ビデオチャットを行っても,一切コマ落ちせずにスムースに映像が表示されるというデモを行った。

(左)ドラフト版IEEE 802.11nをサポートした,Intel Wireless WiFi Link 4965AGNの特徴を示すスライド
(中央)ドラフト版IEEE 802.11n経由で,1080pのHD映像をストリーミング再生しながら,ビデオチャットを行うデモの様子
(右)Intel Wireless WiFi Link 4965AGNでは,二つの送信機と三つの受信機を搭載しており,2×3のMIMOに対応する


■内蔵フラッシュメモリを利用して
■ディスクパフォーマンスを向上する「Intel Turbo Memory」


 また,新世代Centrino Duoでは「Intel Turbo Memory」と呼ばれる新技術も提供される。これはCentrino Duoの必須要件ではなく,オプション扱いとなっている。
 これは,Windows Vistaでサポートされた「Ready Boost」や「Ready Drive」といった機能を,内蔵フラッシュメモリで利用する技術だ。アプリケーションのロード/実行時間が最大で半分に短縮されるほか,システム起動時間も最大20%ほど短縮されるという。また,HDDアクセスの頻度が減るため,消費電力削減にも効果があるとされている。
 なお,Intel Turbo Memoryは,Intel製フラッシュメモリと専用コントローラLSI(ASIC)によって実現される技術であり,モジュールまたはオンボード搭載用キットとして提供される。Intel Turbo MemoryではPCI Express接続となるため,USBメモリよりReady BoostやReady Driveの効果が出ることが期待できる。

(左)内蔵フラッシュメモリによりディスクパフォーマンスを向上させる,Intel Turbo Memoryの概要を示すスライド
(右)Intel Turbo Memoryは,写真のようなモジュールとしてだけでなく,オンボード搭載用キット(単品パーツ)としても提供される


基調講演でプレゼンを行った,インテル代表取締役共同社長 吉田和正氏
 次に,インテルの代表取締役共同社長である吉田和正氏による基調講演の概要を紹介しよう。
 氏はまず,Centrinoの基本コンセプトを提示し,新世代Centrinoは,人々の生活をさらに豊かにしてくれるものだと語った。
 また,世界のノートPC市場は,今後も年平均で19%という高い成長率が見込まれていることや,日本では一般消費者向けPC市場におけるノートPCの割合がすでに60%に達していることなどを示した。また,Centrinoは,ノートPCだけのためのものではなく,低消費電力を活かして,先進的なデザインで静音性に優れたスリムPCを可能にしてきたと語った。今後は,「新しい無線技術を積極的に取り込み,さらに進化させていく」とのことだ。

(左)世界のノートPC市場の成長予測。今後も年率19%という高いペースでの成長が見込まれており,2011年には全世界で1億9500万台ものノートPCが出荷されるという予測になっている
(中央)日本は,欧米や他のアジア太平洋地域の国々に比べて,ノートPCの出荷比率が高い。また,Centrinoの低消費電力技術が,さまざまな先進的なデザインのPCを可能にした
(右)基調講演のゲストとして登場した,NEC,エプソンダイレクト,ソーテック,ソニー,デル,東芝,日本HP,日立製作所,富士通,東芝,レノボ・ジャパンの各社代表と吉田氏


新世代Centrino Duoのブランドロゴ。ハートを横倒しにしたような青と紫のマークがなくなった
 また,新世代Centrino Duoではブランドロゴも一新され,IntelのCPUで使われているロゴと似たデザインを採用したものになった。第3世代までのCentrino/Centrino Duoを採用したノートPCでは,従来のCentrinoロゴが使われるので,ロゴをチェックすれば,新世代Centrino Duoであるかどうかが一目で分かるようになっている。

■FSB 800MHz版Core 2 Duo+
■GeForce 8M搭載ノートPCが多数展示


 基調講演が行われたホールの隣では,新世代Centrino Duoを搭載したノートPCの新製品が多数展示されていた。その中でも,4Gamerで注目したいのは,NVIDIAから先日発表されたばかりの最新ノートPC向けGPU(グラフィックスチップ)「GeForce 8M」ファミリーを搭載した製品だ。なお,GeForce 8Mについては,「こちら」の記事で詳細を確認してほしい。
 GeForce 8Mは,ノートPC向けGPUとして現時点で唯一のDirectX 10対応製品である。そのパフォーマンス次第では,3DゲームをノートPCでもそれなりにプレイできるようになるのかしれない。
 なお,今回展示されていたGeForce 8Mファミリー搭載ノートPCは,以下の8製品だった。
  • マウスコンピューター「NEXTGEAR-NOTE M3800WX1」(GeForce 8600M GS搭載)
  • アロシステム「Lesance AS301GW-C2D-GT」(GeForce 8400M G搭載)
  • 東芝「Qosmio G40/97C」(GeForce 8600M GT搭載)
  • 東芝「Qosmio F40/87CBL」(GeForce 8400M GS搭載)
  • サードウェーブ「Prime Note Chronos IS」(GeForce 8600M GT搭載)
  • ソーテック「WinBook DN7030」(GeForce 8600M GS搭載)
  • ASUSTeK Computer「W7S」(GeForce 8400M G搭載)
  • ASUSTeK Computer「G1S」(GeForce 8600M GT搭載)
 特に,GeForce 8Mファミリーの最上位となるGeForce 8600M GTを搭載した「Qosmio G40/97C」,「Prime Note Chronos IS」,「G1S」の3製品のパフォーマンスには,期待できそうだ。ちなみに,Prime Note Chronos ISでは,「フロントミッションオンラインオフィシャルベンチマークソフト」が走っていたが,XGA(1024×768ドット)モードで「20903」と,期待通りの高スコアを出していた。

 これまで,ノートPCのパフォーマンスに不満を感じていたゲーマーも多いだろうが,新世代Centrino DuoとGeForce 8Mファミリーの登場によって,ノートPCのパフォーマンスは,一段とジャンプアップする。ゲーマーにより向いたノートPCが,続々と登場することになりそうだ。(ライター:石井英男)

マウスコンピューターの「NEXTGEAR-NOTE M3800WX1」。CPUにCore 2 Duo T7700を,GPUにGeForce 8600M GSを搭載。15.4インチワイド液晶(WXGA)を搭載し,ドラフト版IEEE 802.11nにも対応する アロシステムの「Lesance AS301GW-C2D-GT」。CPUにCore 2 Duo T7300を,GPUにGeForce 8400M Gを搭載。13.3インチワイド液晶(WXGA)を搭載し,ドラフト版IEEE 802.11nにも対応するほか,200万画素カメラも内蔵。重量も2kgと比較的軽い 東芝のフラッグシップAVノート「Qosmio G40/97C」。CPUにCore 2 Duo T7300を,GPUにGeForce 8600M GTを搭載。17インチワイド液晶(WUXGA)を搭載し,HD DVD-Rドライブも装備する
東芝の「Qosmio F40/87CBL」。CPUにCore 2 Duo T7100を,GPUにGeForce 8400M GSを搭載。15.4インチワイド液晶(WXGA)を搭載する サードウェーブの「Prime Note Chronos IS」。CPUにCore 2 T7500を,GPUにGeForce 8600M GTを搭載。15.4インチワイド液晶(WXGA)を搭載し,ドラフト版IEEE 802.11nにも対応する Prime Note Chronos ISによる「フロントミッションオンラインオフィシャルベンチマークソフト」のスコアは,XGAモードで20903であった
ソーテックの「WinBook DN7030」。CPUは,Core 2 Duo T7700/T7500/T7300/T7100から選択が可能。GPUとしてGeForce 8600M GSを搭載。15.4インチワイド液晶(WSXGA+)を搭載する ASUSTeKの「W7S」。CPUにCore 2 Duo T7500を,GPUにGeForce 8400M Gを搭載。13.3インチワイド液晶(WXGA)を搭載し,ドラフト版IEEE 802.11nにも対応する ASUSTeKのゲーマー用ハイスペックノートPC「G1S」。CPUにCore 2 Duo T7500を,GPUにGeForce 8600M GTを搭載。15.4インチワイド液晶(WSXGA+)を搭載し,ドラフト版IEEE 802.11nにも対応する

Core 2
■開発元:Intel
■発売元:インテル
■発売日:2006/07/27
■価格:モデルによる
ノートPC
■開発元:各社
■発売元:各社
■発売日:-
■価格:製品による

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http://www.4gamer.net/news/history/2007.05/20070510225759detail.html