ロックワークス発表会後のインタビューで語られた,両タイトルの進む道とは?(九龍争覇編)
ロックワークス
九龍争覇プロデューサー
前田康幸氏
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4月9日,ロックワークスによるMMORPG「九龍争覇」 「十二之天 〜TwelveSky〜」の発表会が行われた。 イベントから少し時間は経ってしまったが,発表会後,それぞれのタイトルのプロデューサーおよび開発者に話を聞いてみたので掲載しよう。九龍争覇では,ロックワークスのプロデューサー 前田康幸氏と,開発元であるINDY21の代表取締役社長 ユン・ソンハク氏に。また十二之天のインタビューでは,ロックワークスのプロデューサー 加藤仁氏と,開発元であるギガスソフトのイ・ジョンヒョク氏にインタビューを行っている。短い時間ながらもそのボリュームは,大きなものとなったので2回に分けてお伝えしよう。前編となる今回は,九龍争覇のインタビューをお届けする。
■「見せ方」を変えるアプローチで ■オンラインゲーム未経験の女性もターゲットにする「九龍争覇」
4Gamer: 本日はよろしくお願いします。まずは九龍争覇について,どんなゲームなのか簡単に教えてください。
前田康幸氏(以下,前田氏): 九龍争覇は,ストーリーを非常に重視したタイトルとなっています。まずゲームの背景や過去の歴史を振り返るという大きな物語があり,その中でそれぞれのプレイヤーが英雄伝のようなストーリーを残せるのです。またゲームとしては,スキルやペットといったシステムを活用することで,パーティでもソロでもプレイできるMMORPGとなっています。
4Gamer: ターゲットとして想定しているのは,どのようなユーザー層ですか?
前田氏: 20〜30代の男性,いわゆるコアユーザーはもちろんですが,そのほかにもライトノベルの読者を想定しています。これはすなわち,20〜40代の女性をもターゲットにするということでもあります。
4Gamer: 発表会でもログを小説化するシステムについて触れていましたが,これがライトノベル層へのアピールということに?
前田氏: そうですね。日本で現在活動している作家の方を起用して,九龍争覇の小説化をする予定です。その中にプレイヤーが実際に使っているキャラクターの名前ですとか,ゲーム内で実際に行われたイベントなどが盛り込まれます。ゲームをプレイすることによって自分のキャラクターが特定の作家が書く小説に登場する可能性があるという,いわゆるユーザー参加型の企画ですが,これによってライトノベル読者へアピールしていこうと考えています。
4Gamer: オンラインゲームというと,コミックやアニメへの展開が主流であるように見受けられますが,あえて小説やライトノベルというのは?
前田氏: まず韓国で九龍争覇をトータルコーディネートした際に,武侠小説の人気作家を起用したという経緯があります。その作家が九龍争覇のシナリオや登場人物,背景の監修をしているんですね。そして,もちろん九龍争覇のストーリーも小説化されています。そのシステムを日本における展開でも取り入れたというわけです。
4Gamer: 小説化のシステムでは,各プレイヤーの行動が文章化されるということですが,具体的にはどういったものでしょう?
前田氏: 数々のクエストをクリアしていく過程,すなわちアイテムを集めたり,特定の敵を倒したりといったようなプレイの積み重ねが文章化されていきます。これは,ロックワークスで随時取っているプレイヤーのログがベースになります。プレイヤーがいつ,どのような行動を取ったか,もしくはコレをやったがアレはやっていないというようなログを,いわば原作として文章化していきます。
4Gamer: ということは,単にログが箇条書きのように羅列されるわけではない,と。
前田氏: そういうことです。日本の作家やライターを起用することにより,単なるログではなく,きちんとした文章を持った一つのストーリーに仕上げていきます。
4Gamer: それは結構時間のかかる作業だと思うのですが,つまり,文章化されたログをプレイした当日に読めるようなシステムではないということですか?
前田氏: そうなりますね。
4Gamer: なるほど。文章化されたものを読めるようになるまでに,どれくらいかかる見込みでしょう?
前田氏: 韓国で実装されているシステムでは,だいたい半年から1年といったところです。日本では,どれだけの数のライターを起用できるかによって変わってくるとは思いますが,その期間中もプレイヤーの皆さんを飽きさせないような企画を考えていく予定です。
4Gamer: 半年というと割と長いですよね。数人のライターを起用して,いかに短いスパンで出せるかがポイントになりそうです。それでは,九龍争覇がすでに行っている海外での展開について教えてください。まず韓国での同時接続者数は,どの程度なんでしょうか?
INDY21 代表取締役社長
ユン・ソンハク氏
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ユン・ソンハク氏(以下,ユン氏): 韓国の武侠ジャンルではトップクラスの人気を誇っていて,2005年には韓国政府からいくつかの賞を獲得しています。具体的な同時接続者数については公開していないのですが,現在は1万人を少々割る程度と考えてください。 また先ほどの発表会でも述べた通り,九龍争覇は韓国だけでなく,北アメリカ,ベトナム,台湾,ヨーロッパなど全世界40か国以上でサービスを展開しています。アメリカでのサービスでは,韓国よりもいい成績を出していますよ。
4Gamer: まさに世界的な展開というわけですね。
ユン氏: その通りです。今後は日本をはじめ,中国,ロシア,そしてラテンアメリカで展開します。
4Gamer: そうした展開を可能にした理由はなんでしょう?
ユン氏: 東洋色を売りにしたオンラインゲームの多くは,実は西洋ファンタジーのキャラクターやモンスター,アイテムを東洋風に置き換えただけのものではないでしょうか。しかし九龍争覇では,そうした曖昧な点を排除して,「これが東洋だ」という部分を強調したのです。それが世界的に受け入れられた大きな理由だと思います。
4Gamer: アメリカではXbox 360版も開発中とのことですが,日本でのコンシューマ機への展開は予定されているのでしょうか?
ユン氏: アメリカでは,サービスを担当するパブリッシャが,もともとコンシューマゲームを扱っていたという経緯があります。そこで,Xbox 360版の企画が持ち上がり,現在はサービス開始に向けて準備中です。日本でも,そういったパートナーと機会に恵まれればコンシューマ機で展開したいですね。
4Gamer: では,実際に,ロックワークスではどうお考えでしょう?
前田氏: 今の段階でどこまで答えていいものかというのはあるんですが,視野には入れています。ただ,コンシューマ機におけるパブリッシャ契約をINDY21と交わせるかどうかといったような,ビジネス上クリアしなければならない部分もあります。
4Gamer: なるほど。ところで日本ではまだ武侠というジャンルに馴染みが薄く,また対人戦をメインに据えたタイトルが苦戦している現状がありますが,その対策などはお考えでしょうか?
前田氏: 今までオンラインゲームをプレイしてきた方に対する「武侠ゲームをやりませんか」というアピールではなく,むしろプレイしたことのない人に「オンラインゲームとはこういうものです。それがたまたま武侠だっただけです」という見せ方にしようと考えています。
4Gamer: 具体的には,どういったことをお考えなんでしょう?
前田氏: 今,ミクシィやニンテンドーDSは誰でも知っている存在ですよね。例えば女子大生が,「ミクシィやってる」「電車の中でDSをプレイしている」と言っても,今や普通のことだと思うんですよ。しかし「オンラインゲームやってる」とは,なかなか言い出せないのではないでしょうか。そういったオンラインゲームに対するネガティブな部分をクリアにしていきたいということですね。そこでどこまでやれるかは分からないのですが,今まではコストパフォーマンスが合わなくて見送っていたようなプロモーションも,積極的にやっていきたいと考えています。
4Gamer: その例の一つが今日の発表会,つまり従来のオンラインゲームではあまり見ないようなタイプの発表会というわけですね。
前田氏: まさに発表会もその一環です。実は今回,時間の関係でまだまだ不完全だったのですが,5月開催予定の発表会では「オンラインゲームもエンターテイメントなんだ」という切り口で,新聞や情報誌といった一般のメディアにも取り上げてもらえるような企画を考えています。
4Gamer: 確かに今日も,アイドル系や映画系でしょうか,ゲームの発表会では普段見ないようなメディアが来ていましたね。
前田氏: そういったように見せ方を変えれば,まだまだアピールする余地はあると考えています。
4Gamer: なるほど。しかし,そうはいってもオンラインゲームに限らず,武侠というジャンルそのものが日本にはまだあまり根付いてないですよね。結局,今までオンラインゲームをやったことがない人にも,武侠は難しいものなのではないでしょうか? その現状を,今おっしゃったような方法で打開できるとお考えですか?
前田氏: うーん,私は可能だと考えています。実は,私は以前インターネットカフェに関わっていたんですが,その中で従業員が「オンラインゲームやってみませんか?」というベクトルの持ち掛けをしたり,一緒にプレイする仲間がいたりすると,実際にプレイしてくださるお客さんが多いという動向を把握できたんですよね。つまり,人と人とのコミュニケーションによって打開できるという観点からも,見せ方を変えるアプローチは有効だと思います。
4Gamer: 確かにオンラインゲームは,始めるには多少の勇気がいるため,友人から誘われるなど,なにかしらキッカケが必要となります。さまざまなメディアに露出することで,そのキッカケ自体を増やそうというわけですね。 それでは,ゲームの内容について,日本独自の仕様はどうなるか教えてもらえますか?
前田氏: 従来の九龍争覇では,一つの門派に所属してしまうと,その門派のスキルしか覚えられない仕様になっています。しかし統計的に日本のユーザーは,自分のキャラクターに非常に愛着を感じるという傾向が強く,一つのキャラクターですべてのスキルを使えるようにしたいという方も多いです。またその中で,最強のキャラクターを作りたいと考える方もいるでしょう。そこで現在,日本市場向けの仕様としてほかの門派のスキルであっても習得できるような企画を提案しているところです。
4Gamer: 九龍争覇は,対人戦もセールスポイントですよね。多くのタイトルでは,対人戦というと結局は最高レベルのキャラクター同士で勝敗を競う形になります。最高レベルに達するまで,プレイヤーを飽きさせないような工夫はお考えですか?
前田氏: 対人戦イベントとして低レベル,中レベル,最高レベルといったような段階的に参加できるものを考えています。また本作の場合は,レベル差のあるキャラクターを攻撃するとペナルティが発生するシステムを採用しています。そのほか,韓国のゲームということで,日本のプレイヤーがあまりよく思っていない仕様に関しては,これから調整していく予定です。そうした点に関しては,プレイヤーの皆さんからの意見を元に方向性を決めていきたいですね。
4Gamer: なるほど,つまり今後のクローズドβテストなどでの,プレイヤーからの意見次第ということですね。
前田氏: はい。
4Gamer: では次に,今後の予定や課金形式について,今発表できる範囲で教えてください。
前田氏: 課金形式は,アイテム課金になる予定です。スケジュールに関しては,4月中に社内αテストを行う予定です。そこで先ほどお話ししたように,皆さんに現状の九龍争覇をプレイしていただいて,ご意見をいただき,それをクローズドβテストに反映したいと考えています。詳細については今後の発表をお待ちください。
4Gamer: それでは最後に読者に対して,何かコメントをお願いします。
前田氏: 九龍争覇は韓国のゲームということで,日本人に向かない仕様に関しては,これから調整していく予定です。そうした点に関しては,皆さんからの意見を元に方向性を決めていきたいと考えています。
発表会の挨拶で,日本のゲーム市場を「野球で言えばメジャーリーグ」と話していたユン氏
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ユン氏: 私は,九龍争覇の日本での成功を非常に重視しています。というのも,オンラインゲームの分野では,まだこれからとはいえ,一般的には「ゲームといえば日本」という認識が強いからです。
4Gamer: 本日はありがとうございました。
今回のインタビュー前に行われた発表会の模様は「こちら」の記事で確認してみよう。前田氏の言っていた「オンラインゲームもエンターテイメント」という演出が見え隠れしているのではないだろうか。なお明日4月13日に,後編(十二之天編)を掲載予定なので,そちらもお楽しみに。(ライター:大陸新秩序)
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十二之天 〜TwelveSky〜 |
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九龍争覇 |
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